パワハラがなくならない構造的問題

会社の方針によるパワハラ業務

 かいな2361号「パワハラはなぜいけないのか」の記事で「パワハラは、被害者に様々な影響をもたらし、被害者の人生を変えてしまいます」と警告していました。第一面で報告しましたように、非常に悲しい形で現実になりました。
 2361号の記事では、パワハラが発生する土壌について代表例を挙げて本質的な解決方法を考えました。解決方法一つ一つは難しいことではないのに、なぜできないのでしょうか。

パワハラ対象選定の手段として4つの土壌を悪用

 パワハラがなくならない構造的問題を上図に表わしてみました。一番上に番号を付けた事柄はパワハラが発生する4つの土壌です。これらはパワハラ加害者側(主にライン)に無意識に存在する弱さ・力不足です。
①ラインのコミュニケーション不足等により部下の報告に不満があるとします。上司が主体的に聞き取りする等で改善できますがそれをせずにイライラが蓄積します。
②ラインは非常に強大な権限とそれに伴う重い責任を持ちますが、それがどのような影響を及ぼすかの認識不足と責任感の欠如が正されず放置されることがあります。
③ラインが、誰かに足を引っ張られている、迷惑を掛けられている、というような被害者意識を持っていて、自らの管理力や改善力を高めることで解決を図らずイライラが蓄積します。
④ラインが嫌いな相手にレッテルを貼り、その相手が些細なマイナスなことや自分の気に障ることをする度に偏見を正しい認識と勘違いし正当化することがあります。
 これらが組み合わさり、偏見を正当化・増幅して、弱者である部下を敵視して、自ら負うべき罪の意識を転嫁します。ここでパワハラが発生しますが普通なら途中で間違いに気が付くはずです。
 ところが、日本IBMの場合、自らを正すという方向ではなく、むしろ逆に、低評価・PIP・賃下げのための口実として利用しようと画策する心理が働いてしまいます。パワハラ対象選定の手段としてパワハラが発生する4つの土壌を悪用するのです。

背後にある会社の方針

 そのようなことが起きる背景には、低評価・PIP・賃下げで労働条件を下げ人員削減を進める会社の人事労務方針があるからです。低評価・PIP・賃下げという業務指導と偽ったパワハラ行為が止まらなくなります。
 あろうことか、低評価・PIP・賃下げはラインマネジャーの「業績」として評価されます。この段階でモラルは崩壊。それでも、ラインは「業績」として評価され経済的利益が得られると、本業よりパワハラ行為で楽に利益を得ることを指向するようになります。
・会社は、真の向上の機会を逃してしまいます。
・人材が育たず疲弊し会社を去っていきます。
・優秀な人材が集まらなくなります。
・正常なラインが育たなくなります。

正せない負の連鎖

 翌年以降もライン業務の「業績」として評価され経済的利益を得るため、業務としてパワハラ対象を探すようになります。現在の日本IBMには正す仕組みはありません。
 こうして人命まで奪う反社会的なブラック企業に成り下がりました。
 今年も退職勧奨が始まっています。ラインとうまくいっていない場合は、退職勧奨の対象となり得ると会社は言っています。ラインが必ず正しいわけではないのですが。

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