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第3次賃金減額裁判提訴

日本IBM、ISC-Jを相手取り

 2018年10月12日、組合員11名が日本IBMとISCーJを相手取り請求総額約三千万円の第3次賃金減額裁判を提訴しました。(写真は厚生労働省での記者会見の模様)

賃金減額裁判の経緯

 会社は、給与規定を2006年に「昇給」から「給与調整」に変更し、さらに2010年に減給できるように変更。これを根拠にこれまで給与減額を実施してきました。
 これに対し組合側は「労働条件は、労使対等で決定され、一旦成立した労働契約の変更は一方的にはできないのが原則であり法律に違反している」と主張し1次、2次の賃金減額裁判を起こしてきました。
 会社は2次の減額裁判で賃金減額措置を撤回し、減額前の賃金に戻すと同時に、減額前後の差額賃金及び遅延損害金を支払うことを骨子とする内容で組合と和解。それにも関わらず賃金減額の制度を継続しています。会社は、現在の給与制度自体を維持するために裁判を起こした原告にだけ和解し、制度を維持し続けられる選択をしたのです。

賃金減額の本質

 会社は一方的な判断で不要と判断した社員に対して減額通知を言い渡し、賃金減額を断行してきました。さらに仕事も与えず窓際に追いやり、低パフォーマンスを理由に何度もこの減額を繰り返し、会社を辞めるまで社員を兵糧攻めにするのが常套手段です。
 会社は毎年のように減額幅を変え、評価による給与の減額を合法的にできる範囲はどこなのかということを探っているというのが本音です。
 日本の社会においてあまりにも無謀で挑戦的なこの会社のやり方を我々は許しません。裁判でこの蛮行を阻止し、正常な労使関係に戻すのが目的です。

第3次賃金減額裁判に参加しよう

 今回の3次裁判は2012年、2013年、2016年からの減額者が含まれています。他の外資系ITの会社を見ても定期的にこれほど大規模な減額措置を実施している会社はありません。
 稼ぎが悪くなったからと言って賃金を制限なく減額し続けてしまう今の制度自体に問題があります。すべてが本社の指示であり労使関係も米国流です。逆に、不満があれば主張をし、主張しなければ受けいれたと判断されるのも米国流です。米国流なら言論の自由を守るべきです。
 賃金減額に「しょうがない」とあきらめず、組合の進める裁判で自己の思いを述べてみてはどうでしょうか。減額された対象者は、かなりの数がいると思われます。追加で原告団に参加される方がいれば、よろこんで受けいれます。

ハラスメントをなくせ

 秋闘2次要求を提出

 秋闘1次要求に続き、10月24日に秋闘2次要求を提出しました。統一要求中心の1次要求に対し、2次要求では日本IBM固有の様々な要求が含まれています。
 全23ページからなる多種多様な要求を含む要求書の中から、今回はハラスメントに対する要求をご紹介します。

パワハラの中止要求

 2015年12月1日に、中央労働基準監督署から「退職しないと解雇だ」と言われてうつ病になった従業員が労災認定を受けた事実を重く見て、今後、このようなパワハラによる労災が発生しないよう再発防止策を策定し、発表することを要求しました。
 さらに「あなたにやってもらう仕事はないから自分で異動先を探すか退職せよ」というパワハラが横行している点を指摘し、会社はこのようなパワハラを直ちに止めることを要求しました。

違法行為者の処分要求

 労災認定・パワーハラスメント・セクシャルハラスメント・マタニティーハラスメント・パタニティーハラスメント・障がい者虐待・不当労働行為などが第三者機関で認定された場合、あるいは解雇無効判決や退職強要判決が出た場合、これらの違法行為に関わったラインマネジャー・経営層・人事担当を処分することを要求しました。

退職強要の中止要求

 恫喝、高圧的発言、職場いじめ、などによって、
・退職強要すること
・労働者が自主退職を申し出るように仕向けること、を直ちに止めるよう要求しました。
 また、退職を断った労働者に対してその後のPIP(業績改善プログラム)、賃金減額、仕事はずし、解雇は一切行わないことを要求しました。

