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学習しよう 労働者の権利

 

 学習しよう 労働者の権利 

 

憲法が労働者の団結権を保障している意味とその歴史的意義

弁護士 岡田 尚

 

 団結権、団体交渉権、団体行動権(争議権)。憲法に定められた「労働基本権」ですが、この権利は労働組合に加入することで、また労働組合として会社に対して行使するものです。
 なぜこのような権利が労働者側に認められているのか、また労働者は労働法をどう活用すべきか。JMITU日本IBM支部争議弁護団の一員である岡田尚弁護士が月刊『学習の友』2017年4月号に執筆した記事をもとに改めて「学習」していきましょう。
※『学習の友』編集部および岡田尚弁護士の許可を得て転載しています。

居酒屋から始まった労働組合

 憲法28条は、「勤労者の団結する権利及び団体交渉その他の団体行動をする権利は、これを保障する」と定めています。これが労働組合を結成し、使用者と対等に話し合い、要求が受け入れられなかったときにはストライキをする等の権利の源泉です。
 このような権利の保障は、日本国憲法が制定された1946年以前のわが国にはありませんでした。これを労働基本権といい、ここでいう団結権が認められてはじめて労働組合の結成が非合法でなくなったのです。労働力を売り、賃金をもらうことでしか生きていけない労働者にとって、不満と要求はなくなることはありません。仕事が終わって、ビールを飲みながら愚痴をこぼし合う…そんななかから連帯が生まれ、団結が生まれます。それが労働組合結成のはじまりです。
 それをみた資本家たちは「そのまとまりが自分に向かってきたら」と恐くなって、例えば英国では1799年の「団結禁止法」ができました。労働者が団結することはもちろん、話をすることも、説得することも、カネを出すことも、集めることも、全てを禁止されていました。そして、労働者はこうした弾圧に抗してたたかうために、お互い裏切らないことを約し、「兄弟分の契り(ブラザーリング)」を結んだのです。
 労働組合結成、その合法化までに、世界でどれだけの血が流れ、生命と自由の犠牲があったことか。

労働法は「不平等」を定めている

 労働組合結成の歴史をみても、労使関係を大きく左右するのは「力」関係です。働く者の団結の「力」が弱ければ要求は実現しないし、雇用・労働条件を守ることもできません。
 しかし、「力」関係といっても、裸と裸のぶつかり合いではありません。「力」関係において、大きな差がある労使関係を可能な限り対等にするために、憲法の保障のもと労働法があります。
 平等な人と人との間では、何時間働こうと、働いてもらおうと、お互い納得すれば自由に契約できるはずです。しかし、労働基準法32条は「原則1日8時間、週40時間を超えて労働させてはならない」としています(もっとも、時間外労働の上限の規定はありませんので、実際は青天井となっている職場は相当あり、これが現在大きな問題となって議論されているところです)。
 労働組合の権利等を定めた労働組合法は、1条2項で「労働組合がその目的に沿った正当な活動をする限り(例えば刑法に該当するような行為であっても)罰せられない」としています(もちろん暴力等の行使は例外です)。ストライキは外形的・形式的にみれば「会社に対する業務妨害」ですが、これに対しても威力業務妨害罪の刑事責任も損害賠償の民事上の責任も問われません。
また、同法7条2号に「使用者の団体交渉応諾義務」が規定されています。使用者は労働組合の団交申し入れを断ってはいけないのです。一方、労働組合は使用者から話し合いの申し入れがあっても、受けるか断るかを自由に選択できます。そして、使用者が労働組合の結成や活動を妨害すると「支配介入」とみなされ(同3号)、組合員に不利益取扱いをすることも禁じられています(同1号)。

 労働組合法は、使用者に対して「不平等」な取扱いをしているのです。対等にするためにいわば労働者に「下駄を履かせている」のです。

何故、労働者に「下駄を履かせている」のか

 どうして、こんなに労働組合側を有利に取扱っているのでしょうか。近代法が形式的自由・形式的平等を謳ったのに対して、労働者や農民に実質的自由・実質的平等を付与したのが、ワイマール憲法における生存権です。この考えは、日本国憲法25条に引き継がれています。労働法は、この生存権を具体的に確保するために、労働者を階級的従属・人格的従属から解放し、団結権、団体交渉権、争議権(これを「労働基本権三種の神器」といいます)を認めることによって、労使の実質的対等の原則を実現し、そのなかではじめて人間の尊厳が守られると考えたのです。

