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相談窓口

賃金減額裁判

組合 全面勝利

―会社がみずから請求を認める―

会見で裁判勝利の報告をする組合と弁護士= 27日、厚労省

会見で裁判勝利の報告をする組合と弁護士= 27日、厚労省

連戦連勝の組合

 2015年11月25日、賃金減額裁判において、会社は「原告らの請求を全て認める」として「請求の認諾」を行い、原告9名に対し裁判で請求されていた減額分の賃金および遅延損害金の全額約1200万を支払うことを言明しました。
 賃金減額裁判は12月25日に判決が予定されていました。しかし裁判の経過から、会社の敗訴が確実視される中、判決によって日本IBMの賃金減額制度の違法性や非人道性を厳しく指弾されることを恐れた会社が、判決前に自らの減額措置が誤りであったことを認め、白旗を掲げたものです。原告組合側の完全な勝利です。都労委、中労委の勝利命令に続き、組合は連戦連勝です。

認諾が意味するもの

 この「請求の認諾」によって回復される賃金はこの裁判を起こした原告9名の請求した金額に限られますが、会社は自らの減額措置の誤りを認めた以上、過去のすべての減額措置を撤回するとともに、今後二度と減額を実施しないことを約する当然の義務が発生します。
 組合は今後の団体交渉を通じて、過去に行ったすべての減額措置を撤回し、減額された組合員の損害を回復するように求めていきます。

組合に加入し、一緒にたたかいましょう

(原告Aさんのコメント)
 私は2013年5月、PBC低評価者に対する一律の減額が発表された翌日に組合に加入しました。真面目に働いてきた社員に対する会社の非道な仕打ちが許せず、また、10%を超える賃金減額が違法であることも確信していたためです。今回の「認諾」によって、過去の減額分約160万円を取り返すことができ、あきらめずにたたかってよかったと、心からほっとしています。
 ただし、賃金減額の問題はまだまだ残っています。今後すべての問題を解決するために、会社と団体交渉を行っていきます。賃金減額された皆さんもあきらめずに組合に加入し、一緒にたたかいましょう。
 ~ ~ ~ ~
 組合ホームページには、勝利声明が掲載されています。合わせてご覧ください。

請求の認諾とは

 被告が原告の請求が正しいことを認め、裁判所が作成する調書に記載されるもの。原告勝訴の判決が確定した場合と同様の効果が発生します。
 原告と被告の合意によって行われる和解とは異なるものです。

 

解雇は労働契約法違反で無効

ロックアウト解雇第1次・2次裁判結審

 ロックアウト解雇第1次・2次裁判は、11月16日に最終弁論を行い結審し3月28日に判決がでます。水口弁護士が最終意見陳述を行いました。以下にその抜粋を掲載します。

 本件解雇は、労働契約法16条に違反することにより無効である。

1 本件審理で明らかになった本件の特徴

 一つは、解雇予告通知書に記載された解雇理由が全てほぼ同一の定型文言にて記載されていたという点です。その文言は、抽象的な「貴殿は、業績が低い状態が続いており、その間、会社は様々な改善機会の提供やその支援を試みたにもかかわらず業績の改善がなされ」なかったというものです。原告らが具体的な解雇理由を問いただしても回答しませんでした。団体交渉での説明さえ拒んだため、中労委で不当労働行為と認定され、会社も命令を受け入れ裁判所への不服申立を断念しました。
 二つは、原告らは、日本IBMで10年、20年以上働いてきたにもかかわらず、突然、業績不良・改善の見込みなしと解雇された点です。その根拠として挙げられるのはPBCという人事評価ですが、これは相対評価です。解雇を相対評価で決めたというのです。
 三つは、IBMでは、2012年以降、毎年、全世界的に人員削減が実施され、そのため毎年、ワークフォース・リバランシング・チャージ、すなわち人員再調整費用が計上されています。時期及び金額は会社発表資料で明らかです。組合員で解雇された35名を見ると、Ⅰ期は、2012年第3四半期で4億800万ドルで11名解雇、Ⅱ期は2013年第2四半期で10億ドルで15名解雇、Ⅲ期は2014年第1四半期で2億ドルで4名解雇、Ⅳ期は2015年第1四半期で2億8000万ドルで5名解雇と時期が合致しています。会社が計画的に被解雇者を選定して、予算措置がある時期に一斉に解雇していることは明らかです。

