個別業績を理由に解雇乱発

6月10日の「ロックアウト解雇」裁判での原告側の意見書は以下のとおりです。

平成24年(ワ)第29095号地位確認請求事件
原  告   鈴木裕治 外2名
被  告   日本アイ・ビー・エム(株)
2013(平成25)年6月10日
意 見 書
東京地方裁判所民事第36部合議A係 御中
原告ら訴訟代理人
弁 護 士   水口洋介
さらなる組合員の解雇
 被告は、2013年5月22日、組合の中央執行委員1名を解雇し、続いて5月31日に中央執行委員をもう1名を解雇しました。
 さらに、6月7日には組合員1名を解雇し、合計3名の組合員を解雇したのです。これらの解雇理由はいずれも、「業績が低い状態が続いており、その間、会社は様々な改善機会の提供やその支援を試みたにもかかわらず業績の改善がなされず、会社は、もはやこの状態を放っておくことができないと判断しました。これらの状態は、就業規則第53条2項に該当する」というものです。
 昨年2012年7月20日から同年10月2日までの間、組合員10名(ただし、うち2名が会社が管理職として組合員資格を否定する者です。)が解雇され、解雇当時には非組合員であった原告松木のほか、他に非組合員4名が解雇されています。
 つまり、18名の解雇対象者のうち、解雇当時に組合員であった者は13名(うち、2人について被告は組合員資格を争いますが、組合に加入している事実自体は認識している)となります。
個別業績を理由とする解雇の乱発
 被告の人事担当取締役執行役員であった坪田國矢氏は、日本アイ・ビー・エムを被告とする別件退職強要損害賠償請求事件の証人尋問において、被告においては「2001年から2011年5月20日までの間に、著しい能力不足や業績不良、就業規則53条2号を理由にして解雇された者は1人もいない」と証言しています。
 この坪田氏は、2008年、大歳会長(当時)、橋本社長(当時)の指示のもと、RAプログラム、すなわち業務改善プログラムを名目とする退職勧奨・退職強要を実施した責任者です。このRAプログラム実施により、同プログラムの対象とした従業員1500人を退職にさせました。しかし、このようなRAプログラムの実施に際しても、従来は成績不良や業務成績不良を理由として解雇はなされていなかったのです。
 ところが、上記のとおり、2011年7月から同年10月にかけて15名も、そして、2013年5月から今日までに少なくとも3名もの労働者を、業績不良を理由に解雇をしています。これは従来の被告の方針を大きく変えたものです。
 本件解雇理由についての被告の主張も、要するに人事考課の低評価とした理由とまったく同一の事実関係を主張するにとどまり、10年以上もの間、被告にて真面目に業務に従事してきた原告らについて、会社業務遂行に具体的に著しく障害を与えたとか、被告の信用を害したとか、あるいは社内秩序を著しく阻害したなどの事実は何ら主張されていません。
イエッター社長の就任後の解雇方針
 2012年5月15日、56年ぶりに被告の代表取締役社長に日本人ではなく外国人が就任しました。それが、今の代表取締役のマーティン・イエッター社長です。人事担当役員も日本人から外国人に交代をしています。このイエッター社長が就任した約2ヶ月後から、労働者の業績不良を理由とした解雇が乱発されるようになったのです。これは偶然ではなく、社長・経営陣の交代による人事方針の変更の結果です。
 日本人経営者の時代には、能力不足を理由としてRAプログラムという業務改善プログラムを実施による退職勧奨・退職強要を実施しました。その後も、被告は、1万4000人いる従業員を、今後3年間で1万人にまで人員削減することを計画しています。イエッター新社長は、これをさらに推進しようとしているのです。
 そこで、退職勧奨・退職強要をしても退職をしない者や抵抗する労働組合がいると見ると、新経営陣は、業務不良・業務改善の見込みがないことを理由に解雇するという強硬手段をとるようになったのです。
 労働組合には、「イエッター新社長は、労働組合を嫌悪しており、退職勧奨対象者や解雇対象者が労働組合に加入しても無駄であることを示すために、労働組合から解雇をしようとしている」とマネージャから聞いた話として内部情報が寄せられています。この間の解雇の推移を見れば、この情報が真実であったと言わざるを得ません。
労働委員会での審査手続
 労働組合は、2012年9月に続いた本件解雇の際に、解雇の効力発生日前にたまたま別議題の団体交渉が予定されていたため、本件解雇を団交議題として追加して交渉するように求めました。ところが、被告は、団体交渉の議題に本件解雇の件を追加することを拒否したのです。労働組合は、東京都労働委員会に団体交渉拒否として不当労働行為救済を申し立てました。労働委員会は、先の5月30日に審問が終結し、今年9月に命令が交付される予定です。この経過を見ても、被告が労働組合との団体交渉も拒否して、本件解雇を強行しようとしていることは明らかです。
今後の進行について
 今回3名の組合員が新たに解雇をされ、少なくとも1名は6月20日までに東京地裁に提訴をします。被告の主張する解雇理由は個々の原告に関する業績不良等の事実ですが、従前ならば退職勧奨の理由になったにすぎない人事評価を根拠に解雇しようとするものにすぎず、本件一連の解雇は労働組合を弱体化しようとしてなされたものにほかなりません。6月20日までに提訴をする地位確認訴訟については、本訴訟と併合するように求めます。
以上
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