パワハラ降格裁判提訴

会社ぐるみのやり方に一石

 2019年11月6日、組合員2名が日本IBMを相手取りパワハラ降格裁判を提訴しました(写真は厚生労働省での記者会見の模様)。
 今年成立したパワハラ防止法を受け、厚労省から法律の指針素案が出されましたが、対象が狭く、ハラスメントを個人的に行われるものに限定して矮小化しています。そのため、経営方針そのものが利潤追求ばかり追い求め、根本的に労務政策がゆがんでいる数多くの会社ぐるみのやり方が視野に入っていません。
 今回の裁判提訴は会社ぐるみのパワハラに一石を投じるものです。

裁判に至る経緯

 日本IBMでは、「パワハラ3点セット」と呼ばれる組織的パワーハラスメントが横行しています。パワハラ3点セットとは「パワハラ低評価」「パワハラPIP」「パワハラ賃下げ」を総称したものです。この延長線として「降格」によりさらに賃下げを行い、ハラスメント効果を上げようとしたのが今回の事件です。
 一人目の原告森谷さんは2016年に退職強要の一環でバンド7からバンド6に降格されました。退職勧奨を拒んだところ、仕事を外され、それが故に低評価をつけられ、低評価を理由にPIPを強要され、そして賃下げもされました。PIPの中では繰り返し退職勧奨を実施され、それを拒み続けたところ、報復としてバンド7からバンド6に降格されたのです。
 二人目の原告は2018年にPIPを実施されました。PIP面談の中で、「提携先の転職斡旋会社で転職先を見つけてこい」、「退職するか降格するかを自分で選択しろ」などと異常な退職強要を受けました。あげくに「スキルに合わない人員募集でも応じないというのなら、グーでパンチするぞ」といった脅迫文言までありました。それを断ったところ、バンド7からバンド6に降格されました。しかも、降格されたことすら告げられませんでした。

パワハラ3点セットとは

1.パワハラ低評価
 合理的な理由無しに低評価とするもの。人員削減のターゲットとなった人がパワハラ低評価の標的となります。
2.パワハラPIP
 PIPとは業績改善プログラムのこと。低評価を理由に強要されますが、改善とは名ばかりで、PIP面談の中では退職勧奨や個人攻撃が繰り返されます。
3.パワハラ賃下げ
 個人を狙った賃下げ。個人の業績が期待に達しなかった、として最大で年収の15%が賃下げされます。賃下げすることによって会社から追い出すことを狙っています。この賃下げは労働契約法違反だとして、パワハラ賃下げ裁判で係争中です。

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