2 本件解雇は人員削減のための解雇であること

 本件解雇は、原告ら労働者個人の業績が低い結果だとされていますが、実際には、先ず人員削減の目標ありきなのです。この点を赤裸々に語ったのが原告酒本の上司です。この上司は「毎年毎年、組織を維持できないほどの人員削減をやらされている。そうなると辞めさせても影響が少ない人物を人員削減対象とする」と語っています。
 要するに、日本IBMは、経営側の事情による解雇には整理解雇の法理が適用されるため、これを回避するため、あえて原告らの業績不良、改善の見込みがないと、理由を偽装して解雇しているのです。

3 メンタル疾患について

 原告ら5名のうちメンタル疾患に罹患していた者が3名います。日本IBM社内でメンタル疾患は人事上も対策が必要な問題でもありました。HRの資料にも患者の調査結果などが課題として掲載されています。
 ところで、原告らの中にはメンタル疾患を上司に申告できなかった者もいました。それは、メンタル疾患を抱えているということが上司にわかったならば退職勧奨の対象になるのではないか、と恐れたからです。これを申告しなかったことが解雇の理由になるでしょうか?
 最高裁判所は、東芝うつ病解雇事件(平成26年3月24日・集民第246号89頁)の判決の中で「労働者にとって,自己のプライバシーに属する情報であり,人事考課等に影響し得る事柄として通常は職場において知られることなく就労を継続しようとすることが想定される性質の情報であった」として、その情報を申告しなかったとしても、使用者はそれに配慮すべき義務を負うと判示しています。ですから、本件解雇についても、メンタル疾患を管理職に申告していなかったとしても、やむを得ない事情があり、かえって使用者が十分にそれに配慮していなかった場合には解雇が社会的な相当性を欠くことになると言うべきです。

「賃金減額・解雇撤回闘争 報告決起集会」のご案内

 来る12月25日(金)19:00より、「賃金減額・解雇撤回闘争 報告決起集会」を全労連会館2Fホールにて行います。ぜひご参集ください。

 案内はこちら(PDF)→ 賃金減額・解雇撤回闘争報告決起集会

声明<日本IBM、賃金減額問題について判決前に白旗を揚げる!>

声  明
<日本IBM、賃金減額問題について判決前に白旗を揚げる!>

 全日本金属情報機器労働組合(JMIU)日本アイビーエム支部組合員9名が原告となって日本アイ・ビー・エム(以下「IBM」)を相手に提訴していた賃金減額裁判(東京地裁平成25年(ワ)第25401号)において、IBMは、2015年12月25日に決定していた判決言渡しの1か月前である11月25日、突如「原告らの請求を全て認める」として、遅延損害金含め総額約1183万円を支払うと言明した。
 訴訟上、これは「請求認諾」となり、裁判はこれをもって終了するが、原告側の完全勝利である。判決直前の「認諾」は極めて異例であり、判決によって賃金減額制度が「違法」と断罪されることが確実視されるなか、その社会的影響を避けるための苦肉の策としか考えられない。判決前に自らの減額措置が誤りであったことを認め、白旗を揚げたもので、それは勝訴判決以上の意味を有する。
 本件でIBMは、労働者や労働組合との誠実な協議をしないまま、就業規則を一方的に改訂し、従前なかった賃金減額を可能とする文言を挿入し、2013年7月1日に本給で8.25~12.8%、年間収入で9.98~15%の減額率での減額措置を行った。なかには4回の減額で500万円を超える賃金ダウンを受けた者もいる。
 労働基準法91条では、懲戒処分の場合ですら「10%を超える賃金減額をしてはならない」と規定しているが、ほとんどがこれを上廻る減額率である。
 加えて、就業規則には減額の基準や金額については何の定めもなく、何年連続でも、いくらでも減額できるという「フリーハンド」を会社に与える規定になっている。この就業規則の改定当時、IBMは業績も順調で約940億円の経常利益を上げており、減額制度の導入の必要性は全くなかった。労働契約法10条が、就業規則の一方的改訂による労働条件の不利益変更の場合に、これを有効とするために定めた必要な要件を全く具備していない。
 減額は、労働者を職場から排除する狙いで行われており、退職勧奨に応じない者は解雇される。現に、本件9名の原告のうち半数以上の5名が減額措置後に解雇予告通知を受け、2名が解雇無効を求めて裁判係争中である。減額は正に解雇への一里塚である。
12月25日に言渡される予定であった判決は、これらの点を厳しく断罪するものであったことは推測に難くない。
 本件裁判については、労働者側の全面勝利で終わった。しかし、未解決の問題が山積みされている。何より月額本給・年間収入が減額前に戻っておらず、本件の翌年も組合員に対する減額措置がなされている。
 IBMが、係争中の解雇事件を含むこれら全ての未解決問題について、本件「認諾」を契機に、JMIUとの団体交渉を速やかに行い、全面的な解決を図るべく、労使正常化に向けて大きな一歩を踏み出すことを期待し、要求する。

