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冬ボーナス大手平均95万6千円 日本IBM平均84万6千円

大手企業の夏までの推移(時事ドットコムニュースより)

 11月16日に経団連より発表された今年の冬ボーナスにおける大手企業妥結状況を見ると、75社の平均は95万6千円で、昨年末と比べて約3.5%増加。左図は夏ボーナスまでの推移ですが、今夏の95万3千円からさらに上積みしてきていることがわかります。
 その一方で日本IBMのバンド7以下での全社平均支給額は84万6千円(組合推定)と、大手平均よりもなんと11万円も低い水準になっています。

原因のひとつはGDP

 日本IBMの業績は経団連の大手各社とさほど変わらず好調です。なのに、なぜ大手各社に比べてボーナスが低いのでしょうか。
 その原因のひとつはGDPです。2007年末に発表されたGDPは、それまでのパフォーマンス・ボーナスに変わるものという説明で導入されました(下図)。

GDP発表時の「年収基準額」から「Reference Salary」へ移行説明図

 それまでの各社員の「年収基準額」を5.5%減じてそれをGDPの原資とし、もとの年収基準額の94.5%を新たにリファレンス・サラリーとして定義し直したのです。
 会社説明では「リファレンスサラリーの6%を基準とするGDPを支給しますので、基準額ベースの年間総支払額は従来と同等以上となります」というものでした。
 しかし実態は、今年のGDPは平均0.5%(組合推定)しか支払われていません。これは金額に直すと半年で約2万円です。もし「基準」通り6%支払われれば、半年で21万円(組合推定)になり、余裕で大手平均を上回ります。
 組合は賃金抑制の実態をここに明らかにし、会社にGDPの約束どおりの支払いを求めていきます。

働き方改革法産業医のあり方にメス

-労働安全衛生法の改正について-

 働き方改革関連法は残業時間の罰則付き制限や休暇取得の義務化など、労働基準法の改正が大きな関心を集めていますが、実は労働安全衛生法についても改正されています。
 そのひとつが産業医に関してのものです。産業医といえば、昨今では「ブラック産業医」という言葉が流行っており、例えば精神科医でもない産業医に統合失調症と「診断」され、復職を認められずに会社を辞めさせられた、などの事例はインターネット上に数多く見ることができます。
 それを受け、働き方改革における労働安全衛生法の改正では特に産業医の独立性・中立性に重点が置かれています。以下にその内容を紹介します。

産業医とは

 そもそも「産業医」とはいわゆるお医者さんではありません。産業医は病気の診断や治療をしません。すなわち、産業医は、「診察」という行為を行いません。
 産業医は「診察」ではなく、従業員の健康状態や業務への適性を評価する「面接」を行います。その中で、
・病気の疑いで治療が必要か否か
・就労が可能か否か
・労働時間の制限や配慮の必要性はあるか
などを評価し、医学的見地から、中立な立場で、事業者に勧告するのが産業医の仕事なのです。
 この観点で、働き方改革関連法の成立を受け平成30年9月7日に厚生労働省労働基準局長より発行された、基発0907第2号を見てみましょう。

産業医は独立・中立でなければならない

 この労働安全衛生法施行規則では「産業医等が産業医学の専門的立場から労働者一人ひとりの健康確保のために、より一層効果的な活動を行いやすい環境を整備するため、産業医の在り方の見直しを行ったものである」としています。
 産業医が産業医学の専門的立場から、独立性・中立性をもってその職務を行うことができるように、「産業医は、労働者の健康管理を行うのに必要な医学に関する知識に基づいて、誠実にその職務を行わなければならない」とされています。
 すなわち「会社の立場」ではなく、あくまでも「産業医学の専門的立場」から「独立性・中立性」をもって「誠実に」その職務を行なわなければならないというのが最も重要なポイントです。

産業医は能力の向上に努めなければならない

 またブラック産業医が社会問題になっていることを受け、「産業医は、労働者の健康管理等を行うに当たって必要な医学に関する知識及び能力の維持向上に努めなければならない」とその責任を改めて明確にしています。

