Nさんを職場に戻せ 東京地裁に仮処分申請

 12月2日、JMIU日本アイビーエム支部N組合員は、東京地裁に対し、日本アイ・ビー・エム株式会社(以下、日本IBMという)を相手どり、有期の労働契約の雇い止めは無効として、地位保全・賃金仮払いの仮処分命令申請を行いました。組合の声明文は下記のとおりです。


日本IBMは有期雇用労働者の「雇い止め」、不当労働行為をやめろ!
「有期雇用契約社員の雇い止め無効・地位確認・賃金仮払い」
仮処分申請に際しての声明
(1) 2011年12月2日、JMIU日本アイビーエム支部N組合員が、東京地裁に対し、日本アイ・ビー・エム株式会社(以下、日本IBMという)を相手どり、有期の労働契約の雇い止めは無効として地位保全・賃金仮払いの仮処分命令申請を行った。
(2) N組合員は、2005年11月就業開始で、アイ・ビー・エムビジネスコンサルティング サービス株式会社(以下、IBCSという)と「プロフェッショナル・コントラクト契約」(以下、PC型契約)を締結し、同社は、2010年4月に日本IBMに吸収合併され、同様に勤務を継続していた。業務評価は問題なく、2008年に一回目の契約更新(3年)が行われている。
(3) 元々N組合員は、他社の正社員(終身雇用)で安定した地位にあった。しかし、人事担当者は「PC型契約を更新されなかった人はいない」と述べて、入社を勧誘した。また、労働契約書には、更新条項が明記されており、労働契約書上も更新が予定されているのである。
(4) 形式上は有期労働契約ではあるが、PC型契約をした労働者も正社員と何ら変わらない(臨時的でない)基幹的・専門的なコンサルティング業務を遂行している。従って、実際に2008年11月には、労働契約は何の問題もなく更新されている。契約は更新されると当然に期待していた。この労働契約(雇用)の継続に対する期待は,法的に保護すべき合理的な期待というべきである。本年7月7日付の契約期間満了通知は、解雇の意思表示と言うべきであり、労契法16条及びこれまでに確立されてきた解雇制限法理が類推適用される。
(5) 日本IBMは、組合宛文書や団体交渉にて、N組合員のスキルに合った仕事がないことを述べている。しかし、事業に貢献できる十分なスキルを有しており、雇い止めに客観的な合理性も社会通念上の相当性もないことは明らかである。N組組合員が仕事をアサインすることを求めても、日本IBMは仕事をアサインできないことについて具体的に説明しなかった。N組合員及び組合は、日本IBMに対し仕事をアサインするよう一貫して要求してきた。
(6) 日本IBMは、N組合員に対し上司が仕事をアサインしてこなかったことについて、「不幸な偶然の累積の結果」「時期的な問題」「Nさんの得意分野の仕事が減っている」などと抽象的な回答をするのみであり,仕事のアサインの要求に対し具体的理由を示すことなく応じなかった。そして、10月31日雇い止めが強行された。このような雇い止めは権利濫用であり無効である。日本IBMは、組合員であるN組合員を会社から排除する目的で雇い止めを行ったとしか考えられず,不当労働行為の意図による雇い止めが違法・無効であることは言うまでもない。
(7) 「雇い止め」とは、事実上の解雇であり、労働者にとっては、生活の糧、将来展望を失われることを意味する。N組合員に対するこのような卑劣なリストラは絶対に許されない。日本IBMの有期雇用の労働契約の実態を社会的に告発することによって、退職を余儀なくされた労働者の名誉を回復させ、今後はこのような違法行為を絶対に繰り返させないために仮処分申請に踏み切ったものである。
(8) 日本IBMの職場では、人権侵害を伴う退職強要が行われており、今回の「雇い止め」の攻撃も、労働者の人権を無視する体質の延長線上にある。更にこの仮処分申請は、IBMに吹き荒れる「グローバル化」に名を借りた大企業のリストラ・権利侵害の攻撃に対し労働者の権利である雇用と生活をまもる闘いでもある。全国の労働者・労働組合、国民のみなさんのご支援を心から訴えるものである。

2011年12月2日
全日本金属情報機器労働組合(JMIU)
同 日本アイビーエム支部

Nさんの決意表明
 私、Nは、会社によるPC型社員に対する一方的な雇い止めを不服とし、2011年12月2日付けで東京地方裁判所へ「地位保全・賃金仮払仮処分命令申立書」を提出致しました。
 私は2005年11月に旧IBCSへ入社し、2008年11月に一回目の雇用契約の更新を得て2008年12月まで順調に業務をこなしておりました。
 その後、突然、専門外の子会社への出向を命ぜられため、労働組合に加入しました。組合加入後、私から仕事を取り上げた状況があまりにも長く続いていたため、会社に対して一刻も早く適切な業務を与えるよう団体交渉などで何度も要請していたにもかかわらず、会社は業務をまったく与えないまま雇い止めを実行してしまいました。私は採用面接において採用担当官から「契約更新しなかった人はいない」との言葉を信じていたので、当然、雇い止め後の転職計画などあるわけはありません。
 我が家には幼い子を含め4名の養うべき子供達がいます。私の妻や子は「日本IBMの経営者や管理職は人間的に立派な人達のはずだからこのような仕打ちを自分達にするわけはない」といい、直筆で彼らに手紙を書き労務へ手渡しましたが、その後、人事・労務は「事務的に処理した」「個人的なことは関係ない」といい、私の家族の思いに対し非情な対応をしました。
 私は自分の名誉よりも家族を養うために不本意ながら立ち上がらざるを得ませんでした。同様の事件は過去に私の先輩達にも起こっており、私はPC型社員の仲間に対して会社が同じような不名誉な事件を起こさないように、また、安心して業務に励むことができるよう、勇気を奮って闘っていく所存であります。

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