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ブルームバーグPIP解雇事件・東京高裁判決についての声明

 米ブルームバーグ東京支局の記者の解雇をめぐる訴訟で4月24日、東京高裁が一審東京地裁に続いて、原告記者側勝利の判決を言い渡しました。
 これを受けて、新聞労連、新聞通信合同ユニオン、弁護団が連名で声明が発表されましたので紹介します。

ブルームバーグPIP解雇事件・東京高裁判決についての声明
(1)  東京高等裁判所第20民事部(坂井満裁判長)は、2013年4月24日、ブルームバーグPIP解雇事件の裁判において、会社側の控訴を棄却する判決を出した。本件は、2005年11月に通信社ブルームバーグに記者として中途採用された原告(被控訴人)が、2009年12月から2010年3月にかけて会社からPIP(パフォーマンス・インプルーブメント・プラン:業績改善プラン)を実施された後、能力不足を口実に解雇されたことから、会社を相手どり、解雇は無効であるとして従業員としての地位の確認を求め、2012年10月5日に、一審東京地裁が解雇無効の判決を出していた事件である。
(2)  高裁判決は、原審より進んで、原告が会社の管理システムに行動予定を書き込んでいたことや原告が執筆した記事本数は同僚と遜色がないことなど、会社の主張する解雇理由が成り立たないことを補強して認定した。さらに、会社が提出した、氏名不詳の14名の従業員の資料については、原告が反証不能な書証であり信用できないなどとし、原告の職務能力の重大な低下を示す客観的証拠はないと断言した。
 また、控訴審において会社が「国際企業と一般的な日本企業との雇用形態には差異がある」として、外資系企業について解雇権濫用法理をゆるやかに適用すべき旨を主張していた点については、「単なる一般論に過ぎず」「解雇事由の判断に影響を与えるようなものではない」と一蹴した。
 なお、会社は、原告が会社側の提案した備品管理などの業務での復職に応じないことを理由として、高裁結審後の和解協議中の本年3月1日、改めて解雇通告をした。違法に違法を重ねて恥じない会社の姿勢は、自らの存立を危うくするものであることを知るべきである。
(3)  本判決は、解雇の規制緩和や大企業による退職強要が横行し、労働者の雇用環境が悪化しつつある中で貴重な判決である。
とりわけ今、政府の産業競争力会議や規制改革会議において、首切り自由の「限定正社員制度」や違法解雇を手切れ金で解決する「解雇の金銭解決制度」の導入が検討されている。
 上記会議の構成員である経済学者や大企業経営者は、日本の正社員が過度に雇用保障されていることが、産業の発展を阻害していることを議論の前提としている。しかし、それは実態とかけはなれた机上の議論である。
 現場では、本件のように、「業績改善」に名を借りた退職強要・違法解雇が横行している。訴訟などで闘える労働者はごく一部に留まり、圧倒的多数の労働者が権利を守られることなく泣き寝入りしているのが実態である。
 今、必要なのは、解雇自由の弱肉強食社会の実現ではない。労働者が、自らの労働にふさわしい対価と十分な休息を享受し、安心して働き続けられる社会の実現である。
 そのために、労働者が長年にわたる闘いで勝ち取った解雇権濫用法理(労働契約法16条)をはじめとする労働者保護法制を実効化し、さらに強化していくことこそが必要である。
 私たちは、労働者の権利を擁護し、健全な社会の発展のために引き続き奮闘する決意である。
2013年4月24日
日本新聞労働組合連合
新聞通信合同ユニオン
弁護団弁護士 今泉義竜/小木和男/菅 俊治

参考:ブルームバーグの記者解雇訴訟、2審も原告勝訴
          (ニュース・ワーカー2 2013年04月25日)

【団交報告】 団交で触れず減給発表
         不誠実団交続ける会社

 組合は、5月13日会社と団体交渉(以下、団交)を行いました。
 組合は、夏期一時金に対する会社業績スコア、ISCJからIBITにさらに出向させられる社員に対する待遇等について、そして就業規則の不利益変更について、追及しました。

▼会社業績スコアのだまし討ち▼

 組合が、会社業績には量的指数と質的指標があるが、量的指標は売上高と税引き前利益で決まるので、この二つの金額がすでに出ているためすでに算出できるはずだと追及しましたが、会社は日本だけの状況では決まらないため、まだ回答できないとしました。
 日本では、売上高は微減しましたが、税引き前利益は倍増していますので、昨年のスコア40に対して期待できるのではないかとさらに追及しましたが、会社は何も回答しませんでした。
 ところがそのたった二日後の5月15日、会社はスコアが19であると全社員に対して発表しました。発表の前に組合に対して何の通知も行われませんでした。会社は依然として不誠実団交を続けています。