産業医が辞任・解任された時は報告しなければならない

 産業医の身分の安定性を担保し、その職務の遂行の独立性・中立性を高める観点から「事業者は、産業医が辞任したとき又は産業医を解任したときは、遅滞なく、その旨及びその理由を衛生委員会等に報告しなければならない」とされました。

面接指導を受けるかどうかを判断する主体は労働者本人

 上記で解説したように、産業医の主な仕事が面接指導です。この面接指導の本来の目的は過労死などの労災を未然に防ぐことですので、「休憩時間を除き1週間当たり40時間を超えて労働させた場合におけるその超えた時間が1月当たり80時間を超え、かつ、疲労の蓄積が認められる者」が面接指導の対象となる労働者の要件となっています。
 また、産業医が面接指導の対象者を見つけ出せるよう、事業者は「1月当たり80時間を超えた労働者に対し、速やかに、当該労働者に係る当該超えた時間に関する情報を通知しなければならない」とされています。
 ただし、面接指導についても強制的に会社の産業医による面接指導でなければならない、とはなっていません。すなわち、「面接指導を行うに当たっては、当該要件に該当する労働者の申出により行うものであること」を明確にしています。
 つまり、あくまでも面接をするかどうかを判断する主体は労働者本人であるということです。産業医はあくまでも呼びかけまでです。労働者が事業者の指定した産業医による面接指導を希望しない場合は、他の医師による面接指導を受け、その結果を事業者に提出することができます。

従業員代表選挙

 組合推薦候補に投票を

 11月5日、36協定及びその他の協定締結のため従業員代表選挙が公示されました。会社はこれまで「年一回の昇給を給与調整に変更」したり、社員から絶大な支持のあった「借り上げ社宅の廃止」、「賞与の算定期間の切り捨て」「私傷病休職を有給から傷病手当金へ変更」など労働条件の改悪をやりたい放題でした。
 それにもかかわらず、これまで選出された従業員代表は、従業員の意見の聞きとりすら行わず、会社のいうままに賛成し署名してきました。こんなことでは、労働条件や福利厚生の現状維持すらできません。
 今年、厚生労働省労働基準局長は、基発0907第1号において、「労働基準法の規定に基づき労働者の過半数を代表する者を選出するに当たっては、使用者側が指名するなど不適切な取扱いがみられるところである。このため、過半数代表者の要件として、使用者の意向に基づき選出されたものでないこと」を施行規則において明記しました。会社が介入すると、労働基準法違反なります。
 趣意書では、法定休日に労働した場合は、振替休日を取得させること、さらに裁量勤務手当ではトヨタ自動車が17万円、東芝が約14万円など、10万円を超える大手企業水準を考慮し、バンド6、バンド7それぞれで引き上げた協定を締結します。
 組合推薦候補は、社員のみなさんを裏切りません。組合推薦候補への投票をお願いします。

 

客先常駐で長時間労働を改善

-アイエスビー支部の取り組み-

ISB支部執行委員長 小泉隆一

 