PIP廃止の要求

 PIPは「業績改善」とは名ばかりで、労働条件の不利益変更の口実をつくるためのプログラムであることは明らかです。このようなプログラムは直ちに廃止することを要求しました。

RAに関する要求

 RA(特別セカンドキャリアプログラム)の実施にあたっては、その実施内容を組合と事前協議し、合意のもとで実施することを要求しました。

セクハラ調査の要求

 組合と会社双方の代表者から構成されるセクハラ調査委員会を設置することを要求しました。

人員再配置の要求

 業務の海外移管により、職場を失い、また永年培ってきたスキルを活かせない社員もいます。当該社員については本人の意向を十分尊重した上、新職場の提示・確保と必要十分な研修を実施することを要求しました。

要員補充の要求

 コールセンターやカスタマー・エンジニア等のサポート部門(例.ソフトウェア・サポートやCE)の慢性的な長時間労働を解消することを要求しました。

法律教育の要求

 日本の弁護士資格を持たない法律顧問や、米IBMからのアサイニーに対し日本の労働に関わる法律、慣習等を教育し理解させ日本の法律を遵守させることを要求しました。

2019年度組合活動方針

争議解決をステップに組織拡大しよう
第3次賃金減額裁判に勝利しよう!

 9月29日、中央区のブーケ21において、日本IBM支部の第65回全国大会が開催され、この一年の活動総括と今後の活動方針を討議しました。今年度は、組合設立60周年にあたります。決意を新たに新体制で取り組むことを確認しました。ここに各人の今年度の活動に向けた抱負をご紹介します。

委員長 大岡 義久
 労働者は使用者に対しとても弱い存在です。団結の力を示してたたかい続けることで権利救済を図ります。特に賃金減額裁判については、完全勝利を目指します。

副委員長 河本 公彦
 地方の発展に貢献していきたいと思っています。

副委員長 藤井 克己
 会社の違法行為の追及を続けていきます。

書記長 杉野 憲作
 社員の分断を許さず団結をすすめ、雇用と暮らし、権利を守るため全力でがんばります。

中央執行委員 安田 和
 理不尽なことの多い職場ですが、自分にできることを続けて、少しでも改善できればと思います。

中央執行委員 板倉 浩
 会社が言ってきたら「そういうものだ」という意識を持たず、少しは考えることができるよう様々な情報発信をしていきたいです。

中央執行委員 神谷 昌平
 現在いる職場を中心に個人を尊重した働きやすい話しやすい環境を形成し、ひいては会社労働環境及び賃金の向上に努めていきたいです。

中央執行委員 吉岡 真紀子
 障がい者の地位向上と女性の活躍推進をがんばりたいです。

中央執行委員 高橋 英知
 会社の理不尽な攻撃を受けた人たちを助ける活動をやっていきたいです。

中央執行委員 三浦 裕之
 パワハラに対して徹底的にたたかう姿勢を貫き、非正規の問題にも目を向けていきたいです。

中央執行委員 森谷 俊之
 ハラスメントの温床になっているPIPの理不尽さを社会に訴え、そして第3次賃金減額裁判をがんばりたいです。

中央執行委員 佐久間 康晴
 TSS部門は闇が深く、様々なハラスメントが蔓延しています。8月の大量出向についても「出向」とは言わずに「組織変更」と言っている状況です。今後、非組合員が大量転籍させられないよう監視していきたいと思います。

賃金決定の主導権を取ろう 団交報告

-Compensation Essentialsから-

 コンペンセーション・エッセンシャルズという研修を受けましたか?これは全世界のIBMの賃金の考え方を解説したものです。英語ですが、基本的な考え方は日本IBMにもすでに適用され、運用されています。非常に重要なメッセージが含まれていますので解説します。

おとなしいと損

 一般的に、賃金決定には3つの原則がなければなりません。客観性・透明性・公平性です。これらが無いと必ず従業員に不満が出るからです。ところが日本IBMの状況はどうでしょうか。ほとんど闇の中で決められ、まったく分かりません。
 しかしこの研修では賃金の透明性についてのIBMの考え方を左上表(組合にて翻訳)のように説明しています。所属長はあなたの仕事の給与レンジを説明し、あなたの給与はそのどこに位置しているのか説明しなければなりません。あなたにはその説明を受け、徹底的に話し合う権利があります。
 おとなしいと損です。今からでも遅くありません。9月の給与調整結果について所属長に面談を申し込み、徹底的に話し合いましょう。