以上

2015年11月27日

全日本金属情報機器労働組合
同  日本アイビーエム支部
同  弁護団

従業員代表選挙 組合推薦候補に投票を

従業員代表に「1年間」白紙委任する大事な選挙です!
労働条件、福利厚生など不利益変更はさせません。

 会社はこれまで、借上げ社宅の廃止や私傷病休職の有給期間の短縮など労働条件を改悪してきました。それに対して、これまで当選した従業員代表は、ほとんど異議を唱えることなく、この改悪を容認してきました。このようなことをなくすために、ぜひ組合推薦候補に投票してください。

● PBC評価制度の改定について
  恣意的な評価を許さず、客観性・透明性・公平性を担保させます。
● マイナンバー制度について
  慎重な運用を求めていきます。
● 改正労働安全衛生法に基づくストレスチェックの導入について
  制度の趣旨に沿った正しい運用を求めていきます。
● 就業規則等の変更が提案される場合
  その都度の従業員代表選挙を求めていきます。
● 各種法令に基づく労使協定の締結について
  従業員のみなさんが働きやすい環境を作るよう働きかけます。
● 時間外労働は厚生労働省通達「1か月45時間」「年間360時間」を遵守
  稼働率目標の達成のための長時間労働をやめさせます。
● 従業員へのフィードバック
  会社との会議内容を従業員にフィードバックします。みなさんの意見を聴取した上で従業員代表の責務を果たします。

事業所 ブロック 組合候補
本社 第1ブロック 大場伸子
第3ブロック 吉野浩介
第5ブロック 杉野憲作
幕張事業所 第1ブロック 池田武司
第2ブロック 石原隆行
大阪事業所 第1ブロック 河本公彦

 会社は11月5日、36協定及びその他協定締結のため、従業員代表選出の通知を出しました。
 会社はこれまで「借上げ社宅の廃止」や「消えた1 ・5ヶ月分の賞与算定期間」「私傷病休職の有給期間の短縮」など労働条件を改悪してきました。それに対して、これまで選出された従業員代表は皆さんの意見を代表するような振る舞いをしたでしようか?ほとんど異議を唱えることなく、この改悪を賛成・容認してきたのではないでしょうか。組合は上記趣意書にあるように社員の皆さんを裏切りません。
 是非とも組合推薦候補に皆さんの一票をお願いします。

MBA昇給、会社は従業員の貢献に報いる気無し【団交報告】

―日本だけ増収なのに無視―

 機関紙「かいな」11月2日号でお知らせした秋闘要求の回答指定日である11月4日に会社から回答が出されました。組合は団体交渉をもって内容について協議しましたので、以下にお知らせします。

低い給与水準を調整するのがMBA昇給

 会社には2つの昇給制度があります。ひとつは4月1日付のTCR(TopContributor Reward)で、もうひとつは12月1日付MBA(Market-Based Adjustments)です。会社の説明によれば、TCRは成績の良かった人のみに対する昇給で、MBAは業界の給与水準などと比較して調整が必要な場合に実施されるものです。この観点からすれば、MBA昇給はいわゆるベースアップに近い考え方だといえます。
 ところで、この4月は消費税が8%に引き上げられたことを受け、各大手企業がベースアップを実施しました。この結果、日本IBMの給与水準はこれら大手企業に比べて見劣りする状況になっていました。これを調整する意味で、この年末はMBA昇給をすることが重要です。
 組合はこのような状況分析の下、大手各社にひけを取らないためには全従業員の平均賃上げ率3%のMBA昇給をすることが必要だと結論し、秋闘要求を提出していました。