 ISB支部では日本IBMの職場実態を悪い事例として用いて意識改革をした結果、素晴らしい成果を上げました。以下、小泉委員長からいただいた取組内容を掲載します。

36協定上限規制時間を大幅に短縮する労使協定を締結

 2016年、ISB支部は、『労働者の健康に重大な影響をもたらす異常な長時間労働を職場から一掃すること』を目的に、これまでの36協定上限規制時間を大幅に短縮する労使協定を締結しました。
 ISB支部では支部発足以来、長時間労働を問題視し、毎年会社に是正を求めてきたことが実を結んできました。
 これまで段階的に上限規制を強化し、特別協定に本人合意と組合同意を前提とすることを制度化してきました。
 会社は組合が届けた現場の声を改善点に加え、
・合理的な開発期間を確保する契約
・仕様変更を期間延長無しに受け入れてしまう交渉見直し
・要求仕様の集団把握
・Pj(プロジェクト)管理と要員管理の強化を実践し、労使で点検することを繰り返しました。
 さらに品質保証推進部を立ち上げPj管理の多重化を行い、問題Pj発生の際には、当事者だけに任せず、追加要員投入などPj採算を顧みない健康管理も行いました。
 こうした経験を通じて、不採算で経営を圧迫しない様、問題Pjの発生を抑止する施策が経営の重要なテーマとなり、長時間労働の改善(時短)に結び付くサイクルが形成されていきました。
 2015年「過労死・過労自死事件」の多発に世論が大きく動きだしました。厚生労働省も、労働局、労働基準監督署に過重労働撲滅特別対策班(通称「かとく」)を設置し、長時間労働の摘発に乗り出すなど社会に大きな変化が生まれました。
 経営者にも労働者にも「時短」への意識の高まりが生まれてきたこの年、組合は過労死ライン80時間を超える36協定を是正すべき課題として要求。会社が上限を検討する猶予期間を1年間認めた上で、16年には同一内容での協定は締結しない旨を宣言しました。
 16年、組合と会社は、「特別協定月35時間(年6回限度)、月80時間、年570時間」とすることに合意しました。
 この他、連続長時間勤務による労働災害を防止する観点から、インターバル確保と、明休取得を促進することを確認しました。
 インターバル確保では、終業から始業まで8時間以上の無就業時間の確保を義務付ける試験運用を開始。欧州では11時間以上のインターバルが常識となっており、8時間では健康管理には不十分です。
 これを補う為、眠りの浅い職場での仮眠や深夜タクシー帰宅に変え、実睡眠時間を確保することを可能とする職場最寄りのホテル・宿泊施設の会社経費での利用を可とする対応を取り入れました。
 加えて、徹夜残業となった場合、明休の取得を原則とし、24時間を超えて労働させることが無いよう管理強化をしました。

時短を定着させる3つの改革

 時短を定着させる為に
「管理職の意識改革」
「顧客の理解促進」
「労働者の意識改革」
の3つの改革を柱として労使の共通認識としました 。
 管理職の意識改革として、管理職マニュアルを更新。36協定を遵守し違反した場合の刑罰を確認。総括安全衛生委員会では過労死、過労自死事件、これによる企業の社会的信用の失墜事例を紹介しました。
 さらに月初に計画する全従業員の月間就業予定のチェック。月中2回、実態把握と月末までの時間外労働予測時間を計算し、違反の可能性のある従業員の業務調整等、事前対策を講ずるよう管理職に通知する仕組みを定着させました。
 顧客の理解促進では、営業と部長職が全ての顧客をめぐり、理解と協力を要請しました。大方の顧客が「時短」を共通認識とし、職場での取り組みを交換する場になりました。
 「時短」に理解を頂けない顧客には取引の見直しも視野に入れた覚悟を持った取り組みを行うとの会社見解が示されました。
 労働者の意識改革では、社内報で説明を行い、支部は、機関紙「プチなび」で「考察『時間外労働』」として4回にわたり長時間労働是正を報道しました。
①日本IBMにおけるサービス残業について
②時間外労働の算出方法
③会社で発生したある部門のある課長職によるサービス残業強要の告発
④労働法制、電通の過労死事件、二方面のたたかい
 こうした取り組みで、時間外労働が大幅に減少し、そればかりでなく問題Pjの発生も減少させることに成功しました。

第3次賃金減額裁判提訴

日本IBM、ISC-Jを相手取り

 2018年10月12日、組合員11名が日本IBMとISCーJを相手取り請求総額約三千万円の第3次賃金減額裁判を提訴しました。(写真は厚生労働省での記者会見の模様)

賃金減額裁判の経緯

 会社は、給与規定を2006年に「昇給」から「給与調整」に変更し、さらに2010年に減給できるように変更。これを根拠にこれまで給与減額を実施してきました。
 これに対し組合側は「労働条件は、労使対等で決定され、一旦成立した労働契約の変更は一方的にはできないのが原則であり法律に違反している」と主張し1次、2次の賃金減額裁判を起こしてきました。
 会社は2次の減額裁判で賃金減額措置を撤回し、減額前の賃金に戻すと同時に、減額前後の差額賃金及び遅延損害金を支払うことを骨子とする内容で組合と和解。それにも関わらず賃金減額の制度を継続しています。会社は、現在の給与制度自体を維持するために裁判を起こした原告にだけ和解し、制度を維持し続けられる選択をしたのです。

