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秋闘2次要求提出

実質賃下げをやめよ

 かいな2391号でお知らせした秋闘1次要求に続き、10月20日に秋闘2次要求を日本IBMとキンドリルジャパン双方に提出しました。
 秋闘2次要求は1次要求から継続する重点要求に加え、人事制度の改善やパワハラを無くす要求など、職場のあらゆる労働条件の改善を求める全15章32ページからなる要求文書です。回答指定日は11月4日です。以下に関心の高い要求のいくつかをご紹介します。

実質賃下げをやめよ

 まずは、コロナ禍でがんばっている従業員に報いる要求です。10月の感染状況は改善しましたが、世界の状況を見ていると第6波が懸念されます。
 コロナ禍での在宅勤務手当は従業員の当然の要求であり、在宅勤務手当が支払われていない現状では、自宅での業務にかかる水道光熱費分がそのまま実質的な賃下げとなっています。
 厚生労働省はこの点について「テレワークの適切な導入及び実施の推進のためのガイドライン」を発表しており、その「4ー(2) テレワークに要する費用負担の取扱い」において、「テレワークを行うことによって労働者に過度の負担が生じることは望ましくない」とガイドし、さらに、労使で十分に話し合うようにガイドしています。
 ところが、現在の日本IBMとキンドリルジャパンの現状はどうでしょうか。会社が一方的に負担を社員に押し付けているだけで、十分な話し合いもできていないのではないでしょうか。そこで組合は厚生労働省のガイドラインに対する会社の見解を回答することを要求しました。
 在宅勤務手当の実現に向けては、この要求に加え、全従業員の強い思いが必要です。4面のハンマー記事にあるような力強い交渉のため、今この記事を読んでいるあなたも参加しましょう。

業務実態を把握せよ

 感染爆発の最中にも出勤もしくは外出せざるを得ない従業員が依然として存在し、リスクにさらされていることを組合は1次要求で指摘し、それに対する補償をすることを要求しました。
 ところが、会社は社員が危険にさらされることはないと断言し「適宜適切に衛生管理など社員の働く環境を継続的に整備」しており要求に応じる考えは無いと回答しました。
 実際のみなさんのプロジェクト・ルーム環境はどうでしょうか。また、契約処理のため本社に出てこなくてはならないことはないでしょうか。
 組合は一例としてTSS部門の修理業務でのお客様個人宅訪問の現状を指摘し、感染爆発の最中に、あろうことか、ホテルに隔離中の人の機械修理を防護服も無くさせられていた事実があったことを指摘しました。
 組合は改めて感染の危険がある業務を点検し実態を把握することを要求するとともに、従業員が出勤もしくは外出によって新型コロナウィルスに感染した場合は、当該従業員が感染前の健康状態に戻るまでに、本人とその家族が自己負担した隔離、自宅待機、入院、検査、治療などの一切の費用(公費負担分を除く)を会社が補償することを要求しました。

賃上げと賞与の要求

 賃上げ見送りの発表に対し、組合は就業規則違反だとして賃上げ日の再設定を求めています。秋闘2次要求では、さらに具体的な要求として12月までの期日を設定することを要求しました。
 また、年末ボーナスについては、このままでは夏ボーナスと同じ会社業績達成度37が適用されてしまい、IT企業として大変恥ずかしい支給水準となってしまいます。改めて会社業績達成度の具体的説明を要求しました。

 

秋闘2次要求の紹介 その2

 

 1面に続き秋闘2次要求から主要な要求を以下にご紹介します。

デリバリー部門の働き方改善の要求

 以前よりGBS部門やGTS部門(うちIS部門は現キンドリルジャパン)では、異常に高額な要員単価が原因の無理な要員計画(要員不足)のため、従業員は長時間労働と、コスト予算遵守のプレッシャーという、二律背反の非人間的な働き方を強いられてきました。
 そのため組合は、デリバリー部門の働き方改善を、過去に繰り返し要求してきました。
 これに対して会社は、要員単価が異常に高額であるという見解は持ってていない、要員単価が異常に高額である、それによって要員計画に無理が生じていることを前提とした貴組合の独自の見解、断定に基づく要求に応じる考えは無い、という回答を繰り返してきました。
 しかし、この要求は、長時間労働による従業員の健康被害、従業員側に原因の無い低評価、Time@IBM過少申告によるコストの過少計上、長時間労働の隠ぺい、を防止するために依然として重要ですので、今回の秋闘でも以下を要求しています。
1.無理な要員計画の原因となっている異常に高額な要員単価を是正することを要求します。
2.無理な要員計画での案件受注がないよう、会社が責任をもって受注前のレビュー体制を確立することを要求します。
3.プロジェクトが始まった後、要員の増強が必要になった時、会社が責任をもって要員を増強することを要求します。

