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相談窓口

従業員代表選挙

組合推薦候補に投票を

 11月5日、36協定及び裁量労働勤務制度に関する協定などの締結のため従業員代表選挙が公示されました。
 これまで会社は、労働条件の切り下げをやりたい放題にしてきました。例えば、「年一回の昇給を給与調整」に変更。社員から絶大な支持のあった「借り上げ社宅制度の廃止」などを強行してきました。このとき選出された従業員代表は、これらの重要な変更について、何ら疑問も持たず、会社から言われるままに賛成・署名し、労働条件の切り下げに加担してきたのです 。
 このような事例を問題視した厚生労働省の労働基準局長は、平成30年9月7日発行の基発0907第1号において、「労働基準法の規定に基づき労働者の過半数を代表する者を選出するに当たっては、使用者側が指名するなど不適切な取扱いがみられるところである。このため、過半数代表者の要件として、使用者の意向に基づき選出されたものでないこと」を施行規則において明記しました。すなわち、会社が従業員代表選出にあたり介入すると、労働基準法違反になります。
 公約は以下になります。まず、36協定の中に、「すべての法定休日を労働させる可能性がある」とあります。これでは過重労働になるため、「法定休日に労働した場合は、振替休日を取得させるものとする」とします。
 さらに、日本IBMの裁量勤務手当は他の大企業と比較して低い水準です。手当を増額しなければ協定を締結しません。
 また、問題となっている勤怠管理システムWоrkdayの品質を改善させます。
 組合推薦候補はみなさんを裏切りません。

人事考課権限の濫用はパワーハラスメント

 成果主義とかペイ・フォー・パフォーマンスといって評価とそれに伴う不利益で脅迫して社員を支配する会社運営が続いています。日頃何のフィードバックもなく評価だけ下げてくる手口も出始めています。何をもって低評価をされて不利益を被るかと疑心暗鬼で毎日を過ごすようでは仕事に誇りを持てなくなり心身ともに疲弊してしまいます。この問題について考えてみます。

人事考課権限の濫用

 恣意的、意図的に、低い評価をするなどの場合は人事考課の結果がパワハラと言えます。パワハラは職務上の地位や人間関係などの職場内での優位性を背景に、業務の適正な範囲を超えて、精神的・身体的苦痛を与える又は職場環境を悪化させる行為です。場合によっては安全配慮義務違反にもなります。
 それだけでなく、人事考課権限の濫用は、労働契約法第三条第五項で禁じている労働契約に基づく権利行使に当たっての濫用にも該当します。
 具体的にどのような不当な評価が該当するのか考えてみましょう。

評価そのものの問題

 客観的な評価基準などが無く、上司の裁量で主観が相当入り込んでいる場合や、評価基準はあってもその内容が曖昧であったり、あるいは評価する上司がそうした基準(客観的な評価基準)を厳密に捉えず恣意的・感情的に評価がなされる場合は、人事考課権限の濫用に該当します。
 コミュニケーションに問題がある、期待に満たないと称して低い評価をする場合はこちらに該当します。

根拠の事実の問題

 そもそもその根拠となる事実が、会社または上司によって恣意的に作り出されたものである場合には、人事考課権限の濫用に該当します。
 事実と異なる作り話(嘘・虚構)や認識間違いによって事実が曲げられ、それによって低評価根拠としている場合はこちらに該当します。

