労働契約法に見るパワハラの違法性

労働契約法からパワハラ3点セットを考える

 労働法という言葉を聞いたことがあると思います。一つの法律ではなく有名な労働基準法をはじめ数多くの法律の総称です。いずれも労働者の生存権を守るという理念に基づいた法体系です。今回はその一つである労働契約法の視点からパワハラを考えてみます。

労働契約法第6条

 まず条文を紹介します。『労働契約は、労働者が使用者に使用されて労働し、使用者がこれに対して賃金を支払うことについて、労働者及び使用者が合意することによって成立する。』

日本IBMの問題

 労働契約は労働者と使用者が対等な立場で約束することで成り立つものとしています。私たち労働者が使用者の求めに応じて働くのは、労働者が使用者に無制限に従属するということではなく、労働契約に基づいて働くという範囲内で約束した事柄について指示に従うだけのことです。
 日本IBMでは、ライン専門職が使用者に位置付けられますが、ライン専門職に無制限に従属するということではなく、対等に話し合い、約束した事柄について働くのがあるべき姿です。
 パワハラ3点セットは、これを全面的に否定し、ライン専門職に無制限に従属させるものです。
①低評価:合意した業務目標と関係ない事柄による評価が行われます。
②PIP:合意はなく強制され、ライン専門職の意志で労働条件の悪化が決定されます。
③賃下げ:理由付けの説明も充分にされないまま、合意の余地なく賃下げが行われます。

労働契約法第3条
1)労働契約は、労働者及び使用者が対等の立場における合意に基づいて締結し、又は変更すべきものとする。
2)労働契約は、労働者及び使用者が、就業の実態に応じて、均衡を考慮しつつ締結し、又は変更すべきものとする。
3)労働契約は、労働者及び使用者が仕事と生活の調和にも配慮しつつ締結し、又は変更すべきものとする。
4)労働者及び使用者は、労働契約を遵守するとともに、信義に従い誠実に、権利を行使し、及び義務を履行しなければならない。
5)労働者及び使用者は、労働契約に基づく権利の行使に当たっては、それを濫用することがあってはならない。

日本IBMの問題

 1、2で使用者と労働者が対等な立場で労働条件を決めるべきと言っています。
 3で「仕事と生活の調和にも配慮」して労働条件を決めるべきと言っています。
 4で労働契約を遵守すること、権利と義務を誠実に履行しなければならないと言っています。
 5で権利の濫用を禁止しています。
 パワハラ3点セットは、極めて一方的なもので、特に労働契約法第3条第5項に反し、ライン専門職による権限濫用に該当します。
 第3項「仕事と生活の調和にも配慮」も守られておらず生活時間を無制限に奪う前提で業務目標やスキル獲得目標が強要されています。これも使用者権限の濫用です。

労働契約法第4条

1)使用者は、労働者に提示する労働条件及び労働契約の内容について、労働者の理解を深めるようにするものとする。
2)労働者及び使用者は、労働契約の内容について、できる限り書面により確認するものとする。

日本IBMの問題

 業務目標を曖昧に伝えて目標を未達と査定して理由を後付けしたり、合意した業務目標とは関係ない事柄(例えばバンド相応の期待を満たしていない、ラインが総合的に判断した等)による評価が行われています。それを根拠に低評価・PIP・賃下げに誘導して労働条件を悪化させることは、この労働契約法第4条に反するものです。

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