退職勧奨、PIP、賃金減額、いじめやハラスメントなどで困っていませんか?そんなときは組合に相談しましょう。上の「ご意見ご感想」リンクをクリックしてメールで送るか、平日なら右のボタンで相談窓口へご連絡を。
相談窓口

2010年12月~ リソースアクションプログラム開始か

組合に寄せられた情報をまとめると「リソースアクションプログラム」が全国で開始された模様です。

上司から個室に呼び出され、早期退職の面談が実施されます。
そこで「退職期限の提示」「再就職支援プログラム」の説明があります。

この初期段階で組合に相談を入れてください。
この面談を安易に考えると取り返しのつかない事態になります。退職のレールに乗ることになります。

退職を断っても次回の面談が設定され、次のステップに追い込まれます。

あなたの雇用、そして家族を守るために立ち上がって下さい。

レノボ・ジャパンに解雇通知を「撤回」させる!#2

 レノボジャパンがA組合員(東京工業大学・工学部卒 41才)に対し、11月13日で解雇をすると予告(10月13日通知)をしていた問題で、11月10日、一転して「真摯(しんし)に業務を遂行することを期待し、業務をアサインする(割り当てる)ことにした」と組合に対し解雇撤回を通告してきました。
組合は、11月9日に東京地方裁判所にAさんの地位保全を求め仮処分申請を行い、厚生労働省記者クラブにおいて記者会見を行いました。
 また大和事業所において6回の抗議行動(100名が参加)を行いました。
 A組合員は入社以来一度も業務低評価はありませんでした。しかし突然低評価を付けられ上司から退職強要が始まり、それに応じなかったため開発業務を取り上げられ、翻訳業務をアサインされました。 そしてその翻訳の品質が悪いから解雇するという経緯です。解雇撤回は当然の結果です。 本人が会社の不条理と闘う意思を貫いたこと、家族の支援があったことが大きいと思います。
 闘えば道が開けることを証明したと思います。

シンポジウム開催報告

「新型解雇をうちやぶれ! PIPという名のアリ地獄」

11月16日夜、文京シビックセンターにて、「PIP」に関するシンポジウムが新聞労連とJMIU(全日本金属情報機器労働組合)の共催で開催されました。
 当日は100人を超える一般参加者と7名の報道関係者が会場に詰めかけ、新型の解雇形態として最近では社会問題にまで発展してきた「PIP」に対する一般社会の関心の高さを示していました。
 このシンポジウムの発案者である新聞労連中央執行委員長のあいさつで始まり、PIPを理由として解雇された、ブルームバーグ社の記者からブルームバーグにおけるPIPの実態報告がありました。
 株価など金融情報提供サービスを行っている米国資本のブルームバーグでは、PIPを使った社員の解雇が行われ、犠牲となったこの記者は新聞労連の協力を得て労働組合を立ち上げ、会社と闘っています。

PIPの実態報告

 ブルームバーグのPIP解雇の特徴は、達成不可能な出稿記事数などの目標設定で社員を追い込む手法は同じですが、最後通告の時点で社員証を取り上げ会社に入ることができなくする点です。その後は自宅待機を命じて、給料は払うが自宅でじっくり退職勧奨について検討してもらいたいと主張します。
この手法は「ロックアウト型退職勧奨」とよばれて違法性が問題視されています。会社は裁判資料の隠滅を狙っているとみられています。
 ブルームバーグの実態報告につづいて、IBMからは大岡中央執行委員長より、「業績改善プログラムと闘おう」というタイトルで、IBMでのPIPの実態およびPIPとの闘い方のアドバイスが報告されました。

弁護士・大学教授の報告

 IBMからの報告に続いて、IBM、レノボをはじめとする労働問題裁判の弁護団の一員として従業員の弁護に活躍している弁護士からの報告がありました。
 PIPによる解雇の法的根拠は労働契約法16条における「労働者の労務提供の不能や労働能力または適格性の欠如・喪失」に依拠するが、単に「能力不足」での解雇はできないことが、セガ・エンタープライズ事件の判例(解雇を無効とした)をもとに説明されました。 また、PIPに対抗するために、不当な業務命令であることを早期に抗議して証拠化すること、退職勧奨の言動を可能な限り録音・写真・メモなどの証拠に残すことがアドバイスされました。
 続いて、青山学院大学経済学部教授から、解雇自由化要求の歴史的背景と財界・会社側主張に関する経済学的考察が報告されました。
 まず、解雇自由化の要求の背景には、グローバル化・労働運動の後退・株式保有形態の変化があり、特にグローバル化が長期雇用慣行の必要性を薄くしたことがある、と説明されました。ただし、雇用側の主張である「解雇規制は雇用に悪影響を及ぼす」という主張に関しては長きにわたって実証分析が試みられた結果、現在でも明確に実証されていないことが報告されました。