日本は無視

 この研修では賃金交渉にあたって法的に労働組合との合意が必要な国についても明らかにしています。右下図の20ヶ国でIBMは労働組合と合意しています。しかし、日本は無視されています。

 日本の労働基準法では労使間の賃金交渉は労働組合の存在が前提となっているにもかかわらず、日本が入っていません。

会社との協議内容

組合 この研修はどういう位置づけのものなのか。
会社 今回、IBMワールドワイドで改めて報酬体系を理解してもらえるような教材を展開している。中身についてはこれまで説明してきたことと矛盾無いと思っている。
 透明性についても触れられている。この職種のこのバンドならこの線の給与水準であることを各国で明らかにするとあった。
 日本ではまだツールの用意ができていないが、自分の給与の位置はマネジャーに聞けばわかる。これまでも説明してきたが、マネジャーは部下に給与の位置を説明することになっている。
 そのツールは自分で見れるものになるのか。
 マネジャー向けだ。
 従業員のモチベーションを高めるためには、個々の従業員が自分で見れたほうがいいのではないか。
 ご意見としてはぜひ参考にさせていただきたい。
 この研修をきっかけに給与方針が変わる心配はないのか。
 現状が変わるということは無い。
 日本独特の「ボーナス」は大丈夫か。
 日本独自のボーナスや手当などに変化はない。
 労働組合との合意が必要な国が列挙されているが、日本が入っていない。
 日本では合意が必要とは考えていない。

賃金決定の主導権を取ろう

 労働法上、労働組合の組織率が従業員の過半数を上回っていれば、会社は組合との合意が必要になります。
 残念ながら現状では私たち労働組合の組織率は過半数に足りていません。
 そのため、従業員代表選挙が行われ、会社が推薦した人が代表となって労働条件が改悪されてきました。
 会社が一方的に賃金を押し付ける今の状況を脱し、賃金決定の主導権を従業員が取り返すために、過半数組合を作る必要があります。さあ、あなたも労働組合に入りましょう。

【速報】第3次賃金減額裁判提訴

―日本IBMは賃金減額をやめろ―

2018年10月12日、JMITU日本アイビーエム支部の組合員11人が、日本アイ・ビーエム株式会社と日本アイ・ビー・エム・サービス株式会社に対し、賃金減額措置の撤回と減額前後の差額賃金の支払いを求めて東京地裁に提訴しました。第1次裁判では、会社が原告の請求内容を全て認める「認諾」により全面勝利。第2次裁判では、会社が賃金減額措置を撤回し、減額前の賃金に戻すと同時に、差額賃金を支払う内容で和解が成立しました。しかし会社は、原告以外の賃金減額を撤回せず、その後も減額を繰り返し行ったため第3次裁判に至りました。

バンド8以上の組合員資格

-都労委で和解成立-

 2018年9月25日、東京都労働委員会においてバンド8以上の組合員資格について組合と会社との間で和解が成立しました。
 この事件はバンド8以上の組合員に対して会社が「当該社員は組合員資格の無い社員に該当する」などとして様々な不利益を強いてきたことに対し、組合が東京都労働委員会に労働組合法違反として申し立てていたものです。

バンド8以上の組合加入者を正式認定

 これまでに組合に加入していたバンド8以上の社員の組合員資格について、会社は正式に全員を組合員資格ありとして認めました。

組合員の範囲は組合が決定する

 今後、会社は組合員の範囲は基本的に組合が自主的に決定すべき事柄であることを尊重することで合意しました。また、会社は本件と類似の紛争を惹起させないよう留意することも確認されました。

組合が考える組合員の範囲とは

 組合は次に該当する人でなけれはバンド8以上であっても組合員資格があると考えています。
①会社役員
②ラインマネジャー
③会社の労働関係についての計画と方針に関する機密の事項に接し、そのためにその職務上の義務と責任とが、組合員としての誠意と責任とに直接に抵触する監督的地位にあると組合が判断した人。