▼就業規則の不利益変更▼

 会社は4月1日付けの就業規則を「文言の変更」と説明しました。しかしながら、詳細を調べると不利益変更が二点含まれていることが判明しました。
 一点目は休職期間を必ず通算するようにしたことで、二点目は定年退職日を誕生日から誕生月の月末としたことです。
 この不利益変更について、繰り返し追及すると、遂に会社も不利益変更であることを認めました。
 なお、IBITへ出向したことによる不利益変更は団交の場で回答はできず、調査して回答するとのことでした。

▼いきなり減給を発表▼

 二日前に団交をしたにもかかわらず、団交の場では減給について、一言も会社は触れませんでした。
 労働条件の変更は事前に協議するように重ねて申し入れているにもかかわらず、組合を軽視しています。

▼誠実な団交を求める▼

 会社の不誠実団交に対して、断固として闘っていきます。そして、団交を行ったという履歴だけを残そうとしている会社に対して、毎回の団交を実のあるものにしていくようにします。

就業規則改訂の問題点(その2)

 会社は4月1日付けで就業規則の改訂を発表しました。この改訂には私傷病時に取得できる欠勤や休職期間の短縮という重大な不利益変更が含まれていることは、4月1日発行のかいな2221号(第13回中央団交報告)でお知らせしたとおりです。その他にも定年退職の日を定年の「誕生日」から「誕生月の月末」に変更しました。一見、良いことのように見えますが、そうではありません。3月以前は月の途中で定年退職した場合でも、月末までの給与が支払われていました。1日生まれの社員は、1日付けで退職しても1か月分の給与を受取れたということです。それが4月以降は月末まで働かなければならないということで、最大で30日のただ働きを強いられるのです。このことに気づいている社員が何人いるでしょうか。

 手続きにも大きな疑問

 今回の改訂手続きにも大きな疑問があります。会社は2009年までは就業規則改訂のたびに従業員代表選出を行い、社員にその信を問うてきました。しかし2010年以降は、36協定締結のために選出した従業員代表に1年の任期を与え、その間の就業規則改訂を無条件で承認させています。今回の就業規則改訂も、昨年11月に選出された従業員代表が署名したはずです。社員は36協定については、協定案と公開された趣意書を読んだうえで、従業員代表を選出しました。しかし今回の就業規則改訂についてまで、賛否を委任したわけではありません。社員は反対する機会を与えられませんでした。
 組合は2012年12月17日発行のかいな2014号で従業員代表選出の問題点を指摘しましたが、それが現実のものとなりました。
 会社は巧妙かつ狡猾な方法で労働条件を切り下げてきます。社員の皆さんは騙されることなく、会社の意図を見抜いてください。組合は労働条件の悪化を防止するために闘っていきます。

またも労基署から指導票
    有休取得制限は不当

 本社勤務のAさんは業務の傍ら、一人でお父様の介護を行っており、有休はほぼ全て介護のために使っています。(もちろん看護休暇も取得しています。)そのため、お父様の具合が悪いときは、有休取得が多くなり、3月は5.5日に及びました。
 ところがAさんの所属長のB担当は、Aさんの家庭の事情と3月分の有休取得日数を知りながら、PIPの目標に3月~5月は「毎月有休2日以内」という要求を加えました。(AさんのPIP管理フォームの特記事項にはお父様の介護のことが明記してあります。)そして目標を達成出来なかった場合は、減給、降格、更には解雇が有り得るという紙も渡されました。
 説明するまでもなく、有休取得は私たち労働者に認められた権利です。理由を問わず、私たちは自由に有休を取得できます。「業務に大きな支障をきたす」という限られた条件でのみ、会社は時期変更権を行使できるのです。
 それにもかかわらず、有休取得そのものを月2日に制限するなど許されることではありません。
 特にAさんの場合は、遊びではなく、親の介護のために有休を取得しているのです。その事情を知りながら、有休取得日数を制限するなど、まともな人間のすることとは思えません。
 しかも月3日以上の有休を取得したら、減給、降格、更には解雇が有り得るとなれば、誰でも有休取得を躊躇するでしょう。人の命を何だと思っているのでしょうか。
 また、お父様の容態が悪化したとき、救急隊員、搬送先病院の医師や看護師、ケアマネージャーから、Aさんの携帯電話に連絡が入ります。就業時間中に対応したAさんに対して、B担当は「仕事中に私用電話をして、ずるい」という信じられない発言を繰り返しました。「家族の具合が悪い」という連絡は、「休憩時間にかけ直す」など出来ないのです。遊びの連絡を就業時間中にしているのとは、明らかに次元が異なるのです。
 B担当のあまりの酷さに、Aさんは組合の支援を受け、労働基準監督署(労基署)にB担当の違法行為を申告しました。申告受理から労基署が実際に動き出すまで、通常は1ヶ月程度かかります。しかし今回は人の命がかかわることということで、1週間という異例の早さで動いてくれました。4月8日に労務の川崎慎吾担当を始めとする関係者を労基署に呼出し、指導票を交付しました。
 内容は「Aさんに対する扱いは労働基準法に照らして問題がありますので、有給休暇を取得した労働者に対して賃金の減額、不利益変更などの取り扱いをしないように。」というものでした。B担当は、PIPの目標から有休取得制限を削除しました。
 組合はもちろんPIPそのものの不当性を訴えて闘っています。そのなかでも今回のB担当の目標設定は、悪魔の所業としか考えられません。B担当こそ、「業績改善」のため、個別に上司や人事から指導を受けるべきと考えます。