賃金減額の本質

 会社は一方的な判断で不要と判断した社員に対して減額通知を言い渡し、賃金減額を断行してきました。さらに仕事も与えず窓際に追いやり、低パフォーマンスを理由に何度もこの減額を繰り返し、会社を辞めるまで社員を兵糧攻めにするのが常套手段です。
 会社は毎年のように減額幅を変え、評価による給与の減額を合法的にできる範囲はどこなのかということを探っているというのが本音です。
 日本の社会においてあまりにも無謀で挑戦的なこの会社のやり方を我々は許しません。裁判でこの蛮行を阻止し、正常な労使関係に戻すのが目的です。

第3次賃金減額裁判に参加しよう

 今回の3次裁判は2012年、2013年、2016年からの減額者が含まれています。他の外資系ITの会社を見ても定期的にこれほど大規模な減額措置を実施している会社はありません。
 稼ぎが悪くなったからと言って賃金を制限なく減額し続けてしまう今の制度自体に問題があります。すべてが本社の指示であり労使関係も米国流です。逆に、不満があれば主張をし、主張しなければ受けいれたと判断されるのも米国流です。米国流なら言論の自由を守るべきです。
 賃金減額に「しょうがない」とあきらめず、組合の進める裁判で自己の思いを述べてみてはどうでしょうか。減額された対象者は、かなりの数がいると思われます。追加で原告団に参加される方がいれば、よろこんで受けいれます。

ハラスメントをなくせ

 秋闘2次要求を提出

 秋闘1次要求に続き、10月24日に秋闘2次要求を提出しました。統一要求中心の1次要求に対し、2次要求では日本IBM固有の様々な要求が含まれています。
 全23ページからなる多種多様な要求を含む要求書の中から、今回はハラスメントに対する要求をご紹介します。

パワハラの中止要求

 2015年12月1日に、中央労働基準監督署から「退職しないと解雇だ」と言われてうつ病になった従業員が労災認定を受けた事実を重く見て、今後、このようなパワハラによる労災が発生しないよう再発防止策を策定し、発表することを要求しました。
 さらに「あなたにやってもらう仕事はないから自分で異動先を探すか退職せよ」というパワハラが横行している点を指摘し、会社はこのようなパワハラを直ちに止めることを要求しました。

違法行為者の処分要求

 労災認定・パワーハラスメント・セクシャルハラスメント・マタニティーハラスメント・パタニティーハラスメント・障がい者虐待・不当労働行為などが第三者機関で認定された場合、あるいは解雇無効判決や退職強要判決が出た場合、これらの違法行為に関わったラインマネジャー・経営層・人事担当を処分することを要求しました。

退職強要の中止要求

 恫喝、高圧的発言、職場いじめ、などによって、
・退職強要すること
・労働者が自主退職を申し出るように仕向けること、を直ちに止めるよう要求しました。
 また、退職を断った労働者に対してその後のPIP(業績改善プログラム)、賃金減額、仕事はずし、解雇は一切行わないことを要求しました。

PIP廃止の要求

 PIPは「業績改善」とは名ばかりで、労働条件の不利益変更の口実をつくるためのプログラムであることは明らかです。このようなプログラムは直ちに廃止することを要求しました。

RAに関する要求

 RA(特別セカンドキャリアプログラム)の実施にあたっては、その実施内容を組合と事前協議し、合意のもとで実施することを要求しました。

セクハラ調査の要求

 組合と会社双方の代表者から構成されるセクハラ調査委員会を設置することを要求しました。

人員再配置の要求

 業務の海外移管により、職場を失い、また永年培ってきたスキルを活かせない社員もいます。当該社員については本人の意向を十分尊重した上、新職場の提示・確保と必要十分な研修を実施することを要求しました。

要員補充の要求

 コールセンターやカスタマー・エンジニア等のサポート部門(例.ソフトウェア・サポートやCE)の慢性的な長時間労働を解消することを要求しました。

法律教育の要求

 日本の弁護士資格を持たない法律顧問や、米IBMからのアサイニーに対し日本の労働に関わる法律、慣習等を教育し理解させ日本の法律を遵守させることを要求しました。

2019年度組合活動方針

争議解決をステップに組織拡大しよう
第3次賃金減額裁判に勝利しよう!

