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相談窓口

つぶやき・・・経営責任を従業員に転嫁、成果主義の歪み至るところに

 日本IBMは、ハイパフォーマンスカルチャーという言葉を使用し、それを人件費抑制の手段として悪用し推し進めています。成果主義は労働者の賃金を会社の一方的な評価によって個別に決めようとし、労働者の分断をはかるものです。また職場では責任を労働者に押し付け、経営者は業績改善の努力を行わなくなります。更に恒常的にリストラを行う異常な状況です。

・・・成果主義の歪み・・・

 社内では、成果主義の歪みが至る所ででています。それは成果主義の本当の目的は、従業員の賃金上昇を抑える為のもので、賃金抑制の効果を期待され導入されているからです。それなのに会社は、成果を評価して、それに応じた報酬を与えるから正当です、素晴らしい人事制度です、などと従業員を騙し続けています。
 そのことは、従業員の半数が昇給しない給与制度からみても明白です。
 成果を出せないのは、自己責任と主張する人がいますが、それはこの成果主義の本当の目的を分かっていないからです。成果主義を真に受けるような、結果的に偶然「優秀」になった人間が出世をしてリストラを実施して、社内の融和を乱しているのです。

・・・ボトム15%を作るPBCは廃止せよ・・・

 日本IBMでの成果主義の評価方法はPBCです。そこで行われているのは、成果主義ではなく、低い評価対象者を作り出すための減点主義です。
 成果は、「品質向上の度合い」や「社員の技術力」など、数値で表すことができず客観性を見い出せないものも多いのです。上司が人間である以上、その基準次第で貢献量に対して成果に食い違いが出ます。上司が社員に近いと、無意識に評価に先入観・偏見がかかってしまう可能性もあります。
 また、査定基準の設定次第では「貢献したのに評価が下がった」「がんばっても評価が上がらない」という事態にもつながります。上司が個人的に気に入らない従業員に対し、主観的・恣意的に悪い評価をつけたりもします。
 そのようにしてボトム15%の従業員が作られ、人員削減のための退職勧奨が実施されます。それに応じなければ、退職強要やPIP(業績改善プログラム)を実施するのです。

・・・会社の責任は雇用を守ること・・・

 会社の責任である「雇用を守る」とは、人員削減をしないことのみでなく、家族とともに安心して働き続けられることや労働条件の維持・向上をはかることがあります。これらが実践されて初めて、「真の自由闊達な会社」が達成できるのです。

JAL裁判・退職勧奨違法と認定!IBM裁判 不当さ鮮明に

 作年10月31日に東京地裁で日本航空(JAL)の短期契約客室乗務員(Aさん)の雇止め裁判の判決が言い渡されました。判決で当時の上司の退職勧奨が違法と認定され、JALと上司に慰謝料20万円ずつ(合計40万円)の支払いが命じられました。
 IBM退職強要・人権侵害裁判では、執拗な退職勧奨が違法とはいえないと認定されており、対照的な判決内容となりました。

◆上司の執拗な退職強要◆

 このJALの雇止め裁判はマスコミで大きく話題になっている146人の正社員の整理解雇裁判とは別の裁判です。しかし根っこは同じで、経営再建を迫られたJALが再建努力をアピールするために必要のない人員削減を強行し、正社員は整理解雇、短期契約社員(1年契約)は雇止めにしたというものです。
 Aさんは雇止め通知を受ける前に、上司から執拗に退職強要も受けていました。そこで地位確認(職場復帰)と退職強要による精神的苦痛に対する慰謝料請求を求めて提訴したものです。

◆退職勧奨 違法性認定◆

 判決そのものは「Aさんの職場復帰を認めない」という不当なものでした。しかし退職勧奨については違法性を認めました。Aさんの上司が繰返し、「いつまでしがみつくつもりなのか」「辞めていただくのが筋」「懲戒免職の方がいいのか」と、Aさんに執拗に自主退職を促していた点について、「社会通念上認められる範囲を越えた違法な退職勧奨」と違法性を認定しました。またJALの使用者責任も認め、Aさんの上司とJALに対して慰謝料の支払いを命じました。

◆IBM裁判では退職勧奨容認◆

 この判決の退職勧奨に対する判断は「退職勧奨を断っている社員に対して、退職勧奨を繰返し行うことは違法である」という、これまでの判例を踏襲した極めて妥当なものでした。
 それに対して、IBM退職強要・人権侵害裁判の判決は、退職勧奨が違法になるためのハードルを異様に高く設定しています。判決文では社員が退職勧奨を断っても「退職に応じることの利益・不利益を深く理解させるため」あるいは「真摯に検討したか確認し」、更に「再検討や翻意を促すため」、退職勧奨を繰返すことを容認しています。またその結果、社員が「不快感や苛立ち等を感じたりして精神的に平静でいられないことがあったとしても」違法ではないと、精神的苦痛を与えても違法ではないと論じた、極めて不当なものです。