人事考課権限濫用の類型

 人事考課権限濫用には以下のようなタイプがあります。
①強行法規違反
 人事考課が強行法規(労基法3条、雇用機会均等法6条、労組法7条など)に違反している場合がこれに該当します。
②成果主義人事の趣旨に反する査定
 成果主義人事において、職務遂行能力以外のステレオタイプな属性(婚姻の有無など)を理由に低い査定を行うことは、人事考課の本旨に反し、これに該当します。
③人事考課制度の趣旨・手続きに反した不適切な運用
 人事考課が制度に違反・逸脱して行われている場合がこれに該当します。
・客観的基準を無視した恣意的・感情的考課
・考課項目・考課基準適用の誤り、事実誤認による不当低評価
・考課手続が遵守されず形骸化(一次考課者の判断のみで決められている、フィードバック制度が遵守されていない)など。
④目標管理の不適切運用、能力開発制度の不備等
 目標設定が高すぎたり、十分な能力開発を行わないまま低い考課を行っている場合がこれに該当します。
 労働者に成果・業績を問う以上、仕事は本人が選択し、その適性やキャリアに適合しなければなりません。それを考慮しないまま配置・配転を行った場合は、公正な考課とは認め難く、人事考課権限の濫用が成立し得ます。

人事考課権限濫用による不利益

 人事考課権限の濫用により労働者に損害が生じた時は、使用者は損害賠償責任を負います。

【秋闘要求】Workdayの改善を要求

裁量労働手当・各種手当の増額も

 秋闘1次要求に続き、10月23日に秋闘2次要求を提出しました。2次要求では、日本IBM特有の様々な要求が含まれています。これには、Workdayや給与計算についての改善要求やハラスメントにかかわる問題まで多岐に渡ります。

Workday改善要求

 Workdayは、「社員の皆さんはよりスマートに働くことができるようになります」として昨年12月から導入され一年近くが経過しました。しかし、使いづらい状況は改善されていません。
 そこで、次の各要求事項に対し、改善策を社内に広く公表し、改善状況を逐次発表することを要求しました。
①月初から当日までのフレックス清算時間、深夜・休日勤務、代休勤務時間、代休取得時間、変則勤務、振替勤務のそれぞれの時間数がわかるようにすること。
②代休勤務、代休取得、各種手当の申請を就業規則に則す形でシンプルに分かりやすくすること。
③障がい者手帳を2つ以上登録できるようにすること。
④論理的な意味での組織表及び組織名が表示されるようにし、ブルーページにも反映されるようにすること。
⑤ビジネス・ネームを使えるようにすること。
⑥プロファイルの職務を正しく反映すること。
⑦勤務時間の終了理由デフォルトを「食事」ではなく「休憩」にすること。
⑧時間の表示を十進法ではなく六十進法(通常の時間表記方法)で表示すること。
⑨パフォーマンスを改善すること。
⑩年次有給休暇のカット対象日数を表示すること。

給与計算部門への要求正しく給与計算をせよ

 信じられないような給与関係の計算ミスが繰り返されています。皆さんも今一度給与明細のチェックをお勧めします。今回、次の要求をしました。
①シニア契約社員の契約内容と給与の整合性の確認を必ずとり、間違えないこと。
②社員の住所を間違えないこと。
③社会保険料標準報酬月額を間違えないこと。
④年末調整内容を給与の控除費目や支払費目に正しく反映させ、間違えないこと。

裁量勤務手当の増額要求

 他社と比べても高くなく、長年据え置かれている裁量労働勤務手当の増額を要求しました。Band7の社員は118,000円に増額(現行:70,000円)、Band6の社員は82,000円に増額(現行:50,000円)

出張手当等の増額を要求

 消費税増税に伴い社員の負担が重くなり、各種手当の改善要求が高まっています。また、これらの手当は長年据え置かれたままです。そこで、次の要求をしました。
①各種出張手当を一律500円増額すること。
②2時間以上の時間外労働をした際に支給される食事手当を500円に増額すること。

パワハラの中止要求

 ハラスメント防止法の成立を受け、現在注目されているハラスメント関連の要求も提出しました。
 2015年12月1日に、中央労働基準監督署から「退職しないと解雇だ」と言われてうつ病になった従業員が労災認定を受けた事実を重く見て、今後、このようなパワハラによる労災が発生しないよう再発防止策を策定し、発表することを要求しました。
 さらに「あなたにやってもらう仕事はないから自分で異動先を探すか退職せよ」というパワハラが横行している点を指摘し、会社はこのようなパワハラを直ちに止めることを要求しました。