会場の参加者より

 その後、レノボから解雇撤回を勝ち取ったJMIU Aさんからの発言、日本メドトロニック(心臓ペースメーカーでトップシェアの米国企業)をPIPによって解雇された社員の発言などがあり、活発な意見交換が行われました。

PIPは解雇の道具

 PIPには絶対にサインしてはいけません!
PIP=業績改善プログラムは解雇の理由作りのための道具なのです。 「業績改善プログラム」を提案されたら、すぐに組合に相談してください。

レノボ・ジャパンに解雇通知を「撤回」させる!

レノボ・ジャパンは、Aさんに対し10月13日に解雇通知(11月13日付けで退職)を出しました。
組合は、10月29日、11月5日の団体交渉において、会社を徹底追及しました。事前協議の違反、解雇権の乱用を行っていることが明確になっているにも拘わらず、会社は不誠実団交を繰り返しました。

そこで組合は、11月9日に東京地方裁判所にAさんの地位保全を求め、仮処分申請を行い、厚生労働所記者クラブにおいて記者会見を行いました。
レノボ・ジャパンは、11月10日に解雇通知を撤回することを組合に連絡してきました。

闘えば道が開けることを証明
団体交渉での徹底追求、大和事業所での5回の抗議行動、そして仮処分申請により解雇通知を撤回させました。何より、本人が闘う意思を貫いたこと、家族の支援があったことが大きいです。仮処分申請は取り下げていませんので、裁判所と団交で協議を継続します。

(毎日新聞に掲載された解雇撤回記事は下記になります)
<レノボ・ジャパン>解雇予告の男性社員への通告撤回
毎日新聞 11月10日(水)21時6分配信

 中国のパソコン最大手、聯想(レノボ)集団の日本法人レノボ・ジャパン(東京都港区)の男性社員(41)が解雇予告を受けていた問題で、同社が10日、一転して男性の加入する労働組合に解雇撤回を通告したことが分かった。

 同社は開発部門縮小のため技術者29人を退職させ、応じなかった男性に11月13日付での解雇を予告。男性社員は全日本金属情報機器労働組合日本アイビーエム支部(大岡義久中央執行委員長)に加入して撤回を求めたが、会社側の態度が変わらなかったため、9日、東京地裁に地位保全の仮処分を申し入れたことを公表した。

 会社側は10日、同労組に「真摯(しんし)に業務を遂行することを期待し、業務をアサインする(割り当てる)ことにした」などと通知してきたという。大岡委員長は「報道による影響を恐れたのではないか。仮処分は取り下げず、今後の条件について書面で協議する」と話している。レノボ・ジャパン広報部は「コメントできない」としている。

レノボジャパンに対し解雇無効・地位保全の仮処分を申し立て

JMIU日本アイビーエム支部は、11月9日午前、レノボジャパンに対し、10月13日に行った組合員の11月13日付解雇予告は無効であるとして、東京地裁に地位保全の仮処分を申し立てました。

厚生労働省記者クラブでブリーフィングする大岡中央執行委員長

厚生労働省記者クラブでブリーフィングする大岡中央執行委員長

申し立てでは、当該組合員に対し会社が「無意味な業務の指示を行った」こと、またそれは「人件費削減という会社の方針に基づき、債権者が自ら退職を選択するように仕向けるためのものであった」こと、そして「解雇に至るプロセスにおいて信義則違反(解雇予告前に組合からの要請にもかかわらず団体交渉・事前協議を実施しなかった)があった」ことを理由として、この解雇(予告)は無効であるとし、地位保全を求めています。

また、午後には厚生労働省記者クラブにおいて、記者会見(ブリーフィング)を行いました。実際に各社記者に対し説明用に配布した資料を「続き」に掲載しますので、詳しい内容をぜひご覧ください。

