日本IBMの手当廃止は不利益変更か~7月30日、団体交渉で協議

日本IBMの 2025 年 7 月 1 日付の報酬制度改定で、専門職手当、副主任手当が廃止されました。専門職手当は月額 59,000 円、副主任手当は月額41,000 円で、両手当は残業をしなくてももらえていたわけですから、両手当の廃止により、専門職手当をもらっていた人で残業の無い人は 708,000 円の年収減、副主任手当をもらっていた人で残業の無い人は 492,000 円の年収減となります。残業の無い人には主に二通りの人がいます。業務を効率的に行っていて残業をする必要がない人と、仕事外しというパワハラにあっていて業務のアサインが何もない人です。
このように年収が 70 万円とか 50 万円の規模で減少する、これは従業員の生活に大きなマイナスの影響を与えるにもかかわらず、日本IBMはなぜこのような手当廃止を実施したのか、かなりの違和感があります。ちなみに、キンドリルジャパンは、月額 59,000 円の専門職手当、月額 41,000 円の副主任手当を維持しており、従業員の生活への配慮が見られます。
一方で、両手当の廃止後も両手当の金額に相当する残業代がある人の年収は維持されますが、残業時間は人によって異なりますので、専門職手当、副主任手当の廃止によって従業員は年収減になる人とならない人に分かれます。あるいは今は残業代があって年収減になっていない人も、将来残業代が無くなるか減ることで年収減になる可能性があります。残業をしなくてももらえていた手当が突然消えてしまったことで、人によって年収減の有無や規模が異なるという理不尽な格差が生まれています。
組合は、この問題を 7 月 30 日の日本IBMとの団体交渉で協議しました。この日の団交のやり取り(要旨)を以下に紹介します。

7月30 日団交のやり取り(要旨)

組合
専門職手当、副主任手当は、元々はそれぞれバンド7、バンド6という職責に対して支払われていた手当だ。つまりバンド7、バンド6という残業が発生する職務を前提としている手当だ。結果的に残業にならなかったとしても、それは本人が効率的に業務を実施した結果だから、もらって当然の手当だ。この手当の廃止は撤回してほしい。

会社  特に前回お伝えした内容から変更はない。賞与を本給に組み込むことによって時間割賃金そのものがけっこうな割合で増える。

組合 効率的に品質のいい業務をして、それが残業にならなかった人というのは、この手当廃止のマイナスの影響を被ってしまう。損じゃないか。見なし残業代を一方的に削るということは違法性が高い。実際にはこれ世間的にも認められている。そういう例は実際にはある。

会社  この一連の制度改定っていうのはトータルでやっぱり見る必要がある。つまり、今回やろうとしている変更が3つないし5つほどあるので、それら全部を踏まえて収入が、現状と比べて増えるのか否かっていうので見る必要がある。それら全部を含めると基本的には不利益になる社員はいないというのが私たちのスタンスで、よってこれはトータルで見れば不利益な変更とは考えてはいない。

組合 手当を無くしたことによって残業ゼロベースの人であっても年収は下がらないと会社は断定できる計算をしたのか。

会社 基本的には現状維持以上になるという試算。

組合 そこはやったと言い切っているということか。

会社 アセスしたのは事実だ。数字は確認する。

組合 具体的に言うと、残業していない人について制度変更前後の年収比較の数字を確認する、これを持ち帰って次回回答して頂くと。その数字を次回お見せ頂くということで、よろしくお願いします。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

このサイトはスパムを低減するために Akismet を使っています。コメントデータの処理方法の詳細はこちらをご覧ください