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賃金減額裁判、会社のピンハネ明らかに

賃金減額裁判、会社のピンハネ明らかに
  リファレンス・サラリー総額10億円減少

 賃金減額裁判は2013年9月に提訴してからこれまで5回の口頭弁論が行われました。
 10月2日に行われた第5回口頭弁論で会社が提出した書面において驚くべき事実がわかりました。会社が提出したリファレンス・サラリー総額の推移を示す書面が、なんと見事に労働条件の一方的不利益変更であることを示していたのです。

減少分10億円

 会社が提出したデータには2013年6月から7月にかけて、バンド7以下の社員のリファレンス・サラリー総額が約10億円も少なくなったことが読み取れます。これは約千人の社員のリファレンス・サラリーが平均約百万円減額された額に相当します。

昇給分たった2億円

 会社が提出したデータをさらに読み取ると、2013年9月から10月にかけての昇給では、バンド7以下のリファレンス・サラリー総額はわずか約2億円しか増えていないことが分かりました。
 10月の昇給は、会社の説明ではリサイクル昇給とのことでしたが、リサイクルどころか、減額した賃金の8割を、会社がピンハネしていたことがわかりました。

2253号-2面-リファレンスサラリー減少

賃金減額の経緯

 会社は2009年にまずバンド8以上の社員に対して相対評価の勤務査定を口実とする賃金減額を始めました。この当時からリファレンス・サラリーの10%にもなる減額でした。2010年からバンド7以下の一般社員に対しても賃金減額が始まりました。最初は5%程度の減額幅で、対象者はごく限られていましたが、2013年に入ると、その対象者は全社員の15%に拡大し、その賃金減額幅はリファレンス・サラリーのなんと15%~10%にまでなりました。

違法な就業規則の改定

 この賃金減額に先立って、2010年に就業規則・格付規定の変更が強行されていましたが、この内容は会社がフリーハンドで一方的に不利益変更を従業員に強いることができるもので、さらに賃金減額基準や減額幅の規程も無く、まったく合理的な変更ではありません。これは労働契約法十条違反になります。

懲戒処分より重い減額

 この賃金減額は従業員の不利益が著しく、また、その減額幅は懲戒処分よりも重いもので、賃金減額期間を定めないものとなっており、定年まで減額が続きます。しかも、毎年でもさらなる賃金減額がされる仕組みで、まさに権利濫用といえるものです。

必要性の無い減額

 さらに問題なのは、会社は毎年おおよそ950億円もの経常利益を上げており、賃金減額の必要性はまったくありません。

減額はリストラの手段

 会社は例外無くこの大幅な賃金減額と同時に全社的な退職勧奨プログラムを実施します。「賃金減額される前にやめたほうが退職金が高くなる」と退職を強要します。また、減額され「これでは暮らしていけない」とみずから会社を見限って辞めていく社員もいます。最終的には退職勧奨に応じない社員をロックアウト解雇で追い出します。賃金減額のねらいがリストラにあることは明白です。賃金減額とロックアウト解雇は、会社の恐怖の合わせ技なのです。

原告を職場に戻そう! 800人を超える参加者で大成功

原告を職場に戻そう! 800人を超える参加者で大成功
許すな!「解雇自由化」
日本IBMのロックアウト解雇に反対する10.16大集会報告

 ロックアウト解雇のたたかいを勝利させ、解雇自由化を阻止しようと10月16日みらい座池袋で大集会を開きました。800人を超える参加者で2階席まで埋め尽くされ、熱気に包まれました。

2253号-1面 満員の参加者

 橋本のぶよさんの美しい歌声で始まった2時間に渡る集会の前半の目玉は、立川談之助師匠の落語でした。「落語界では、師匠は弟子から一円も取らないのが普通。一門で唯一、弟子から上納金を巻き上げる立川流は、落語界のブラック企業だ!」と枕で笑いをとり、安倍政権への風刺を交えつつ、爆笑と「そうだ!」の掛け声と拍手喝采を浴びていました。
 後半の山場は、JMIU日本IBM支部と橋本のぶよさんの共演です。
 前号の「かいな」で歌詞を掲載した「ブラックNo・1」を合唱した後、原告が裁判所に提出した意見陳述書を涙ながらに読み上げると、参加者も目頭を熱くしていました。
 最後に、大岡支部委員長が決意表明を行い、登壇した組合員をはじめ会場に集まった全員とともに、原告を職場に戻す決意を新たにしました。