違法行為者の処分要求

 労災認定・パワーハラスメント・セクシャルハラスメント・マタニティーハラスメント・パタニティーハラスメント・障がい者虐待・不当労働行為などが第三者機関で認定された場合、あるいは解雇無効判決や退職強要判決が出た場合、これらの違法行為に関わったラインマネジャー・経営層・人事担当を処分することを要求しました。

人員再配置の要求

 業務の海外移管により、職場を失い、また永年培ってきたスキルを活かせない社員もいます。当該社員については本人の意向を十分尊重した上、新職場の提示・確保と必要十分な研修を実施することを要求しました。
    ・・・
 2次要求の回答日は、11月6日です。組合は1次要求で掲げた賃上げ回答の積み上げ交渉とともにこれらの協議をします。

パワハラ賃下げ裁判 原告十八人に倍増

 2018年当初は9人で出発したパワハラ賃下げ原告団ですが、この間に被害者が次々と組合に入り追加提訴。この10月に開かれた第7回口頭弁論においてもさらに追加提訴が併合され、ついに当初から倍増となる18人の大原告団になりました。

賃下げの違法性を反映

 原告団の特徴は、まさに会社のパワハラ賃下げの違法性の実態を反映している点です。当初は2016年の7%賃下げ被害者からなる9人で準備を進めましたが、提訴の準備中も日本IBM本体及び100%子会社からも被害者の加入が相次ぎました。
 まず提訴直前に2人が加入。さらに2012年に業績理由で賃下げされた人達や、2013年、2014年にPBC評価で一律賃下げされた人達が原告に加わりました。
 原告らの賃下げ率も5%、7%、10%、15%と多岐にわたり、しかも複数回賃下げされた人もいます。賃下げ理由も一貫性が無く、会社の恣意的なやり方を反映しています。このことそのものが、会社が労働契約法に違反して好きなように賃下げしてきた実態を表しています。

パワハラ低評価で

 Aさんは中途入社でしたが、あるプロジェクト要員として見込まれて採用されました。ところが入社してみると、そのプロジェクトが受注できなかったことを知りました。当然Aさんが予定していた作業はできず稼働率は下がります。Aさんはそれを理由に低評価にされました。プロジェクトが受注できなかったのはAさんの責任ではありません。しかし、入社1年目のAさんは低評価を理由に賃下げされてしまいました。これは業務型と労務管理型を組み合わせたパワハラ低評価です。

パワハラPIPで

 Bさんは体調を崩して休職しました。ところが復職したところ「健康になること」というPIP(業績改善プログラム)を強要されました。Bさんはそれが原因で体調が悪化し不合格に。そして賃下げされました。これは差別型のパワハラであるばかりでなく、労働安全衛生法違反です。

パワハラ賃下げで

 Cさんは部門に人員削減目標があると言われ退職勧奨されました。それを断ったところ仕事をオーバーアサインされ、無理だと断ったら賃下げされました。これは業務型と労務管理型を組み合わせたパワハラです。
 Dさんはみんな一緒だと言われ賃下げされました。これは労務管理型パワハラであるばかりでなく、労働契約法違反です。

過去の賃下げも救済

 賃金に関する時効は2年ですが、それ以前に賃下げされた場合であっても、直近2年分については取り戻すことができます。また、複数回賃下げされた場合であっても直近2年分についての賃下げ合計分を取り戻すことができます。

