キンドリルジャパンが2025年4月1日から賃下げ無しで定年を65歳に延長したことは、かいな2458号(2025年1月20日号)1面、2462号(2025年3月17日号)3面でお伝えしましたが、その後、キンドリルジャパンでシニア・プロフェッショナル社員(以下「SP社員」という)が2025年3月1日付で正社員に転換し、65歳定年制が適用されていたことがわかりましたので、その詳細をお伝えします。
SP社員の正社員転換が判明
まず2025年1月6日の65歳への定年延長の発表は、生年月日が1965年4月1日以降のキンドリルジャパン、KJTSおよびKSOKの正社員を対象に、2025年4月1日付で定年を60歳から65歳に変更するというものでした。つまり、この発表によれば、2025年3月31日時点で59歳以下のこれら3社の正社員だけに同4月1日から65歳定年制が適用されることになります。ところが、キンドリルジャパンのSP社員の組合員が2025年3月1日付で正社員に転換し、同4月1日から65歳定年制が適用されていたことが判明しました。
正社員転換者の賃金差額をバックペイ、DC拠出金を是正
そこで組合は会社にSP社員の正社員転換について2025年5月29日の団体交渉で確認、さらにその後も追加で確認しました。これに対して以下の会社回答がありました。
■会社回答(要旨)
2025年3月31日時点で59歳以下の、キンドリルジャパン、KJTSおよびKSOKのSP社員について、全員に正社員転換を希望するかどうかを確認した上で、希望する人全員を2025年3月1日付で正社員に転換させた。正社員転換者の賃金、DC拠出額について以下を実施した。
(1)SP社員賃金と、SP社員になる直前の正社員賃金との差額をバックペイした。
(2)SP社員だった期間のDC拠出金相当額を現金払いした(これはDCに拠出金として入れることはできないので現金で渡した)。
(3)キンドリルジャパンのSP社員のみ、正社員転換日の2025年3月1日に、SP社員になる直前の正社員賃金より2%昇給した。これは、キンドリルジャパンのSP社員が正社員に転換した場合、DC拠出率が従前の8%から(2022年9月以降入社の正社員に適用される)6%に下がるため、年間DC拠出金の減少額をリファレンスサラリーの2%の昇給額で補てんするものである(この補てんはDCに拠出金として入れることはできないので現金で渡した)。※KJTS、KSOKについてはDC拠出率は従前も正社員転換後も6%で変更がないので、KJTS、KSOKのSP社員が正社員に転換した場合、2%の昇給はない。
組合の65歳定年制の対象拡大要求が実現
組合は、会社が2025年1月6日に発表した65歳定年制の対象が、2025年3月31日時点で59歳以下のキンドリルジャパン、KJTSおよびKSOKの正社員に限定されているため、組合は当初から65歳定年制の対象外の人たちへの対象拡大を要求していました会社は、2025年5月29日の団体交渉において、65歳定年制の開始前にSP社員になっている59歳以下の人たちは、65歳定年制の発表によって、先にSP社員に手を上げたために65歳定年制の対象外となるという不利益を被るので、正社員転換を希望する人全員を正社員に転換させたと説明しました。今回のSP社員の正社員転換は、組合の65歳定年制の対象拡大要求の実現です。