2253号-1面 ロックアウト解雇原告の訴え

【団交報告】就業規則協議、まともな回答無し

【団交報告】?就業規則協議、まともな回答無し
        -労働組合は変更に反対-

 10月2日に秋闘一次要求の回答に対する団交を行いました。
 JMIUは秋闘を春闘と並ぶ年間闘争の二本柱として位置づけています。秋闘では私たちの暮らし、雇用、職場の将来展望をかちとる課題と取り組みます。

不透明な臨時昇給

 組合は従来からTCR昇給の対象にならなかった社員に対し、臨時昇給で報いるよう要求していましたが、今回会社は臨時昇給を10月1日付で実施しました。

組合 臨時昇給した人数がいつもより多い。全社では何人くらいか。
会社 各部門の判断で行った。
 今、臨時昇給を行った理由は?
 プロモーションと、このタイミングでラインが賃金の見直しを行った。
 12月のMBAをまたずに昇給を行った理由は?
 MBAでなく、今年の貢献を評価してラインが決めた。
 人事からのガイドや原資のガイドはしたか。
 ガイドはあった。
 今、昇給させるという判断の理由は?
 消費税のことを言っているのか。それも含めて貢献を評価した。
 客観的な基準があるのか?
 ガイドはあるが、総合的な判断だ。
 社員全体における昇給者の割合は?
 処理中である。部門によって方針が異なる。臨時なので随時行っている。現時点で集計していない。
 臨時昇給があったから、MBAがないと言うことはないだろうな。
 別物である。
 今年、MBAを行うのか。
 決まっていない。グローバルの決定がまだ来ていない。

健康診断有料化

 組合は無料での診断内容拡充を要求している。オプション有料化はこれに矛盾する。
 健保組合の財政が厳しい。
 一般社員の声は、有料化の金額が高すぎるとの声が多い。
 検討する。

過重労働改善へ

 勤務時間把握のためのシステム化をすべき。
 本人の申告に基づいてラインが承認する仕組みである。システム化の計画はない。
 客観的に把握する仕組みを求めている。
 Eワークや自宅勤務の人がいるので難しい。
 厚労省は客観的な方法か、第三者による確認などを通達で求めている。正直に自己申告するのが難しい状況だからこそ、これらが必要だ。2003年に会社は労基署から指導票を受けた。その中でシステム構築を指導された。その後、何度も指導票を出されている。
 検討は進めていく。
 具体的な方針を示すよう要求する。会社は正しい労働時間を把握していない。だから過重労働が起きる。客観的に労働時間を把握するシステムが必要である。
 検討する。

就業規則の会社宿題

 説明会の資料を公開できるか。
 検討中である。
 休職に関する投資額とジムなどの予防措置の投資額の比較を開示してほしい。
 必要な説明は行っている。
 休業補償保険の件はどうなったか。
 今年1月に満期で終了している。
 満期ということは誰も知らない。我々は約款も見せてもらっていない。
 背景は確認する。
 傷病手当金を累計にする交渉はどうなっているか。
 交渉中である。
 欠勤時の承認プロセスの話はどうか。
 作成中である。
 ドラフトを事前に示してほしい。
 持ち帰る。
 多数回にわたる病欠で休職になる場合のプロセスはどうなっているか。
 検討中である。
 短期私傷病休職を命じる場合のプロセスはどうなっているか。
 検討中である。
 復職を判断するプロセスはどうなっているか。
 検討中である。
 復職後に欠勤した場合に退職となる判断プロセスについてはどうなっているか。
 検討中である。

確定拠出年金制度変更

 3年以内に辞めた場合、確定拠出年金を返金させる根拠は何か?
 現在、在籍している社員には関係ない。
 IBMの確定拠出年金を運用しているのはどこか。
 把握していない。質問の意図がわからない。