個人業績率最大200%

秋闘の回答団交で判明

 前号でお伝えした秋闘1次要求に対する会社回答についての団体交渉が10月2日に行なわれました。その内容をご紹介します。

賞与の個人業績率
  0%~200%
  平均100%

 もうすぐ年末賞与を控えているため、個人業績率の見直しについて組合が協議したところ、会社は賞与の個人業績率については、PBC時代の最高160%とは違い、最高は200%、最低は0%、平均は100%であると明かしました。
 組合は、過去のPBC時代とは異なり、チェックポイント制度になってさらに柔軟な個人業績率の配分が可能になったので、個人業績率を0%とするようなことは極力避け、懲罰的な運用をしないよう要求しました。
組合 (個人業績率が)0%から200%まで幅があり、そこで0%とは、自分は何もしなかったのかと感じてしまう。評価分布の全体像を開示すべきではないか。
会社 正規分布でやってくれというガイドはしていない。ただしフィードバックはマネジャーからきちんとないといけない。
 上は200%まであるということだが、あまり見たことが無い。うまく配分されているのか。
 全員100%なら予算に合う。200%の人を作れば0%の人も作らなければいけなくなる。
 平均100%になるように原資は配分されているのか。
 そうだ。同一部署の中で平均100%となる。

会社業績達成度 不誠実な説明に終始

 賞与に影響する指標としては、もう1つは会社業績達成度です。組合は、なぜ今年の会社業績達成度が昨年の76を下回って70になったのか、という説明を資料を開示し説明することを要求していました。
 会社回答は「賞与・定期棒の変動部分として、50%をIBMコーポレーションの会社業績、残りを日本IBMの会社業績に基づいて原資を決定します。日本IBMの会社業績指数は、税引き前利益、売上高伸び率、キャッシュフローおよびその他の質的指標(お客様満足度、マーケットシェア伸び率、ワークフォース・ディベロプメント)に基づいてマネージメントが決定します」と従来の回答のコピー&ペーストです。
 会社が誠実に説明するのなら、まずはこれまで根拠として主張してきたUSーGAAPに基づく財務資料の開示が必要です。それを用いて説明しないと賞与についての交渉が成り立たちません。このような状態が継続することは不誠実団交に該当します。

日本の従業員にも配慮を

 ビジネス・ラウンドテーブルが宣言した株主第一主義から従業員配慮への姿勢転換について、どのように考えるかを問うたところ、ダイレクションは下りてきていないと説明がありました。
 組合は、現地子会社からの収奪ばかり進めるのではなく、現地従業員への配慮が必要であることを強調しました。

消費税増税分の賃上げの上積みを要求

 組合員については、まだ賃上げ額について妥結せず、交渉を続けています 。
 組合は賃上げについて上積み回答を求めています。それは、生活関連商品の値上げラッシュに続き、2%消費税増税が実施されたからです。それを上回る平均賃上げ率とならなければ、実質的な賃下げと同じだからです。組合は平均賃上げ率が2%以上となるよう上積み要求をしていました。
 会社は「職務内容とスキル、個人の業績、給与の競争力等を総合的に勘案して決定されます」とし、続けて「消費税増税を考慮にした賃上げという要求に応じる考えはありません」と文書回答しました。

 就業規則の第3条では会社は従業員の福祉を図り健康で文化的な生活の向上に寄与するよう努力するとうたっている。この点についてどう考えるのか。
 抽象的な書き方がされているが、個々の給与調整については、その時々の会社業績等々を踏まえながら原資が決まっていく。
 増税された今年は従業員の生活に配慮して原資を決めてほしい。
 そういう考え方はない。人材の取り合い合戦をやっている他の企業の動向を見ながら決めている。

昇給の根拠となるデータの開示を要求

 組合は以下の点について開示を再要求します。上積み妥結した場合は遡って差額支払いを受けます。
①スキル(必要スキルと、その高い・低い)
② PMR
③ パフォーマンス(チェックポイントの結果)
④ 将来性(そのバンドに何年、在籍年数)
⑤ 職務内容と給与レンジ
・回答に基本給と賞与基準額も入れること。
・会社が主張する会社業績達成度の根拠を、資料を示し説明すること。

組合要求が実現

給与位置がわかった

 

