米国の最近の労働運動は爆発的に前進 組合支持率71%うち若年層は88%が支持

米国の最近の労働運動は爆発的に前進 組合支持率71%うち若年層は88%が支持

9月29日、全労連会館ホール(東京都文京区)で、全労連主催の公開学習会「米国労働運動の組織化戦略から学ぶ」がオンライン併用で開催されました。学習会では、まず、米国から招いたピーター・オルニー氏が「2023年米国労働者のパラドクス」というテーマで講演し、続いて参加者がオルニー氏の講演内容についてディスカッションを行いました。今回のオルニー氏の講演では米国労働運動の最新事情を聴くことができましたので、その内容を以下に紹介します。

労働条件の改善進む米国

まず、「米国で起こっている最近の労働運動について、活発で爆発的に前進している。具体的には、アマゾンやスターバックスなどで新たな組合が結成されている。
教員、医療、マスコミ、公共交通、製造業、俳優、脚本家、大学院生労働者のストライキを構えた要求実現の運動が展開されている」と述べ、米国の現在の労働運動は、既存のたたかう組合と新しい組合の両方が労働条件の改善を進めていることを紹介しました。

若年層は88%が組合支持

米国における組合組織率と組合支持率について、「米国の労働運動は活発で爆発的に前進している一方、組合の組織率は低いともいえる。組織率は民間6%、公務で35%のため、統合しても約10%程度にすぎない。一方で、米国の世論調査によれば、組合を支持している人の割合は71%にのぼり、1963年以降、一番高い数字となっている。特に3歳0以下の層は8%8の支持率である。これは驚くべき数字だ」と解説しました。さらに、米国で組合の組織率が低くても労働運動が前進していることについて、「たたかう組合の姿勢を示せば、成功するという実例がいま米国で起こっている」と述べ、参加者を鼓舞しました。

戦術的にストライキ実施

今年、全組合員による投票で執行部をたたかう執行部に刷新した、全米自動車労組の最近の労働運動について、「組合の民主化が進み、労働運動に積極的な姿勢を取る組合執行部に変わったことが大きい。その結果、フォード、GM、ステランティス(フィアットとクライスラーの合併)などの自動車メーカーでは、戦略的なストライキを今年9月から展開している。最初は特定の拠点で限定的な人数がストライキに参加し、経営側が要求を拒絶する場合には、より強力な対策を講じて経営側に圧力をかけたたかっている。このストライキが成功したら、今後、電気自動車の業界や組織化されていない分野に大きな影響を与えることになる」と解説しました。

アマゾンで組織化進む

アマゾンの最近の労働運動について、「米アマゾンでは、組合の組織化に成功しているが、倉庫配送センターやウェブサービスなど経営が多角化しているため、現在3つある組合を一つに組織化することを進めている」と解説しました。

日米で連帯を視野に

米国の労働運動の地殻変動の象徴として、現職の大統領が史上初めてストライキをしている労働者の前で直接会話をする決断をしたことをあげました。また、今後、全労連から米国に派遣される代表団との交流を深め、労働運動を進めていくことを確認しました。

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