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【告知】 「退職強要・人権侵害裁判」判決延期のお知らせ

 12月16日(金)に東京地裁619号法廷にて予定されておりました「退職強要・人権侵害裁判」の判決公判は、裁判所側の都合で延期されると通知がありました。新しい判決公判の日時はいまのところ未定で、決まり次第当ホームページにてお知らせいたします。

会社業績51の根拠を開示せよ
 「IBM中央団体交渉」報告

 11月15日と22日に、年末一時金・賞与について、前回に引き続き団体交渉を行いました。会社は会社業績51の根拠を開示しない姿勢に終始しました。

◆業績51は経営責任だ

 組合は、会社業績達成度スコア51について、その根拠となる具体的な指標データと目標値の開示を要求し続けてきました。そして、組合はこの51が納得できないこと、および、このような数値が本当ならば、従業員ではなく経営者に全責任があることを主張しました。

◆会社指標を開示せよ

 会社業績が51とは、目標100に対してずいぶん低い達成率です。組合は、前提となった目標値を明らかにすることを要求していますが、会社は「会社方針として開示しない」と回答しました。

◆会社業績をPBCに反映?

 会社は「IT産業全体では伸びているのに、日本IBMのマーケットシェア(売上)は前年比で2%下がっている」ことを51の根拠とし、「会社全体の業績目標を達成するために、各人のPBC目標にブレークダウンしている」と発言しました。これに対して組合は「会社業績とPBCは別問題である」ことを主張しました。

◆機密保持契約が必要?

 会社は「会社指標(目標と結果)はマーケットに対して非開示だから組合に対しても非開示としている。ゆえに、機密保持契約が必要かもしれない」と発言しました。組合は「同じ会社の社員なのだから、社外秘として開示すればよい」と開示を要求しました。

◆ボーナス格差是正を!

 組合は、GDP・PBC評価・給与調整(減給)により、10倍ものひらきがある賞与の格差が大きな問題となっている事実を指摘し、制度改善の検討を要求しました。これに対して会社は「やりすぎであるとの主張は理解している」と認めたうえで、「検討する」と回答しました。

◆「検討する」は「しない」と同義?

 組合は、これまでの団体交渉の経験から「会社の『検討する』は『回答は変わらない』と同義語である」ことを主張し、それは「交渉」ではないことを伝えたうえで、今後も本来の「お互いに歩み寄る」ための交渉を会社に求めていきます。

リストラ・人減らしに反対
会社はかたくなに要求拒否

◆◆「IBM中央団体交渉」報告◆◆
11月8日に秋闘・年末一時金要求に対する会社回答および就業規則変更などについて団体交渉をおこないました。概略について下記のとおり報告します。
 回答については、その場の提示であったことと、時間の関係で、十分な交渉ができなかったことから期待できるものではありませんでしたが、要求実現に向けて今後も継続して追及する予定です。

【秋闘要求一次回答】
▼賃金に関する要求回答
 組合は年齢別生活保障給廃止撤回を要求しています。 組合はこの制度が生活に困窮しないためのセーフティネットであり人間らしい生活維持のため必須であることを主張しています。これに対する会社からの回答は、一言で言えば「困窮している従業員はいないので、制度廃止撤回はない」との実態を見ようともしない回答でした。

▼一時金の要求回答
 組合は全従業員の年末一時金・賞与について、PBC評価・稼働率などとは無関係に本給の四ヶ月の支払を要求しています。これは、組合の闘いにより、長い間獲得していたものです。会社からは「成果主義に基づく算出の考えに変更はない」との回答でした。組合はかねてから歩み寄れるところを模索するために一時金の根拠となる指標データ(量的・質的指標・配分)の開示を要求していますが、会社は頑なに開示を拒否し続けています。これでは憲法や労働組合法で保障されている交渉が成り立たず、組合は不誠実団交であるとして、会社に是正を求めています。

▼リストラ・人減らしに反対する要求回答
 組合は、労働条件の改善、業務の適材適所の配置や配慮、退職勧奨を行わないこと、雇用継続などについて毎年、要求し続けています。しかし、会社はこれらの要求を拒否し続けています。組合は、最重要な要求という位置づけで実現するまで粘り強く要求し続けます。