ゼロ回答のMBA昇給

 会社回答はMBAの「実施を確約するご要求に応ずる考えはありません」と一蹴。まさにゼロ回答でした。
 これに対し、組合がMBA昇給の検討事項である、

・市場の需要動向
・業界の給与水準
・日本での適用状況
・該当職種

について現在の会社の検討状況を聞いたところ、会社は「まだ決まっていない」との返答を繰り返すばかりで、誠実に働いてきた社員の貢献に報いようという姿勢がまったく感じられませんでした。以下にその模様をお知らせします。

 MBA昇給は考えているか。
 12月は給与調整を行うタイミングであるが、全員の昇給は考えていない。
 市場の環境をどのように考えているかなど、検討内容を回答して欲しい。現時点の状況判断を聞いている。
 会社は成長分野にスキルを求めている。CAMSSのような成長分野に人・モノ・カネを投入したい。全従業員にという考え方は無いが、MBAの性格からして競争力が弱まっているところにフォーカスを当てている。まだ最終的な結論に至っていない。
 12月1日までもう1ヶ月もない。まだ具体的な検討に至っていないというのはどういうことか。
 それは認識している。給与担当と相談しながら進めている。
 この春に大手各社はベースアップをしてきている。現場の感覚では大手各社に比べて社員の給与水準が見劣りしているので、平均3%の昇給を要求している。
 データは開示できないが競合他社の賃金とベンチマークを行って職種別の競争力を図っている。給与水準が見劣りしている点についても会社として確認している。
 もっと具体的に説明して欲しい。日本は対象になっているのか。
 まだ前段階だとしか言えない。
 「今年はこうです」という回答はないのか。いつわかるのか。
 ・・・
 日本だけ増収だったはず。社員に対してどのように報いるつもりか。3%というのは、決して無理な要求ではない。
 会社業績の業績連動部分は賞与で報いている。
 いつまでに決まればよいのか。配分を考える時間が必要ではないか。
 最終的には12月1日だ。どこに昇給するかは、ここ数年で見ると、決定イコール限定だ。
 直前に決まって、協議の時間無しでこのままいくというのは困る。
 なんとか明確にしたいと考えている。

12月1日付で減給をやるのか?

 組合要求に対する回答が「減額調整を中止する考えはありません」となっている。これは12月1日で減額をやるということか。
 上方、下方の賃金の見直しということは、考えとして消すものではないということだ。
 一般的な話ではなく、この12月1日付で賃金減額をしないでほしいという要求だ。これに対してどうなのか。
 まだ検討中ということだ。
 それは、減額があるかもしれないということか?
 そこは最後の決めになる。
 1ヶ月後に迫ったことについて、今の時点で回答できないのはいかがなものか。やらないなら、やらないと回答すべきだ。
 すべてにおいて、慎重に検討しているということだ。

全従業員の賃上げを要求

  2015年秋闘・年末一時金要求

 2015年秋闘の一環として、組合は一次要求(JMIU秋闘統一要求書三種を9月16日に提出し、10月1日回答)に続き、10月21日に二次要求として職場の要求を総ざらいする「2015年秋闘・年末一時金要求」と「マイナンバー制度に関する統一要求書」を提出しました。これら要求実現を目指し会社に回答を迫ります。回答指定日は11月4日です。