◆偏見に満ちた裁判官の会社側に偏った判決◆

 日本IBMの退職強要の方がJALよりも酷かったことは言うまでもありません。「所属長の退職強要を拒絶すると、上長からサードラインまで出てきて、複数人から退職を強要される」「最後は弁護士資格を持った法務担当取締役執行役員が登場し、『48時間以内に辞表を出さないと普通解雇する』と脅迫される」「『このままだと低評価を受け、賞与は減額され、同時に降格対象になりうる』という脅迫メールと共に、再就職斡旋会社の紹介メールをセットで送りつけられる」などの違法行為が「会社ぐるみ」で行われました。
 また「面談中に社員の目の前でペットボトルを振回し、威圧的に足を踏み鳴らされる」などの暴力行為を受けた原告もいました。さらに投げかけられる言葉も「あなたに与える仕事はない」「この会社にあなたの居場所はない」「あなたは会社にいらない(人だ)」などと「退職」と言う言葉を巧妙に使わずに、原告の人間性を否定する言葉を繰返しして退職に追い込んでいます。しかし担当の裁判官は、会社の言い分を鵜呑みにして、これらを事実とは認定せず、違法性を否定しました。
 このようにIBM退職強要・人権侵害裁判の判決は他の退職強要裁判と比べても、特異な裁判官による異様に会社側に偏った不当なものでした。この不当な判決を覆すべく、組合と原告4人は1月10日に東京高裁に控訴しました。会社の退職強要攻撃を跳ね返すためにも、IBM退職強要・人権侵害裁判へのご支援をよろしくお願いします。
 また今後、退職強要が発生した場合は、JAL裁判と同様、退職強要に関与したライン自身も提訴の対象となりうることを追記しておきます。

勧奨容認し原告切捨て退職強要裁判で不当判決

 昨年末も押し迫った12月28日、東京地裁において、日本IBM退職強要・人権侵害裁判で原告らの請求を棄却する不当判決が下されました。
 「リーマン・ショックにより事業環境に関する将来見通しが更に不透明になった」中、2008年度に前年とほぼ同水準の約1000億円の純利益をあげていた会社には退職勧奨を許す一方、社員には退職勧奨を甘受し退職することになる結果も甘受せよと言っていることになります。

◆企業ぐるみの首切り◆

状況は極めて明白です。会社が、企業ぐるみで行った1500人にも及ぶ首切り事件です。その点を、原告も被告も裁判官も否定はしません。判決文にも、退職予定数を1300人と設定したが、過去の経験からその2倍半から3倍の人数を対象に退職勧奨すれば予定数に達するだろうと見込んだことや、この予定数の達成は、部門長やライン専門職のアカウンタビリティ=結果責任とされたこと等が明記されています。
 結果として会社はこの機会に1500人に及ぶ社員の首を切ることに成功しました。候補者に個別面談して「自発的に退職する」よう圧力をかけた結果です。
 これは、事実上の指名解雇と言ってもいい退職強要です。これに憤った4人の原告が提訴し、このような不当な首切りに歯止めをかける機会を提示したものです。

◆会社主張を全面採用◆

 判決は、「退職勧奨の対象となった社員がこれに消極的な意思を表明した場合であっても、それをもって、被告は、直ちに、退職勧奨のための説明ないし説得活動を終了しなければならないものではない」等の基準をたて、会社の主張及び会社側証人の証言を全面的に採用して会社の行った面談等は社会通念上逸脱した態様で行われたものではないと判断する一方、原告らの証言は切り捨てました。

◆不可解な推論や判断◆

 あらためて面談の状況を想定して振り返ってみましょう。候補者たちは考えてもいなかった退職をおいそれとは「希望」するわけにはいかない一方、勧奨する側は予定数達成に結果責任を持てと言われていますから退職するように圧力をかけざるを得ません。そのために判決文に出てくるように「上司の言葉遣いや態度次第では部下にとって圧迫と受け取られかねな」かったり、「戦力外と告知された社員が衝撃を受けたり、不快感や苛立ちを感じたりして精神的に平静でいられな」かったりしたでしょう。
 このような場で、この判決文に何度も出てくる「被告Aが、単に原告Bを激昂させ、感情的な反発を招く危険のある発言をあえてするとは考え難い」というような推論が成り立ち、それらを積み重ねた判断が正しいと本当に裁判官はお考えなのでしょうか?
 退職した人たちも原告らも自身の身を守るべく抗戦し会社側と行き違ったとしても自然であり、一方的に棄却されるべきものではないでしょう。その個々の場合の振舞いの当否を問うよりは、そのような場面を作り出すことが根本的に問題にされるべきでしょう。