もう我慢しなくていい

 一連の賃金減額はそもそも労働契約法10条違反です。会社もこれについて認諾したにもかかわらず、裁判で争った人に対してしか、まともに対応しません。
 賃金減額されても長年我慢していたバンド8以上の皆さん、もうこれ以上我慢する必要はありません。どうか裁判で名誉を回復してください。
 たとえ減額されたのが2年以上前であっても、直近2年分については取り戻すことが可能です。
 裁判を起こすに際しては、労働組合に多くのメリットがあります。頼りになる弁護団があり、そして労働組合法によって守られます。安心して裁判を起こせます。

秋闘一次要求提出

賃金減額を撤回し労使関係正常化を

 JMITUの統一要求日である2018年9月19日、組合は秋闘1次要求を提出しました。第1次要求では、特に重要な当支部の重点要求に加え、JMITUの3つの統一要求書を提出しました。以下に特徴的な要求内容をお伝えします。
 第2次要求は職場の様々な要求を網羅した上で、10月24日に提出予定です。

このタイミングで労使関係の正常化を

 1面でお伝えした通り、9月25日に東京都労働委員会で和解が成立しました。これまでのロックアウト解雇裁判と賃金減額裁判も同様に組合の主張が認められ、第三者機関では決着がついています。
 そこで、このタイミングで日本の様々な法律に従って快適な職場環境の形成の促進に努める労務政策へと転換するように、まずは労使関係の正常化の要求をしました。

組合員の労働条件変更は団体交渉で行う

 今回の都労委での和解により、組合員の処遇は今まで以上に、団交で協議することになります。組合員の労働条件等の処遇や、組合員に影響を及ぼす就業規則その他の関連規程もしくは人事制度の変更に関してです。具体的には
・就業規則や規程、福利厚生その他の変更をするとき、組合員の異動、配置転換、出向・転籍、職種変更、勤務区分変更、勤務地変更、降格、減給などの労働条件を変更するとき、リストラをするとき、あるいは解雇など雇用契約を打ち切るときは必ず組合と事前協議を行い、労使合意しない限り強行しないことを要求しました。

賃金減額を撤回せよ大企業として恥ずかしくない給与を支払え

 賃金減額の問題は、一次・二次の訴訟を経て組合の主張がすべて受け入れられました。それにもかかわらず、賃金減額を繰り返す会社の姿勢は許されません。賃金減額発表を直ちに取り消すよう要求しました。
 また、会社が言う給与方針がどのようなものであれ、最低限のものとして、会社は大企業として恥ずかしくない給与を支払うように要求しました。
 さらに、客観的な給与基準を示すため職種・バンド毎の給与レンジ及びPMRを示すことも要求。会社は「CompensationEssentials」研修において、ラインの責任においてこれらを社員に開示することができ、社員はこれらを知る権利があると説明しています。

「働き方改革一括法」過重労働をなくせ

 働き方改革一括法が来年4月1日に施行されます。それを受け、労働者を過重労働から守るため次のような要求を提出しました。
・e-Attendanceによる自己申告制を止め、タイムカードなどの客観的な方法による労働時間把握の方法を速やかに導入すること。
・勤務間インターバル規制を導入すること。
・高度プロフェッショナル制度を導入しないこと。
・社員自らが希望する時期に有給休暇の取得を計画的に進めることができるようにすること。

CEの緊急呼出当番に手当を支払え

 平成29年1月29日厚労省策定の「労働時間の適正な把握のために使用者が講ずべき措置に関するガイドライン」では明らかに「緊急呼び出し当番」中の時間は労働時間にあたります。
 よって、所定労働時間外にかかる緊急呼び出し当番勤務に対して適正な賃金を支払うことを要求しました。

定年延長および再雇用制度に関する要求

 改正高年齢者雇用安定法の趣旨に基づき公務員の定年が2021年から段階的に65歳まで引き上げられることが決まりました。大企業でも積極的に定年延長を開始しています。
 会社は法の主旨に従って65歳定年制をめざし、年金支給開始年齢までただちに定年を延長するように要求しました。
 また、日本IBMのシニア契約社員の処遇はJMITUで最低であり、ワーキングプア水準と言われています。月額給与17万円を直ちに改め、31万円以上に引き上げるべきです。
 あわせて、昇給をすること、賞与を支払うことを要求しました。