・・・・・・・・・・・・・・・・・

 以上のような大変に不誠実な会社の態度を受け、組合は今回の就業規則変更については反対です。

「退職勧奨は不当」

「退職勧奨は不当」
-労働局長が会社を助言・指導-

 低評価を理由とした退職勧奨に関して、東京労働局長( 局長: 西岸正人氏) が、会社に助言・指導を行っていたことが判明しました。

退職勧奨の今後の可能性を否定せず

 今年に入ってからも、退職勧奨が一部の社員に行われています。これに対し、社員が東京労働局長に助言・指導を申し出ました。
 東京労働局は、この申し出を受け、労働局に出頭した会社側の労務責任者2名に対し「退職の強要はあってはならない」と2014年9月17日に助言・指導を行いました。
 労働局からの「今後、同様のことがあるのか」との質問に、会社側は「度合いによっては、可能性はあるが、必ずあるとは言えない」と今後の可能性を否定しませんでした。労働局は、「何回も退職を勧奨することは、違法行為を形成する。」と釘を差しました。

組合に相談を

 低評価になったことを理由に退職勧奨・退職強要を行うことは許されません。透明性、公平性、客観性、納得性ない成果主義システムの中で意図的に評価され、真面目に業務に取り組んでいる従業員に対し退職を迫ったり、ロックアウト解雇の理由とすることは会社の発展につながりません。会社の横暴を許さないためにも、所属長の対応が「少しおかしいな」と感じた時は組合にご相談ください。

【投稿】社会保険料で計算ミス

?【投稿】?社会保険料で計算ミス
        間違いがあれば2年遡及可能

 私は7月分の給与明細をみて、会社が社会保険料の計算ミスをしていることに気づきました。この際の給与・社会保険担当およびBuzzHRの対応が極めてずさんであるばかりでなく、この事実を隠蔽しようとしましたので、筆をとりました。

◇保険料が大幅に増加

 今年2月、私は多忙のため勤怠データの提出が遅れ、本来、3月給与で支払われるべき2月分の残業代が4月給与で支払われました。そして7月分給与明細をみて絶句しました。いきなり社会保険料が大幅に上がっていたのです。
 調べたところ、2月分の残業代は除外して計算するべきなのにこれを加算して社会保険料を算出したことがわかりました。

◇計算ミスにもかかわらず今後の対策は不明

 そこでBuzzHRに質問しましたが、なかなか回答がありませんでした。そこで給与担当者に直接メールしたところ、会社も計算ミスを認め、社会保険料の計算結果を訂正しましたが、謝罪はありませんでした。計算ミスをした理由と、今後の対策を確認したところ、理由には触れず、「関連部門と協議して、今後の対応を検討します」だけでした。検討するだけなら誰でもできます。これは対策ではありません。さらに勤怠データの提出が遅れたのが理由(だからお前が悪い)と言われました。確かに勤怠データの提出は遅れましたが、高額な社会保険料を支払う必要などありません。

◇自分で確認を

 これは私だけの問題ではありません。誰にでも起こりえます。そこで私は「社会保険料の計算に間違いがあった事実を、社員に公表して注意を喚起するべき」と訴えましたが、これも「その気はない」とのことでした。完全にこの計算ミスを隠蔽するつもりです。
 社員の皆さん、社会保険料の計算方法はインターネットその他で容易に入手できますので、疑問のある方は確認してみてください。間違いがあった場合、2年に遡って、会社に請求できます。不明な点があれば、BuzzHRに確認しましょう。
 給与計算システムや担当者は信用できません。自分の給与は自分で守りましょう。(F)。

ここがおかしいILC

ここがおかしいILC
  PBCは長時間労働が高評価
  プロジェクトでは短時間を入力

 サービス部門所属の社員のPBC目標設定に、ILC稼働率が入っています。この「稼働率目標」がいかに欺瞞に満ちたものであり、社員の生活を破壊するものであるか、検証します。