●評価制度の変更に関する要求
 現在PBC制度の変更が計画されているが、評価制度の変更にあたって以下の点を要求する。
◆評価結果の使い方について
・労働条件に反映しないこと。
◆評価方法について
・客観性・透明性・公平性を担保し、恣意的な評価ができないようにすること。
・評価分布を公開すること。
・誰に評価されるのかを明らかにすること。
・評価期間を明らかにすること。
・評価期間の途中で目標を追加することで、低評価に誘導しないこと。
・評価する側のガイドを公開すること。
◆稼働率との関係について
・稼働率が低いことをもって低評価の理由としないこと。
●12月1日付賃上げ要求
・MBA昇給と臨時昇給を実施し、全従業員の賃上げをすること。4月昇給と合わせて全従業員の昇給率が最低でも3%以上となるようにすること。
・組合が提示している年齢別保障給に満たない従業員について、臨時昇給を実施し、保障給まで賃上げすること。
・賃金減額をしないこと。
●12月10日付一時金要求
・消えた基礎算定期間(2014年11月15日~12月31日)分を上乗せすること。
・PBC評価に関係なく、最低でもReference Salaryの6%以上のGDPを支給すること。
・一時金の最低支給基準を設け、最低でも組合が提示している年齢別保障給+旧住宅費補助の2.5ヶ月分を支払うこと。
・シニア契約社員にも一時金を支給すること。
・派遣社員・臨時雇用者についても、月次支払額の1ヶ月分を支給すること。
●定年延長および再雇用制度に関する要求
・JMIU統一要求を下回らない賃金で、65歳まで雇用を保証すること。また、再雇用では、シニア契約社員について、月額給与17万円を改め、30万円に引き上げること。
●ストレスチェックに関する要求
◆2015年末から実施されるストレスチェックについて
・実施にあたっては、組合と事前協議し、合意の上で行うこと。
・チェック結果は本人のみに直接通知する(事業者に対しては秘匿扱いとする)こと。
・産業医による面談を強要したり、休職や退職の勧奨に悪用しないこと。
・産業医は従業員の側に立って活動すること。
・集団分析は個人が特定できないような匿名データにした上で外部の第三者機関で実施し、職場環境の改善に結びつけること。
・以下を理由とした不利益取り扱いをしないこと。
 - ストレスチェックを受けないこと。
 - ストレスチェックの結果の提供に同意しないこと。
 - 高ストレス者として面接指導が必要と評価されたにもかかわらず面接指導を申し出ないこと。
・面接指導の結果を理由とした解雇、雇止め、退職勧奨、不当な配転・職位変更等を行わないこと。
●マイナンバー制度に関する要求
・法律で義務付けられている「特定個人情報に関する安全管理措置」にもとづく基本方針、取扱い規定等を開示すること。
・マイナンバーの利用は法令で定められた目的以外には活用しないこと。
・マイナンバーの提供を拒否する等を理由に解雇をはじめいっさいの不利益取り扱いを行わないこと。
・出向・転籍等を含め、従業員の個人情報(マイナンバー)を社外に提供しないこと。
・情報管理について経営者の責任を明確にし、具体的な情報管理方法を確立すること。

 

IBM争議の公正な判決を要請

  ―10月7日司法総行動報告―

 組合は10月7日、司法総行動に参加し、最高裁、東京地裁、都労委に対して公正な判決を要請する行動を行いました。

意思統一集会で訴えるJAL争議団

意思統一集会で訴えるJAL争議団

下級審に正しく指導せよ
最高裁要請

 最高裁は「裁判官会同」などで高裁や地裁に対する統制を行っていることは良く知られています。この意味で、最高裁には企業の横暴を厳しく戒める審理が求められることを説明し、下級審に対する不当な指導を行わないよう要請しました。
 特に日本IBMに関連する事件では、退職強要・解雇・賃金減額に関連してこれまでに8つの裁判、2つの労働委員会申立が起こっていることを説明し、日本IBMの暴走を許し、これが毒見役となって社会全体が不安定化することがないよう、下級審での判断において、憲法76条3項に基づく「すべて裁判官は、その良心に従ひ独立してその職権を行う」ことについて保障することを強く求めました。

実行確保勧告を出せ
都労委要請

 中央労働委員会に対し、JMIU日本IBM支部の大岡委員長を含め10人が要請に入りました。その中で、実行確保措置勧告書を速やかに出すことで会社の横暴を止めることができ、正確な審査が行えることを説明しました。また、不当労働行為の迅速で正確な審査・判断には、

・委員会が公式に資料提出を求めたことに対し、使用者が様々な理由を述べて資料の開示を拒否することを許してはならないこと。
・団結権擁護、権利救済機関の職責に照らしてすべて対応すること。