ロックアウト解雇勝利報告 第3次賃金減額裁判激励

 2018年9月1日、ホテルアジュール竹芝にて250人の支援者を集め、ロックアウト解雇争議勝利を祝い、第3次賃金減額裁判を激励する集会が開かれました。主催は日本IBM解雇撤回闘争支援全国連絡会と日本アイビーエム支部です。

ロックアウト解雇争議勝利は画期的

 主催者挨拶に立った全国支援連代表の小田川全労連議長は、原告11名全員が解雇撤回を勝ち取り、うち3名が職場復帰した点に触れ「画期的な勝利だ」と称えました。
 一方、JMITUの三木中央執行委員長は賃金減額事件では原告側の請求を認める解決をしているにもかかわらず、会社はまだ賃金減額を続けているとして第3次賃金減額裁判への決意を語りました。

第3次賃金減額裁判に参加しよう

 これまでの2回の賃金減額裁判を経ても、会社は裁判を起こした組合員にしか差額支払いや元の賃金へ戻すことをしていません。会社は裁判を起こした人にしかまともに対応しない態度です。
 もはや、どう裁判をするかが関心の的ですが、個人で裁判をする場合と組合に入って裁判をする場合のメリット、デメリットを考えてみましょう。

個人で裁判する場合

 弁護士に依頼するにはまず着手金を支払う必要があります。さらに解決後に成功報酬の支払いがあります。賃金減額をされて生活が苦しい中、最初から高額の資金を用意しなければなりません。その上、どの弁護士が良いか依頼先を選ぶのも大変です。

組合に入って裁判なら

 組合にはすでに実績のある最強の弁護団がついており、安心してまかせることができます。
 また、着手金を支払う必要はありません。組合の弁護団だからです。賃金を取り戻した後、成功報酬の支払いだけで済みます。
 さらに、集団訴訟になりますから、皆と一緒に安心して裁判を進めることができます。

労働組合のメリット

 その上、組合員になると労働組合法によって守られることもメリットです。労働組合法第7条では「労働組合の正当な?為をしたことの故をもつて、これに対して不利益な取扱いをすること」を会社に禁じています。従って安心して裁判を起こすことができます。

18秋闘 働き方改悪を職場に持ち込ませない

-36協定の改悪は許さない-

 

 今年6月、参議院本会議において、「働き方改革一括法」が多くの労働組合や過労死家族の会が強く反対する中で可決成立しました。この法案は労働時間法制を破壊する高度プロフェッショナル労働制(3面記事参照)や過労死ラインまでに時間外労働を認めるなど労働法制の大改悪です。
 組合は2018年の秋闘において、日本IBMに働く従業員を守るためこれらを職場に持ち込ませないたたかいをすすめます。

36協定の改悪を許さない

 今回の「改正」では、36協定での時間外労働・限度時間の上限が月45時間・年間360時間と定められました。さらに通常予見できない等の臨時の事態に対応するために原則的な限度時間を超える場合(特例的延長)は、休日労働を含めて月100時間未満、2~6ヶ月の平均で80時間未満、休日労働を除き年間720時間までの時間外労働を定めることができるようになりました。

特別条項の記載をさせない

 これまでの36協定の様式には「特別条項」の記入欄はありませんでした。ところが厚労省は新しい様式の36協定書を作るとしており、特例的延長の限度時間を記入する欄が設けられてしまう危険があります。あくまでも特例的延長ですから「あたりまえ」に記入するやり方には断固として反対します。

労働時間の適正管理と過重労働の改善を

 労働者の健康にとって、労働時間の適正管理と過重労働の改善が不可欠です。今回の改正にもとない、使用者の現認やタイムカードなどの客観的な方法による労働時間把握を原則とする旨を省令で定めることになりました。問題の多いeアテンダンスによる自己申告制を改善させるチャンスとなります。
 また、勤務間インターバル制度(終業時刻から次の始業時刻までの一定時間の確保)の普及促進が定められました。深夜に及ぶ長時間残業労働は、労働者の命と健康を守る立場から、国際基準である11~12時間などを念頭に勤務間インターバル制度を要求します。