【就業規則の変更】
 会社は、就業規則にある臨時昇給を臨時調整に変更しようとしています。組合はこの文言を変更してしまうと、いつでも減給が可能になってしまう危険性を指摘しました。加えて「会社は今までやってはいけないことをやっている。これから何をやろうとしているのか」と強く詰問をしました。 これに対して会社は、「減給は慎重にやる。」としながらも、「会社が臨時に行うと判断したときに行えるようにするための変更である」とし、さらに、「現行の実態に合わせての変更である」と回答しました。

いつでも減給可能に改悪
-給与規程改訂が真の狙い-

 会社発表では、来る11月下旬「就業規則の一部改訂および諸協定の締結のための従業員代表の選出(選挙)」が実施されます。組合は今回の「給与規定の改訂」に反対し、候補者を立ててたたかいますので、読者のみなさんのご支持をお願いします。
 
◆「臨時昇給」が「臨時給与調整」に改悪◆

 会社発表では「社員紹介報奨金制度導入のため」となっていますが、注目すべきは給与規程第25条の「臨時昇給」が「臨時給与調整」に変えられようとしている点です。 11月8日の団交で会社は「減給は慎重にやる」としながらも、「会社が臨時に行うと判断したときに行えるようにするための変更である」とし、さらに、「現行の実態に合わせての変更である」と回答したとおり、「臨時昇給」を「臨時給与調整」に変更することで、いつでも減給ができるように改悪することが真の目的です。減給などの労働条件の切り下げはめったやたらにできるものではありません。減給は労働条件の不利益変更です。賃金は労働条件のなかでも最も重要な要素であるため、組合はこのような文言変更には同意しません。

 ◆懲戒の決定者を曖昧に◆
 
 第89条、懲戒の決定において、譴責の場合は所属長が、減給・出勤停止・懲戒解雇の場合は取締役会が、それぞれ事情を調査し、情状酌量の上決定することになっています。これを、「懲戒は会社が事実関係を調査し、情状酌量の上決定する」との改定案が出されています。これでは責任の所在が不明確です。将来、懲戒処分が乱発される恐れがあります。組合はこのような文言修正には反対します。

 ◆厚生労働省通達を守ります◆

 労働者が心身の疲労を回復させ、健康で充実した生活を送るためには、時間外労働を減らし、年次有給休暇の取得が必要不可欠です。特に、労働者が仕事を重視した生活設計によって恒常的に労働が長時間に及ぶことは避けなくてはなりません。
 組合は、時間外労働についての厚生労働省通達「1か月45時間」「年間360時間」を守るためにたたかっていきます。  
 組合候補者への皆様のご支援をよろしくお願いします。

IBMの裁量労働制にメス◆労基署の調査が入る◆

裁量労働制は一日8時間労働の原則を崩すため、導入するには一定の要件が必要です。ところが法律要件満たさない裁量労働制が導入され、サービス残業の温床となる問題が発生しています。そのような中、7月下旬に、中央労働基準監督署(以下労基署)が、日本IBMの裁量労働制の適用は不適切であるとの容疑で、本社・STH部門に立ち入り、アンケート調査を行いました。

法律では、裁量労働制について「業務の性質上その遂行の手段や時間の配分などに関して使用者が具体的な指示せず実際の労働時間数とは係りなく、労使の合意で定めた労働時間を働いたものとみなす制度」と定義しています。この定義にはずれる業務は、裁量労働制の対象にはなりません。
それに対してSTHの業務は依頼者(提案チーム)と連絡をとりながら進める必要があり、業務の遂行、時間配分などについて裁量がなく、到底、裁量労働制の適用対象とならないはずです。就業規則でも、「適用社員は原則として業務の遂行に裁量を有し、会社は業務の遂行の手段および時間配分の決定等に関し適用社員に対し具体的な指示をしないこと」となっています。(就業規則 裁量勤務の原則第2条)
そのため、STH所属の組合員2名が労基署に相談したところ、労基署は「STH部門の業務そのものが裁量労働制になじまないのではないか?」と疑問を持ち、7月下旬にアンケート実施となったものです。
この問題は、STH部門に限らず、日本IBMの多くの社員が適用されている裁量労働制について、会社が法に基づいて適用しているかどうかが問われている問題です。