 組合が長年取り組んできた要求内容がこの春闘のたたかいの中で次々と実を結んでいます。以下にご紹介します。

喜びの声続々と

 まずひとつはハラスメントとのたたかいです。この間、多くの方から相談を受け、団体交渉で協議してきました。これによりパワハラが止まったと、たくさんの喜びの声をいただきました。
 さらに、パワハラ賃下げについても組合は早い段階から反対を表明し、過去2回にわたる裁判で得た会社との協定をもとに団体交渉を進めた結果、今年も賃下げされた組合員は一人もいませんでした。

給与位置がわかった

 ついに会社が給与レンジとPMRを開示しました。給与レンジとは自分が属している職種・バンドの給与(リファレンスサラリー)の上限・下限のことです。PMRとは自分の給与レンジの中央値からのずれのパーセンテージを示しています。自分の給与(リファレンスサラリー)が中央値と同じなら1.0になります。
 これらの値は交渉の際に重要な指標となるため、組合は長年にわたって会社に要求し続けてきましたが、ついに要求が実現しました。組合は9月1日付賃上げ交渉についてはまだ妥結していません。これらの指標をもとに組合員ひとり一人について交渉を継続しています。

有期労働者の差別禁止

 2018年7月に働き方改革関連法が成立しましたが、このとき「同一労働同一賃金」を求める大きな社会運動の盛り上がりを受けて、パートタイム労働法が「パートタイム・有期労働法」となり、有期労働者の不合理な待遇が禁止される法律が成立しました。
 このことは組合要求と大きく関連しています。有期労働者の中には定年後再雇用者も含まれているからです。組合はシニア契約社員の処遇改善の一環としてこの社会運動に当初から参加してきました。この法律の施行は2020年の4月です。シニア契約社員の契約更新は年度単位ですから、会社はこの12月の更新での契約内容が違法とならないようにしなければなりません。

AIツールは何のため

 今年の賃上げに際しては、情報開示が増えた一方で新たな問題も出てきました。その一つがAIツールであるIBMコンペンセーション・アドバイザー・ウィズ・ワトソンの使い方の問題です。会社がリンクで紹介したサイトにはマネジャー向けと一般社員向けの紹介ビデオがあります。
 一般社員向けの紹介ビデオには、マネジャーが見ている画面に個々の社員の給与に関する11項目の情報が一目でわかるように網羅されています。
 紹介ビデオは、一般社員の役を演じている人がマネジャー役の人からこれらの情報を使って十分な説明を受け、自分の給与に関する疑問がすっかり解消されたような満足な顔をして終わります。
 ところが組合が団体交渉で会社に確認したところ、意外な答えが返ってきました。以下にご紹介します。
会社 当該ツールに示された一つ一つの情報をそのまま社員に開示することを前提としていない。
組合 あのビデオはそのようには見えないが。
会社 給与調整は職務内容、スキル、業績、給与の競争力などを総合的に勘案して決定する。今までもそうだし、これからもそうだ。
・・・
 社員の皆さん、ビデオを見た上で、右記の会社の答をどうお感じになるでしょうか。是非組合サイトからご意見を投稿してください。

秋闘1次要求提出

株主第一から従業員を大切にする会社に

 

 JMITUの統一要求日である9月18日、組合は秋闘1次要求を提出しました。第1次要求では特に重要な当支部の重点要求に加え、安心して働きやすい職場を求める要求などJMITUの3つの統一要求書を提出しました。以下に代表的な要求内容をお伝えします。

賃上げの上積みで従業員を大切に

 ジニー・ロメッティも署名したビジネス・ラウンドテーブルの宣言では、株主第一主義の経営から従業員を配慮した経営に修正することが発表されました。
 これを受け、10月からの消費税2%引き上げを考慮し、従業員の生活レベルを下げないためにもそれを上回る平均賃上げ率となるよう上積み要求をしました。

