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JMITU第20回定期大会開催 力強い団結と決意あふれる場に

7月5日JMITUは、第20回定期大会をラパスホール(東京都豊島区)にて開催しました。JMITU役員をはじめ、地本を代表する代議員、傍聴者など約80人が参加しました。大会では25春闘をはじめとする一年間のたたかいを総括するとともに、26年の運動方針を確立しました。

大幅賃上げ実現こそ物価高への最大の対抗策

大会冒頭、三木委員長は、26年度に向けた運動の柱となる重点課題について、参加者に向けて次のように力強く訴えましたま 。ず最初に取り上げたのは、長引く物価高への対応についてです。三木委員長は、「ここ数年の急激な物価高騰に対し、政府の実効性ある対策は見られません。私たちは引き続き、消費税の5%への減税を求めていきます。そして何より、春闘を通じて大幅な賃上げを実現することこそが、物価高から労働者・国民のくらしを守る最大の対抗策です。26春闘では、すべての仲間に大幅賃上げをというスローガンを掲げ、全力でたたかい抜きましょう」と述べ、賃上げこそが生活を守る最も有効な手段だと強調しました。さらに三木委員長は、「若年層の初任給は上がっている一方で、40〜50代のベテラン層の賃金は据え置かれ、深刻な頭打ち状態です。私たちは、すべての世代に対する公平な賃上げを徹底的に追求していきます」と述べ、世代間で広がる賃金格差の是正を目指すべきだと訴えました。

雇用と職場を守るたたかい

次に三木委員長は、企業によるリストラの動きが広がる中で、労働者の雇用を守るたたかいの重要性が語られました。「トランプ政権の関税政策以降、世界経済は混乱を深め、大企業ではリストラの動きが広がっています。しかし、どれだけ企業環境が変化しても、そのツケを労働者に押しつけるようなやり方は断じて許されません。私たちは、現場の声に根ざしながら、雇用と職場を守り、希望ある労使関係を築くたたかいを続けていきます」と強く訴えました。

労働法制改悪を許すな

続けて三木委員長は、現在進行中の労働法制見直しの動きについて危機感を表明し、その阻止に向けたたたかいを訴えました。「現在、厚生労働省では労働基準法の抜本的見直しが進められています。その方向性は、最低限の規制だけを残し、企業が過半数代表との労使協定を結べば、労働条件を自由に決められるようにするという、極めて危険なものです。実質的には企業の都合を最優先にし、労働者保護を骨抜きにしようとしているのです。私たちはこうした労働法制改悪の動きに対し、断固として反対し、全力で取り組みを強化していきます。」

組織拡大を実現しよう

最後に三木委員長は「これらの課題を確実に前進させていくためには、組織の拡大と団結の力こそが鍵です。仲間を増やし、現場の声を広げ、強くて大きなJMITUの実現をめざして、全力で進んでいきましょう」と協調しました。

キンドリルジャパンでシニア・プロフェッショナル社員が正社員に転換、65歳定年に

キンドリルジャパンが2025年4月1日から賃下げ無しで定年を65歳に延長したことは、かいな2458号(2025年1月20日号)1面、2462号(2025年3月17日号)3面でお伝えしましたが、その後、キンドリルジャパンでシニア・プロフェッショナル社員(以下「SP社員」という)が2025年3月1日付で正社員に転換し、65歳定年制が適用されていたことがわかりましたので、その詳細をお伝えします。

SP社員の正社員転換が判明

まず2025年1月6日の65歳への定年延長の発表は、生年月日が1965年4月1日以降のキンドリルジャパン、KJTSおよびKSOKの正社員を対象に、2025年4月1日付で定年を60歳から65歳に変更するというものでした。つまり、この発表によれば、2025年3月31日時点で59歳以下のこれら3社の正社員だけに同4月1日から65歳定年制が適用されることになります。ところが、キンドリルジャパンのSP社員の組合員が2025年3月1日付で正社員に転換し、同4月1日から65歳定年制が適用されていたことが判明しました。