15%もの減額発表
   社員無視の会社施策

 5月15日に「パーソナル・リーダーシップを通じた、さらなる変革の推進について」という一見、前向きな素晴らしい名前のレターが社長名で発信されました。日本IBMの成長を促す、新規施策の発表かと思い読んでみると、実は社員の労働条件を切下げる酷い改悪の発表でした。

◆PBC低評価は全員減給◆

 2012年PBCが4の社員は7月1日付けでReference Salaryの15%、3の社員は10%を減額調整する。ただし2011年のPBCが3または4の場合は2012年のPBCが3でも15%減額調整するというものでした。
 昨年までの減額調整は、「PIPの目標を達成した場合は、減額調整しないこともある」という救済措置がありましたが、それもなくなりました。
 また昨年までは「給与がマーケット水準より高い社員」のみが対象でしたが、今年は全員が対象となります。会社のいう「マーケットと比較した給与水準」を自ら否定することとなりました。
 減給方法も巧妙です。減給割合を給与と賞与で6対4としています。これは15%の減給対象者でも「給与」からは9%減給されることを示しています。減給についての判例では、「10%を越える大幅な減給は不当」とされることが多く、それを意識したものと考えられます。
 IBMの評価制度は相対評価です。社員がどんなに頑張っても一定の割合で低評価の社員が出てきます。そして低評価をつけられた社員を無条件で減給するなど、日本の労働法・労働慣習で許されるものではありません。

◆借上げ社宅制度廃止◆

 「制度が古い」という不可解な理由で、借上げ社宅制度の廃止が通知されました。住宅費補助制度に基づく支給額を本給に組み込むとのことですが、多くの社員で月額数万円単位の負担増になります。それだけではありません。借上げ社宅の会社負担分は、多くの社員で非課税だったはずです。それが本給に組み込まれることで、課税対象になるほか、社会保険料の計算対象になります。
 制度廃止の8月以降は、「社員が自分で対応せよ」とのことですが、大家や不動産会社が契約を認めず、立退きを迫られる社員も出てくると思われます。家族を持ち、特に小中の公立学校に通うお子さんのいる社員には大きな負担になります。しかしそのための補助は、一律10万円の補助と、100万円を2年間無利子で貸し出すというわずかなものです。また契約を認めて、同じ家に住み続けられたとしても、契約時に値上げを迫られる可能性があります。4月入社の新入社員の場合、わずか4ヶ月での制度変更であり、入社早々、生活設計に大きな狂いが生じることになります。
 普通の日本の会社なら、8月以降の新規受付の停止、現在の契約更新を認めない」という形で徐々になくしていくところです。それが2ヶ月半前にいきなり廃止の発表です。いったい社員の生活を何だと思っているのでしょうか。
 また、住宅費補助の金額の本給への組入れは一見小さな内容ですが、これは減給された場合、その影響が住宅費補助分にも反映されることを示しており、見過ごせない不利益変更です。

◆会社業績はたった19?◆

 夏期ボーナスの会社業績スコアはたった19であることが発表されました。日本IBMは経常利益率が10%を越え、財務諸表上は超優良企業です。税引前利益は2011年度の2倍近いにもかかわらず、昨年の半分以下です。

 組合は法廷闘争、ストを含むあらゆる方法で闘っていきます。社員の皆さんも組合に加入して、会社の横暴と闘っていきましょう。

ここが変だよ 「シニア契約社員」制度

 会社は2月1日付けで「シニア契約社員」制度と「シニア・プロフェッショナル」制度を発表しました。これは4月1日付けで施行される改正高年齢者雇用安定法に対応するためのものです。
 しかしその内容は、組合が要求する「65歳までの定年延長」とはかけ離れた貧弱なものでした。ここでは特に問題が大きい「シニア契約社員」制度について検証します。
 組合は「シニア契約社員」制度について、以下の①~③の三つの問題点があると考えます。