労働法を我がものにして日常活動の活発化を

 このように厳しい歴史と試練を経て日本国憲法に規定された労働基本権を、現代の私たちが理解し、これを使いこなさなければなりません。権利が法典のなかに眠っていては、絵に描いた餅になってしまいます。権利を守り、発展させるためには「権利のための闘争」(イェーリング)が必要です。まずは、労働者・労働組合に憲法や労働法が認めている権利を知ること、そしてこれらをどう使うかを日常的に考えることが求められます。三種の神器を、使用者からの攻撃に対する防御としてだけではなく、こちらからの攻撃の道具として用いなければなりません。
 組合活動の権利(組合事務所の貸与、掲示板の設置、チェックオフ等)を拡大し、賃金等労働条件についても、使用者が一方的に制定する就業規則ではなく、労使対等で合意した労働協約によって決定することが大事です。労働協約に反する就業規則は無効です。どんな小さなことでも労使合意少なくとも協議を経て決めるということを慣行化させることが重要です。そして、仮に獲得した既得の陣地があっても、すぐに奪いとられる可能性があるということも十分注意する必要があります。
 使用者との間に紛争が発生すれば、その内容によって、労働基準監督署、労働委員会、裁判所等第三者機関の利用も検討することになりますが、その際は、労働関係に詳しい弁護士に相談するのがベターかと思います。
 労働組合は、何より現場の力で決せられます。幹部請負ではなく民主的運営が不可欠です。そして、学習・討議・実践のくり返しを通じることで、団結の力が本物になります。労働者の生活と権利を守り、発展させていくことが、労働組合の責務です。労働組合のあり様は労働者が人間らしく生きられるかどうかを決定付けるものと言えます。

憲法の危機は労働法の危機

 そして、日本国憲法においてもう一つ重要なことは、労働者にこのような権利を与えることが、再び戦争への道を歩まないための最善の保証という考えが根本にあることです。明治憲法下においては労働基本権の保障がなかったが故に「軍部独裁のもと戦争に突っ走ることを阻止する力が労働者になかった」との反省のうえに立っているのです。
 今、安倍内閣の憲法改悪への歩みは急ピッチで進んでいます。憲法の危機は労働法の危機です。労働者・労働組合の権利の後退は戦争への道とつながっていきます。「今、ここに、共に、生きる」私たちは、職場から、地域から、これを阻止するためのたたかいに一緒に起ちあがらなければなりません。

今こそ労働争議を全面解決し、良い労働環境をともにつくりましょう

 

今こそ労働争議を全面解決し、

良い労働環境をともにつくりましょう

 

JMITU(日本金属製造情報通信労働組合) 中央執行委員長 生熊茂実

 日本IBMで働く仲間のみなさん、新入社員のみなさん、毎日のお仕事お疲れさまです。日本IBMの労働組合=JMITU日本アイビーエム支部と力を合わせて、良い労働環境をつくりましょう。
 私は全国組織であるJMITUの中央執行委員長をしていますが、日ごろから日本アイビーエム支部の仲間とともに、日本IBMで働く仲間の雇用と権利をまもるために力を尽くしています。

組合のとりくみ

 マスコミ報道などで有名になったのでご存じのことと思いますが、日本IBMでは日本企業ではほとんど聞いたことがない「ロックアウト解雇」や「大幅な賃金減額」が行われ、それを撤回させるために、JMITU日本アイビーエム支部は2012年から5つの解雇撤回裁判と賃金減額撤回裁判にとりくんできました。企業としての雇用責任を無視して、上司が「業績不良」評価をして退職強要や解雇をする、「基準もはっきりしない評価で大幅賃金減額」、こんなことに納得できない仲間が労働組合と力を合わせて撤回を求めてきました。
 その結果「ロックアウト解雇」については、昨年3月に二つ、今年3月に一つの訴訟で合計6名の仲間全員の解雇は無効という判決が東京地方裁判所で出ました。「賃金減額」については、おととしの11月に、会社は判決一ヶ月前に労働組合側の請求をすべて認めて裁判を終了させました。しかし一年分の減額分しか支払わず、同じことを繰り返したため、やむを得ず新たな裁判をしています。私たちは裁判をやりたくてやっているのではありません。不当なことや納得できないことが強行され、話し合いで解決しようとしても話し合いにならない、そういうなかでやむを得ず裁判や社会に訴える行動をせざるを得なくなりました。