◆判決を非公開に?◆

 会社は判決や証拠の一部を非公開にするよう裁判所に申立てました。そのような求めは、自身の側の不都合を自覚しているからではないか、とするのが社会通念ではないでしょうか。仮に読者がそれらに目を通す機会に恵まれたなら是非とも観賞していただきたい。現在の社会の深層を垣間見ることができるでしょうから。

◆控訴審へ続くたたかい◆

 退職勧奨を受けた日々から困難なたたかいを続ける中で、原告らはたくましくなってきています。その雰囲気から裁判官は錯覚されたかもしれませんが、原告らはあくまでも弱い立場の労働者です。
 彼らが勇気を奮って企業の理不尽な人員削減の手法がはびこるのをとめるべく提供した機会を、裁判切りすてました。
 日本で人事の毒見役をしてかつての名声を失ったこの会社が準退職強要をはびこらせるのを、裁判所が助長したことになるかもしれません。そうなることを防ぐべくたたかいは控訴審へ続きます。

「IBM中央団体交渉」報告
会社「目標開示検討したい」

 昨年12月12日に組合は「12月期賞与」、「解雇」について団体交渉を行いました。

◆12月期賞与

組合 我々が不信感持つ理由は、会社業績についての評価の根拠が「マーケットへ開示していないから組合にも開示しない」と会社が主張し、データを開示しないからである。

会社 (指標の開示については)この場(団体交渉の場)で機密保持(の契約を組合と会社間で締結することが)できないのかとの案も真摯に受け止めて検討している。

◆業績指標51の根拠、開示を拒否

 会社は(51の根拠として)「会社業績の3つの指標が目標未達」、「前年比で業績が低下」と主張しているが、売り上げは落ちているにもかかわらず税引き前利益は増益である。これは、従業員の努力の証拠であり、量的指標としては大きいはずだ。なぜ、51となるのか。売り上げ目標などの資料が一時金算出の元になるのだから、開示してもらわなければならない。

 (51の根拠としては)社長方針が「回復基調に戻す、すなわち、売り上げを上げて成長すること」であったがそれができなかったからである。
 売り上げ減2%を会社は重要視しているが、経常利益は10%あがっているというプラス要員はまったく公表しない。

 今から指標を変えることはできない。過去の指標も出すことはできない。

◆目標の非公開は不正につながることを指摘
 
 目標が公表されていなければ、経営者が後で好きなように目標を変えることができてしまう。現在はしっかりしているように見える企業でも不正を行ってしまって問題になっている。

 検討していきたい。意見をきいていきたい。 開示の縛りがあれば、透明性を保つ方法があるかと思うので、検討したい。

◆解雇問題

 昨年9月末に解雇された係争中の従業員は、会社が指定した解雇日の1ヶ月前にロックアウトされたため、私物がオフィスに残されたままになっていました。
 2010年2月に大和事業所で自殺者がでた際に、会社は「オフィスには私物は無い」として私物の返却を拒んでいましたが、今回の交渉においては返却を承諾しました。

2011年秋闘・年末一時金・回答

会社は情報開示を行え!
< <かたくなに要求を拒否>>
会社役員は売上げ減収の経営責任を取れ!

 2011年秋闘・年末一時金要求書を10月26日会社に提出し、11月8日に組合は回答書を受け取り、会社と団体交渉行っています。
 そこで、わたしたちの賞与支給額に大きく影響する「会社指標の目標と結果」の公開を組合は要求し、会社はかたくなに拒否をしていることを紙面で紹介しました。従業員に公開されるべき情報を会社が拒む理由は何なのか。そこには、強い経営陣と弱い労働者の力関係があり労働者の権利が奪われているのです。

◆給与・評価制度の要求◆

 組合は、従業員の給与制度の開示を要求しています。これは労働者の権利であり、会社は開示しなくてはならないのです。まず、①全職種の給与レンジ ②ライン専門職への昇給ガイド ③MBAについて、適用職種ごとの市場給与水準。
 会社はこれらを「開示しない」としています。それは、透明性、公平性、客観性、納得性が得られる説明をしなくて良いといっているのと同じです。またPBC評価(1~4)実際分布表も「公開をしない」としています。会社がこれらを公開しない狙いは、従業員を個別に分断し管理することにあります。