①月給17万円では生活できない

 「シニア契約社員」制度では週5日勤務でも一律月額17万円(年額204万円)の処遇となります。60歳代の夫婦二人に必要な収入はJMIUの調査では月額28万円といわれています。年金支給年齢が60歳から引き上げられる状況も合わせ考えると、全く足りません。
 さらに勤務日数は「社員と雇用部門の合意に基づき定めます」とあります。会社が「週3日勤務」と指定すれば、週3日しか勤務出来ないと考えられます。週3日勤務の場合、月給は10万2千円になります。これは東京の一人暮らしの生活保護水準を下回ります。
 厚生労働省の「高年齢者雇用確保措置の実施及び運用に関する指針」で「賃金について高年齢者の生活の安定などを考慮し」とありますが、そのような考慮がなされていないことは明らかです。

②業務は60歳より前とは異なる

 「想定する業務」は「これまで社外に委託していた仕事や部門で発生するサポート業務など」になっています。会社は「本人が60歳より前に行っていた業務とは異なる」と明言しています。社員のこれまでのキャリアを全く無視しています。
 週5日勤務で月に23日勤務した場合は、時給は1000円を下回ります。まだまだ元気な60歳の社員を、学生アルバイト並みの時給1000円の業務につけるのですから人材の無駄遣いです。
 それでも会社は「業務内容を考慮して月額17万円の処遇を決定した」と主張しています。会社が高年齢者の有効活用を本気で考えているとは考えられません。

③PBCで契約解除も

 会社は「シニア契約社員」は「PBC評価対象。ただし、他の社員との相対評価はしません」としています。「シニア契約社員」の処遇は、週5日勤務で一律月額17万円と決まっており、「諸手当、賞与およびGDP・インセンティブは対象外です」としていますのでPBC評価による処遇の差はないことになります。
 ではなぜPBC評価を行うのでしょうか。契約更新条件に「就業規則の解雇事由、退職事由に該当する場合は更新しません」とあります。これはPBC低評価の場合この条件に抵触し、65歳までの契約更新がされない可能性があることを示しています。
 また相対評価ではないということは、何人でもPBC低評価をつけられます。会社の業績が悪い場合、多くの「シニア契約社員」の契約を更新しないという操作が出来るということを意味します。
 これらを考慮すると、会社が60歳以上の高年齢者の雇用を本気で確保しようとしているとは考えられません。改正高年齢者雇用安定法に対応するために制度だけは作ったが、本当に社員が応募するとは期待していないと思われます。
 それでも「シニア契約社員」になった人は安い給料で使われて、会社業績が悪化すればすぐに雇用を打切られる不安定な身分におかれるという、社員にとって非常に不利な制度ということです。

高年齢者雇用の安定を

 組合は2月28日の中央団体交渉で「4月1日から、この制度がはじまるが応募者は何人いるのか」質問しました。会社の回答は「ゼロではありません」という極めて不誠実なものでした。極めて少ないものと思われます。
 前出の厚生労働省の「高年齢者雇用確保措置の実施及び運用に関する指針」では、「希望者の割合が低い場合には、労働者のニーズや意識を分析し、制度の見直しを検討すること」とあります。 組合は、「シニア契約社員」制度が有効に活用されているかを監視し、改善を求めていきます。高年齢者の雇用の安定のために会社への働きかけを続けていきます。


高年法問題で厚労省要請(4月11日)
日本IBM支部大岡委員長も参加


解雇理由になり得るか?