正社員転換者の賃金差額をバックペイ、DC拠出金を是正

そこで組合は会社にSP社員の正社員転換について2025年5月29日の団体交渉で確認、さらにその後も追加で確認しました。これに対して以下の会社回答がありました。

■会社回答(要旨)

2025年3月31日時点で59歳以下の、キンドリルジャパン、KJTSおよびKSOKのSP社員について、全員に正社員転換を希望するかどうかを確認した上で、希望する人全員を2025年3月1日付で正社員に転換させた。正社員転換者の賃金、DC拠出額について以下を実施した。
(1)SP社員賃金と、SP社員になる直前の正社員賃金との差額をバックペイした。
(2)SP社員だった期間のDC拠出金相当額を現金払いした(これはDCに拠出金として入れることはできないので現金で渡した)。
(3)キンドリルジャパンのSP社員のみ、正社員転換日の2025年3月1日に、SP社員になる直前の正社員賃金より2%昇給した。これは、キンドリルジャパンのSP社員が正社員に転換した場合、DC拠出率が従前の8%から(2022年9月以降入社の正社員に適用される)6%に下がるため、年間DC拠出金の減少額をリファレンスサラリーの2%の昇給額で補てんするものである(この補てんはDCに拠出金として入れることはできないので現金で渡した)。※KJTS、KSOKについてはDC拠出率は従前も正社員転換後も6%で変更がないので、KJTS、KSOKのSP社員が正社員に転換した場合、2%の昇給はない。

組合の65歳定年制の対象拡大要求が実現

組合は、会社が2025年1月6日に発表した65歳定年制の対象が、2025年3月31日時点で59歳以下のキンドリルジャパン、KJTSおよびKSOKの正社員に限定されているため、組合は当初から65歳定年制の対象外の人たちへの対象拡大を要求していました会社は、2025年5月29日の団体交渉において、65歳定年制の開始前にSP社員になっている59歳以下の人たちは、65歳定年制の発表によって、先にSP社員に手を上げたために65歳定年制の対象外となるという不利益を被るので、正社員転換を希望する人全員を正社員に転換させたと説明しました。今回のSP社員の正社員転換は、組合の65歳定年制の対象拡大要求の実現です。

第306回金属反合共同行動に団結の声響く 未解決争議の早期解決せよ

6月25日、金属機械反合闘争委員会は、すべての未解決争議の早期解決を求め、第306回金属反合共同行動を展開しました。行動には、日本IBM支部をはじめ、JMITUの各支部・関係労組が参加し、団結した姿勢を力強く示しました。蒸し暑い天候の中、午前中にはノバ・バイオメディカル本社前で抗議行動を実施(左写真)。さらに、昼休みには日本IBM箱崎事業所前で行動を展開(下写真)、参加者は日本IBMに対し、誠実な対応と争議解決への具体的前進を強く求めました。

ノバ・バイオメディカル本社前行動

ノバ・バイオメディカル本社前での抗議行動では、最初に同委員会の小泉副委員長が主催者挨拶に立ち、次のように訴えました。「ノバ・バイオメディカル本社前での行動は、今回で20回目を迎えます。会社から組合への攻撃は、たたかう労働組合JMITUにとって絶対に許せない重大なものです。私たちは、必ずこの争いに勝利します」と力強く語り、闘争への決意を鮮明に打ち出しました。続いて、ノバ・バイオメディカル支部の射場委員長が決意表明に立ち、「この争議を最後の最後まで、そして勝利するその日まで、私はたたかい抜きます」と、揺るがぬ覚悟を込めて訴え、参加者に大きな共感と奮起を呼びかけました。