賞与額の根拠となる会社業績達成度について

 賞与計算に使われる会社業績達成度について会社主張の会社業績達成度の根拠となる資料を提出し、客観性・合理性・透明性のある形で説明し、誠実な協議をすることを要求しました。

パワハラ賃下げ争議解決し労使関係の正常化を

 第1次・2次の訴訟を経てこの賃下げが違法であることは明白です。第3次パワハラ賃下げ裁判を速やかに解決することを要求しました。

TSS部門の働き方や就業環境を改善せよ

 TSS(テクノロジー・サポート・サービス)部門では働き方や就業環境に関する事件が頻発しています。これを受け、次のように要求しました。
①ハラスメントをしないようラインマネジャーを教育すること。
②従業員に正確な時間外勤務の申請を躊躇させることがないようラインマネジャーを教育すること。
③緊急呼び出し当番手当を新設すること。当番1回あたり1万円の手当を支払うこと。
④社用車(CEのリースカー)の運転時間を業務時間として徹底すること。社用車を自家用車に転換させないこと。
⑤小規模事業所の閉鎖に伴うホームオフィスの導入に際しては、労働関係法の遵守を徹底すること。

オフィス環境の劣化を食い止め、整備せよ

 総務部門運用会社の変更でオフィス環境の劣化が進み、業務に支障が出ています。管理・監督の強化を要求しました。
①総務部門が事業所各フロアの会議室・オフィスエリアを巡回し、テレビやプロジェクター、PCコネクションケーブルの故障が無いように整備すること。さらにОA用PCの電源アダプターについては全ての機種に対応できるように最新のものに交換または新たに設置すること。
②総務部門はアジャイルオフィスについてその運用形態を社員に周知させ、労働環境が劣化しないように適正運用すること。
③9月9日の台風の影響による首都圏の交通機関の乱れの際、箱崎事業所長名で荒天時・災害時の働き方をガイドする一斉メールが総務部門から発信されませんでした。タイムリーな発信の運用をすること。
④フリーアドレス・オフィスが拡大するとともに各部門のフロア配置が不明確になり、部門ごとの文房具の整備がおろそかになっています。さらに、業務で使用する周辺機器を社員個人で購入させて業務使用させる行為が横行しています。総務部門に文房具やPC周辺機器の整備を集中させ、総務部門が責任を持って周辺機器を整備すること。

シニア契約社員の処遇を来年4月から合法待遇とせよ

 2020年4月から施行されるパート有期労働法違反とならないよう、次年度向け契約締結からシニア契約社員の労働条件の是正を要求しました。
①週5日勤務の場合で月額給与を31万円とすること。
②賞与を正社員と同等の年間4ヶ月程度を支給すること。
③無給となっている特別休暇を正社員と同等に有給とすること。
④福利厚生としてリロクラブ等に正社員と同等に加入させること。

65歳までの定年延長ただちに目指せ

 改正高年齢者雇用安定法の趣旨に基づき、65歳定年制をめざすとともに、現在の年金支給開始年齢までただちに定年を延長することを要求しました。

PIP制度に関する要求

 これまでの団体交渉でPIP(業績改善プログラム)の対象者選定が不適切な例が数多く見られます。PIPの対象者を選定する際の会社のラインマネジャー向け選定ガイドを明らかにした上で、誠実に協議することを要求しました。
    ・・・
 秋闘ではさらに10月23日に職場の要求を総ざらいする二次要求を提出します。

パワハラ賃下げを許さない

実質賃下げも許さない

 会社が8月14日に発表したパワハラ賃下げは違法な賃下げです。今回も組合員の中に賃下げ対象者はいませんでしたが、組合は全社員を代表して9月最初の出勤日である9月2日(月)の始業開始から1時間にわたって抗議ストライキを実施しました。
 もし9月1日付で賃下げされたら、裁判をしてその賃下げ分を取り戻すことができます。