 4月15日の「ロックアウト解雇」裁判での原告側の意見陳述は以下のとおりです。

意 見 陳 述 書
2013年4月15日
東京地方裁判所民事第36部 御中
原 告  松木 東彦
 本日意見陳述の時間をとって頂いたことに御礼を申し上げます。
今回提訴したことにより、会社の準備書面で、初めて詳細な解雇理由が明らかにされました。その理由を読んで、私は、こんな抽象的で些細な事が果たして解雇理由になるのかと、強く疑問に思いました。個々の事象の当時、私に対して懲戒処分にあたるなどとの説明は一切ありませんでした。
 解雇理由として、PBCの評価の低さが強調されています。しかし、PBCとは年初に(所属長と相談して)目標設定をして、中間PBCを経て、年末に評価を行う会社の評価制度です。このPBCの大きな問題点は相対評価ということです。個人が100%の業績を上げたとしても、比較対象の他の社員が110%の業績であれば、評価は低くなり、評価3や評価4となります。しかも、比較対象の母集団は知らされておらず、どこの誰と比較されているのかわからない、さらに母集団の1,2,2+,3,4の評価分布もわからないのです。次の問題点は、評価に所属長の恣意的な意見が入りやすい点です。
 私は入社以来、10人ほどの所属長を経験して来ましたが、PBC評価3をもらった際によく言われたのが、“君もがんばったが他の人の業績がよかったからね”といった言葉でした。このように、比較対象者もわからず、さらにその母集団の評価分布すらわからないような相対評価のもと、目標に対するおおまかな達成度すら公表できないような不透明なPBCでの低い評価が解雇理由になりえるでしょうか?
 解雇理由はいずれも些細なことの羅列ですが、そのひとつについて反論します。会社から提出された準備書面には、“月次報告書に業務と全く関係がない事項を記載する”とあります。
 会社では、年に1回、全社員に業務としてセキュリティ&インテグリティ研修を実施しています。インテグリティとは、コンプライアンス(法的遵守)は当然のこと、それ以上に清廉潔白な状態を目指すことらしいです。
 一方、所属している課では毎月ハイライトレポート(月次報告)を提出(データベース上に記入)するように言われています。数ヶ月前から、何でもよいので業務に関するコメントを一言でもよいので書くようにと所属長の藤澤さんから指示がありました。
 そこで、8月にセキュリティ&インテグリティ研修を受講し、かつ、これまでの自身が行ってきた改善活動で感じた疑問や、横浜北事業所のある部署で起きたという業者へのプール金の事件の説明・教育で感じた疑問も含めて、8月の月次報告に次のようなコメントを書きました。
「今月、セキュリティ&インテグリティ研修をwebで受講しました。
インテグリティは毎年受けるたびに疑問を感じます。
この会社は本当に精錬潔白を目指しているのでしょうか?社内調査機関は機能しているのでしょうか?
そんな中、元社長の大歳さんが盗撮で書類送検されました。
大歳childrenたちの経営は大丈夫でしょうか・・・。
会社は本当に精錬潔白を目指しているのでしょうか?」
   上記のコメントについて藤澤さんから削除するように指示があり、私は、大歳社長に関する部分のコメントは削除しました。他については、藤澤さんが削除するなら削除してもらって結構と回答しました。
果たしてこれが解雇理由になるのでしょうか。
 私を解雇した本当の理由はなんでしょうか?
 わかっているだけでも、わずか2週間ほどの間に10人にほぼ同じ文面で『解雇予告通知および解雇理由証明書』が渡されています。これはかなり不自然なことではないでしょうか。会社が人員整理をするために、何らかの理由で解雇したい人物を選択して解雇したとは考えられないでしょうか。
 私の場合、会社を正しい方向へ導こうとして行った、在庫管理の問題点や外注企業との発注トラブル等について社内調査機関への通報や意見具申が、会社にとって疎ましく、解雇の原因になったのではないかと考えています。
以上

平成24年(ワ)第29095号 地位確認等請求事件
原 告 鈴木裕治 外2名
被 告 日本アイ・ビー・エム(株)
意見陳述書
平成25年4月15日
東京地方裁判所民事第36部 合議A係 御中
原告ら訴訟代理人弁護士 細 永 貴 子
 2001年以降、2011年5月20日までに、就業規則53条2号(著しい能力不足等)を理由として解雇された従業員は存在しないこと
 被告は、退職強要事件訴訟の証人尋問期日において、2001年以降2011年5月20日までの間に、就業規53条2号に基づき解雇された従業員はいないことを認めた。
 すなわち、2008年のRAプログラム(1300人の退職を目標として行われた退職勧奨)実施時点で、被告の人事担当の取締役執行役員であった坪田國矢証人は、次のとおり証言した。
2008年のRAプログラム実施に際し、著しく業績が悪く、普通解雇相当であると判断された従業員の数は3,4名であり、そのうちRAプログラムのオファーを受けた者は退職した(甲1・35頁)
就業規則53条2号(著しい能力不足)に基づき解雇された従業員は、2001年以降、2011年5月20日の証人尋問当日まで、一人もいなかった(甲1・35~36頁)。
 この坪田証言を前提とすれば、今回、被告が合計15名(解雇時点において組合員10名、非組合員5名)もの従業員を同時期に就業規則53条2号に基づき解雇したことは、まさに異常というべき事態である。
 著しい能力不足という個別判断であるべき解雇理由により、2カ月間に15名も従業員が解雇されたこと自体の不自然性
 しかも、今回の解雇は、皆一律に「貴殿は業績が低い状態が続いており、その間、会社は様々な改善機会の提供やその他の支援を試みたにもかかわらず業績の改善がなされず、会社は、もはやこの状態を放っておくことができないと判断しました。」という、極めて抽象的な解雇理由をもってなされている。
 本来、能力不足か否か、それが解雇に相当するほど著しいものかどうかについては、従業員ごとに具体的に検討されるべき事情である。上記のような一律の抽象的な理由をもって、15名もの従業員が同時期に解雇されたこと自体、極めて不自然であり、組織的な人員削減の手段として普通解雇を利用したことは明らかである。
 本件解雇は、会社が従業員に「能力不足」のレッテルを貼り、解雇という手段を利用して会社から追い出すことを正当化しようとするものにほかならず、解雇権濫用法理に照らし、到底認められるものではない。
 原告らの求釈明申立書(2)に対する回答を求める
 原告らは、本日付で求釈明申立書(2)を提出した。
 上述のとおり、本件解雇は、被告の従前の人事施策に照らしても異常なものである。本件解雇の全体像を明らかにすることは、被告がいかなる理由で原告らを解雇したのかを理解する上で必要不可欠である。よって、原告らは被告に対し、本日付求釈明申立書(2)へ誠実に回答することを求める。
以上