◇過労死うつ病を引き起こす懸念◇
本人が裁量労働制の適用を受けている場合、基準に照らして妥当なのか検証が必要です。なぜ問題視するのかというと、制度の内容も知らず、自覚のない社員が少なくない中で、プロジェクトなどで残業代経費を削減するために、裁量の余地のない勤務の社員に裁量労働制を適用しているケースが目立ち、時間管理もいい加減になっていて、その結果、長時間労働に伴う過労死やう病を引き起こすなど由々しき問題となっているからです。
適用されている社員は、自身が適用される条件を満たしているかどうかを確認するとともに、自身の勤務時間(始業・終業時間)をe-Attendanceに必ず入力する必要があります。(あわせて日記やメモも有効です)
このことは、時間外勤務手当(深夜・休日勤務手当)を請求する場合だけでなく、長時間労働による過労死やうつ病になった場合の労災申請時にも有効です。
会社は、毎年、社員にコンプライアンスに関する教育を徹底しているにもかかわらず、自らが、今回のケースについて労基署に疑義をもたれているわけですから、全社に展開して、労働法の遵守を徹底させる必要があるはずです。

日本IBMでは、労働基準法(第38条の3)の専門業務型を採用しており、「裁量勤務制度」と称しています。
専門的業務に従事する労働者については、仕事の仕方や時間の配分等を使用者が具体的に指示するのではなく、労働者本人の裁量に任せなければなりません。

労働者の権利守るたたかいを
・・・大岡委員長再就任挨拶・・・

このたび全日本金属情報労働組合(JMIU)日本アイビーエム支部の全国大会で中央執行委員長に再任されました大岡です。 会社の人員削減計画、労働強化など私たち従業員を取り巻く環境は厳しさを増し、責務の重大さを痛感いたしております。
以下のような2010年度の主なたたかいの中で、今後も労働者の権利を守るため全力を尽くす所存ですので、皆様の一層のご支援、ご鞭撻をお願いいたします。

◆2012年度主なたたかい
・賃上げのたたかい
賃上げは生活を維持し向上させるために必要なものであり、5年連続ゼロ昇給は断じて許されません。PBC重視ではなく、労働者の安定した生活のためにも、一律賃上げ(ベースアップ)を行わせます。

・退職強要とのたたかい
会社は、利益増大のために継続的に徹底した人員削減を進めるという極めて異常な経営姿勢をとっています。このためメンタルヘルス疾患の患者が大量発生するとともに、その人たちを退職に追い込むという人道的問題が続出しています。これらの人権侵害を直ちに止めさせ、社会的責任を果たせる企業にします。

・雇い止めとのたたかい
PC契約者の雇い止めをやめさせ、労働者の希望によりレギュラー化をさせます。

・業務改善プログラム(PIP)とのたたかい
解雇、降格、減給など不利益変更につながるPIPは直ちに止めさせます。

・減給/降格とのたたかい

労働条件の一方的不利益変更を安易に実施させません。労働条件の変更は労使対等が原則です。

・最低保障給を取り戻すたたかい
最低保障給の撤廃は労働者の権利を奪うものであり、断じて認めることは出来ません。

・GDPを撤廃させるたたかい
給与格差をつけるGDPの導入を撤廃させます。GDP配分の中身を明らかにさせます。

・残業代請求のたたかい
e-Attendance への正確な入力を徹底させ、社内からサービス残業を一掃します。

・裁量労働者のたたかい
会社は単純に職種による適用を実施しています。労働時間を適切に把握するシステムを確立させます。

・客先常駐者の労働条件改善のたたかい
お客様先のプロジェクト・ルームに常駐している労働者は、長時間勤務を強いられています。このようなことをなくし労働者の労働者の時間管理を徹底させます。

・労働者の健康を守るたたかい
社員の雇用が継続できるよう、産業医に健康保持・向上のために努めさせます。

8.26「退職強要・人権侵害裁判」結審

2008年10月ー12月に行われたリソースアクションプログラムで、退職強要・人権侵害を受けたとして、2009年5月に4人(一人は追加)が日本アイ・ビー・エム(株)を提訴しています。 8月26日結審となり、判決日は12月16日です。東京地方裁判所619号法廷で行われます。

 