健康と生活を破壊する稼働率目標

 サービス部門では所属社員の有償稼働率が部門の実質的な売上とみなされるため、社員は稼働率目標を達成することが強く求められます。
 GBSでは、稼働率目標は90%で、分母は休日も祝日も無視した年間40時間×52週です。週末と国民の祝日およびIBM年末年始休日だけ休み、有給休暇を1日もとらずに週38時間働いた場合でも稼働率は88%であり、目標に達しません。
 GBSのガイドラインには、年間の祝日/休暇として29日(うち有給休暇15日)を勘案しているとありますが、祝日の日数計算が間違っており、実際には有給休暇は10日分しか算入されていません。勤続25年以上の社員の場合、有給休暇は年に29日付与されるにも関わらず、その1/3しか取得できない目標設定なのです。
 有給休暇を取得し、会社の求める研修や部門会議など有償稼働率に算定されない活動にも参加するには、長時間残業が不可欠となります。そもそもの目標稼働率設定が、社員が健康でワークライフバランスのとれた生活を送ることを考慮していないのです。

部門とプロジェクトの板挟み

 部門の売上は所属社員が長時間働くほど上がりますが、逆にプロジェクトにとってはメンバーが長時間働くことはコスト増を意味します。コストが増えれば当然利益は減り、PMの評価は下がります。プロジェクト・メンバーの作業時間を適正に管理するのもPMの重要な仕事なのです。
 ところが現実のプロジェクトでは、工数は予定より膨らみ、要員は不足し、プロジェクト・メンバーは過重労働を強いられています。PMは、メンバーの労働時間を実際に短くするのではなく、短く見せかけること、すなわちILCを少なくつけさせることを指示します。メンバーは、所属長とPMからの相反する要求を突きつけられます。その結果、PMに嫌われてプロジェクトをリリースされ、稼働率が0%になるという最悪の事態を回避するため、PMから割り振られた工数通りの数字をILCに入力することを選択してしまいます。

二枚舌の会社施策

 会社はガイドラインや研修でFLC(稼働実績通りのILC入力)の徹底を求めてはいますが、社員の労働時間を正しく把握するための具体的な施策はなく、掛け声だけです。裁量労働制を適用し、社員がどんなに残業をしていても無視し、万一ILCの不正入力が発覚した場合は、現場のメンバーを処分するだけで、問題の本質は放置されたままです。

そもそもおかしい有償稼働率目標

 プロジェクトにおいて、予定された工数を超えた作業が発生しても、そのコスト増加分をお客様に追加で請求できることはまずありません。当初の契約金額の中で最大の利益をあげるには、労働生産性をあげ、短い時間で作業を完了させることが一番有効です。サービス部門が有償稼働率の目標値を掲げ、長時間働いた社員の評価を高くするというのは、根本的に間違っています。成果主義を掲げているにも関わらず、PBCでも稼働率の高さ、すなわち労働時間の長さばかりが評価され、労働の質については評価されにくいのが現実です。
 プロジェクトにおいて過重労働が横行している背景には、このように長時間労働を是とする会社の体質に問題があります。
 組合では、不当に高い稼働率目標を設定し、個人の稼働率を評価に結び付けることに反対しています。また、社員がワークライフバランスのとれた健康な生活を送れるように、適正な労働時間の管理を行うための具体的な施策の作成と実施を会社に求めていきます。

- 現場の声-
◇ プロジェクトにフルアサインされ、残業もしていたのに、あとになって「プロジェクト・コストが足りないので0.5人月で勘弁してくれ」とPMに言われた。その結果、見掛けの稼働率
が低くなり、稼働率が目標に達していないことを理由にPBCで低評価をつけられ、賃金減額された。

◇ 新入社員研修でFLCの重要さをとくと聞かされたので働いた分の時間を正確にILCに入力したら、PMに「空気を読め」と怒られた。

◇ PMからは「予定されている時間を超えて作業する場合は事前に申請してください」と言われているが、申請書を書くだけで大変でとてもやっていられない。なかなか認めて貰えず交渉にも時間がかかる。結局誰もそんなもの出さずに黙って深夜まで残業しているが、ILCは週40時間しかつけていない。

 

【団交報告】危険な人事施策変更について

【団交報告】 危険な人事施策変更について
― 注意点その2 ― 9月11日団交報告

 前回9月22日の号外では、①私傷病欠勤と私傷病休職②傷病手当③病欠・休職・復職・退職の手続きにおける会社権限の強化④確定拠出年金制度の変更、の四点についてお知らせしましたが、危険な変更点がまだあることが判明しました。組合の質問に対する会社の回答も含め掲載します。

健保料も値上げ?