都労委証人尋問 団交拒否に理由なし


 4月30日都庁34階にて、組合員への解雇通知に関する会社の団体交渉拒否事件に対する東京都労働委員会の尋問が行われ、会社側の主張が無意味であることが露呈しました。組合側証人はJMIU日本IBM支部の大岡義久委員長、会社側証人は当時団体交渉の責任者であった人事の坂上正樹氏です。

▲目的は組合潰し▲

 大岡委員長は、昨年9月21日の団体交渉にて、解雇通知された組合員について議題にできなかったことにより「対象となった組合員は、団体交渉ができないまま自主退職を選ばざるを得なかった。
このことにより、組合への求心力が損なわれた」と証言しました。
 会社側代理人(弁護士)は「その後の団体交渉でも、退職した組合員について議題にしていないではないか」と指摘しましたが、大岡委員長は「自主退職せざるを得なかったことにより、彼らは組合員資格をなくし、団体交渉に出席すること自体できなくなったのだ」と証言しました。
 また会社側は「当日解雇通知の件を議題に入れなかったのは、2時間という団体交渉の時間制限があったためだ」と証言しましたが、

9月21日以前、会社側から「団体交渉の時間は2時間で延長なし」と事前通知があっても、協議が尽くせなかった場合はしばしば時間延長されていた。
9月21日当日も、時間延長をして解雇の件についての協議を行うことが不可能ではなかった。
現に当日は時間延長していた。

と、議題に入れることが可能だったことを、双方の証人が証言することとなりました。

▲続々と新事実▲

 坂上氏への尋問では、9月21日当日、なぜ2時間という時間制限にこだわったかについての証言が得られました。「団体交渉終了後、TD&D部門解散に関する人事処理を行わなければならなかったから」とのことです。TD&D部門の解散期限を9月末と決めたのも、自主退職か解雇かの選択の期限を決めたのも、どちらも会社です。これらの期日が重なり、団体交渉ができないほどの多忙な状況を、会社自らが作り出したことが判明しました。
 また、これまでの組合との交渉経験から、組合員に解雇通知を発行すれば、組合が団体交渉を要求することは十分予見可能であり、会社の対応に客観的な理由はなく、団体交渉拒否であることが浮き彫りとなりました。
 この尋問において、解雇の実態も一部明らかになり、

坂上氏は、解雇の最終決定者ではないが、解雇に対する検討会には参加しており、解雇理由ほかを知っていた。
解雇は実際に解雇通知される数日前には決まっていて、その後は手続きや解雇通知に当たっての想定問答などを作成していた。

という事実が判明しました。労働委員会の委員からも「解雇が決定した時点で組合に通知することが可能だったのではないか」との指摘がありました。そもそも組合が団体交渉を急いだのは、解雇通知された日から自主退職をするか解雇かの決定期限までが三日程度と短かったことが原因です。この期
間の短さは、労働委員会の委員からも「あまりに短いのではないか」と指摘がありましたが、なぜこの短い期間が必要なのか、坂上氏は明確な証言ができませんでした。
 今後は、5月30日に最終審問があり、9月には労働委員会から命令が出る予定です。

◆組合に加入を◆
 
 組合は、引き続き不当な解雇と闘い、解雇ならびに解雇に至る実態を解明していきます。 一人では会社の攻撃に対抗することは至難です。もしPBC低評価、退職勧奨やPIPなど、解雇につながる処遇にあった場合は、速やかに組合にご相談ください。

2013年春闘要求【4】の組合要求と会社回答


組合春闘要求文
(2013年2月21日)