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中央団交 不利益変更について厳しく追及
会社は5%減給の根拠を示さず

10月12日、組合は会社と団体交渉を行い、7月と10月の減給について追求しました。
 極めて条件を厳格に見て慎重にラインが判断している。人事はラインによる判断を支持する。
 減給は5%となっているが、その根拠は何か。
 業績が低く改善が見られない者を減給した。給与の基準額が変わる。
 現在組合と会社の協議中となっており組合の合意がなければ減給できない。
 手続き的な話し合いはまた別である。
*会社は今回の団交でも、減給5%の根拠を説明できませんでした。一方的不利益変更を会社の見解のみで強行することは許されません。根拠となるデータを何も開示せず、会社の好きなように減給が可能であれば、労働者の権利はなくなったのと同じです。

 PIPの実施の有無にかかわらず改善が見られずこれからも改善の見込みのない社員に対して減給した。
 減給は受け入れられない。絶対に譲歩しない。どのような判断が行われたのか。
 ①改善を判定する状況になかった人 ②改善した人 ③改善しなかった人の3種に分けたので、その資料を後で提出する。
 具体的に2か月間の改善猶予を与えたのであれば減給判断に至ったデータを示せ。達成不可能な数値目標だと聞いた。
 それぞれバンドに相応した数値が設定されている。
*ラインが最初から減給が目的である場合、また減給の目標人数があったと推測できる中で公正な判断がされたとは思えません。

 不利益変更が行われる職場について全てデータを取り問題のないことを明らかにすべきだ。
 減給を5%としたのはラインが決めたのか。
 ラインからレポートがあり、人事が承認したものである。
 減給を行ったラインの団交出席を求める。減給の根拠は何か。
 就業規則を変更し、労基法8、9条や格付規定6条3項である。
*減給率は、5%の人もいればそれ以下の人もいると人事は述べています。それを決定したのはラインであり、人事はそれを追認したに過ぎない。また就業規則を変更すれば、減給が可能であるという会社の安易な考え方に驚かされます。

 PIPに入らなかったからといって業務改善を行わない訳ではない。
 PIPが裏で動いていたと言う事か。PBCとPIPで二度も減給されるのは不合理である。
人事とラインと一体で評価というが何を根拠に改善の見込みがないと判断したのか。データを示せ。
 今具体的にない。
*裏PIPとは、本人に目標も知らせず上司が勝手に実施する方法です。後で騙されたことを知ったときは、降格・減給になっています。

 降格と減給の違いは何か。
 同一部門に低位の職務があれば降格がある。低位の職務がなければ減給となる。
 降格により職務内容は変わるのか。
 変わる。
 降格されても職務内容が変わっていない者がいる。バンドを戻すべきだ。
 調べて確認する。
*降格されて、職務内容が同じと言う人がいるのが実態です。すなわち、降格することが目的だからこのようなことが起こるのです。

 来年以降も減給は継続するのか。
 継続する予定である。
 円高の影響で日本人の給与は高いと思われ、そのためPIPが行われているというのが私たちの判断だ。他の外資系会社でも同じ傾向が見られる。これでは日本IBMという企業が栄えることはない。人減らしで一時的に利益は出ても長期では衰退する。
*会社は、来年も減給を継続すると言ってます。組合は、全従業員の昇給を行うことで生活が保障され職場が活性化する主張しています。

 5月にUSのCEOが株主向けに中期計画の発表があり、リストラに言及している。大規模なリストが今後あるのか。
 大幅なリストラは承知していない。
*組合には大規模リストラの情報が寄せられています。また大和の賃貸契約は、2013年3月までありますが、展望を示せず、閉鎖の方向性は変わっていません。

(注)
  組合
  JMIU上部団体
  会社

レノボジャパンで開発エンジニアに解雇通知
『あなたが悪いんじゃない、会社が悪い』
と身重の妻

 レノボ・ジャパンは、2005年にPC部門が会社分割され設立されました。その会社で、10月13日、Aさんに対し言いがかりとしか思えない就業規則を適用し解雇通知を行いました。これは、解雇4要件を満たしておらず、上司が散々嫌がらせを繰り返した上で、解雇を言い渡すという、前代未聞の事件となっています。