組合のメリットその1

 組合には実績のある最強の弁護団がついており、安心してまかせることができます。また、着手金を支払う必要はありません。賃金を取り戻した後、成功報酬の支払いで済みます。さらに集団訴訟になりますから、皆と一緒に安心して裁判を進めることができます。

組合のメリットその2

 組合員は労働組合法によって守られることもメリットです。労働組合法第7条では「労働組合の正当な行為をしたことの故をもつて、これに対して不利益な取扱いをすること」を会社に禁じています。従って勤務を続けながら安心して裁判をすることができます。

賃上げ推定平均0.5%

 組合推定による全社の9月1日付平均賃上げ率はたったの0.5%です。10月から消費税が2%引き上げられることを考慮すればこの平均賃上げ率では社員の平均生活水準を下げざるを得ず、これでは実質的な賃下げと言っても過言ではありません。
 労働基準法の第1条2項では労働条件について「その向上を図るように努めなければならない」としています。それを受け、会社は就業規則の第3条において「会社は正社員の人格および自主性を尊重し、その福祉を図り、健康で文化的な生活の向上に寄与するよう努力する」としています。
 さらに、今年8月19日にアメリカの経済団体であるビジネス・ラウンドテーブルは「株主第一主義」を見直し、「従業員配慮」を宣言しました。この宣言にはジニー・ロメッティも署名しています(3面参照)。
 こうした法律や社会情勢を踏まえ、経団連発表の大手企業の春闘賃上げ回答平均は2.46%でした。

組合員は交渉継続

 組合はまだ妥結をせず会社と協議を続けています。就業規則第3条でうたっている「健康で文化的な生活の向上に寄与する」ことを会社に守らせるためにも、JMITU主要企業並みの2%台後半の賃上げが必要です。

JMITU秋季闘争開始

今年の重点はハラスメントの撲滅

 

 19秋闘がいよいよ始まります。秋闘に臨むJMITUの方針を以下にご紹介します。
 今年は特にハラスメントをなくそうという要求が世界中で高まっており、ILОでもハラスメントを禁止する条約が採択される動きとなっています。

ハラスメントをなくす

 職場におけるさまざまなハラスメントの問題が大きな社会問題になっています。
 最も悪質なハラスメントは、経営者や管理職による優越的な地位を背景にしたハラスメントです。日本IBMで行われているパワハラ低評価、パワハラPIP、パワハラ賃下げの、パワハラ3点セットもそれに該当します。ハラスメントを発見した場合は、直ちに団交を申し入れ改善を要求する方針です。

安全配慮義務に加えハラスメント防止法も

 労働安全衛生法において、使用者には「安全配慮義務」が課せられており、経営者には職場のハラスメントをなくし、その予防と被害者に対処する責任が課せられています。さらに、今回成立した「ハラスメント防止法」により、経営者にはより一層のハラスメント防止義務が課せられることになりました。

ILО勧告ハラスメントは人権侵害

 今年のILО(国際労働機関)総会で、「労働における暴力とハラスメントを禁止する条約」と「勧告」が圧倒的多数で採択されました。これは、職場などでのハラスメントをなくすための初めての国際労働基準であり、ハラスメントは人権侵害だと明確にした画期的な条約です。

65歳までの定年延長が時代の流れ

 65歳への定年延長への要求が高まっています。現在58歳以下の労働者は65歳になるまで年金が支給されず、65歳までの定年延長はまったなしです。
 高年齢者雇用安定法では、65歳までの雇用延長の方法として、①定年の廃止②定年延長③定年退職後の継続雇用がいずれかを選択できます。会社は、③定年退職後の継続雇用(シニア契約社員)を選択していますが、65歳までの定年延長に踏み切るべきです。

