人事考課権限の濫用はパワーハラスメント

 成果主義とかペイ・フォー・パフォーマンスといって評価とそれに伴う不利益で脅迫して社員を支配する会社運営が続いています。日頃何のフィードバックもなく評価だけ下げてくる手口も出始めています。何をもって低評価をされて不利益を被るかと疑心暗鬼で毎日を過ごすようでは仕事に誇りを持てなくなり心身ともに疲弊してしまいます。この問題について考えてみます。

人事考課権限の濫用

 恣意的、意図的に、低い評価をするなどの場合は人事考課の結果がパワハラと言えます。パワハラは職務上の地位や人間関係などの職場内での優位性を背景に、業務の適正な範囲を超えて、精神的・身体的苦痛を与える又は職場環境を悪化させる行為です。場合によっては安全配慮義務違反にもなります。
 それだけでなく、人事考課権限の濫用は、労働契約法第三条第五項で禁じている労働契約に基づく権利行使に当たっての濫用にも該当します。
 具体的にどのような不当な評価が該当するのか考えてみましょう。

評価そのものの問題

 客観的な評価基準などが無く、上司の裁量で主観が相当入り込んでいる場合や、評価基準はあってもその内容が曖昧であったり、あるいは評価する上司がそうした基準(客観的な評価基準)を厳密に捉えず恣意的・感情的に評価がなされる場合は、人事考課権限の濫用に該当します。
 コミュニケーションに問題がある、期待に満たないと称して低い評価をする場合はこちらに該当します。

根拠の事実の問題

 そもそもその根拠となる事実が、会社または上司によって恣意的に作り出されたものである場合には、人事考課権限の濫用に該当します。
 事実と異なる作り話(嘘・虚構)や認識間違いによって事実が曲げられ、それによって低評価根拠としている場合はこちらに該当します。

人事考課権限濫用の類型

 人事考課権限濫用には以下のようなタイプがあります。
①強行法規違反
 人事考課が強行法規(労基法3条、雇用機会均等法6条、労組法7条など)に違反している場合がこれに該当します。
②成果主義人事の趣旨に反する査定
 成果主義人事において、職務遂行能力以外のステレオタイプな属性(婚姻の有無など)を理由に低い査定を行うことは、人事考課の本旨に反し、これに該当します。
③人事考課制度の趣旨・手続きに反した不適切な運用
 人事考課が制度に違反・逸脱して行われている場合がこれに該当します。
・客観的基準を無視した恣意的・感情的考課
・考課項目・考課基準適用の誤り、事実誤認による不当低評価
・考課手続が遵守されず形骸化(一次考課者の判断のみで決められている、フィードバック制度が遵守されていない)など。
④目標管理の不適切運用、能力開発制度の不備等
 目標設定が高すぎたり、十分な能力開発を行わないまま低い考課を行っている場合がこれに該当します。
 労働者に成果・業績を問う以上、仕事は本人が選択し、その適性やキャリアに適合しなければなりません。それを考慮しないまま配置・配転を行った場合は、公正な考課とは認め難く、人事考課権限の濫用が成立し得ます。

人事考課権限濫用による不利益

 人事考課権限の濫用により労働者に損害が生じた時は、使用者は損害賠償責任を負います。

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