 9月29日、中央区のブーケ21において、日本IBM支部の第65回全国大会が開催され、この一年の活動総括と今後の活動方針を討議しました。今年度は、組合設立60周年にあたります。決意を新たに新体制で取り組むことを確認しました。ここに各人の今年度の活動に向けた抱負をご紹介します。

委員長 大岡 義久
 労働者は使用者に対しとても弱い存在です。団結の力を示してたたかい続けることで権利救済を図ります。特に賃金減額裁判については、完全勝利を目指します。

副委員長 河本 公彦
 地方の発展に貢献していきたいと思っています。

副委員長 藤井 克己
 会社の違法行為の追及を続けていきます。

書記長 杉野 憲作
 社員の分断を許さず団結をすすめ、雇用と暮らし、権利を守るため全力でがんばります。

中央執行委員 安田 和
 理不尽なことの多い職場ですが、自分にできることを続けて、少しでも改善できればと思います。

中央執行委員 板倉 浩
 会社が言ってきたら「そういうものだ」という意識を持たず、少しは考えることができるよう様々な情報発信をしていきたいです。

中央執行委員 神谷 昌平
 現在いる職場を中心に個人を尊重した働きやすい話しやすい環境を形成し、ひいては会社労働環境及び賃金の向上に努めていきたいです。

中央執行委員 吉岡 真紀子
 障がい者の地位向上と女性の活躍推進をがんばりたいです。

中央執行委員 高橋 英知
 会社の理不尽な攻撃を受けた人たちを助ける活動をやっていきたいです。

中央執行委員 三浦 裕之
 パワハラに対して徹底的にたたかう姿勢を貫き、非正規の問題にも目を向けていきたいです。

中央執行委員 森谷 俊之
 ハラスメントの温床になっているPIPの理不尽さを社会に訴え、そして第3次賃金減額裁判をがんばりたいです。

中央執行委員 佐久間 康晴
 TSS部門は闇が深く、様々なハラスメントが蔓延しています。8月の大量出向についても「出向」とは言わずに「組織変更」と言っている状況です。今後、非組合員が大量転籍させられないよう監視していきたいと思います。

賃金決定の主導権を取ろう 団交報告

-Compensation Essentialsから-

 コンペンセーション・エッセンシャルズという研修を受けましたか?これは全世界のIBMの賃金の考え方を解説したものです。英語ですが、基本的な考え方は日本IBMにもすでに適用され、運用されています。非常に重要なメッセージが含まれていますので解説します。

おとなしいと損

 一般的に、賃金決定には3つの原則がなければなりません。客観性・透明性・公平性です。これらが無いと必ず従業員に不満が出るからです。ところが日本IBMの状況はどうでしょうか。ほとんど闇の中で決められ、まったく分かりません。
 しかしこの研修では賃金の透明性についてのIBMの考え方を左上表(組合にて翻訳)のように説明しています。所属長はあなたの仕事の給与レンジを説明し、あなたの給与はそのどこに位置しているのか説明しなければなりません。あなたにはその説明を受け、徹底的に話し合う権利があります。
 おとなしいと損です。今からでも遅くありません。9月の給与調整結果について所属長に面談を申し込み、徹底的に話し合いましょう。

日本は無視

 この研修では賃金交渉にあたって法的に労働組合との合意が必要な国についても明らかにしています。右下図の20ヶ国でIBMは労働組合と合意しています。しかし、日本は無視されています。