解雇のショックで流産の危険性

 Aさんの奥様のお腹には、12月に出産予定の初めてのお子様がおられ、解雇のショックで流産の危険性があります。会社のこのような対応に、社員から多くの怒りの声があがっています。
 Aさんは、東京工業大学工学部卒業のThinkPad開発エンジニアです。日本IBМに入社し、2005年のPC部門の会社分割によりレノボジャパンに移籍しました。そして今年2月、開発費15%の削減を名目に、大規模に実施されたリストラで退職を拒否しました。すると、3月から全ての開発の仕事を取り上げ、4月から専門外の翻訳をやるように言い渡されました。何もトレーニングがないまま、週3回という異常な頻度で翻訳の進捗をトラッキングされ、Aさんは「バージョンが古い2000年のPMP(10章分・350ページ)」「サンプル問題(800件と解説)」「論文40件」も翻訳しました。それにも関わらず、課題を増やしては「遅れ」を週3回責められました。更に問題はその成果物をレノボ社内で、どのように有効活用していくのか、全く説明もアクションもありません。

2ndライン3度も脅迫

  2ndラインは「品質が悪い」と言って、その後修正を求めていないことからも嫌がらせアサインであることは明白です。 2ndは、8月と9月の面談で3度の脅迫をしました。「継続的にパフォーマンスを改善できない場合には解雇できるという就業規則があるのは読んだことありますか?読んでおいてくれる?」 他にも、奥さんの体調が悪いため、定時で帰宅すると、定時で帰宅する理由を説明させ、それを責めるというとんでもないいじめです。
 今回の2ndの責任は、嫌がらせ行為のみではありません。お子様の命を奪おうとしています。
 奥様は待ちに待った、初めてのお子様を授かっています。そのため、Aさんは奥様に解雇通知の件を話すことをためらいましたが,苦渋の選択で話されました。 「ショックを受けて体調を崩してしまわないか、というのが一番の心配でした。流産しやすい体質なので、ショックで早産になってしまわないか、夜、不安になって睡眠障害になってしまわないか。以前、心の病気になりかけて会社を退社したので、心が持つかどうかが今も心配です」。
 そして奥さんの反応です。「あなたが悪いんじゃないよ、会社が悪いんだからね」と言ってくれたのがとてもうれしく感じました。そして「一緒にがんばろう」と最後に言ってくれました。

解雇権の濫用許さず

 この事件は、解雇権の濫用そのものです。そして組合の弱体化を狙った会社の攻撃です。速やかに解雇通知を「撤回」することを要求します。
 そして、私たち組合は、レノボ・ジャパンと日本アイ・ビー・エムに対し「全面闘争状態」に入ったことを宣告します。このことを広く社会に知っていただくため、今後、本社前、駅頭でも抗議行動を行い、マスメディアを含めた大きな活動にします。

ブルームバーグでの解雇を絶対に許さない_業績改善プログラムを外資系企業が活用

 ブルームバーグは、経済・金融情報の配信、通信社・放送事業を手がけるアメリカの総合情報サービス会社です。この会社でも、PIP(成績改善計画=パフォーマンス・インプルーブメント・プラン)と呼ばれる日本IBMで行われているPIP(業績改善プログラム)と同様のプログラムが行われており、2人の解雇者がでています。

日本IBMと同様の手口

 日本IBMで、2000年初めから実施されていた業績改善プログラム(PIP)が、今、外資系企業で活用され始めました。
 トムソン・ロイターでは、PIPの名の下に会社の上司や人事部の者が複数で一人に対して面談を繰り返し、およそジャーナリズムにそぐわぬ数値目標を与えて、期間内の達成を迫り、目標が達成できない場合は解雇もありうるとして、圧迫面接を繰り返しています。
 同業のブルームバーグでも同じようにPIPが行われています。ブルームバーグでは、アクション・プランと呼ばれることもありますが、ロイターで行われているPIPと同じく、狙った社員に対して退職を強要し精神的に追い込みます。

強引にIDカードをとりあげ解雇

 ブルームバーグの社員2人は、3回にわたるPIPのあと、成績が改善されないとして自主退職を迫られました。
 会社から、自主退職を願い出る書類にサインを強要され、拒否すると、強引にIDカードを取り上げられ自宅待機を命じられ、その後、2人を解雇しました。
 日本IBMにおいても、1回のPIP実施後「解雇する」と言われたと組合に相談が寄せられています。
 組合は「PIPは業績を改善する目的ではなく、社員を退職に追い込むためのツールである」と以前から主張しています。
 これは、他社での状況をみても明らかです。もはや、まったなしの状態です。