ともに力をあわせて

 今では労働組合の主張が正しかったことが、裁判所の判決という形で明らかになり、また団体交渉のあり方についても中央労働委員会から「謝罪文」掲示の命令が出され、退職強要による「メンタル不全」が労働災害と認定されるなど、日本IBMの人事政策の誤りが公的機関で次々に認定されています。
 私たちは今こそ、解雇撤回・復職、賃金減額撤回、労働組合との誠実な団体交渉など、労使関係を改善する「労働争議の全面解決」を決断するよう、日本IBM経営陣に求めています。
 雇われて働くものと企業経営者との間には大きな力の違いがあります。とりわけ「成果主義」のもとでは、上司が絶対的な力を持っています。解雇や賃金減額に至らなくても、パワハラやセクハラが蔓延します。一人では対応できません。多くの方が労働組合に加入してこそ、自由にものが言える明るい職場にすることができます。全国組織であるJMITUは、日本IBMに働くみなさんにいつも寄り添って、ともにがんばっています。良い会社・良い労働環境をつくるために、ぜひ労働組合に加入し、ともに力を合わせましょう。

GTSで退職勧奨始まる【団交報告】

 

GTSで退職勧奨始まる 【団交報告】

-退職強要によるメンタル疾患は労災-

 

 社員のみなさん、GTSで退職勧奨が始まっています。組合が得た情報では、5月末までに申し出て6月末に退職。退職加算金は7ヶ月~20ヶ月程度が提示されている模様です。

退職強要は許さない

 これに関連した春闘要求がありますのでご紹介します。ある社員が「退職しなければ解雇」と面談で言われた結果、メンタル疾患になり、2015年12月に中央労働基準監督署で「退職強要」を受けたと認定され、労災認定されました。今も休職して治療中です。
 組合はこのことを重く見て、春闘要求で会社に退職強要を行った事実を認めて謝罪することを求めました。
 以下これに関する協議内容をご紹介します。
組合 当該要求に対する回答を説明してほしい。
会社回答 退職勧奨を受けた従業員の精神疾患発症について、中央労働基準監督署が労災として認定したことは、会社として確認しています。会社は、事実関係を把握し、許容される範囲内での退職勧奨であったと考えられるものの、上司の話の中に一部不適切な表現があったことも事実であり、監督署にもその旨を報告しています。会社は、以後不適切な表現がなされることのないよう、退職勧奨時のコミュニケーションについて管理職層を指導することで再発防止に努めていきます。

退職強要があったと認めようとしない会社

 労基署は明確に「退職強要」だと判断した。会社は「許容される範囲内での退職勧奨」と言っているが、それは違う。退職強要は許されない。やった人は処罰されるべきだ。
 会社としては許容される範囲内と考えて実施した旨、労基署に報告した。
 第三者機関がそうではないと判断した。しかも理事がやった。会社の言う利益代表者だ。どう考えるのか。
 その件に関しては重く受け止めている。不適切なマネジャーの行いがあれば当然正していくし、他のラインに波及しないように再発防止に努めていく。
 今回の事件について会社は退職強要を行った事実を認めるのか。
 退職強要を行った事実は認めていない。
 それはおかしい。
 不適切な言動があったことは認めている。
 労基署はもうひとつ、繰り返し面談を行ったことが退職強要だと明確に書いてある。この社員が未だに出勤できない状態であることを鑑みれば、この回答ではだめた。
 会社はこの案件については結果を受け止め、それに基づいて再発防止をしている。