日本IBM箱崎前行動

ノバ・バイオメディカル本社前での抗議行動に続き、昼休みには日本IBM箱崎事業所前でも抗議行動が展開されました。主催者挨拶に立った同委員会の生熊委員長は、「会社は負けても反省しない。これは非常に問題です。日本の法律など気にせず、やりたいようにやる姿勢だと思います」と述べ、日本IBMの不誠実な姿勢を厳しく批判しました。続いて連帯の挨拶に立ったJMITU日本ロール支部・川田委員長は、日本IBMの定年後再雇用者の賃金問題について次のように訴えました。「日本ロールでは賃上げこそないものの、再雇用1年目は定年時賃金の90%、2年目は80%が支給され、一時金も労使協定に基づいて支給されています。それに対し、日本IBMでは定年後再雇用賃金は月額18万5千円、一時金の支給もありません。これでは生活も成り立ちません。一方、キンドリルジャパンでは65歳までの定年延長が実現し、賃金も維持されています。このような制度が、働く意欲と企業の健全な成長につながっています。日本IBMでは、現役社員の中にも賃上げがない人が多くいる今こそ、賃金水準の底上げが必要です。再雇用者にも最低限の生活が可能な賃金を支払うべきです。そして、こうした問題は裁判や労働委員会ではなく、団体交渉で真摯に協議し、誠実に向き合う姿勢を会社側が示すべきです」と強く訴えました。第306回金属反合共同行動は、厳しい暑さの中でも多くの組合員・支援者が結集し、争議の早期解決と労働者の権利確立に向けて力強く声を上げた一日となりました。すべての未解決争議の全面解決に向けて、今後も団結を深め、粘り強く闘い抜く決意が新たにされました。

JMITU夏ボーナス回答速報 組合員平均昨年を16,773円上回る

JMITU25夏季闘争は、6月27現在、春闘時に妥結済の支部分会を含め全国109支部分会が夏ボーナスの有額回答を引き出し、有額回答の組合員平均は昨年同時期との比較で16,773円上回っています。うちJMITU主要企業の夏ボーナス回答(速報・上位15社ランキング)は昨年を上回る高水準の成果を上げており、日本IBMとキンドリルジャパンは昨年に続きランキング圏内でした(左下表)。また上位15社のうち有額回答が100万円以上の企業は13社となり、速報ベースで2023年の5社、2024年の7社から大幅に増えています(右下表)。

支部分会別では次のような成果を上げています

▼東京西部・超音波工業支部は3回のストを決行、第4次回答715,000円(2.02ヶ月)まで回答を前進させました
▼東京東部・小坂研究所支部は4次回答720,000円(2.30ヶ月)を引き出しました▼東京北部・鈴木シャッター支部では3次回答720,000円(2.57ヶ月)を引き出しました▼東京西部・リオン支部では、1,200,000円(3.55ヶ月)の過去最高額となる回答を引き出しました▼他に埼玉・芝浦電機支部で2次回答1,226,333円(4.00ヶ月)、長野・マグネエース支部で3次回答346,860円(1.25ヶ月)、長野・カネテック支部で3次回答415,444円(1.37ヶ月)、兵庫・福原精機支部で3次回答541,000円(1.90ヶ月)、埼玉・東鋼業支部で2次回答660,000円(1.93ヶ月)を引き出しました。

ボーナス闘争は賃上げ闘争へ

日本IBMとキンドリルジャパンの2025年夏ボーナスの組合推定平均支給額(本体・バンド7以下一般職)がこれまでにない高水準となったのは、以下の組合要求の実現が反映されたためです▼日本IBMが25年7月1日付の報酬制度改定を発表、この中でボーナスの変動部分を廃止し、アニュアル・リファレンスサラリーの総額を支給することとしたこと、改定前の最後のボーナスとなる今夏のボーナスに反映される会社業績達成度を「125」、個人業績率を一律100%としたこと▼キンドリルジャパンが25年からボーナス制度を改定、ボーナスに反映される会社業績達成度を基本「100」とし、ボーナスに個人業績を反映しないこととしたこと。以上の制度改定により両社では年収が固定化されますので、ボーナス闘争は賃上げ闘争に移行していきます。