シニア契約社員の低処遇はハラスメント

 この秋闘ではシニア契約社員の処遇改善要求を重視します。
 会社は、定年時でいったん雇用契約を解除し、その後1年ごとの有期雇用を結び直す定年退職後の継続雇用の仕組みを悪用し、「月額給与17万円・賞与なし・年収204万」というほぼ最低賃金の劣悪な賃金・労働条件を押し付けています。制度発足時点では年金支給がありましたが、年金支給が無くなった後もこの劣悪な労働条件を押し付けています。これはハラスメントであり改善を要求します。
 パート有期雇用法が来年4月から施行されます。正規と非正規の待遇について、その待遇格差は不合理であってはならないとしています。これはシニア契約社員にも適用されます。
 ガイドラインには、賞与について、正社員に対して全員に何らかの賞与を支給している場合には、パート有期雇用者に対しても賞与を支給しなくてはならないとしています。
 定年延長を実現するまでの間、最低でも月額賃金31万以上と賞与の支給を要求し、正社員と均等待遇に取り組みます。

労働時間短縮は労使にプラス

 長時間の時間外労働の規制をはじめ、労働時間短縮の課題が重要になっています。8時間働き、8時間は自由に過ごす。残りの8時間は睡眠とる。そして休日は家族とゆっくり過ごし、趣味や自由にできる時間を多く確保することができる、働く環境を目指します。
 そのためには、勤務時間や休日労働を正確に申請でき、有給休暇が取得しやすいことも重要です。それを躊躇してしまうような上司の抑圧的な言動や姿勢は今もなくなりません。
 長時間労働がある会社は、労働者から敬遠されます。日本IBM社員の現在の働き方の改革をめざし、取り組みます。

賃金アンケートのご協力をお願いします

 9月1日に給与調整が実施されました。その状況を把握するため、今年も「賃金アンケート」を実施します。賃金アンケートの発表内容は大変ご好評をいただいています。今年も取りますので、ぜひご協力をお願いします。

またパワハラ賃下げ発表

-裁判係争中に暴挙-

 

 パワハラ賃下げ裁判を係争中にもかかわらず、会社は2019年8月14日にまたもパワハラ賃下げを発表しました(発表骨子は右下表参照)。該当者にはすでに8月19日 の週から個別に通知されているはずです。

この賃下げは違法

 会社が根拠としている2010年3月付で改定された格付規定第6条3項には「業績が職務内容に対して著しく低いと判断された場合は、本給、賞与基準額、本俸および定期俸基準額を減額することがある」とあります。
 これでは客観的基準に関する定めが一切無いため、会社が一方的に不利益変更を強いることができます。さらに減額幅の規程も無いため、会社はフリーハンドで減額幅も決められます。実際、今年の3%、7%、10%の減額幅には何の根拠も示されていません。
 つまり、2010年3月に行われた格付規程の変更は合理的な変更ではなく、労働契約法10条違反です。
 また、この規定は賃下げ期間も定められておらず、定年まで賃下げ状態が続きます。しかも、毎年でもさらなる賃下げが可能な仕組みで、会社の権利濫用となります。

係争中の裁判でも同じ部分が問題点

 上記説明内容は現在係争中の裁判でも過去2回の裁判と同じく違法性が指摘されている点です。
 裁判で違法性が問われれば、社会的な配慮として普通は一旦様子を見て止めるものです。しかし平然とまたも賃下げを発表する会社の姿勢はまさに暴挙としか言いようがありません。

成長志向推進の嘘

 会社は個人成績評価の悪い人に対し賃下げをする理由として「成長志向のカルチャーを推進するため」などとしていますが、成績評価が高い社員に対する昇給水準はまったく明確にされていません。これらの言葉がまやかしにすぎないことは明らかです。

AIツール使用は問題

 今回から「給与調整の判断をサポートする」としてコグニティブ・エンジンのワトソンを使ったツールが導入されていますが、これも問題です。判断がブラックボックスとなり、労使対等決定原則、すなわち労働基準法2条の「労働条件は、労働者と使用者が、対等の立場において決定すべきものである」という法律に違反することになるからです。

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