平成21年(ワ)第17789号損害賠償請求事件
原告 木村 剛 外3名
被告 日本アイビーエム㈱

平成23年8月26日

最終意見陳述

???????原告代表  木村 剛

2008年10月以降に被告日本アイビーエム株式会社が実施したRA(リソース・アクション・プログラム)では、被告の証言では1300人強、原告らが属するJMIU(全日本金属情報機器労働組合)日本アイビーエム支部推定で約1500人の正社員が自己都合退職に追い込まれました。全社一丸となって実施されたこの大規模な社員削減施策の過程で、私たち原告4名を含む多くの社員が、意思に反する執拗な圧力をかけられました。その多くが被告による圧倒的な業務権限を濫用した強力な圧力に抗することができずに、退職していきました。形の上では「自己都合退職」ではあっても、実質は「整理解雇」でした。
私たち原告4名は、組合の支援を頼み、なんとか踏みとどまったものの、被告から受けた精神的、経済的被害は筆舌に尽くし難いほど大きいものでした。

2008年10月28日の最初の退職勧奨の面談以降、私は一貫して退職の意思が無いことを、繰り返し繰り返し表明し続けました。そのような私に対して、会社側の管理職たちは、「あなたは会社に貢献していない」とか「あなたの業績は低い」などと一方的に決め付け、長年会社のために鋭意努力したきた私の誇りをズタズタに切り裂きました。
さらに会社は「あなたの業務態度は悪く、多くの苦情が来ている」などと言いがかりをつけ、「年末の評価は低く、賞与は減額される」、「改善が見られなければ降格もありうる」などと脅してきました。
一人で戦うことの限界を感じて組合の支援を仰いだ後も会社の攻撃は止まず、「あなたの今後のキャリアについて話し合うため」と称して法務担当執行役員との面談を仕掛けてきました。「業務の一環」で行うものであり、断ると「解雇を含む処分がありえる」とまで恐喝し、私に対する圧力はますますエスカレートしていったのでした。
これらの圧力により受けた恐怖はかつて経験したことの無い、強いものでした。
2006年年初に受けた別のパワハラにより発症した鬱病の投薬治療中であり、2008年秋はようやく病状が快方に向かいつつあった時でしたが、このような強烈な圧力により病状は一気に悪化し、結果的に治療期間が大幅に長引きました。
このような、会社による退職への圧力は、組合がマスコミに対して行った記者会見で、私が実名を出し、顔を出して世間に訴えるまで、延々と続いたのでした。
他の原告も、細かい経緯は異なっても、いずれも同程度あるいはそれ以上の強烈な圧力を会社からかけられました。

このような強烈な圧力は、退職勧奨として許容される程度を大きく逸脱したものであり、違法な退職強要であって、私たち原告は人権を侵害されたと認識しています。
原告が属する組合、JMIU日本IBM支部は会社との団体交渉に於いて繰り返して退職強要を止めるよう要求しましたが、被告会社は聞く耳をもたず、「裁判の判断を待つ」とまで言い切りました。私たち原告は、団体交渉による解決を諦め、組合の支援の元、提訴して被告の違法性を訴えるに至ったわけです。
本件は、決して原告4名と会社との間の個別紛争ではありません。被告会社が組織ぐるみで行った人員削減施策の過程で発生した、組合員に対する退職強要と人権侵害の非を問うものであり、組合との労使関係に関わる、集団的労働民事紛争であります。

3回に分けて実施された証人尋問で、4名の原告と、その属する組合の委員長の5名は、被告会社が行ったRAプログラムで経験した事実を、正直に、何ら脚色することなく、ありのまま証言しました。
一方、会社側の証人たちは、(1)都合の悪いことは、忘れた、あるいはわからない、と言い逃れ、(2)原告が言ったことを「聞かなかった」と言い、(3)原告が言いもしないことを「言った」という、虚偽の証言に終始しました。
「ありのままを述べて、裁判所の判断を仰ぐ」、という裁判の基本を踏みにじる、卑怯な態度に終始したことは、とても許せるものではありません。
このような、会社側の証人たちの「真実を語らない」態度自身が、「退職強要はしていない」という被告の主張そのものを自ら否定していると言わざるをえません。