従業員代表選挙についての要求

 賃下げを可能にする格付規程の改悪をはじめとする、会社がこれまで会社都合を反映し実施してきた諸制度の変更は、従業員代表の同意を得て実施されてきました。
 そして、この従業員代表を選出する従業員代表選挙では、推薦人の問題点として、組合非推薦候補の推薦人に、立候補者の直系ラインマネジャー(立候補者の所属長または上長)、または、立候補者の所属部門内の傍系ラインマネジャーがなっているケース(下図参照)が、昨年を含め過去に多数ありました。
 そもそも、立候補者の推薦人になるということは、当該立候補者の当選を要望しているという意思表示ですので、ラインマネジャーが推薦人となっている場合は会社による組織ぐるみの立候補者と考えられます。これは「厚生労働省労働基準局長2018年基発0907第1号」の「使用者の意向に基づき選出されたものでないこと」に違反する可能性があります。
 かいな2377号2面では、昨年の従業員代表選挙における推薦人、選挙結果開示、候補者公示順序の問題点を指摘しましたが、これらを含め従業員代表選挙についての問題点を解決するため、今回の秋闘では以下を要求しています。
1.就業規則を変更する場合は、2011年までのようにその都度従業員代表選挙を行うこと。
2.立候補者の推薦人になることができる人の要件をルールとして定め、明示することを要求します。但し、ラインマネジャーは使用者であるため、推薦人にふさわしくないことを指摘しておきます。
3.前年のブロック代表を選挙コーディネーターとするのではなく、利害関係の無い公正な選挙運営のため、コーディネーターの選出ルールを定め、明示することを要求します。
4.現在の不透明なブロック代表間互選を改め、互選の方法、互選結果のブロック代表全員への開示を含め、ブロック代表間互選のルールを定め、明示することを要求します。
5.立候補者公示文書、立候補者公示の電子媒体、および、電子投票画面において、立候補者を立候補受付順に上から掲載し、立候補受付日時を表記するルールを定め、明示することを要求します。
6.衛生委員の選出ルールを定め、明示することを要求します。

9月1日付賃上げにつき代替案示し就業規則守れ

 日本IBMグループ、キンドリルジャパングループ、共に同じ就業規則が適用されるため、年次の賃上げは9月1日付です。ところが、前日の8月31日の土壇場になって「現在のIBMのビジネス環境等を考慮し、実施を見送る」と会社が発表した件について、組合は秋闘一次要求で当該発表の撤回を求め、その回答日である9月29日に団体交渉を行いました。以下にその内容をご紹介します。

誠実に説明せよ

組合 回答では「IBMグループのビジネス環境等を考慮した結果、実施を見送っております」とのことだが、もう少し具体的な説明が欲しい。
会社 昨年はこうでした、今年の1Hはやりました、9月1日付の就業規則は認識しているが、コロナ禍も続いていて不透明なビジネス環境であり、9月1日付で色々なことが起きている。しかしながら社員へはちゃんとコンペンセーションしていきますよ、ということだ。
 ビジネス環境のところを具体的に説明してほしい。
 ビジネスも、お客様の状況はコロナで苦しいだろうし、IBMとしても成長という意味ではアウトスタンディングというかそういう状況でもない。キンドリルもあるだろうし、そういう様々なものを包括してという意味だ。
 2020年度の業績は悪くなかった。昇給を実施する原資はあると思う。まったく出せない状況とは違い、金庫にはお金はあると思う。
 金庫が空だからやりませんなどとは言っていない。
 ルールを持っているのではないのか。
 昇給に関しては利益何%以上ならというルールは無い。
 日本IBMの給与の競争力が下がっている。他社では去年の春闘は消費税が2%上がったこともあり、空前の賃上げブームだった。それに対し、日本IBMはその年の9月にやらなかった。今年の5月に遅れてやったからやっと周回遅れで追いついた。この9月にやらなかったら、競争力はますます下がる。
 5月にかなりリワードできているので、9月は見直そうという判断だ。

