IGAS売却 <従業員に動揺広がる>

  日本アイビーエム総務サービス株式会社(以下IGASという)が売却されることになり、そこで働く社員に動揺が走っています。この売却をおこなった日本IBMは、会社事情でおこなった施策であることを肝に銘じて、そこで働く従業員の意向を十分考慮し、不安を解消すべく配慮と支援をすべきと考えます。
 IGASといえば、多くの社員が事業所での執務や生活をする上でかかわりがありご存知と思いますが、日本IBMグループに総務サービスを提供する日本IBMの100%子会社で、13年前の99年4月1日に日本IBMの総務部門が子会社化されたものです。
 会社は、そのようなところまで売却対象としてきました。売却先は米国の不動産総合サービス会社、ジョーンズ・ラング・ラサール株式会社(以下JLLという)です。 
 5月29日のIGAS社員向け説明会のわずか1ケ月後の7月1日付で株式譲渡をおこなうという、IGAS経営陣、所属社員にとってむちゃくちゃな話です。
 日本IBMグループに就職したつもりが、会社の事情で突然、一方的に、IBMの看板がなくなってしまうということの戸惑いは決して少なく無いと考えます。
 3年間は日本IBMが10%株式を持ちますが、その後はJLL100%の完全子会社となります。 100人余りの社員と約20人の派遣社員、臨時雇員が新会社に移ることになります。処遇や福利厚生については、3年間は現状を維持することになっていますが、会社資料によるとIGASの給与規定にはない、減給制度があり問題です。
 新会社になっても、これまで同様の日本IBM向け総務サービスの仕事を行うことになっていますが、約2割の人に、全国に散らばる新分野の仕事をおこなってもらうことが発表後にわかると同時に、その仕事の割り当てを一方的に行うなどIGASの人たちの不満が高まっています。
 今後、残りの8割の人たちで、これまでの仕事をおこなわなければならず、きつくなることは目に見えています。 さらに、3年のうちにIGASを長年引っ張ってきたマネジメントのほとんどが定年退職となることが見込まれていることから、かなりの合理化や人材流動化が予想されます。
 社員向けの説明会では、今回の売却は、2015年ロードマップの方針で、ノンコアビジネスの対象となっているIGASは、COE化不可能ということで、そっくり売却が決まったようです。説明会では、売却先ではコアビジネスとしてとらえていることから、新会社で働く社員がこれまでと違い成長を期待できる新たな機会が提供されるので、前向きにとらえていただきたいとの日本IBM側の発言がありました。
 しかし、もともと社員のために行った施策でないことは明白で、2割減のIGAS社員で日本IBMグループの仕事をさせてコスト削減をはかり、JLLは2割の人に新しい仕事をさせられるという狙いです。
 多くの社員にとってコアビジネスがどうだとか、がんばった人にはそれなりの報奨がもらえるなどということより、よい職場の雰囲気の中で安心して働き続けることを望んでいます。それを保証してこそ、前向きにがんばる気持ちが湧いてくるものだと考えます。
 しかしながら、現状では、突然の話であること、今後の進路において選択肢が無いこと(退職しても割増金は出ない)、日本IBMグループでなくなること、JLL社の情報が不足していることなどから、ほとんどの人は、前向きになれず、不安や動揺のほうが大きくなっています。
 日本IBMは、個々人に「前向き」を押し付けるのではなく、IGAS社員の不安や要望を十分つかみ、安心して、且つ将来展望を持てる環境をつくるため、7月1日以降もIGAS経営陣と協力して、十分支援と配慮をすることが雇用責任をもつものの義務と考えます。

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