会社の再発防止説明に説得力なし

 上長が行った言動が退職強要にあたらないという、労基署の判断とは違った認識において、いくら再発防止に努めていると言っても説得力はない。労基署で認定したこういう言動や、繰り返し面接を強いるということが退職強要にあたるんだという反省のもとに、こういうことはやってはいけないということを管理職層に徹底しないと同じことが繰り返される。
 不適切という部分のポイントはフォーカスしている。
 何か文書は出したのか。
 HRパートナー経由でのコミュニケーション。
 具体的な文書があるのであれば、きちんと説明してほしい。
 内部向けの資料の場合は開示できないものもある。

情報開示と労使の協力体制が再発防止に必要

 労働災害をなくしていくというのは、厚生労働省も、労使の協力体制なしにはあり得ないといっている。
会社がどういう形で再発防止のために管理職層を指導したのか、労働組合に会社として率先して開示し、全従業員にも呼びかけていくことが大事だ。
 全従業員、全マネジャーに対してこういったハラスメントのみならず長時間勤務などを含めて徹底していく必要があると考えている。
 今回の件は具体的に労災として認定されたわけだから、会社の考え方を従業員にもオープンにし、全従業員の協力のもとに労災をゼロにしていく。そのために努力してほしい。
 それはもちろんやっていく。
 今回のケースについて当該のマネジャーに対する処分は行われたのか。
 適切な指導・再教育・組織での徹底については会社として適切に行った。
 団体交渉で虚偽の報告をした。
 マネジャーが嘘をついていたということになれば、厳正な処罰になる。

しつこい退職勧奨やパワハラは組合に相談を

 断っても何度も何度も退職勧奨を続けたり、面談の中で脅迫的な言葉を使うのは「退職強要」となり違法です。あるいは「あなたの仕事はこの部門には無いから、自分で他の部門の仕事を探せ」というのはパワーハラスメントにあたります。こんな目にあったら我慢せず、すぐに組合に相談してください。

日本IBMロックアウト解雇無効確定

 

日本IBMロックアウト解雇無効確定

― 第4次解雇裁判 会社控訴せず ―

会社は原告を直ちに職場に戻し

争議の全面解決を決断せよ

 

2017年3月8日、東京地方裁判所は、ロックアウト解雇第4次裁判に関して、会社が行ったロックアウト解雇を違法無効として、原告組合員の地位確認と賃金支払いを命じました。会社は東京高裁への控訴をしなかったため、地裁判決が確定しました。会社はただちに原告組合員を職場に戻すべきです。

今回の会社敗訴確定は、団交拒否事件での不当労働行為救済命令の確定、賃金減額事件での請求認諾、ロックアウト解雇第1次・2次裁判全面敗訴に続くもので、会社の労務人事施策の誤りと破綻は明らかです。現在係争中のすべてのロックアウト解雇事件及び賃金減額事件についても、先行した裁判と事件の本質・背景は同様です。会社は、司法による断罪によって社会的信頼を失墜させるという愚行を繰り返すことをやめ、争議の全面解決を決断するとともに、憲法や労働法制を遵守し、労働者の雇用と基本的人権を尊重する労務政策へと根本的に転換すべきです。

第4次ロックアウト解雇 全面勝利判決!

 

第4次ロックアウト解雇

全面勝利判決!

 

 

 2017年3月8日、東京地裁は第4次ロックアウト解雇裁判原告(1人)に対し、解雇無効、社員としての地位を認め、解雇日に遡って現在までの賃金を支払うよう命令しました。第4次の原告は14年3月に解雇され、同年7月に提訴していました。

ロックアウト解雇裁判

 2012年7月に始まったロックアウト解雇。裁判提訴は第1次から第5次まであり、合計11人が 原告となっています。
 昨年3月の第1次・第2次(5人)の全面勝利判決に続き、今回で6人目の勝訴となります。
 現在、第1次・第2次裁判は高裁で争われています。また、第3次・第5次あわせて5人の原告も勝利を確信して引き続きたたかっています。

第4次裁判の争点

 会社は解雇理由を個人の業績不良だとしていましたが、組合側は明らかな人員削減の一環での解雇だと主張。いわゆる「整理解雇の4要件」を満たせない会社が業績不良という口実をでっちあげて解雇したと批判してきました。
 裁判所は「組織的なものとして人員削減を行っていたことは認められる」と認定。さらに「業務に重大な回復困難な支障や損失を与えるものであったとまでは認められない」とし、解雇は、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当といえないから、権利乱用として無効だとしました。

「勇気を出して」と原告

 記者会見では日本IBM支部弁護団より「判決はささいな点を認めたが、それだけでは解雇できないとした点が日本の雇用を守る判決だ」と評価し、「現在の状況から、原告の職場復帰を強く求めていきたい」と語りました。
 原告からは「勇気を奮って組合に入れば道は開ける」と力強いメッセージが発せられました。

厚労省で記者会見する弁護団とJMITU代表

声明 日本IBMのロックアウト解雇、三たび断罪!