就業規則を守れ

 就業規則違反にならないのか、考えなかったのか。
 就業規則違反ではないと社員には説明している。
 ビジネス環境が不透明なのでやりません、と言えばそれで済むと思っているのか。
 きわめて異例、特異な例だ。コロナがこんなに長引くとは思っていなかった。一種の特別な判断だ。簡単にそう決めたわけでもないし、本当に真剣に考えた結果で、極めて特異な例だ。
 特異な例として社員に説明を尽くすべきだ。
 誠意の受け止め方は人それぞれだ。これが会社の精いっぱいの説明だ。
 9月は見合わせたが、給与調整を遅らせて実施する可能性はあるのか。
 来年の9月までお預けか、ということについてはまだわからない。簡単に9月の昇給を経営判断でやめよう、ということではない。
 持ち帰って、いついつには賃上げを予定しますと、代替案を持ってきてもらわないといけない。それが最低の誠実さだと思う。
 例えば12月1日昇給とか約束はできないが、9月1日にできなかったことについて重く受け止めて、代替案のようなものを模索できるか持ち帰りたいと思う。
 就業規則というルールを、労働法の中でどう位置付けられているのか、法の中の観点で検討してほしい。
 検討を持ち帰りたいと思う。

在宅勤務手当未だ支給せず

 元々、報酬に含まれていた? それは無茶すぎる!

 会社は、組合のこれまでの度重なる要求に応じず、在宅勤務手当を未だに支給していません。
 組合は、在宅勤務手当について9月29日の団体交渉で協議し、会社が命じている在宅勤務の必要経費である在宅勤務手当は、ペイ・フォー・パフォーマンスの範囲外だと主張しました。これに対し会社は、報酬は社員のパフォーマンスに対して支払っているので一律の手当は支払わない、報酬は光熱費も含めた報酬だ、と主張し、平行線でした。
 従業員の皆さん、こういう会社では組合にぜひご加入ください。以下に協議内容をご紹介します。

在宅勤務手当についての協議

組合 在宅勤務手当についてコロナ禍の間ずっと要求している。「ご要求に応じる考えはない」とのことだが、もう少し詳細を説明してほしい。コロナ禍の影響は大きい。組合サイトへも要望が多い。一番何がネックになっているのか?
会社 会社はこのような状況下でみんな同じ環境下におりサポートが必要なことはわかっている。しかし一律光熱費いくらといった考えには至っていない。コロナの前から38万人中、約4割がオフィスに通勤していない。そういう人に出していない。欧米的には。グローバルな会社なので、一律支給するという考えはない。欧米では在宅で手当は出していない。日本だけ支給するのも難しい話だ。報酬は社員のパフォーマンスに対して支払いをしている。これが根底だ。
 IBMの払い方にそういう考え方があると。
 貢献度が高い人には昇給したり昇進していただき、賄っていただく発想はある。個人に委ねている。昔は寒冷地手当とか、そういった手当を支給していた。それらをなくしてきたような会社だ。「ペイ・フォー・パフォーマンス、ペイ・フォー・ジョブ、ペイ・ディファレンシェイション、以上」みたいな感じだ。光熱費を一律払うという発想にはなっていない。
 光熱費は社員の能力に関わらず発生している。業務に必要な経費を会社が負担するという考えはアメリカにはないのか?
 私もアメリカで働いたことはない。光熱費も含めた報酬だ。
 でも検証を細かくやる事務的コストを考えれば、例えば月いくら一日いくらというような、会社として妥当な金額を算定して支払う方法もある。
 そこまで考えが積みあがっていかないのだ。コロナは不可抗力の環境かもしれないが。
 それは社員側だって不可抗力だ。
 誰が在宅を強いているかだ。
 そういう場合に歩み寄りの余地が全くないところに違和感を覚える。
 そこは会社のキャラクターと思っていただくしかない。特性。とはいえ、経営陣、グローバルにも掛け合っている。検討中だ。
 グローバルに掛け合った時の反応とは、どういったものか。
 昨年頃はいつまで続くのかという反応だった。長くなってきたので、これは負担すべきかどうか考えは変わる可能性もあるが、基本的なポリシーは変わらない。
 日本という意味では厚労省からも一定の毎月の手当を支払うことが望ましいと言っている。世の中そういう流れだ。全社員一律支給すべきだ。在宅勤務のデメリットの部分、つまり会社に来ていれば無かったはずの支出を補填してもらわないと、毎月賃金を減額されているのといっしょなんですよ。
 ネットするとね。そうお感じになる方もいるだろう。
 今回は、多くの会社が制度を新設している。社員のモチベーションをあげている。
 それは各社のご判断だ。IBMはビフォー・コロナからパフォーマンス中心の考えだ。報酬の中で報いていこうと。例えば業績の良い人にだけ光熱費を払うなんてことはやっていなかった。
 そういう意味ではない。ペイ・フォー・パフォーマンスの範囲外だと言っている。会社にはペイ・フォー・パフォーマンスと同時にペイ・コンペティティブネスという考えもある。そうすると他社と比較してIBMでは在宅勤務手当が出ないからその部分では落ちるね、という判断がされかねないなと。
 もしキャリア採用の人に「なにこの会社、在宅手当ないの?じゃあ辞めた」という人がたくさん出てきたら、会社は危機感を感じると思いますよ。中途入社の方たちが何に魅力を感じて入社するか。ペイ、働き甲斐、キャリア、色々あると思うが、その中に光熱費があるとは考えていない。それがペイ・コンペティティブネス。ここで長く時間を使うべきではない。継続的に検討する。
 そこが本質なのか。在宅手当がなくて会社を辞める人が多ければ会社も考えるとは、組合が多数派の組合でそう考える人が多数だったら支給を検討するということか?
 すべての要素って、そうなんですよ、処遇は。