◆役員報酬の公開要求◆

 金融庁より上場企業に役員報酬を公開するように義務付ける方針が発表されています。日本IBMは、日本の市場で上場はしていないものの、国内で業務を行っている以上、役員報酬を公開することは必要と考えますが、会社は「開示する考えはない」としています。
 また組合は会社に対して業績悪化の責任をとり、大幅な役員数削減をするとともに、自ら率先して役員報酬をカットする実践を求めていますが、会社は「役員数および報酬については、今後も企業運営上適切な配置・設定を行っていきます」としています。しかし組合はそれが実践されているとは到底思えません。

◆労働時間短縮要求◆

 組合は、年間総労働時間を1800時間以内にすることを要求しています。
 会社は「年次有給休暇の取得率60%を目標に管理しています」と回答しています。業務において高い稼働率の達成を要求され、成果主義による競争で休暇取得が進んでいないのであり、会社としてワークライフバランスを推奨するのであれば、抜本的改革が必要であるのは明らかです。会社は、従業員の休暇取得率を上げるために実効性のある施策を明確にすべきです。

◆子育て支援◆

 育児早退の対象を未就学児から小学校卒業まで拡大するように要求しましたが、会社は「その考えはない」としています。組合は、安心して働ける職場環境を作るため即導入を求めています。

◆災害への備え◆

 昨年の震災で見られたように、日本IBMでも帰宅困難者が数千人発生しました。会社内で宿泊等の待機ができる環境を整えるように要求しましたが、会社は「会社での宿泊環境を整える考えはない」と回答をしました。

◆事業所内の放射線量計測◆

 組合は、事業所敷地内(公開緑地を含む)の放射線量を測定するように要求しています。(法律が定める一般公衆の線量限度は年間1ミリシーベルト)
 しかし、会社は「特別な対応を必要とするような原発事故による放射線量の上昇はないと考えられ、放射線量の測定は不要です」と回答しました。
 組合は社員の被爆防止のためにも放射線量の測定をすべきと考えています。

組合に結集し、2015年に向けた大リストラをはね返しましょう

JMIU日本アイビーエム支部 中央執行委員長 大岡 義久
 あけましておめでとうございます。
年頭にあたり一言ごあいさつを申し上げます。
昨年は悲しい一年でした。3月11日に発生した東日本大震災により、太平洋沿岸部を中心に壊滅的な被害がもたらされました。福島第一原子力発電所では、大量の放射性物質の漏洩を伴う重大な原子力事故に発展しました。
その他にも、景気問題、雇用問題、年金問題、教育問題、食の安全性の問題など、難問が山積しています。
社内では、成果主義による歪みが雇用問題にまで拡大しています。すでに透明性、公平性、客観性、納得性がないことは明らかになっていますが、会社は私たちに人件費抑制のため成果主義を押し付けています。しかし、私たちが「昇給しない」「過重労働だ」などと述べているだけでは、愚痴で終わってしまいます。それを経営陣に要求としてぶつけ発展させなければなりません。
更に、会社の隠蔽体質は、日本アイビーエムの将来をも危うくしています。例えば、みなさんもご存知のとおり、日本アイビーエムの従業員数は非公開です。会社業績指標は私たちの賞与に大きく影響しますが、その目標や結果の値を公表することを会社はかたくなに拒否しています。やましいことがなければ、これらの情報は公開できるはずです。
このような会社に対して、今声をあげて要求できるのは、労働組合しかありません。また、みなさんの安定した生活を支えていくのが組合の役割だと思っています。2015年に向けた大リストラと闘う決意もしています。
要求をもとに団結できる組合へのみなさんの加入をお待ちしています。
この新しい年がより佳き年になるよう心より祈念いたしまして、挨拶とさせていただきます。

Nさんを職場に戻せ 東京地裁に仮処分申請

 12月2日、JMIU日本アイビーエム支部N組合員は、東京地裁に対し、日本アイ・ビー・エム株式会社(以下、日本IBMという)を相手どり、有期の労働契約の雇い止めは無効として、地位保全・賃金仮払いの仮処分命令申請を行いました。組合の声明文は下記のとおりです。