 

声   明

日本IBMのロックアウト解雇、三たび断罪!

 

2017年3月8日                 JMITU(日本金属製造情報通信労働組合)

JMITU 日本アイビーエム支部

IBMロックアウト解雇事件弁護団

  1.  東京地裁民事第11部(佐々木宗啓裁判長)は、本日、日本IBMのしたロックアウト解雇を無効として、原告(1名)につき地位確認及び賃金支払いを命ずる原告全面勝訴の判決を言い渡した。東京地裁は、我が国の解雇規制法理を無視した日本IBMの乱暴な解雇を断罪したものである。
  2.  日本IBMは、2012年7月以降、ロックアウト解雇を開始した。それ以前会社は、2008年末以降、執拗な退職勧奨によって1300人もの労働者を退職させていたが、業績不良を理由とする解雇は一切行っていなかった。ところが、2012年に米国本社から派遣された外国人社長が就任した直後から本件と同様のロックアウト解雇が連発されたのである。
     2012年7月~10月にかけて11名、2013年5月~6月に15名、2014年3月に4名、2015年3月~4月に5名の組合員を解雇した。これ以外に非組合員15名も解雇通告されている。本件4次訴訟の原告は2014年3月に解雇された組合員であるが、他にも10名の解雇された組合員が地位確認訴訟を提起しており、そのうち1次・2次訴訟(原告合計5名)については昨年3月28日に東京地裁が原告全員勝訴の判決を下し、現在東京高裁に係属している。日本IBMのロックアウト解雇は、今回の東京地裁判決によって三たび断罪されたことになる。
  3.  本件解雇を含む日本IBMのロックアウト解雇の特徴は、第1に、原告ら被解雇者が長年にわたり日本IBMに勤続してきた労働者であり、会社が主張するような業績不良や改善見込みがないなどという事実はないにもかかわらず、人員削減と労働者の「新陳代謝」を図るために、業績不良という口実をでっちあげて解雇したものであることである。被解雇通告者に交付した解雇理由書に一律に「業績が低い状態にあり、改善の見込みがない」なる抽象的な理由が同一文言で記載されているのみであったことはこのことを裏付けている。
     第2に、20年以上勤務してきた原告らを突然呼び出して解雇を通告し、その直後に同僚に挨拶をする間も与えずに社外に追い出す(ロックアウト)という乱暴な態様のものであることである。第3に、2012年7月以降の日本IBM全体の被解雇通告者は50名にのぼるが、そのうち解雇通告当時、組合員であった者が34名であり、まさに組合員を狙い撃ちしたものであり、これはリストラに反対してきた労働組合の弱体化を狙って実施された解雇であることである。本件ロックアウト解雇は、まさに米国流の「解雇自由」に基づくIBMによる日本の解雇規制法理に対する挑戦であった。
  4.  東京地裁は、解雇の有効性について、原告に業績不良があるとしたが、「被告ないし所属部署の業務に重大なあるいは回復困難な支障ないし損失を与えるものであったとはいえない」「PBC評価は相対的な評価であるところ、直近の評価は3で一番下ではない」「他の部門ないし部署への配置転換による社内での処遇が困難であったと認められない」などからすれば、「原告の執務上の対応の不適切さが解雇を検討すべきほどまでに重大な程度に至っているとは認めがたく、今一度その適性にあった職への配置転換や業務上の措置を講ずることを検討すべきであった」として、「本件解雇は、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であるとは認められないから、権利濫用として無効というべきである」と断じた。IBMによる日本の解雇規制法理への攻撃を退けた点において高く評価できるものである。
     他方、東京地裁は、原告が解雇に不安を感じて組合に加入したのであり、その後の解雇は組合員を対象に解雇を行ったという理由でなされたとはいえないとして、不当労働行為性を否定した。この点は不十分な判断である。
  5.  解雇訴訟については、上記の1次・2次訴訟のほか、3次訴訟について現在和解協議が行われている。そして、本日の4次訴訟勝訴判決により、一連のロックアウト解雇が無効であることが改めて明らかになった。また、労働者に対する大幅な賃金減額を争った1次訴訟において、日本IBMは2015年11月に極めて異例の請求認諾をし、現在闘われている賃金減額2次訴訟でも和解に向けた協議が始まっている。
     我々は、日本IBMに対し、本件4次訴訟の控訴を断念し、直ちに解雇を撤回して原告を復職させるよう強く要求するとともに、5次を含む一連のロックアウト解雇訴訟、賃金減額2次訴訟、都労委での不当労働行為救済申立事件の全面解決を、強く求めるものである。