 

パワハラ低評価・パワハラPIP

研修で正当化する会社

 組合はかねてより、日本IBMグループの労務政策の特徴である「ラインによる人事管理」はパワハラの温床になることを指摘してきました。昇給額や人事異動など、普通の会社であれば人事部門が行うことを全てラインマネジャーが決定する仕組みは、所属長が部下の生殺与奪権を持ち絶対的な支配力を持つため、パワハラの温床になるのです。
 実際、パワハラ4点セットと言われる、①パワハラ低評価、②パワハラPIP(業績改善プログラム)、③パワハラ賃下げ、④パワハラ降格は、すべて所属長の一存で行われます。
 一方で、パワハラ防止法が昨年6月から大企業で施行されましたが、会社が行ったことは、ハラスメント研修である「セクシャル・ハラスメント、報復、いじめの認識と予防」を通じてラインマネジャーにパワハラの免罪符を与えることでした。その内容について以下にお知らせします。

パワハラ低評価の問題

 セクシャル・ハラスメントの卒業テスト問題のひとつに次のようなものがあります。
問題 次のうち、性的に敵対する職場環境の原因となりうる行動の例ではないものはどれですか?
正解 マネジャーが、従業員のパフォーマンスに対してネガティブなフィードバックをする。
解説として「従業員にネガティブなフィードバックを与えることは、性的に敵対的な職場環境を助長するような行為ではありません」とあります。
これは、ラインマネジャーがセクシュアルハラスメントのための道具としてパワハラ低評価を使うことに免罪符を与えるものとなっています。

パワハラPIPの問題

 ハラスメントの卒業テスト問題のひとつを右下に掲載します。
 正解とされる回答は、「いいえ。正当な場合にPIPの対象とすることを含め、マネジャーはその職務を果たしているから」となっています。
 これは、ラインマネジャーがパワハラPIPを行うことに免罪符を与えるものとなっています。

本当の正解

 以下がこれまでの裁判所の判断に基づく正解です。
 「はい。これはパワハラです。日本の労働法では簡単に解雇することは許されません。退職という結果(つまり解雇)を示し、脅迫することは明確なパワハラです。マネジャーはあなたにわだかまりを持っており、決して到達することのできないマイルストーンを設定し、不合格になるように仕向け、あなたを退職に追い込むからです」

 

TSS部門の深い闇

旧態依然の働き方強要

 令和の時代を迎えても、未だに旧態依然とした働き方を強要している部門がTSSです。
 組織への忠誠を示す証しとしての「残業をつけないのは当たり前」という考え方の強要は、まさに「パワハラのデパート」と呼ぶにふさわしいTSSの負の部分を象徴しているかのようです。
 今回はこうしたTSSの闇をいくつかご紹介したいと思います。

典型的パワハラ

 TSS部門マルチベンダーのT担当は、まだ転属したばかりで仕事を覚えている最中の2名の部下、AさんとBさんに対し、週ごとの進捗会議にて「仕事が遅い」「間違いが多い」等の詰問を繰り返していました。
 T担当のAさんに対する責め言葉の酷さに見かねたBさんが、「まだ仕事を完全に覚えきれていないので、処理に時間は掛かりますし、間違いも起ります。出来ないことを責めるのではなく、『もっとこうすれば効率よく出来るよ』とか、『もっとここを参照した方がいいよ』等のアドバイスを貰える建設的な会議にして欲しい」と言いました。
 そうしたところ、T担当は次の回からAさん、Bさんを別々に分けて進捗会議を行うようになりました。その後、Aさんは徐々に体調を崩していき、心配したBさんが「例の会議でT担当から酷いことを言われてませんか?」と尋ねたところ、「言われてます・・」との返答。現在、Aさんはさらに体調を悪くし、休職されています。