私、木村 剛は原告を代表して、裁判所に対して以下を強く主張し、要望します。

1.?あらゆる裁判の結果は、「社会正義」を実現するものでなくてはなりません。
2.?本件は、社会的にも広く注目を集めています。大量解雇・分限免職など、企業や組織による乱暴な解雇・人員削減が横行しているなかで、同列に位置づけられた紛争です。本件の結果は、企業・組織で働く労働者の労働環境に強い影響を及ぼします。
3.?以上の諸点に鑑み、今後50年、100年という歴史の検証に耐える、公明正大な判断をしていただきたいと、切に望みます。

以上

本社事業所長空白問題その2

労基署が「指導票」を交付せざるをえなかった
会社のまずい対応

 2ヶ月間の空白を経て、7月1日にやっと新事業所長の発表がありましたが、会社の労基署への回答は事実とは異なる言い訳をしていたことが、労基署からの返事でわかりました。
 前回の紙面で、『事業所長は退職前の長期休暇中であるが会社に籍はある』と苦しい言い訳をしていることまでを紙面に掲載いたしましたが、さらにその話には続きがありました。

◆言い訳が退職前の長期休暇から『代理がいる』へ
 
 6月24日に会社は「総括安全衛生管理者の代理は総務部長のAさんです。安全衛生委員会の議事録に『総括安全衛生管理者一号委員が未定』とあるのは、間違いです」と労基署に回答したそうです。しかし事前に代理者がAさんと決まっているなら、回答に4日もかかる訳がありませんし、また議事録が間違いであると安全衛生事務局が聞いたら怒るような嘘をつく必要もありません。 
 また、本社の安全衛生委員会の事務局担当者に確認したところ、Aさんがその期間会社のいうように、総括安全衛生管理者の代理の自覚があったかというとまったくなかったとのことですし、安全衛生委員は誰ひとりとして代理だという認識はなかったと聞いています。これも明らかに嘘ですし、苦しい言い訳です。

◆労基署は口頭で済ませるつもりが

 労基署は当初は口頭での指導で済ませるつもりだったようですが、会社に対して「7月1日までに総括安全衛生管理者を選任するよう」指導票を交付せざるを得ませんでした。
 さらにこのAさんは6月1日付で幕張事業所に異動しました。『6月以降は後任の総務部長Kさんが代理』と会社は回答したそうですが、安全衛生委員会では一切そのような話はありませんでしたし、そう思っている委員もいませんでした。逆に『まだ、決まらないのかしら』となかなか決まらない統括安全衛生管理者にとまどいの声が多くありました。
 ようやく新事業所長が発表され、この異常な状態が解消されましたが、度重なる会社の労基署への嘘の発言が発覚しました。「インテグリィティ」を標榜する会社のすることではありません。またこのような重要な問題を2ヶ月近くも放置していたことは、問題ですし、法律を遵守していないことになります。 組合はこのような事態が再発しないよう、会社の責任を追及していきます。
 

グローバル企業の横暴を許すな

「2015年ロードマップ」達成のために
徹底した人員削減を継続
6月7日に「2011年度の給与調整・昇進昇給の実施」が、ウエブを通じて、会社から従業員に一方的に発表されました。会社は2005年10月3日発表の「人事制度の改革」発表以来、徹底した成果主義のもと、ベースアップすらないゼロ昇給の恒常化、年齢別保障給の廃止、更に減給などにより異常な格差拡大が進んでいます。

◇恐怖政治が蔓延する会社◇

 成果主義の実態は、人件費の抑制が目的であり、PBC制度を悪用し、多くの社員の処遇を下げ、労働者の管理を強化することです。いま、社内では会社の施策に公然と意義をとなえる労働者がいなくなっています。これは、成果主義が生んだ「恐怖政治が蔓延する会社」と言えます。

◇米IBMへの送金が最優先◇

成果主義により、従業員は個別に分断され、労働者の権利を失っています。会社は、PBC制度を悪用し、リソースアクションプログラム(人員削減)の実施、またそれを拒否した者に対し異常な低評価の実施と年収の大幅な切り下げを行い、次は自分か、と多くの社員を不安に陥れてきました。ごく一部の社員は異常なほど優遇され、大多数の社員が冷遇されることにより社員間の格差はますます拡大し、チームワークを阻害し、モチベーションを低下させる原因となっています。IBМが掲げる目標「2015年ロードマップ」達成のため、利益増大のために継続的に徹底した人員削減を進める、という極めて異常な経営姿勢をとっています。米IBМへの送金を最優先する姿勢からは、日本において社会的責任を果たそうとする企業の姿はみられません。これは、「グローバル企業の横暴」と言えるでしょう。