以上

春闘要求提出!【団交報告】

 

春闘要求提出!【団交報告】

-大幅賃上げでくらしを元気に-

 

 2017年2月22日、組合は会社と団体交渉を持ち、17春闘要求を提出しました。他のJMITU147支部分会も同時に提出しました。組合が提出したのは24ページからなる当支部独自の要求書に加え「JMITU統一要求書」と「継続雇用者の賃金・処遇改善の統一要求書」です。以下に特徴的な要求内容をお伝えします。

労使関係を正常化せよ

 まずは争議の全面解決を要求しました。ロックアウト解雇裁判、賃金減額裁判、「退職しないと解雇だ」と退職強要して労災認定された事実、さらに東京都労働委員会で争われている不当労働行為の申立をすべて解決し、労使関係を正常化することを要求しました。

4月1日に賃上げせよ

 「春になったら賃金が上がる」というのが日本の習慣です。このことを大事にし、昨年度に9月1日付へと変更した賃上げ日を4月1日付に戻すことをまず要求しました。
 その上で、日本企業ではあたりまえに行われている「ベースアップ」つまり誰でも昇給する賃金水準自体の底上げの重要性を強調し、アンケート結果を反映した4万円の賃上げを要求しました。
 また、賃金減額をしないことや、すべての契約社員・臨時雇用者・派遣労働者も賃上げすること、さらに日本IBMで働くすべての労働者の賃金を組合が要求する年齢別保障給(下グラフ参照)以上とすることを要求しました。
 近年は会社の賃上げがますます不透明になっています。ご自身の本給とグラフを比べてどうでしょうか。もし下回っているようでしたらぜひ組合にご相談ください。

 

夏のボーナスでは個人業績率を示せ

 すでにお伝えした通り今年のボーナスは支給額がますます不透明になることが予想されます。
 特に個人業績率が所属長によって一方的に決められてしまう恐れがあるため、組合は少なくとも個々人の業績率を開示して協議に応じるよう要求しました。

働き方に関する要求

 電通の自殺事件を受け、社会的にも働き方への関心が高まっています。組合は以下の5項目を要求しました。
1.ILCと稼働率に関しては、過大な稼働率目標の設定をやめ、さらにILCの過少申告を助長する現在の状況を改めること。
2.勤務時間管理は自己申告制ではなく客観的な記録方法によること。
3.祝休日・深夜のライン管理職から部下へのメール発信を禁止すること。
4.勤務間インターバル制度を導入すること。
5.36協定を見直し、過労死ラインになっている特別条項を廃止すること。

団結こそが要求実現のカギ

 まだまだ多数の要求事項がありますがご紹介しきれません。会社回答は3月8日の予定です。
 前号でもお伝えした通り労働者の団結こそが要求実現のカギです。皆さんの組合加入をお待ちしています。

相次ぎ和解勧告 裁判所

 

相次ぎ和解勧告  裁判所 

 