報復のパワハラも

 さらにこのT担当はBさんに対し、1通が2画面から3画面もスクロールしないと読めない長文のメールを毎日のように送り付け、必ず「何故このような処理をしたのか理由を説明してください」と、返信を要求してきます。このため、毎日業務が遅延し、所定時間内に業務が終了しない状況です。にもかかわらず、「所定時間内で勤務が終わらなかった理由を説明してください」「時間内に対応できる案件しかアサインしていないのに、毎日、時間外勤務されています」等、残業を躊躇させるようなメールを送り、「所定時間内に仕事が終わらないように仕向けながら、残業を付けさせない」という陰湿極まりないハラスメントを行っています。
 Bさんが「これはパワハラですよ」と言うと、「業務改善が目的なのでこれはパワハラにはあたりません」との返答で、自分がパワハラをしていながら、業務改善目的であると強弁しています。
 昨年6月にパワハラ防止法が施行された今、業務目的の名のもとに行われるパワハラは厳に慎まれるべきです。本当に改善を要するのは、このT担当の方ではないでしょうか。

虚偽申告の強要

 大宮西事業所では、ラインからWorkday入力時に、残業などの時間を6分単位で入力するよう強要するメールが毎月送られてきます。
 この指示のため、大宮西事業所では入力時間が6分単位になるよう、実際には忖度して6分未満を切り捨ててWorkdayに入力する従業員がいました。
 本来、労働時間は1分単位で入力するのが原則です。部下に労働時間を6分単位で入力強要することは、上司による時間外労働時間の「改ざん」指示であり、明らかな違法行為です。
 また、労働者の労働時間の適性な申請を阻害しないよう定めた厚生労働省のガイドにも違反しています。

Badge取得の強要

 TSSでは四半期に1つ以上のCredential取得が目標になっています。(年4つ以上)特にCEはTSS独自のTSS Badgeを2つ以上含めるようガイドされていますが、IBM製品のTSS Badgeは、コースによって136時間から280時間以上もの学習時間が必要です。
 CEは勤務時間内はお客様対応に追われているため、業務終了後や休日にコースを受講するしかありません。しかし、TSSでは、業務指示であっても、勤務時間外のコース受講にかかった時間は暗黙の了解で残業をつけられない風土になっています。
 その結果、12時間から39時間ほどで取得できるマルチベンダー製品のBadge取得コースに偏ってしまい、「スキルを習得する」という本来の目的を見失い、「短時間で認定されるBadgeを取得する」ことを目的とした受講実態になっています。
 このようなTSS部門の教育実態は、現場CEの著しいスキル低下を招いています。
  ・ ・ ・ ・
 以上のような労務管理上の問題やハラスメントが堂々とまかり通っているのがTSSという組織の実態です。パフォーマンスも重要ですが、「人の心まで蝕んで良い」という理由にはなりません。
 似たようなお話がありましたら、ぜひ組合までお寄せください。

 

秋闘1次要求提出

賃上げ見送りを撤回せよ

 JMITUは春闘に続き秋闘も実施します。秋闘は2次にわたる要求提出を行い、様々な労働条件の向上とともに年末一時金の交渉も行います。
 まずは9月16日に1次要求を日本IBMとキンドリルジャパン双方に提出しました。
 秋闘1次要求としては、春闘要求から継続する重点要求に加え、当支部の喫緊の重点となる要求を提出。さらにJMITUの3つの統一要求である「合意協力型労使関係をめざす要求書」、「安全・衛生に関する統一要求書」、「安心して働きやすい職場を求める統一要求書」も提出しました。回答指定日は9月29日です。以下に主要な重点要求をご紹介します。