 休職者の生活保障を健保の傷病手当へ移行させると健保の負担が増えるため、今後保険料の値上げが心配されます。会社は傷病手当金の負担はごくわずかだと説明しますが、これは傷病手当の申請が少なかったこれまでのデータを元にしているためです。傷病手当の支給が増加すれば健保財政を圧迫することはひ必至です。

短期休職期間の給与

 会社説明では、短期休職期間中はリファレンス・サラリー一○○%支給との説明でしたが、新就業規則では、本給の一○○%となっています。これでは賞与分がどうなるかわかりません。この点を団体交渉で追及し、賞与の出勤率は減らさないとの会社回答を引き出しました。

短期私傷病休職、繰り返しで「解雇」も?

 新しい短期私傷病休職制度についても団体交渉で取り上げたところ、会社は「短期私傷病休職は十二ヶ月ごとにリセットされる」と回答してきました(累計は三十五ヶ月まで)。
 ただ、今回の就業規則の変更により会社の権限が強まったので、同じ病気で短期私傷病休職を繰り返すと解雇される危険がある、と組合では見ています。

病気でも「無断欠勤」と判断される?

 新就業規則の二十五条第三項に「会社の承認が得られないときは、無断欠勤とする」との記載があります。従来、病気欠勤などは届け出でよかったのですが、新制度では所属長の承認が必要となってしまいます。悪用される恐れがあり、その旨をただしたところ、会社はプロセスを作ると約束しました。さらに、従来の病気欠勤が取得しにくくなる点も追及しました。会社は従来の病気欠勤については給与も出るし、賞与の出勤率にも影響はないはずだが、確認するとしています。
 同第五項に「私傷病による欠勤が四週間以上にわたり多数回発生する場合など、会社が特に必要と判断した場合は、就業を禁じることがあり、さらに必要に応じ、解雇を留保して私傷病休職を適用することがある」との記載があります。この条項は悪用される恐れがあります。問題点としては、①「四週間以上にわたり多数回」の客観的基準がないこと、②「特に必要と判断」の客観的基準がないことです。これら二点は、会社の勝手な判断で、社員を休職に追い込める可能性があります。この点についても、会社がプロセスを作るとの回答を引き出しました。さらに③「必要に応じ、解雇を留保」は、解雇が第一選択となる可能性があること、については解雇が第一選択となることはないとの回答を引き出しました。

会社が休職を強行?

 新就業規則の三十九条の第一項[一]-一に、「私傷病による欠勤が継続し、暦日2週間の不就労」で一律休職となることが記載されています。この点について、従来は「さらなる休養が必要であることについて、医師の診断書等から会社が確認できた場合」はじめて休職とし、その期間を決定されます。しかし新就業規則では「欠勤して休養する必要があると会社が認定する期間」に変更されています。すなわち、診断書の内容にかかわらず、会社が勝手に期間を決めて休職を命ずることができるようになります。主治医の診断書を超える権限を会社が持つことは許されません。
 同第十項の「その他会社が特に認めた場合の休職」は、現行規定にある「四ヶ月以上の海外出張を命ぜられた社員あるいは他社社員に同行する配偶者の場合など」という部分が削除されています。この規定をつかって、夫の海外赴任に同行する女性社員などは、今後は上司の裁量によっては休職が認められない可能性があり、その結果退職に追い込まれるケースも出ると思われます。

【かいな特別号外】危険な人事施策変更に注意!