24年ぶりのベースアップを実現した宇野沢組鉄工所支部のたたかい(連載②)

前号に引き続き宇野沢組鉄工所支部のたたかいを報告します。

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24秋闘で、秋闘要求に合わせて、改めてベースアップを行わないことに固執し続ける会社に対して「公開質問及び要求書」を提出しました。「方針」の撤回とベースアップ実施を要求し、物価上昇率、従業員の生活悪化、製造部門の累積赤字17億円解消までどのくらいの年月を要すると試算しているのか、今後赤字が出た場合これを累積赤字に加える考えか、また、この間の一時金の妥当性を質問。さらに組合への説明の言質を覆す行為に対し、誠実性に欠ける姿勢と考えるか否か、また秋闘回答を毎回文書にて求めているにも拘わらず口頭で済ませる理由と改善を要求しました。
会社は、総務省が発表している物価上昇率を示しながら、従業員の生活悪化については直接回答せず、製造業の中小企業としては一般的水準で、「生活はできると考える」、「初任給の引き上げも実施している」と回答。「方針」の撤回は拒否、この間の利益から累損解消には約11年との試算を回答。製造部門の利益改善は賞与に反映。今後の赤字も累積加算すると回答しました。ベースアップをしない理由を次々に翻す姿勢には言及することなく、文書回答も「回答者である会社が判断」としました。ただし公開質問や秋闘には文書にて回答してきました。24年末一時金も夏に続き2.3カ月が維持されました。残るはベースアップ実現です。「方針」を撤回せず、賞与にて還元することを繰り返す会社の頑なな姿勢をどうすれば変えさせることができるのか。「労働委員会で斡旋団交をやろう。会社が応じなければ不当労働行為救済申し立てで事実上の団交拒否を正してもらおう。」対策会議で何度も話し合いを重ねました。
1月11日(土)から12日(日)に泊まり込みで行った南部地協25春闘第2次討論集会でこのたたかいを報告した際に、助言者として参加していた生熊元JMITU中央執行委員長から「第三者機関の活用も悪いとは言わないけれど、まず全従業員を相手にシール投票を行ったらどうか」という提案を受けました。職場の多数の要求であることを可視化する、これで経営にインパクトを与えることができる。宇野沢組鉄工所支部の対策を担当している私と有馬事務局長は、「これは化けるかもしれない」と考え、支部に提案することに決めました。シール投票で要求の多数派であることを可視化しよう。支部の受け止めは、「組合の垣根を越えて投票してくれるかな」と疑心暗鬼なところもありましたが、とにかくやってみようということになり準備が始まりました。大量のシールをどこで買うか、投票呼びかけのビラ、シールを貼り付ける投票板の準備、正門と裏門、そして自転車・バイク置き場の三か所で同時に実施する為の手配など、組合内で役割分担を行い2月14日(金)の実施を決めました。南部地協25春闘闘争本部会議で他支部からの参加を呼びかけ、雨が降らないことを祈りつつ当日を迎えました。当日は支部6人と南部地協4人(大田地域支部、日本IBM支部、ISB支部)の1名0が3か所に分かれて呼びかけを開始。支部の若手には良い経験となりました。最初は遠慮がちに声をかけていましたが、出勤してくる従組のなかまに肩をたたかれ「ご苦労さん、頑張れよ」と励まされたり、会社方針に「反対、反対、絶対反対」と叫びながら投票してくれるなどなかまの反応は想像以上にあたたかく、終盤には追いかけながら呼びかけるなど自信が湧く行動となりました。組合員対象者が130名弱で、投票結果は当日90票が集まり89名が会社方針に反対、加えて、投票できなかったなかまから「自分も投票させてほしい」と支部組合員に声が掛かり、予定外でしたが食堂に投票板を設置し、さらに6票を集め、最終的に94票の反対票が集まりました。組合は、25春闘の要求団交で「会社方針に反対」が職場労働者の総意であることを会社に伝えました回 。答日が3月5日(水)から会社の都合で6日(木)の午後に変更されました。当日はJMITU第一次統一行動日南部地協リレーストライキで宇野沢組鉄工所支部も16時15分からストライキを決行する予定でした。しかし冒頭で述べた通り、24年ぶりのベースアップ回答が示され、かつ32年ぶりの5ケタの回答を得てストライキを中止しました。回答は異常な物価高騰による実質賃金低下を止めるには十分ではありません。労使の切磋琢磨は今後も必要ですが、ベースアップが実施され一時金が是正されてきた事実は、会社で働き続ける将来展望を持つことができる大きな一歩です。この実績と経験を活かし、組合員を増やし組織建設を進め、さらなる要求実現の足掛かりをつくるために支部とタッグを組んで奮闘することを決意し、たたかいの報告とします