賃上げ見送り撤回要求

 まず、組合は8月31日の土壇場で会社が発表した賃上げ見送りの発表を問題視し、これを撤回することを要求しました。就業規則はキンドリルジャパンにも承継されたため、このままでは両社ともに就業規則違反になります。
1.2021年9月1日付賃上げの見送りを撤回し、就業規則に従って賃上げを実施することを要求しました。
2.2021年5月1日付賃上げ交渉はまだ妥結していませんが、引き続き組合の要求に応じ、誠実に協議するとともに、上積み回答をすることを要求しました。
3.協議にあたっては、交渉のベースとなる社員数、平均年齢、平均給与、職種、年齢、バンドごとの平均給与、業界水準との比較データ、賃金総原資等を提示して誠実に協議することを要求しました。
4.賞与計算に使われる会社業績達成度については、会社は「日本IBMの会社業績は、社外発表している会社法に基づく日本IBM単独の決算ではなく、US-GAAPに基づく数値を基準にしています」と述べています。従って、US-GAAPに基づく決算資料を開示し、賞与額算定の基礎となる会社業績達成度の決定方法及び実際の決定過程等について説明することを要求しました。

争議を解決せよ

 依然として解決していない以下3つの労働争議の全面解決を要求しました。これらの争議はキンドリルジャパンにも承継されたため、キンドリルジャパンは会社設立と同時にこれらの労働争議を抱えることになりました。
1.パワハラ降格争議
2.定年後再雇用賃金差別争議
3.AI不当労働行為争議

コロナ禍対応の要求

 コロナ禍でがんばる従業員のため、組合は改めて以下を要求しました。
1.業務のための水道光熱費および通信費は会社が負担するべきであり、会社は速やかに在宅勤務手当として1ヶ月あたり8千円を支給すること。なお、この手当は2020年3月に遡及して支払うことを要求しました。
2.自宅環境整備手当として一時金5万円を支給することを要求しました。
3.新型コロナ変異株により感染リスクが高まっている中、Wave0もしくは1のような状況にあっても、次の従業員は出勤・外出せざるを得ない状況に置かれています。
・カスタマーエンジニア
・プロジェクトルームで作業せざるを得ないITエンジニア
・契約書処理のために出勤せざるを得ない従業員
 会社として、これら出勤・外出せざるを得ない状況を理解するとともに、業務形態を改善し、出勤・外出せざるを得ない状況をなくしていくことを要求しました。さらにこれら従業員に対し、会社として謝罪の意を示すとともに、相応の経済的補償としてWave0・1補償を支払うことを要求しました。

 

「従業員の使い捨て七つ道具」を撲滅しよう

組合に加入して雇用を守ろう、賃金を引き上げよう

 日本IBMグループの従業員を対象に実施された、今年の春闘アンケートの集計結果(かいな2380号1面参照)によると、「雇用・リストラ」「企業の将来」「賃金」に不安・不満を持つ人の割合が昨年より上昇しました。特に「雇用・リストラ」に不安・不満を持つ人は69.9%と、昨年の30.3%の約2.3倍に跳ね上がりました。
 また、生活実感が大幅に悪化しました。生活実感については「かなり苦しい」「やや苦しい」の合計が79.6%と、昨年の44.8%の約1.8倍に上昇しました。
 この不安・不満の背景には、会社が「パワハラ4点セット」と「賃金三重苦」を巧みに使って行ってきたリストラ(人員削減)と人件費の圧縮があります。組合はこの「パワハラ4点セット」と「賃金三重苦」を合わせて「従業員の使い捨て七つ道具」と命名しました。

パワハラ4点セット

 個人業績評価に「パワハラ低評価」。改善指示に「パワハラPIP」。賃金決定に「パワハラ賃下げ」。組合はこれらを「パワハラ3点セット」と命名しています。
 そして、パワハラのダメ押しとしてバンドを降格するのが「パワハラ降格」です。組合は「パワハラ3点セット」に「パワハラ降格」を加えて「パワハラ4点セット」と命名しています。

賃金三重苦

 従業員は「低水準の賃上げ」「低水準のボーナス」「在宅勤務手当の不支給」の三重苦に直面しています(かいな2389号2面参照)。組合はこれらを「賃金三重苦」と命名しました。

パワハラ4点セットとのたたかい

 会社は「パワハラ4点セット」を使い、これに退職勧奨面談を絡めて、会社が「役に立たない」と一方的に決めつけた従業員を、さまざまな手段を使って社外に追い出します。ターゲットにした従業員の人格・誇りをズタズタにして、嫌になって会社をやめるように仕向けるのです。
 つい昨年にも4Qから会社がジョブ型評価制度のジョブが固定化される仕組みを悪用し、ジョブ型リストラを実施しました。「今後のキャリアをどうするのか」という面談を繰り返し、社外のキャリアへと誘導(退職を勧奨)する事実上の人員削減を大規模に行いました。組合は年末だけで400人が退職させられたと推定しています。
 このような会社のパワハラに対抗するには会社を公の場に引きずり出すのが有効です。組合は、パワハラについて団体交渉で協議したり、裁判に訴えたりしています。
 裁判は、「第3次パワハラ賃下げ裁判」が今年2月に原告組合員の全面勝利和解となりました。また、パワハラ降格裁判は現在もなお継続中です。

