組合が9月17日に日本IBMに提出した2025年のJMITU日本IBM支部秋闘1次要求書への回答が、回答指定日の10月1日にありました。少ない1回分の賃上げを実施する予定は無い、専門職手当、副主任手当の廃止を撤回する考えは無いなど物価高騰の中で従業員の生活への配慮に欠ける回答でした。以下に抜粋して紹介します。
争議解決の要求
(1)定年後再雇用賃金差別争議を解決すること
■日本IBM回答
(1)について、会社は、引き続き誠意をもって適切に対応してまいります。
賃上げ要求
(1)2020年9月1日(当時の就業規則が定める給与調整日)に賃上げが実施されなかったために、賃上げが1回分少ない状況は未解決です。その一方、2021年から続く物価高騰で従業員の生活は厳しさを増しています。
これを受け、少ない1回分の賃上げとして2025年中に賃上げを実施することを要求します。
(2)上記(1)の賃上げは、全従業員(正社員、プロフェッショナル・ブルーを含む)の本給(本俸・月額賃金)を10%引き上げること。
(但し、シニア契約社員の賃上げについては、定年後の労働条件に関する要求の(3)で要求しています。)
■日本IBM回答
(1)について、2025年中にもう一度(給与調整を)実施する予定はありません。
(2)について、昇給は社員のスキルや業績等を総合勘案して所属長が個別に決定するものですので、要求にお答えする考えはありません。
専門職手当、副主任手当の廃止の撤回要求
両手当の廃止により、専門職手当をもらっていた人で残業の無い人は708,000円の年収減、副主任手当をもらっていた人で残業の無い人は492,000円の年収減となります。生活に大きなマイナスの影響を与えます。
以上の弊害を取り除くために、専門職手当、副主任手当の廃止を撤回することを要求します。
■日本IBM回答
当該報酬制度改定の設計においてはさまざまな前提条件を設定し検証を行いました。例えば、GDP やセールス・インセンティブにおける業績達成率は 100%を想定し、残業時間は平均値を割り出してコスト等の試算を行いました。こうした前提において、今回の報酬制度改定は不合理なものではない
と考えており、制度改定の内容自体を変更する考えはありません。
定年後の労働条件に関する要求
(1)賃下げなしの65歳までの定年延長の要求特別支給の老齢厚生年金の段階的引き上げが完了することに伴い、「賃下げなしの定年引き上げ」は、職場の切実な要求となっています。賃下げなしで65歳までの定年延長を要求します。
(2)シニア契約社員の契約上限年齢引き上げの要求
高年齢者雇用安定法の趣旨(70歳までの就業機会確保の努力義務)に従い、シニア契約社員の契約上限年齢を70歳に引き上げること。
さらに、上記(1)の要求が実現した場合は、65歳の時点でシニア契約社員への移行を選択できるようにすること。
(3)シニア契約社員の処遇改善の要求
1)シニア契約社員の年収を、最低でも定年時の年収(賞与込み・残業以外の手当込み)の80%とすること。
但し、シニア契約社員の年収は、初任給(Reference Salary)に副主任手当を足し合わせた年収(*1)を下回らないこと。
なお、専門職手当、副主任手当の廃止の撤回を要求していますので、上記で「副主任手当を足し合わせた」と表記しています。
(*1)5,394,000円=初任給 4,902,000円(本給 286,000円×12ヶ月+賞与基準額 1,470,000円)+副主任手当 492,000円(月額 41,000円×12ヶ月)
2)シニア契約社員の年収を上記の通り設定した上で、組合員であるシニア契約社員の具体的な年収は団体交渉によって決定すること。
■日本IBM回答
(1)について、会社は65歳までの雇用確保措置として、65歳までの継続雇用制度(再雇用制度・勤務延長制度)を選択しシニア契約社員制度を導入しました。現時点でこの方針を変更する予定はありません。
(2)について、現時点でシニア契約社員の契約上限年齢を70歳に引き上げる予定はありません。
(3)1)について、2025年10月に現在の水準の上乗せを実施いたしました。今後も多面的かつ継続的に検討してまいります。しかし、現状で下限額を定年時の80%にまで引き上げる予定はありません。
(3)2)について、協議には誠実に応じますが、社員の処遇を団体交渉によって決定する考えはありません。