5月28日4次スト決行 日本IBM、キンドリルジャパンは賃上げの上積み回答をせよ

今25春闘は、4月9日の3次ストライキの後、日本IBM、キンドリルジャパンから組合員の賃上げ回答がありました。日本IBMは、春闘要求への3月5日回答で25年の給与調整の詳細は現在検討中のため、現時点でお伝えできる内容はありませんと回答、3月12日の団体交渉では25年は5月1日付で給与調整を実施する予定ですと回答しただけで進展なしでした。続く4月3日の団体交渉でも進展なしでしたが、4月18日に組合員の5月1日付賃上げ回答を行いました。キンドリルジャパンは、春闘要求への3月5日回答で本年7月1日付で給与調整の実施を予定していますと回答、3月12日の団体交渉では進展なしでしたが、5月26日に組合員の7月1日付賃上げ回答を行いました。

組合推定平均賃上げ率日本IBM1.0%、キンドリルジャパン3.2%

今春闘での組合要求がなければ両社の2025年の賃上げそのものがなかったかもしれませんが、3次にわたるストライキを決行した組合の強い要求によって、両社は25年の賃上げ実施日の回答、組合員の賃上げ回答を行いました。しかし、両社の全従業員平均賃上げ率は回答が未だになく分かりません。そこで組合は平均賃上げ率を推定していますが、25年の組合推定平均賃上げ率は日本IBMが1.0%、キンドリルジャパンが3.2%で、今春闘の10%の賃上げ要求にはほど遠い水準です。これでは物価高騰の中、実質賃下げですので、組合は両社の賃上げ回答を不服として、5月28日、4次ストライキを決行、日本IBM箱崎事業所前でお昼休みにストライキ行動(上・右写真)を実施しました。昨年と比較すると、24年の組合推定平均賃上げ率は日本IBMが1.1%、キンドリルジャパンが2.1%でしたので、25年の賃上げは日本IBMが昨年と同水準、キンドリルジャパンが昨年より高水準です。また両社を比較すると、キンドリルジャパンの25年の賃上げ水準は日本IBMの3倍超で、日本IBMよりも従業員の生活への配慮が見られますが、組合の今春闘の10%の賃上げ要求には届きません。

賃上げのたたかいは続く

組合は、引き続き両社に賃上げの上積み回答を要求します。日本IBMには25年の賃上げの上積み回答と、少ない1回分の賃上げを25年に実施することを要求、キンドリルジャパンには少ない1回分の賃上げを25年に実施することを要求します。(少ない1回分の賃上げは、実施されなかった20年の賃上げのことです。)季節は春闘を過ぎ、すでに6月ですが、組合の賃上げのたたかいはまだ続きます。

24年ぶりのベースアップを実現した 宇野沢組鉄工所支部のたたかい(連載①)

