日本IBMの手当廃止は残業ゼロで年収減に会社、団体交渉で認める~不利益変更を撤回せよ

日本IBMの2025年7月1日付の報酬制度改定で、残業をしなくてももらえていた月額59,000円の専門職手当、月額41,000円の副主任手当が廃止されたことにより、専門職手当をもらっていた人で残業の無い人は708,000円の年収減、副主任手当をもらっていた人で残業の無い人は492,000円の年収減となります。
このように年収が70万円とか50万円の規模で減少することは従業員の生活に大きなマイナスの影響を与えます。
かいな2470号1面記事「日本IBMの手当廃止は不利益変更か ~7月30日、団体交渉で協議」では、7月30日の日本IBMとの団体交渉で、会社は、専門職手当、副主任手当を無くしたことによって残業ゼロベースの人であっても年収は基本的には現状維持以上になるとアセスしたのは事実だと説明し、残業ゼロの人について制度変更前後の年収比較の数字を確認して次回団交で回答することになったことをお伝えしました。
この続報として今号では9月3日の日本IBMとの団体交渉のやり取りをお伝えします。結論から言えば、9月3日の団交で、会社は専門職手当、副主任手当の廃止によって残業ゼロの人は年収減になることを認めました。そこで組合は専門職手当、副主任手当の廃止を見直すことを要求しましたが、会社は改定後の報酬制度を変更する考えは無いと回答しました。組合は、残業ゼロの人が手当廃止で年収減になることは不利益変更であるとこれまでずっと言ってきました。個々人の残業時間に差異があるからこそ、全従業員に不利益が生じないよう、会社は専門職手当、副主任手当の廃止という不利益変更を撤回すべきなのです。
以下に、残業ゼロの人の制度変更前後の年収比較の数字(7月30日の会社持ち帰り事項への回答)を含む9月3日の団交のやり取り(要旨)を紹介します。

9月3日団交のやり取り(要旨)

会社 Band 6の社員で、改定前がARS (Annual Reference Salary) 550万円 (=本給12ヶ月分 400万円+賞与基準額 150万円)、DC (確定拠出年金) 41.6万円、GDP 33万円、計624.6万円だった場合、改訂後はARS 564万円、DC 28.2万円、GDP 33.8万円、計626万円となる。さらに月当たり平均残業時間が15時間、10時間、0時間の各ケースで、改定前の副主任手当・残業代の合計、改定後の残業代は、それぞれ49.6万→64.9万円、49.2万円→43.2万円、49.2万円→0円となる。以上より改訂前後の年収総額は、それぞれ674.2万円→690.9万円、673.8万円→669.2万円、673.8万円→626万円となる。

会社 Band 7の社員で、改定前がARS 700万円 (=本給12ヶ月分 500万円+賞与基準額 200万円)、DC 52万円、GDP 42万円、計794万円だった場合、改訂後はARS 717万円、DC 35.8万円、GDP 43万円、計795.8万円となる。さらに月当たり平均残業時間が15時間、10時間、0時間の各ケースで、改定前の副主任手当・残業代の合計、改定後の残業代は、それぞれ70.8万→82.4万円、70.8万円→55万円、70.8万円→0円となる。以上より改訂前後の年収総額は、それぞれ864.8万円→878.2万円、864.8万円→850.8万円、864.8万円→795.8万円となる。

組合 専門職手当、副主任手当の廃止を見直してもらいたい。

会社 個々人の過去12ヶ月の実績値を出して個別に計算するのは明示的に難しいし、プラス、本来支払額が変動するようなものについて過去の個人の実績に基づいて個別に対応を分けるというのはプロジェクトの進め方としても公平性に欠けると思っているので、そういうことをする考えはない。なのでシンプルに手当は無くして残業時間に応じた残業代を支払いますといった1つの方針で公平にやっていこうという考えだ。

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