継続雇用者の賃金・処遇の改善

 公務労働者の定年延長が本格化しています。大企業でも積極的に定年延長を開始しています。しかし日本IBMでは、定年時でいったん雇用契約を解除し、その後1年ごとの有期雇用を結び直すという定年後継続雇用を悪用し、ほぼ最低賃金で働かせる制度になっています。
 本来の改正高年齢者雇用安定法の趣旨に沿って65歳定年制をめざし、年金支給開始年齢(現在63歳)まで、ただちに定年を延長することを要求します。
 定年延長を実現するまでの間も、雇用継続者の賃金について、60歳到達時の賃金を確保すること。それに至らない場合でも、継続雇用者が生活できる十分な月例賃金・労働日数を確保し、最低でも月31万円以上とすること、賞与の支給を要求します。

いのちと健康をまもる

 パワハラやセクハラなどを発見した場合はただちに団交を申し入れ改善を要求します。メンタル不全を未然に防ぐ実効性のある対策を要求し、あわせて職場復帰・再発防止を要求します。
 メンタルヘルス不全を理由にした低評価や退職強要をしないよう要求します。

職場アンケートへ声を

 賃金抑制、繰り返される賃金減額、PIP、さらに退職勧奨やパワハラと、日本IBMの職場には問題があふれています。
 労働基準法第1条では労働関係の当事者(会社)に対し「その(労働条件の)向上を図るように努めなければならない」とし、さらに第2条では「労働条件は、労働者と使用者が、対等の立場において決定すべきものである」と定めています。会社は労働者の要求に耳を傾け、労働条件の向上に務める義務があります。
 秋闘は職場の要求を総ざらいするものです。今年も皆さんにアンケートを取りますので、ぜひ声をお寄せください。

また賃金減額

第一次・二次裁判の結果無視

 会社は2018年8月13日にまたも賃金減額を発表しました。(今回の発表骨子は右下表参照)賃金減額者にはすでに8月27日の週から個別に通知されているはずです。

この賃金減額は違法

 会社は一連の賃金減額の根拠を、2010年3月付で改定された格付規定第6条3項「業績が職務内容に対して著しく低いと判断された場合は、本給、賞与基準額、本俸および定期俸基準額を減額することがある」という条項においています。
 しかし、この規定では客観的基準に関する定めが一切無いため、会社がフリーハンドで好きなように一方的に不利益変更を従業員に強いることができます。さらに減額幅の規程も無いため、好きなように減額幅も決められます。事実、 昨年と今年では減額幅がまったく違います。つまり、2010年3月に行われた格付規程の変更は合理的な変更ではなく、労働契約法10条違反となります。
 また、この規定は賃金減額期間も定められておらず、定年まで減額が続きます。しかも、毎年でもさらなる賃金減額が可能な仕組みで、会社の権利濫用となります。

会社はすでに組合主張を受け入れ

 上記で説明した違法内容については第1次賃金減額裁判の訴状で組合が主張したものです。
 会社は第1次裁判では「認諾」しました。「認諾」とは原告側の主張をすべて受け入れるという意味です。つまり、会社は現在の格付規程への変更が労働契約法10条違反であることや権利濫用であることをすでに受け入れているのです。それにもかかわらず平然とまた賃金減額の発表をする会社の姿勢はまさに異常と言う他はありません。

賃金減額の本当の狙い

 会社は成績評価の悪い人に対し賃金減額をする理由として「成長志向のカルチャーを推進するため」などと言っていますが、成績評価が高い社員に対する昇給基準はまったく明確にされていません。これらの言葉がまやかしにすぎないことは明らかです。会社は賃金減額によってリストラの効果をあげようとしているのです。賃金減額された人には必ず退職勧奨が待っています。

第3次裁判を準備中

 今回は組合に減額対象者は一人もいませんでしたが、被害者救済のため、3次賃金減額裁判を準備中です。
 2年以上前の減額分についても、直近2年分については取り戻すことが可能です。賃金減額を通知された人、これまでに減額されたことがある人、一刻も早く組合に連絡してください。

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