【かいな特別号外】

危険な人事施策変更に注意!
  新制度には落とし穴がいっぱい

 九月三日に会社が発表した人事制度および諸規定の変更について、組合は説明会よりも詳細な内容を団体交渉で九月十一日に協議しましたのでその内容をお知らせします。
  説明会の資料
 説明会の資料を渡さないのはおかしい。
 人事の管理資料であるので渡せない。説明するための管理資料として、作成した。
 従業員にも組合にも渡せないのはおかしい。
 あくまでも説明会用の資料だ。W3の内容が本来の内容だ。
 就業規則変更の資料が従業員にも組合にも渡せないのは不誠実そのものだ。
  私傷病休職について
 MAXケースで言うと、従来は私傷病欠勤と私傷病休職の合計三十五ヶ月が有給でとれ、さらにその後病気が治らずに会社を辞めて健保を継続すれば、健保の傷病手当十八ヶ月がもらえた。生活保障という観点でみれば、合計で五十三カ月の保障があった。
 新制度では十三週の短期休職と十八カ月の健保の傷病手当で、生活保障という意味では合計わずか二十一カ月。減少はなんと二十二ヶ月にもなる。他社がそうだからうちも合わせる、という会社説明では合理的な説明になっていない。経営状況などを含めて、合理的な説明がほしい。
 他社との比較は一部分にすぎない。健康のサポート、復職支援などにも力を入れている。投資にメリハリをつけている。ベンチマークだけで決めた訳ではない。
 従来の投資額と、新規の投資額はいくらか。
 シミュレーションはしているが、開示は出来ない。
 それでは不利益変更か否か判断ができない。開示する義務がある。
会 一部の休職者には不利だが、大多数の健康な社員には有利になる。
 現行制度を維持したまま、健康な社員にも投資できるはず。会社はそもそも社員に「休業補償保険」をかけているではないか。会社は丸儲けするつもりか。
 休業補償保険の件は把握していない。調査して回答する。
 傷病手当について
 傷病手当は複数回使えるか。
 法定の傷病手当は、最初の診断時から十八ヶ月である。つまり、時計は止まらない。健保に累計で十八ヶ月にするように要請している。ここは厚労省とのたたかいだ。
 病欠時の手続き
 新制度では病欠をなぜ会社の承認事項にするのか。従来は届け出でできた。
 届け出の内容の正しさを担保したい。
 誰が承認するのか。
 所属長とIHSの合議である。
 組合からみると、悪用される懸念がある。
 プロシージャーを検討中であり、明示していく。手続きその他を決めていく。
 復職時の手続
 復職判断が従来は本人と主治医が主体で、会社は許可する立場だったのが、新制度では会社主体になっている。判断基準はなにか。
 本人と主治医が復職できると言っても、基本的には復職判定委員会での判断になる。
 退職事由について
 長期休職期間を使い切って復職した後に欠勤したときに退職となっているが、この「後」の客観的基準はあるか。
 休職期間を満了で、再度、同じ病気で欠勤した場合である。ケースバイケースで判断する。
 プロセスなどのガイドラインが必要ではないか。
 持ち帰り検討する。
 退職金規程について
 勤続年数三年未満で退職すると確定拠出年金(DC)を会社に返還させる根拠は。
 DCの規約をかえる。
 DCの規約変更はどう行うのか。
 過半数代表の賛成で大丈夫である。
 返還させられる根拠はなにか。
 法律上は可能である。拠出金のみ返還となる。
 根拠となる法律を従業員に教えてほしい。
 了解した。

【かいな特別号外】危険な人事施策変更の解説(2面)

危険な人事施策変更の解説

私傷病欠勤と私傷病休職について
 会社は有給の私傷病欠勤と私傷病休職をほとんど無くす大幅な制度変更をします。(下図)
私傷病欠勤と私傷病休職の制度変更(2014.09.22号外)
 会社は健康サポート、復職支援などに力を入れるとしていますが、従来の投資額と新制度の投資額は明らかにしないことから、そのほとんどが利益に回るのではないかと組合は見ています。会社は社員に対して「休業補償保険」をかけているため、新制度になれば、この保険金は丸々会社に残る計算になります。さらに、会社は「一部の休職者には不利だが、大多数の健康な社員には有利になる」と強弁し、休職者を切り捨てる発言をしています。そもそも、会社は現場の過重労働を無くすための取り組みをまず行うべきであり、それ無しに休業補償制度を削減することは、社員にとって万が一の安心を切り捨てることになります。
 また、健保によって支給される傷病手当は18ヶ月未満で復職した場合でも支給期間の時計は止まらないという問題があります。会社は厚労省と交渉するとしていますが、先行きは見えません。