 2017年2月15日に東京高裁809号法廷で、第2次ロックアウト解雇裁判控訴審の口頭弁論がありました。双方が提出した書面を陳述した後、裁判長から職権で和解勧告があり、別室での和解協議に移りました。今後は和解交渉を進めていきます。
 2月17日には東京地裁527号法廷で第2次賃金減額裁判の口頭弁論がありました。こちらは口頭弁論と和解協議が並行して進んでいます。第1次賃金減額裁判と同じ裁判長が担当しています。この裁判では「会社の認諾で全て終わったと思ったのになぜこの裁判が起きたのだ?なぜ賃金を元に戻さないんだ?」と裁判長が疑問に思っています。現在、組合が和解条件を提出し、会社の回答待ちになっています。
 第1次ロックアウト解雇裁判控訴審は3月7日結審予定です。
 第3次ロックアウト解雇裁判は3月14日判決予定ですが、こちらも別途、和解協議が進んでいます。
 第4次ロックアウト解雇裁判は3月8日に判決予定です。
 第5次ロックアウト解雇裁判も3月9日に証人尋問を予定しています。

 組合は会社に対して争議の全面解決を求めていきます。

 

 

こうすれば賃上げできる!

 

こうすれば賃上げできる!

 -お手盛り賃金から脱出しよう-

 

 社員の皆さん、前号でお知らせしたように賞与の算出方法がますます不透明になっています。昇給制度についてもますます不透明になることが予想されます。
 こんな「お手盛り賞与」「お手盛り昇給」では、私たち労働者はたまりません。改めて「賃金とは何か?」という労働組合の考え方をQ&A形式でまとめました。ご一緒に考えてみましょう。

Q.「賃金」とは何か?
A.「賃金」とは労働者がもつ「労働力」の価格
 「賃金」とは、「労働力」の価格のことです。わたしたちは、「働く能力」=「労働力」を売ることによって、お金を手に入れます。つまり、賃金の本質は、「労働力」という商品の価格です。

Q.「労働力」商品の価値はどう決まるのか?
A.労働力の価値は労働者とその家族の生活費で決まる
 「労働力」商品の価値の大きさは、他の商品と同様、それを再生産するための費用によって決まります。
 「労働力」は、労働者が働くことによって消費されます。労働者は明日も同じように働けるように労働力を再生させる必要があります。
 労働力の価格(価値)=賃金の大きさは、労働力を再生産するための費用がどれくらいかで決まります。言い換えると、労働者とその家族が、社会的平均的な生活を営むために必要な「生活費」で決まるのです。
 その内容を分析すると、
①労働者本人の生活費。単に生理的な要求を満たせばよいというだけでなく、その社会における健康で文化的な生活水準を満たすものでなければなりません。
②家族の生活費。生産を維持し続けるためには世代交代も必要です。そのためには、結婚し、こどもをつくり一人前の労働者として育てるための生活費が必要です。
③労働力を養成するための教育・訓練の費用も必要です。

Q.なぜまともな賃金にならないのか?
A.「労働力」商品は価値以下に切り下げられる傾向があります
 第一に、労働者が生きていくためには常に労働力商品を売り続ける必要があります。ストックできません。
 第二に、現代社会では労働力商品はつねに供給過剰の状態となっています。非正規雇用の増大によっても労働者の賃金はどんどん切り下げられています。

Q.低賃金でがまんするしかないのか?
A.団結してたたかえば労働力の価値に近づけることは可能です
 わたしたちが価値に見合った賃金を要求することは、何も身勝手な要求ではなく「労働力という商品を適切な価格で買ってください」と言っているだけであり、正当で当たり前の要求です。会社を実際に動かしているのは私たち労働者です。労働者が働かなくなったら生産も営業も止まってしまいます。これを利用し、みんなで力をあわせ声をあげれば「賃金」をその価値どおりの価格へ近づけることは可能です。これが労働組合の賃金闘争なのです。

労働局が会社に立入指導

 

労働局が会社に立入指導

 シニア契約社員の週3日勤務強要は不適切

 2017年1月26日に東京労働局の雇用指導官2名がシニア契約社員の件で会社に立入指導していたことがわかりました。
 会社はシニア契約社員に「仕事が無い」という理由で週3日勤務を強要していました。本人が望まないのに週3日勤務となれば、給与の手取りが4万円台となってしまい、とても生活できません。
 「高年齢者雇用確保措置の実施及び運用に関する指針」によれば、「継続雇用制度を導入する場合における継続雇用後の賃金については、継続雇用されている高年齢者の就業の実態、生活の安定等を考慮し、適切なものとなるよう努めること」と記されています。

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