賃金三重苦とのたたかい

 会社はハイパフォーマンス・カルチャーの方針の下、10年以上にわたる人件費総額削減、賃上げ抑制を行ってきました。この施策は、従業員が将来の収入に見切りを付け会社をやめるように仕向けるリストラツールとも言えます。
 賃上げについては、まず、他社の今年の賃上げ動向を見ると、経団連が5月28日に発表した賃上全業種平均は1.82%でした。また、JMITU主要各社の賃上げ率は2%台後半と、昨年に引き続き高水準でした。
 その一方で、組合推定による日本IBM全社の今年5月1日付平均賃上げ率はたったの0.5%と、前回から横ばいでした。一昨年10月の消費税率2%引き上げ後、初となる5月1日付賃上げがこの低水準です。さらに追い打ちをかけるように、9月1日付賃上げの実施が日本IBM、キンドリルジャパン双方で見送られました(かいな2390号1面参照)。
 ボーナスについては、会社業績達成度が低く抑えられ、業績反映部分が上がらなくなっています。これに対して組合は、会社業績達成度の基準(US-GAAPに基づく決算資料)を示すよう要求していますが、会社は未だに示していません。
 在宅勤務手当については、昨年以降、繰り返し支給を要求していますが、会社は未だに支給していません。
 組合は今後も春闘、秋闘、団体交渉などで、本給の引き上げ、賞与基準額・会社業績達成度の引上げ、在宅勤務手当の支給を要求していきます。

組合に加入しよう

 会社分割のような大きな動きがあった後には必ず人員削減が行われるのが通例です。パワハラ4点セットや賃金三重苦に不安・不満を感じている方、リストラの被害に遭っている方、その予兆を感じている方を含め、ご自身の雇用を守り賃金を引き上げるために組合へのご相談、ご加入をお勧めします。
 当労働組合には日本IBMグループだけでなくキンドリルジャパン・グループの皆さんも加入することができます。

9月1日付賃上げ実施見送り発表

 9月1日付で会社分割が実施され、キンドリルジャパン、KJTS、KSOKができました。これらの会社の従業員の皆さんは引き続きJMITU日本アイビーエム支部に加入することができます。ご安心ください。
 さて、賃上げについては、会社分割で日本IBMの就業規則がそのまま承継されます。従って給与規程第16条に毎年「原則として9月1日とする」と定められている部分は、日本IBM、キンドリルジャパン双方に有効です。
 ところが、前日の8月31日の土壇場になって「実施を見送る」と発表がありました。理由については「IBMグループのビジネス環境を考慮」とあるのみです。あまりに乱暴な発表ではないでしょうか。
 一方で、組合は今年分の賃上げについて、この発表に先立つ8月23日の団体交渉で協議していました。以下にその内容をご紹介します。

賃上げについての協議

組合 9月1日の賃上げだが、どうするつもりなのか。
会社 グローバルと連携して考えている。今年は去年からのアービンドCEOからのレターもあったが、5月にやった。
 就業規則では9月1日に賃上げすると書いてある。会社分割も賃上げも会社が決めたことだ。どちらも会社がコントロールできることだ。
 その給与調整のタイミング検討が続いているということだ。
 何がネックになっているのか。
 今年はすでに5月にやっているのと、キンドリルという大きな動きがある。就業規則もあるからマネジメントから通知していく。
 今日はもう23日だ。就業規則に書いてあることだから、事前に発表すべきところだ。
 そうしたいと思っている。遅くとも9月に入ってすぐとか、会社として社員へステートメントする方法で考えている。
 時期をずらすことを考えているのか。
 それも含めて考えている。また同じサイクルにするのか、キンドリルはどうするのか。複雑だ。
 グローバルの意向も複雑という意味か。
 そうだ。日本だけでは決められない。
 5月にやって9月だから4ヶ月程度しか空いていないということだが、社員から見ればその前に一昨年9月の賃上げが無かったわけだから、19ヶ月も賃上げ無しでやりくりせざるを得なかった。この間に消費税も増税された。それでやっと今年5月の賃上げだった。我慢を強いられたのだから、この9月にやるか分からないというのは、社員は納得しないと思う。
 グローバルでは35万人のうち9万人が分社化するので。CEOはコロナの状況で他社とベンチマークしている。
 コロナ禍であっても他社ではしっかり賃上げしている。なぜIBMは賃上げしないのか。意気込みはないのか。
 どう社員にコンペンセートしていくかはある。
 アービンドCEOから何らかの発表はあるのか。
 昨年同様、それも含めて今やっている。
 9月に賃上げできないなら、日本独自にでも山口社長が従業員へメッセージすべきだ。
 社員に対し経営陣が向き合う姿勢ということだな。
 例えば就業規則通りにキンドリルで賃上げ発表があれば、社員のモチベーションは上がるだろう。
 IBMとキンドリル含めて検討する。
 どっちかが上がってどっちかが上がらないということはないだろうな。
 片方だけだと、もう片方が不満だという思いもある。継続してグローバルの考え方を探る。