今号、次号の2回にわたりJMITU宇野沢組鉄工所支部のたたかいを連載します。筆者は、宇野沢組支部が所属するJMITU東京地方本部・南部地区協議会の小泉隆一議長です。
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2025年3月6日(木)は、宇野澤組鐵工所(社名:旧漢字。以下、会社という)で働くなかまにとって、とてもうれしい日になりました。会社から、約5000円(平均)の定期昇給に加えて、24年ぶりに正社員1万円、定年再雇用社員6500円のベースアップ回答を引き出したからです。
「製造部門の過去7年間分の累積赤字約17億円を解消するまでベースアップの検討はしない」という会社の「方針」を受けた24春闘。そこから一年間、JMITU宇野沢組鉄工所支部(支部名:常用漢字)と南部地協(以下、組合という)は、たたかいの旗を降ろさずベースアップを追求し続けました。
アンケートや一言メッセージで、異常な物価高騰により生活が極めて苦しくなっていることを訴える職場のなかまの声を集め産別団交で会社に紹介し、「方針」表明後は、怒りのポスター掲示、そして「会社表明は事実上の春闘団交拒否の不当労働行為」と指弾し、リレーストライキや東京地本未解決支部激励ストライキを決行してきました。
続く24夏闘、秋闘、冬闘で「第三者機関への提訴も辞さないこと」を表明し、会社に「方針」撤回を迫る産別団交を重ねてきました。そして25春闘で「シール投票」を行い従業員の多数の思いを可視化して会社にぶつける取り組みが決め手となり結実しました。
会社には製造部門と不動産部門の2つのセグメントがあり、長年、不動産部門の黒字が全体収支をカバーしてきた歴史があります。会社には、1970年代に全国金属・宇野沢組鉄工所支部にインフォーマル組織を潜入させ組合を分裂、新たに立ち上げた従業員組合(以下、従組という)に「アメ」政策を続けたことにより生活残業の蔓延など職場統制が崩れ、生産性悪化が進み、製造部門が赤字転落していく暗い過去があります。その後も産業構造の変化、OEM着手による利益率悪化、新システム導入時の混乱での納期遅れ、作業場レイアウト変更での効率悪化が次々に起こり、黒字化への道のりは困難の連続でした。
会社は「製造部門が黒字化すればベースアップも可能」など、製造部門の黒字化がベースアップの鍵だとして、過去20年に亘る団交で定昇のみの回答を押しつけてきました。
赤字が縮小してきたここ数年は「黒字になったとしても、当面ベースアップはしない。一時金で還元する。その際、会社が利益を溜め込むようなことはしない」と言質を後退させました。実際に黒字化した23年冬季一時金は、例年よりも若干上積みし2.0カ月の回答ではあったものの世間並には程遠く、かつ「会社が溜め込むようなことしない」との約束は反故にされました。組合は、23年度製造部門通期黒字化で迎えた24年春闘の団体交渉で、尚も会社がベースアップに応じない頑なな姿勢を続けることに抗議し、黒字化したにもかかわらずベースアップを行わない明確な理由を示すよう追求しました。
すると会社は「過去7年間の製造部門における累積損失(約17億円)を償却完了するまでベースアップを実施しない方針である。償却完了後にベースアップを検討する」との回答に至りました。
これを許せば、製造部門の黒字化を目指し奮闘を続けてきた職場のなかまの努力が蔑ろにされ、定昇だけでは今後十数年間に亘り実質賃金が低下し続けます。組合は、産別団交で「何度も前言を反故にする会社の姿勢は許されない」、「不動産部門の利益により会計上の累損は存在しない。製造部門に限定した累積損失を理由に従業員の厳しい生活を顧みず、過去の累積赤字の責任を従業員に転嫁する経営姿勢を認める訳にはいかない」、「今後の春闘で組合が物価高騰対策や生活改善のために賃金引上げを要求しても、会社がベースアップの検討すらせず拒否し続けることを予告したのは事実上の団交拒否である」と猛然と抗議。妥結せずにたたかいを継続することを宣言しました。
24夏闘では会社から2.3か月の回答を引き出しただけではなく、当面この水準を維持したい旨の表明を受けました。組合から「それは予算の賞与引当金をこれまでの2カ月から2.3カ月に上げると言うことか」の質問に対し、会社が「そういうことだ。収益に多少のブレがあっても維持したい」との応答がありました。
このことは組合がベースアップ実現を追求してきた一つの成果の現れでした。22年夏までの数十年間、2カ月を下回る1.4カ月~1.8カ月が常態化していたことを見れば、改善が進んだことは確かです。しかし、漸く世間水準に追いついてきたというのが職場のなかまの受け止めでした。(次回につづく)