【4】リストラ・人減らし「合理化」・パワーハラスメントに反対する要求

 会社は、利益増大のために継続的に徹底した人員削減を進めるという雇用責任を放棄した経営姿勢をとっている。職場は殺伐とし、メンタル疾患患者を大量に発生させ、その人たちを退職に追い込むという人道的問題が続出している。さらには退職に応じない者を解雇するという暴挙に出ている。これらの人権侵害を直ちに止め、社会的責任を果たせる企業となるために、以下を要求する。

  1. 組合員の待遇変更に関しては、事前に労使間で充分に協議し、合意の上実施すること。また、別紙1のJMIUの「事前協議・同意協定」について組合と協議し、労使協定を結ぶこと。
  2. 会社が進めているCoE化の全貌を組合に明らかにすること。
  3. 2015ロードマップを受けた、日本IBMの人員削減計画、部門売却計画、社員の有期雇用化等の計画についての施策を組合に明らかにすること。
  4. 恫喝、高圧的発言などによって労働者に対して退職強要を行なうことを直ちにやめ、退職を拒否した労働者に対してその後の退職勧奨は一切行わないこと。
  5. 会社は解雇、退職強要に関わったライン、および、指導した経営層と人事担当をBCG、インテグリティーに則り処分すること。
  6. 一切のリソースアクションプログラムの実施をしないこと。
  7. 米IBMからのアサイニーに対し日本の労働に関わる法律、慣習等を教育し理解させ日本の法律を遵守させること。
  8. 昨年度の日本IBMの減収減益の責任をとり大幅な役員数を削減するとともに自ら率先して役員報酬カットを実践すること。
  9. 労働条件の一方的不利益変更に繋がる「業績改善プログラム」を直ちにやめること。
  10. グローバリゼーションの名による業務の海外移管により、職場を失い、また永年培ってきたスキルを活かせない状況下、当該社員について本人の意向を十分尊重した上、新職場の提示・確保と必要十分な研修を実施すること。
  11. ロータステクニカルサポート部門の慢性的な人手不足による長時間労働を解消すること。
  12. Lenovo社、IPSJ(現RPPS)社へ強制「移籍」させた労働者を「出向」に戻すこと。
  13. 今後はむやみな会社分割を止めること。日立GST社、Lenovo社、RPPS社等の被会社分割会社において、日本IBMから「移籍」した労働者の雇用継続が不可能となるような事態になった場合は、日本IBMが雇用について責任を持つこと。
  14. 営業譲渡等にかかわる転籍不同意者や出向からの帰任者について、会社は責任をもって日本IBM内の職場を提示・確保すること。
  15. IGASへのIBMからの出向者は総務推進に帰任させること。
  16. 厚生労働省の「職場のいじめ・嫌がらせ問題に関する円卓会議ワーキング・グループ」から提出されている報告に基づき、労使協定を結ぶとともに、パワーハラスメントが起こらないよう対策を講じること。
  17. ISC-Jに部門ごと強制出向させた組合員をIBM本体に帰任させること。
  18. 労働組合と会社双方の代表者から構成されるセクハラ調査委員会を設置すること。


会社春闘回答文
(2013年3月6日)