シンポジウム開催へ

 ブルームバーグでの解雇事件を受け、組合が以前から警鐘していたように、PIPは「新型解雇」のツールとしての位置づけへ進化しています。
 そこで、PIPの現状報告と情報交換を行うため、新聞労連とJМIUの共同主催で、PIPのシンポジュームを開催します。新聞労連は、日本の新聞・通信社で働く8割の労働者が加入するメディア最大の産業別労働組合です。更に、学者や弁護士も参加するシンポジュームになる予定です。

外資系企業で働く仲間として連帯

 今後、ブルームバーグは、日本のマスコミ労働者と全面対決の覚悟が必要となるでしょう。また、今回の解雇事件には放送、印刷、出版、映画演劇業界の労働者も強い関心を寄せています。さらに、あらゆるマスコミ業界労組の連携組織である日本マスコミ文化情報労組会議(МIC)もブルームバーグへの抗議行動に参加しています。そして、私たち組合もこのような常識はずれの労務政策を決して許しません。外資系企業で働く仲間として連帯して闘います。
 従業員のみなさん、会社からPIPが実施されていたら、退職のレールに乗っています。組合にご相談下さい。

『減給』は労働契約法に著しく違反

  会社は就業規則を変更し、今年から自由に社員の給与をカットできるようにし、年俸制ではないバンド7以下の社員に対しても7月給与調整で給与の5%減額を強行しました。
 この「減給」処分は法的にはどんな扱いになるのでしょうか。
 

▼労働基準法第91条 制裁規定の制限

 一つの考え方は、当該社員に対する「制裁」である、というものです。
 ところが、就業規則における制裁規定は、労働基準法第91条の制約を受けます。
 「就業規則で、労働者に対して減給の制裁を定める場合においては、その減給は、一回の額が平均賃金の一日分の半額を超え、総額が一賃金支払期における賃金の総額の十分の一を超えてはならない。」
 そして、就業規則には既に第10章表彰および懲戒に以下のように規定されています。
 「減給 始末書を提出させ、減給する。ただし、1回の減給額が、平均賃金の1日分の半額を超え、また懲戒該当行為が数事案発生しても減給合計額が一給与計算期間の給与総額の10分の1を超えることはない。」
 これは、労働基準法第91条に沿うことを意図したものだと言えそうです。
 ところが、「制裁」にあたるのか疑問ををコンフィデンシャリースピーキングに投じたところ、コーディネーターは受理を拒否してきました。

▼就業規則の不利益変更制限

 もう一つの考え方は、就業規則の変更による「労働条件の変更」(不利益変更)である、というものです。
●就業規則の変更(労働契約法10条)
(1)就業規則を変更することによって、労働条件を変更することもできる。
  この場合、

変更後の就業規則を労働者に周知させること。

変更した就業規則の内容が、労働者の受ける不利益の程度、労働条件の変更の必要性、変更後の就業規則の内容の相当性、労働組合等との交渉の状況その他の就業規則の変更にかかる事情に照らして合理的であることの要件を満たすことが必要である。

 IBMの就業規則変更は労働契約法10条に照らして適法と言えるでしょうか。条文の「イ」に照らして見てみましょう。

今年度の減給実施額が年収のほぼ5%と非常に大きい(労働者の受ける不利益の程度)、

会社は大幅な利益を出しており、経営状態は客観的に良好である(労働条件の変更の必要性)、

日本の労働慣行に著しく反している(変更後の就業規則の内容の相当性)、

労働組合が一貫して大反対している(労働組合等との交渉の状況)

 以上の条件から、日本IBMの就業規則不利益変更は、労働契約法10条に著しく反していると言わざるを得ません。

▼減給処分を受けた方は不服申し立てを

 会社から一方的に労働条件の不利益変更をされても、「労働者の合意」があれば違法ではなくなってしまいます。
 減給処分を受けた人は、合意していないことを証拠に残すために、不服申し立てを文書に残る形で行うことをお勧めします。

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