夏ボーナス回答出る バンド7以下一般職推定昨年を大幅に上回る 日本IBM平均1,155,000円 キンドリルジャパン平均1,046,000円

6月10日は夏ボーナスの支給日です。日本IBM、キンドリルジャパンから組合に夏ボーナス回答が出ましたので、全社推計をお知らせします。

両社とも昨年より大幅アップ

日本IBMの2025年夏ボーナスの組合推定平均支給額(本体・バンド7以下一般職)は、115万5千円(2.51ヶ月)、昨夏より15万円の大幅アップでした。キンドリルジャパンの2025年夏ボーナスの組合推定平均支給額(本体・バンド7以下一般職)は、104万6千円(2.22ヶ月)、昨夏より9万8千円の大幅アップでした。

リファレンスサラリーを全額もらえることはほとんどなかった


2024年支払までのボーナスは、変動部分(業績反映部分)が「リファレンスサラリー(RS)×6%×会社業績達成度×個人業績率」という計算式(下図参照)で計算されているために、RSと同額の年収を得るには、会社業績達成度、個人業績率ともに100%でなければなりませんでした。しかし、左表の通り、2024年支払までで会社業績達成度が100%に達したことは2024年支払ボーナスの1回しかないうえ、、個人業績率は毎年変動してきましたので、RSを全額もらえることはほとんどなかったわけです。

組合要求が実現

ボーナスがこのような方法で計算されているため、組合はこれまで会社に対し、年収が安定的に増えていかないこと、また個人業績率が0%など低水準とされた従業員のボーナス格差、年収格差が拡大していることを指摘し、個人業績率に大きな格差を付けないこと、ボーナス制度を改善することを要求してきました。その結果、組合要求が実現しました。まずキンドリルジャパンは、昨年12月27日にボーナス制度改定を発表。この中で2025年から賞与・定期俸に反映される会社業績達成度を基本「100」とし、個人業績は反映しないこと、会社・個人の業績に応じたボーナスは現行のSSP(グローバル共通のボーナスプログラム)だけとすることを発表しました。続いて日本IBMは、今年3月11日に2025年のボーナス支払に使われる会社業績達成度が「125」と決まったことを発表。さらに同13日に2025年7月1日付の報酬制度改定を発表し、この中で賞与・定期俸の変動部分を廃止し、アニュアル・リファレンスサラリーの総額を支給すること、会社・個人の業績に応じたボーナスは現行のGDP(グローバル共通のボーナスプログラム)だけとすることを発表。翌14日には2025年6月支払の賞与・定期俸の個人業績率は一律100%とすることを発表しました。今年の夏ボーナス回答は、上記の組合要求の実現が反映されたものとなりました。従業員の皆さん、組合に加入して年収を増やしましょう。

第 9 6 回中 央 メ ー デ ー 1 万 4 0 0 0 人 結 集 ~ す べ て の 働 く 人 に 人 間 ら し い 労 働 を ~”

5月1日、全労連(全国労働組合総連合)主催による第96回中央メーデーが、東京都渋谷区の代々木公園で開催されました。晴天の下、全国から1万4000人の労働者が結集しました。集会では、物価高を上回る実質的な賃上げの実現や働く者の権利擁護を柱としたメーデー宣言が採択され、その後、パレードが行われました。