【4】リストラ・人減らし「合理化」に反対する要求

冒頭部分について

貴組合は、恰も会社が社員を退職に追い込み、さらには退職に応じない者を解雇する、と主張しますがそのような事実なく、貴組合のご主張は誠に遺憾です。
  1. について
    会社と貴組合との間に、組合員の待遇変更に関しては事前協議を行い合意の上実施するとの協約および慣行はなく、貴組合と「事前協議・同意協定」について労使協定を結ぶ考えもありませんが、会社は、貴組合と健全な労使関係を築くため、貴組合からの交渉申入れがあった場合、これまで同様、必要に応じて貴組合と協議する考えに変わりはありません。
  2. について
    COE(Center Of Excellence)は、生産性を高めることを意図し、業務を一定の区分で再編成し、集約する考え方であり、これらの発想は、従前より日本IBMならびにグローバルlBMの様々な部門で広く用いられており、今後も適時適切に活用していく考えです。
  3. について
    先述のlBM Corporationが発行するAnnual Reportにも記述がありますとおり、例えば今後、成長が期待されるrowth Marketでのビジネスの強化、あるいは、BAO(Business Analytical Optimization)やCloud Computing、smarter Planetなどを通じ、企業の成長を図ってゆく考えです。
    なお、「人員削減計画」「部門売却計画」「社員の有期雇用化計画」なる計画は現時点において存在しません。ビジネス戦略の一環として、適時適切に、各種施策を検討し実施する考えに変わりありません。
  4. および6.について
    これまでの団体交渉においてもお伝えしたように退職強要は行っておりません。一方、社員に対し、将来に渡って多様なキャリア選択の機会を提供することは重要であり、この方針を変更する考えはありません。
  5. について
    「4.および6.について」でもお伝えいたしましたとおり、退職強要は行っておりませんので、処分をしなければならないとの認識はありません。
  1. について
    アサイニーが日本の法律を遵守していないとの理解はしておりませんが、今後も適宜、適切なガイドを実施していきます。
  2. について
    役員数およびその報酬については、今後も、企業運営上適切な配置・設定を行っていきます。
  3. について
    昨年来、団体交渉の場でも繰り返しご説明しておりますとおり、業績改善プログラムは、通常のPBCプロセスに加え、短期の目標を設定し、例えば、所属長によるコーチングやアドバイス、関係者との協業などを経て、改善目標の達成の有無を評価することにより、業績が芳しくない社員の業績改善のきっかけを作ることを目的としたプログラムであり、何ら「一方的不利益変更」に繋げることを目的としたものでないことは、これまでの団体交渉でもお伝えしたとおりです。業績が芳しくない社員に対して、所属長が改善目標を立て、業績向上のための指導を行うことは、社員のための支援策として、今後も継続していきますので、貴組合におかれましても正しくご理解頂き、積極的に臨んでいただきますようお願いいたします。
  4. について
    IBMはGlobally Integrated Enterprise(GlE)の実現に向け大きく変革を遂げています。日本IBMグループも、グローバルに展開されるアセットやスキルの活用、中国、インドそしてその他の Giobal Delivery Center(GDC)との協業など、全世界に展開しているIBMのケイパビリティーを活 用し、お客様へより価値の高いサービスを提供していくことが求められています。GlEの意義を理解し、「IBMだからこそ実現できるお客様VaIue」について、セールス、デリバリー、製品、サポートなど個々のRoleを超えて、社員一人ひとりが理解を深め、日々のビジネスに活かしていくことを期待していますので、会社は必要に応じて適当・十分な研修等を実施のうえ、業務上の要請に基づき適時適切な人材配置を実現していく考えです。貴組合員におかれましても、業務として行われる研修の受講や試験の受験、さらには個々人による自己k研鑽を継続して行って頂くことを求めます。
  5. について
    現時点において大きな問題となるような状況ではないことを確認いたしました。
  6. について
    レノボ・ジャパン株式会社および旧インフォプリント・ソリューションズ・ジャパン株式会社(2011年10月に、リコープリンティングシステムズの販売部門を統合し、リコープロダクションプリントソリューションズ・ジャパン株式会社に社名変更)は、それぞれ会社法上の会社分割法制が適用され設立された会社です。これに伴い、「会社の分割に伴う労働契約の承継等に関する法律(労働契約承継法)」の手続きに従って従業員の方々に移籍していただいたのであり、ご要求には応じられません。
  7. について
    2001年6月22日付、2002年11月22日付、2005年2月24日付、2006年11月13日付、2007年3月20日付および2007年4月3日付貴組合宛書簡にてお知らせいたしましたとおり、万が一、移籍された方々の雇用を継続させることが不可能な状況になった場合には、日本アイ・ビー・エムとしても可能な限りの配慮をいたします。ただし、自動的に日本アイ・ビー・エムの社員として再雇用するとの考えはありません。
  8. について
    転籍を希望しなかった社員や出向からの帰任者については、社内の要員計画の状況と本人のスキル・資質が合致する機会について検討します。
  9. について
    すでに団体交渉や各種書簡等でもお伝えしたとおり、総務推進部門の各業務に、誰をアサインするかは、日本|BMのビジネス上の判断に基づくものであり「|BMからの出向者」を一律に「総務推進に帰任させる」考えはありません。
  10. について
    会社はこれまでも、新任ライン研修等を通じ、必要な措個を緋じており、今後もこれを継続して行く考えです。貴組合と、新たな労使協定を締結する考えはありません。
  11. について
    社員の業務アサインは、個々のビジネス上の判断に基づき行われており、「出向させた組合員」を一律に「lBM本体に帰任」させる考えはありません
     なお、出向は就業規則記戦のとおり、会社の専権事項であることから、「強制出向」とのご主張は当を得ておりません。
  12. について
    セクシャルハラスメントについて関し、会社は、理解促進の観点から、各種研修の中でその重要性をお伝えしています。また、会社は、Concerns & Appeals により社員が提起して調査を行うプロセスを提供しております。以上のことから、あらためて第三者による検証等を行う考えはありません。

4月30日労働委員会傍聴のお願い

 団交拒否の救済申し立てをしている労働委員会審問において、以下の日程にて申立人と被申立人双方の証人調べが行われます。 大きな節目となりますため、皆様の傍聴のご支援をよろしくお願い申し上げます。


都労委 日本IBM団交拒否 救済申し立て
日時:4月30日(火) 13:30
於 :東京都庁 34階     
 

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