を求め、担当者に要請書を手渡しました。

国民のための司法実現を
東京地裁要請

 昼から行われた東京地裁・高裁前行動には、200人が参加しました。自由法曹団の今村幸次郎幹事長は、「人権を守る司法の役割が放置されている現状です。本来の司法の姿を実現させるには、声をあげる必要があります。国民のための司法の実現にむけて頑張りましょう」と呼びかけました。
 全労連・全国一般・資生堂アンフィニ分会の池田和代さん、JMIUアイビーエム支部の田中純さん、全厚生労働組合の杉浦公一書記長、全印総連の橋場恒幸さんがそれぞれ解雇撤回を目指してたたかう決意を述べました。また、国民救援会の鈴木猛事務局長が袴田事件について、東京高裁は冤罪を認めるべきだと訴えました。

会社、RA打ち上げ写真公開を謝罪

組合員の2人の退職勧奨をやめることに合意 【秋闘団交報告】

 組合は秋闘に伴う2回目の団体交渉を10月8日に実施しました。この中で、RA打ち上げフェイスブックの写真やGTS部門のリストラについて協議しましたので、以下にその内容をお知らせします。

RA写真のフェイスブック公開は「遺憾」

 機関紙「かいな」第2271号2面でお知らせした、「RAお疲れ様でした」と書いた皿を人事社員2人が持った写真をフェイスブックに公開した点について会社は「遺憾に思う」として謝罪しました。これに対し、組合はこの写真に関係した3人の人事社員の次回団体交渉への出席を要求し、釈明を求めました。

 この(フェイスブックの)写真のRAとは何か。
 加算金付きの退職勧奨を古いマネジャーはRAと呼んでいる場合がある。人事の中でも、RAというもの、一律の人員削減というものはないということを言っているが、未だにRAという呼称を使っているのは残念だ。徹底が足りないということについて残念だ。
 当人には注意したのか。
 軽率かつミスリードするようなことをするなと注意した。全社員に対しても非常に遺憾。申し訳ない。
 ここ(写真の)は過去の意味のRAか。
 90年代は全社一律の人員削減としてのRAはやったが、今は部門単位のパフォーマンス・ベースの退職勧奨だ。中身が変わってきている。
 RAという言葉がどういうふうに使われたかどうかも含めて、組合として重大な問題だととらえている。3人の人事部門の社員について、次回の団体交渉に出席して釈明をしていただきたい。どういう経緯で、どのような意図を持ってフェイスブックに公開したのか、説明してほしい。
 検討する。

組合員2人への退職勧奨をやめることに合意

 GTS全体で300人、特にそのオペレーションズ部門では8割を人員削減するという動きの中で、2人の組合員が退職勧奨されました。
 Aさんはメンタル疾患の休職から復職した後に退職勧奨されました。
 Bさんはしつこい退職勧奨に耐えられなくなり組合加入しました。
 この2人の組合員について組合は要求書を提出し、団体交渉で協議しました。その結果、退職勧奨をやめることについて会社と合意しました。さらに、GTS部門の人員再配置計画については再回答を求めました。
 2人について、これ以上退職の勧奨は無いということで、認識が一致でいいか。
 退職勧奨ということではなく。社内で残ってがんばるとおっしゃったのだから。
 今後、本人の意向に沿わないような問題があったら、そのときには組合として要求を上げさせていただく。
 それはそうだ。
 GTS部門全体で300人の人員を削減する点について、それは事実か。
 個別のケースでラインが発言したかもれないが、部門長が言っているわけではない。削減内容についても何も言っていない。
 我々は義務的団交事項になると考えている。
 お伝えできることとできないことがある。
 それは団交しないと言っているのと同じだ。なぜ答えられないかを説明するのが誠実団交だ。
 目的なく人員再配置しているわけではない。
 会社がきちんと部門の再配置計画について、その目的や規模、やり方について正確な情報を社内に発表していないし、労働組合にもきちんと説明をしていないところに、疑心暗鬼や数字の一人歩きが出てくる。会社がやろうとしていることにとっても決してプラスにならない。こういった施策を行うときは、従業員がその施策に対して理解をし、納得をし、協力してもらえるという説得性、透明性がなければ会社の施策はうまく行かない。
 おっしゃる通りだ。
 GTSの再配置計画についてはもう一度回答していただきたい。
 確認する。