スローガンと訴え

今回のメーデーでは「働くものの団結で生活と権利を守り、平和と民主主義、中立の日本をめざそう」というスローガンのもと、次のような課題が訴えられました。・物価高騰を上回る大幅賃上げの実現を目指すこと。・全国一律で最低賃金1500円以上への引き上げ。・労働時間のデロゲーション(規制緩和)拡大に反対し、8時間労働制を守り抜くこと。・均等待遇の実現とあらゆるハラスメントの根絶をすること。・ジェンダー平等と格差是正を実現すること。

大幅賃上げを求める世論を広げる

主催者挨拶では、秋山正臣・全労連議長が「わたしたちのたたかいが、最低賃金の引き上げをはじめ、労働者の処遇改善、大幅賃上げが必要だとの世論をここまで創り上げてきた。今日の世論を創り上げたことは、わたしたちの運動の方向が正しかったことの証しである。このことを再確認し、さらに運動を大きく発展させようではありませんか。しかし、実質賃金はマイナスとなったままである。その原因の一つが、お米をはじめとする食料品の高騰による物価高がある。特に主食であるお米の高騰は、わたしたちの生活に大きな影響を与えている。今、政府が行うべきことは、国民の命とくらしを守るために、農政を転換し、自給率を大幅に向上させることではないか」と訴えました。

生活と権利を守る宣言を採択

実質賃金の低下が続くなか、生活防衛と働く誇りの回復を目指し、物価高を上回る大幅な賃上げと底上げによる生活改善、あらゆるハラスメントの根絶、ジェンダー平等の視点に立った均等待遇と格差是正を求めるメーデー宣言が採択されました。今年の宣言には、世界経済の不透明感が高まるなか、平和の実現に向けて、世界の働く仲間との連帯をさらに強化する決意も盛り込まれました。

3コースで力強く行進

集会後、参加者は代々木、恵比寿、青山の3コースに分かれてパレードを実施。「最低賃金1500円以上」「8時間労働を守れ」など、訴えのこもった横断幕やプラカードを掲げながら行進し、労働者の声を街頭に力強く響かせました。

25春闘賃上げ回答 JMITU主要企業は昨年より高水準日本IBMは上積み回答をせよ

JMITUの25春闘情勢は、4月18日現在、要求を提出した133支部分会のうち回答引き出し数は114支部分会となりました。上積み回答引き出し数は40支部分会まで増え、組合員平均は12,005円(3.96%)となりました。昨年同時期との比較では組合員平均で983円(0.14%)上回っています。賃上げ額が5桁を突破した支部分会は61支部分会になりました。JMITU主要企業15社の賃上げ回答は、3月28日時点の速報で昨年を上回る高水準の成果を上げていることをかいな2463号(25年4月7日号)1面でお伝えしましたが、4月18日時点の速報(左下表)では新たに回答を引き出したところやストライキによる回答額上積みを引き出したところも見られます。これにともない、賃上げ率回答の分布(右下表)は背景色で示したように、主たる分布域が昨年より上昇しているのと同時に、3月28日時点よりも5%台が増えています。また、主要企業15社以外にも東京東部の小坂研究所支部は4次回答11,000円を引き出し妥結方向となったほか、東京北部の鈴木シャッター支部は4次回答11,500円を引き出し、たたかいを継続中です。東京南部のISB支部は30歳~60歳のベースアップ1000円上積みの4次回答11,186円を引き出しました。このように主要15社を含むこれらの企業は物価高騰のなか賃上げで従業員の生活に配慮している姿勢がはっきりと表れています。

日本IBMの推定平均賃上げ率は1.0%

日本IBMは、5月1日付で賃上げを実施しました。日本IBMの5月1日付賃上げの全従業員平均賃上げ率は回答が未だになく分かりませんが、組合による推定平均賃上げ率はわずか1.0%で実質賃下げです。昨年は1.1%でしたので今年も大差無い水準です。そこで組合は4次ストライキを構えて、引き続き日本IBMに賃上げの上積み回答(物価高騰を上回る賃上げ)と、少ない1回分の賃上げを実施することを要求します。組合の賃上げのたたかいはさらに続きます