◇全員昇給は、労使対等の目安◇

 組合は、団体交渉で貢献のあった社員に上限なしに昇給をすることは、大いに行ってくださいと会社にいってます。ただし、賃上げは、生活を維持し向上させるために必要なものです。会社がいかなる理由をこじつけても、5連続ゼロ昇給は断じて許されないのです。労働者の安定した生活設計を保証するためにも、PBC評価に関係なく、全従業員に一律賃上げ(ベースアップ)を行う必要があります。このようなごく当たり前の労働者の権利が、会社によって奪い去られています。賃上げの意味は大きく、それは労使が対等かどうかを意味します。それが達成されて「自由闊達な会社」と生まれ変われます。

◇立ち上がれ、従業員◇

 減給通知を受けた従業員の方は、上司からしっかりとその理由の説明を受けましたか。減給を安易に許してはいけません。一度受け入れると、減給と降格が繰り返し実施され、やがて解雇にされます。会社の好きなように労働者の賃金を変更できません。減給されてしまう前に是非、組合にご相談を下さい。

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有期雇用社員は、契約期間が終了すれば雇用関係が終了するわけではない

 コンサルタント職で働くPC契約社員に対し、本人が契約更新を希望しているにもかかわらず、雇い止めを行う問題が発生しています。会社は、PC契約であれば、会社の都合で自由に雇い止めができると思っているようです。しかし採用時に「心配しなくても契約更新が行われるよ」と期待権を持たせる説明を行っていることが、採用された方の聞き取りからわかっています。その結果、レギュラー契約であった会社を退職してまで、転職をしてきた方が多いのです。これは大きな問題です。有期雇用に関する投稿がありましたので、掲載します。

◆過去の判例◆

 有期雇用の社員は、契約期間が終了すれば雇用関係が終了するわけではありません。1974年判決確定の東芝柳町工場事件では、仕事の内容が正社員である本工と差のない契約期間2か月ごとに更新していた臨時工の雇止めに対して、期間の定めのない契約と実質的に異ならない状態で労働契約が存在していたとし、その後の雇止めは実質的に解雇にほかならないので、解雇に関する法理を類推適用すべきとして、有期雇用契約の更新後の雇止めに対して解雇に準じた制限が加えられるルールが確立されました。これに対して1986年判決確定の日立メディコ事件では、雇止めを受けた臨時員の上告は棄却されました。これは臨時員の雇用関係が比較的簡易な採用手続きで締結された短期契約を前提とする以上、雇止めの効力を判断すべき基準は、正社員である本工を解雇する場合とは合理的な差異があるべきであるとされたためです。

◆明確でない雇止めのルール◆

 有期雇用の雇止めのルールは明確でなく、紛争も多いため、厚生労働省は、2003年に「有期労働契約の締結、更新及び雇止めに関する基準」の告示が行われました。この基準は、2008年に改正されましたが、その1条1項では「使用者は、期間の定めのある労働契約(以下「有期労働契約」という)の締結に際し、労働者に対して、当該契約の期間の満了後における当該契約に係る更新の有無を明示しなければならない」とし、同条2項では「使用者は、労働者に対して当該契約を更新する場合又はしない場合の判断の基準を明示しなければならない」と規定して、使用者に契約時に「更新の有無」及び「判断の基準」を明示することを求めています。
 永墓さんのケースについて考えてみると、期間3年の契約を一度更新して6年間の雇用期間があり、コンサルタントとして正社員と同様の仕事をこなしており、臨時員の様な内容ではありません。また契約更新時には、雇用継続を前提としているから当時の使用者であるIBCSからは「更新の有無」の明示はなく、当然「更新判断の基準」の明示もありません。
 このような状況で、永墓さんを有期雇用だからといって雇止めすれば、解雇法理が類推適用されることは自明の理であります。
 震災ボランティアも大事であるが、世間にアピールするイベントばかりに注力せず、足元の社員の救済に目を向けてはどうでしょうか。