労使合意無視は労働法違反で無効

9月9日の賃金減額裁判結審時における原告代理人、岡田弁護士の意見陳述書(抜粋)を掲載します。

意見陳述書

2015(平成27)年9月9日

東京地方裁判所民事第11部に係 御中

1 異常極まりない賃金減額措置
(1)不利益の甚大さ
 まず、理屈の前に、この不利益の甚大さという事実をみていただきたい。

2012年(平成24年)、2013年(平成25年)減給

原告名 措置年 減額率(%) 原告名 措置年 減額率(%)
A 2013 15.00 F 2013 9.99
B 2013 15.00 G 2013 14.99
C 2013 9.98 H 2013 14.98
D 2013 10.00 I 2013 14.99
E 2013 14.98 I 2012 9.99

この減額分には時間外労働分は含まれておらず、また減額が是正されない限りこの不利益は将来も継続していく性格のものである。

(2)労働基準法91条の趣旨に反する減額…これをどんな手続でやったのか
 ①2008(平成20)年の原告Iの例
 減額の根拠となる規定は存しない。
 ②2012(平成24)、2013(平成25)年の本件減額措置
 2010(平成22)年3月1日、「減額できる」旨を明記した就業規則(具体的には「格付規程」)の改定が行われ、バンド7以下の組合員に対する減額措置が始まり、2014(平成26)年までこれが毎年続く。2013(平成27)年及び2014(平成26)年の減額にあたっては「PBC評価3以下の者は全て自動的に減額される」とした。PBC評価は相対評価であるから、これが継続されるとなると、毎年必ず一定割合で減額される社員が出ることになる。こんな理不尽な制度はない。
 また、会社はこの理不尽な制度の導入にあたって、労働者・労働組合にまともな説明もしていない。

2 使用者のフリーハンドでの賃金減額を許してはならない
(1)賃金は、労働条件の最重要課題である。労働者はこれを自らと家族の生活の糧としている。なるが故に労働基準法1条1項は「労働条件は、労働者が人たるに値する生活を営むための必要を充たすべきものでなければならない」と定め、2条1項では「賃金の決定も、労働者と使用者が対等の立場で決定すべきもの」としているのである。
 かかる原則から「いったん労働契約で確定した賃金額の変更には労使間の同意が不可欠のもの」とされている。
 労働契約法9条は「使用者は、労働者と合意することなく、就業規則を変更することにより、労働者の不利益に労働契約の内容である労働条件を変更することはできない」としている。

(2)これの例外を定めたのが同10条である。「使用者が就業規則の変更により労働条件を変更する場合において、変更後の就業規則を労働者に周知させ、かつ、就業規則の変更が、労働者の受ける不利益の程度、労働条件の変更の必要性、変更後の就業規則の内容の相当性、労働組合等との交渉の状況その他の就業規則の変更に係る事情に照らして合理的なものであるときは、労働契約の内容である労働条件は、当該変更後の就業規則に定めるところによるものとする」としている。
 このように、労働基準法及び労働契約法の法意は「労働条件の変更には労使の合意が原則、万やむを得ない場合に限り、使用者による労働条件の不利益変更が有効となる」というものであって、有効とする場合のハードルは極めて高い。本件減額措置を認めることは、使用者にフリーハンドでの減額を認めることになり、断じて許されない。

3 本件減額措置は、労働契約法10条に違反し無効である
(1)不利益の甚大さについては前述した。
(2)変更の必要性があるとの主張立証は尽くされていない。
(3)変更内容に相当性がない。
(4)会社は労働組合との交渉を誠実に行っていない。

 これらについては、最終準備書面16頁以下に述べたとおりである。

4 減額の理由とされているPBC評価について
(1)相対評価の問題性
(2)恣意的評価の問題性
(1)(2)について原告Gの例をみれば明らか
(3)減額と昇給(増額)の関係5 減額は労働者を職場から排除するための一里塚

 結局は、減額によって労働者がやる気をなくし、嫌気を覚え、自主退職せざるを得ない状況に追い込み、自主退職に応じない場合には解雇していくことにその狙いがあるということに帰着せざるを得ない。減額の翌年はPBC評価で3ランクアップして2+になる原告Gにさえ、減額の発表があった当日、所属長は「退職金上乗せでの退職プログラムがあるけれど、興味はないか、辞める気はないか」と聞いているのである。
 賃金減額は正に退職強要、自主退職・解雇への一里塚である。

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