病欠・休職・復職・退職の制度変更
  会社は病欠時、休職時、復職時、および退職時の制度を改訂し、会社の権限を大幅に強化しています。従来は本人と主治医の診断書が主体でしたが、改訂後は所属長とIHS(人事と産業医)が判断を行うようになるため、従業員の立場が弱くなり、安全衛生面での懸念が出ます。
  会社はガイドなどを整備するとしていますが、今後注視していく必要があります。

確定拠出年金制度の変更については従業員代表の判断に注目
 勤続年数3年未満で退職すると確定拠出年金(DC)を会社に返還させるように制度変更されますが、これができる根拠として、会社は確定拠出年金法第3条10項を出しています。確かにこの条文では年金規約を定めれば、拠出額の返還ができることになっていますが、その返還割合は100%と決まっているわけではなく、70%でも50%でもいいですし、3年未満という期間も1年でも2年でもいいのです。
 さらに、返還させることができるのは自己都合退職の場合のみです。今後、会社が自己都合退職の強要をしないよう、しっかりと監視していく必要があります。
 この年金規約改訂には従業員代表の承認が必要です。今回の制度変更では、就業規則のみならず、年金規約の変更もあることを社員のみなさんはしっかりと認識する必要があります。従業員代表がどのような判断をするのか、社員のみなさんは注目してください。

サム・ラダー人事担当証人尋問へ

サム・ラダー人事担当証人尋問へ
   11月17日 14時、東京地裁631号法廷    

 ロックアウト解雇裁判において、いよいよ証人尋問が始まります。その第一番目として裁判所が決定したのが、サム・ラダー人事担当取締役常務執行役員です。裁判所は主尋問・反対尋問合わせて二時間半もの枠をとりました。いかに裁判所が重要視しているかがわかります。日時は十一月十七日十四時から、東京地裁六三一号法廷です。

◇◇ 人事施策が焦点◇◇

 通常の解雇裁判では、個々人の解雇理由について尋問するのが普通ですが、今回、裁判所は、まず日本IBM全体の人事施策を決定する人事担当役員を証人尋問することから始めることを決定しました。これは、裁判所が、突然始まった一連のロックアウト解雇が、IBMの人事施策による可能性があると関心をもっていることを示しています。

◇◇ 高い社会的関心◇◇

 この間の裁判経緯を、下の囲みにて示します。現在、ロックアウト解雇裁判は東京地裁で一次~四次、及び大阪地裁の合計十一人の原告で争われていますが、今回の証人尋問は一次と二次(原告五人)に対するものです。一次・二次裁判は東京地裁で最大の百人が入る一〇三号法廷でこれまで八回にわたって口頭弁論が開かれて来ました。この最大の法廷でさえあふれるほどの傍聴人があり、この裁判の社会的関心が高いことを示しています。裁判官も三人の合議体であり、東京地裁も重要な裁判と位置づけていることがわかります。

◇◇ 裁判を傍聴しよう◇◇

 過去の他の裁判では会社側証人尋問でびっくりするほどの事実が明らかになってきています。是非とも多くの人の傍聴をお願いします。
 証人尋問の結果や裁判の経過については引き続きこの紙面にて報告していきますので、ご期待ください。

裁判経過
2012年10月15日 東京地裁に三人が提訴。司法記者クラブ、厚労省で記者会見。
2012年11月01日 国会で日本IBMのロックアウト解雇が問題に。
2012年11月13日 衆院予算委員会にて再びロックアウト解雇が問題に。
2012年12月21日~2013年06月10日 第1回~4回口頭弁論、103号法廷。
2013年06月20日 東京地裁に二人が追加第二次提訴。
2013年08月22日~2014年02月14日 第一・二次提訴第5回~8回口頭弁論。
2014年04月07日~2014年07月29日 第一・二次提訴弁論準備民事36部。

 

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