日本IBM支部全国大会開催

会社分割に負けず雇用と労働条件を守ろう

 JMITU日本IBM支部の第68回全国大会が、7月17日に開催されました。新型コロナウイルス感染症対策のため、昨年に引き続き2回目のリモート会議システムを活用した全国大会(写真左)となり、来賓の方々にもオンラインにてご参加いただきました。
 全国大会は、これまで1年間の活動総括を行い、今後1年間の運動方針を議論し決定する組合の最高の意思決定機関です。
 まず、活動総括では、この1年間の大きな成果として、第3次パワハラ賃下げ裁判の全面勝利和解を報告しました。また、従業員の使い捨てとのたたかいとして、争議の状況、さらに、インフラストラクチャー・サービスの分社化と、分社化発表後の昨年4Qから行われた大規模な退職勧奨(ジョブ型リストラ)という新たな2つのリストラとのたたかいを報告しました。
 続いて、「パワハラ降格」「定年後再雇用賃金差別」「AI不当労働行為」の3つの争議に勝利すること、会社分割とのたたかい、パワハラ4点セット(パワハラ低評価・パワハラPIP・パワハラ賃下げ・パワハラ降格)の撲滅など、雇用・労働条件を守る運動方針を決定しました。
 最後に、今年の大会スローガンである「会社分割に負けず雇用と労働条件を守ろう」を満場一致で承認し、全国大会は閉幕しました。

新役員の抱負

 全国大会から組合は2022年度に入り、新しい役員体制で取り組んで参ります。ここに各人の今年度の活動に向けた抱負をご紹介します。

委員長 大岡義久
 安心して人間らしく働ける職場環境を作るため、要求を一つひとつ実現させます。私たちの賃金が上がる会社にしましょう。

副委員長 藤井克己
 組合員の雇用と労働条件を守るため、会社との闘いを続けていきます。

書記長 杉野憲作
 当労働組合には日本IBMグループ会社だけでなくキンドリルジャパン及びそのグループ会社の皆さんも加入することができます。すべての仲間の雇用を守り労働条件を向上させるべく書記長としてがんばります。

中央執行委員 安田和
 リモートワークが続く中、社員の孤立感も深まっているのではないかと心配です。働く環境の改善のために自分にできることを考えてやっていきたいと思います。

中央執行委員 神谷昌平
 新年度は昨年度より良い年になると信じて、引き続き新しいスタイルで活動していきたい。

中央執行委員 吉岡真紀子
 障害者の人権について勉強し、行動できるようになりたいと思います。

中央執行委員 森谷俊之
 両親の介護を通して感じました。介護離職をしない安心して働ける会社にしたいと思います。

中央執行委員 佐久間康晴
 普通に働いている社員の個人業績率を0%にしたり、社員に個人業績率を通知しない悪質なラインが存在します。黙っていては何も変わらないので声をあげて共に闘いましょう。

中央執行委員 三浦裕之
 労働者の高齢期における雇用及び就業の確保措置について、労働法の観点から、労働者のために活動を推進していきます。

中央執行委員 中川賢
 「業務対応の向上・改善」の名を騙るパワハラと真っ向から戦います。

中央執行委員 笹目芳太郎
 日本IBMグループの人事給与制度を受け継いだキンドリルジャパン・グループでも、使い捨て七つ道具(パワハラ4点セット+賃金三重苦)、退職勧奨に要警戒です。これからも従業員の使い捨てとたたかいます。

中央執行委員 石原隆行
 従業員の労働条件・労働環境を少しずつでもよくするために働きます。

 

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