抑制されるボーナスのからくり

~賃金制度の公開を~
 6月8日に、夏季一時金(ボーナス)が支給されました。しかし、会社からその支給額についての詳細発表、ラインから納得のできる説明があったでしょうか?
 かいな2193号で、ボーナス改悪の歴史を解説しましたが、計算方法そのものは2008年から変わっていません。2011年と比べて変わったのは、会社業績反映部分で、会社業績達成度が51から40に下がりました。下の表をご覧ください。会社業績反映部分は、Reference Salaryの6%分を、会社業績と前年のPBC評価で変動させます。同じPBC評価でも、会社業績達成度によって支給額が変わるのです。特に、会社業績が100だった場合との差は歴然としています。
 組合が把握している2012年夏季一時金の最低額は、50歳代15万円です。会社は、処遇の差別化を進めるとしていますが、差別化ではなく嫌がらせ、もはやパワハラ領域に入っていると言わざる得ない状態です。
 団体交渉の席で会社は、「日本IBMほど賃金システムを公開している企業はない」と主張をしています。しかし実態はどうでしょうか。
 例えば、就業規則に休暇制度があります。この有給休暇日数をラインが決めるとしたらどうなるでしょうか。「あなたの休暇日数は、昨年度は12日でしたが、今年は10日とラインが決めました。会社もそれが正しいと追認しました。あなたの行っている業務を職場で相対評価しマーケットと比較した結果そうなりました。従ってください。」 みなさんなら、このような説明があったとして、決して納得できないでしょう。これは休暇というシステムがあっても、なぜその日数になったのかわからないためです。いまの日本IBMの賃金制度がそうなのです。
 成果主義賃金制度の運用に当たっては、適切な目標設定、透明性・公正性、客観性の確保が必要であり、さらに従業員の納得性を高めることが一番大切なのです。しかし、いま会社が行なっている成果主義的賃金は、その運用によって、従業員の就業意欲、人材育成、チームワーク等に悪影響がでるものです。その結果、会社業績にも影を落としています。
 業績評価制度や賃金制度を公開する会社の取組は不十分というよりまったく行なっていないに等しいと断言します。ボーナスの支給に影響する会社業績達成度の根拠を説明しない、賃金に一番影響する評価の分布結果を公開しない、昇給の根拠となる各バンド別の給与レンジを発表しない、どの職種に昇給を適用したか秘密にする。このような状態で、賃金制度を公開しているなどと言えないことは誰の目にも明らかです。 これを世間一般では「労働条件を会社が一方的に決定する」というのです。組合は、これらを公開するように会社に要求し、団体交渉で追求しています。
 会社が間違った成果主義賃金を推し進めているのは、会社にとって都合の良い制度、すなわち、従業員の賃金抑制のためです。まさしく、日本IBMの賃金制度をすべて公開すると、IBMでなくなるといえるでしょう。

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