 日本の労働基準法では労使間の賃金交渉は労働組合の存在が前提となっているにもかかわらず、日本が入っていません。

会社との協議内容

組合 この研修はどういう位置づけのものなのか。
会社 今回、IBMワールドワイドで改めて報酬体系を理解してもらえるような教材を展開している。中身についてはこれまで説明してきたことと矛盾無いと思っている。
 透明性についても触れられている。この職種のこのバンドならこの線の給与水準であることを各国で明らかにするとあった。
 日本ではまだツールの用意ができていないが、自分の給与の位置はマネジャーに聞けばわかる。これまでも説明してきたが、マネジャーは部下に給与の位置を説明することになっている。
 そのツールは自分で見れるものになるのか。
 マネジャー向けだ。
 従業員のモチベーションを高めるためには、個々の従業員が自分で見れたほうがいいのではないか。
 ご意見としてはぜひ参考にさせていただきたい。
 この研修をきっかけに給与方針が変わる心配はないのか。
 現状が変わるということは無い。
 日本独特の「ボーナス」は大丈夫か。
 日本独自のボーナスや手当などに変化はない。
 労働組合との合意が必要な国が列挙されているが、日本が入っていない。
 日本では合意が必要とは考えていない。

賃金決定の主導権を取ろう

 労働法上、労働組合の組織率が従業員の過半数を上回っていれば、会社は組合との合意が必要になります。
 残念ながら現状では私たち労働組合の組織率は過半数に足りていません。
 そのため、従業員代表選挙が行われ、会社が推薦した人が代表となって労働条件が改悪されてきました。
 会社が一方的に賃金を押し付ける今の状況を脱し、賃金決定の主導権を従業員が取り返すために、過半数組合を作る必要があります。さあ、あなたも労働組合に入りましょう。

【速報】第3次賃金減額裁判提訴

―日本IBMは賃金減額をやめろ―

2018年10月12日、JMITU日本アイビーエム支部の組合員11人が、日本アイ・ビーエム株式会社と日本アイ・ビー・エム・サービス株式会社に対し、賃金減額措置の撤回と減額前後の差額賃金の支払いを求めて東京地裁に提訴しました。第1次裁判では、会社が原告の請求内容を全て認める「認諾」により全面勝利。第2次裁判では、会社が賃金減額措置を撤回し、減額前の賃金に戻すと同時に、差額賃金を支払う内容で和解が成立しました。しかし会社は、原告以外の賃金減額を撤回せず、その後も減額を繰り返し行ったため第3次裁判に至りました。

バンド8以上の組合員資格

-都労委で和解成立-

 2018年9月25日、東京都労働委員会においてバンド8以上の組合員資格について組合と会社との間で和解が成立しました。
 この事件はバンド8以上の組合員に対して会社が「当該社員は組合員資格の無い社員に該当する」などとして様々な不利益を強いてきたことに対し、組合が東京都労働委員会に労働組合法違反として申し立てていたものです。

バンド8以上の組合加入者を正式認定

 これまでに組合に加入していたバンド8以上の社員の組合員資格について、会社は正式に全員を組合員資格ありとして認めました。

組合員の範囲は組合が決定する

 今後、会社は組合員の範囲は基本的に組合が自主的に決定すべき事柄であることを尊重することで合意しました。また、会社は本件と類似の紛争を惹起させないよう留意することも確認されました。

組合が考える組合員の範囲とは

 組合は次に該当する人でなけれはバンド8以上であっても組合員資格があると考えています。
①会社役員
②ラインマネジャー
③会社の労働関係についての計画と方針に関する機密の事項に接し、そのためにその職務上の義務と責任とが、組合員としての誠意と責任とに直接に抵触する監督的地位にあると組合が判断した人。

もう我慢しなくていい

 一連の賃金減額はそもそも労働契約法10条違反です。会社もこれについて認諾したにもかかわらず、裁判で争った人に対してしか、まともに対応しません。
 賃金減額されても長年我慢していたバンド8以上の皆さん、もうこれ以上我慢する必要はありません。どうか裁判で名誉を回復してください。
 たとえ減額されたのが2年以上前であっても、直近2年分については取り戻すことが可能です。
 裁判を起こすに際しては、労働組合に多くのメリットがあります。頼りになる弁護団があり、そして労働組合法によって守られます。安心して裁判を起こせます。

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