日本IBMは有期雇用労働者の「雇い止め」、不当労働行為をやめろ!
「有期雇用契約社員の雇い止め無効・地位確認・賃金仮払い」
仮処分申請に際しての声明
(1) 2011年12月2日、JMIU日本アイビーエム支部N組合員が、東京地裁に対し、日本アイ・ビー・エム株式会社(以下、日本IBMという)を相手どり、有期の労働契約の雇い止めは無効として地位保全・賃金仮払いの仮処分命令申請を行った。
(2) N組合員は、2005年11月就業開始で、アイ・ビー・エムビジネスコンサルティング サービス株式会社(以下、IBCSという)と「プロフェッショナル・コントラクト契約」(以下、PC型契約)を締結し、同社は、2010年4月に日本IBMに吸収合併され、同様に勤務を継続していた。業務評価は問題なく、2008年に一回目の契約更新(3年)が行われている。
(3) 元々N組合員は、他社の正社員(終身雇用)で安定した地位にあった。しかし、人事担当者は「PC型契約を更新されなかった人はいない」と述べて、入社を勧誘した。また、労働契約書には、更新条項が明記されており、労働契約書上も更新が予定されているのである。
(4) 形式上は有期労働契約ではあるが、PC型契約をした労働者も正社員と何ら変わらない(臨時的でない)基幹的・専門的なコンサルティング業務を遂行している。従って、実際に2008年11月には、労働契約は何の問題もなく更新されている。契約は更新されると当然に期待していた。この労働契約(雇用)の継続に対する期待は,法的に保護すべき合理的な期待というべきである。本年7月7日付の契約期間満了通知は、解雇の意思表示と言うべきであり、労契法16条及びこれまでに確立されてきた解雇制限法理が類推適用される。
(5) 日本IBMは、組合宛文書や団体交渉にて、N組合員のスキルに合った仕事がないことを述べている。しかし、事業に貢献できる十分なスキルを有しており、雇い止めに客観的な合理性も社会通念上の相当性もないことは明らかである。N組組合員が仕事をアサインすることを求めても、日本IBMは仕事をアサインできないことについて具体的に説明しなかった。N組合員及び組合は、日本IBMに対し仕事をアサインするよう一貫して要求してきた。
(6) 日本IBMは、N組合員に対し上司が仕事をアサインしてこなかったことについて、「不幸な偶然の累積の結果」「時期的な問題」「Nさんの得意分野の仕事が減っている」などと抽象的な回答をするのみであり,仕事のアサインの要求に対し具体的理由を示すことなく応じなかった。そして、10月31日雇い止めが強行された。このような雇い止めは権利濫用であり無効である。日本IBMは、組合員であるN組合員を会社から排除する目的で雇い止めを行ったとしか考えられず,不当労働行為の意図による雇い止めが違法・無効であることは言うまでもない。
(7) 「雇い止め」とは、事実上の解雇であり、労働者にとっては、生活の糧、将来展望を失われることを意味する。N組合員に対するこのような卑劣なリストラは絶対に許されない。日本IBMの有期雇用の労働契約の実態を社会的に告発することによって、退職を余儀なくされた労働者の名誉を回復させ、今後はこのような違法行為を絶対に繰り返させないために仮処分申請に踏み切ったものである。
(8) 日本IBMの職場では、人権侵害を伴う退職強要が行われており、今回の「雇い止め」の攻撃も、労働者の人権を無視する体質の延長線上にある。更にこの仮処分申請は、IBMに吹き荒れる「グローバル化」に名を借りた大企業のリストラ・権利侵害の攻撃に対し労働者の権利である雇用と生活をまもる闘いでもある。全国の労働者・労働組合、国民のみなさんのご支援を心から訴えるものである。

2011年12月2日
全日本金属情報機器労働組合(JMIU)
同 日本アイビーエム支部

Nさんの決意表明
 私、Nは、会社によるPC型社員に対する一方的な雇い止めを不服とし、2011年12月2日付けで東京地方裁判所へ「地位保全・賃金仮払仮処分命令申立書」を提出致しました。
 私は2005年11月に旧IBCSへ入社し、2008年11月に一回目の雇用契約の更新を得て2008年12月まで順調に業務をこなしておりました。
 その後、突然、専門外の子会社への出向を命ぜられため、労働組合に加入しました。組合加入後、私から仕事を取り上げた状況があまりにも長く続いていたため、会社に対して一刻も早く適切な業務を与えるよう団体交渉などで何度も要請していたにもかかわらず、会社は業務をまったく与えないまま雇い止めを実行してしまいました。私は採用面接において採用担当官から「契約更新しなかった人はいない」との言葉を信じていたので、当然、雇い止め後の転職計画などあるわけはありません。
 我が家には幼い子を含め4名の養うべき子供達がいます。私の妻や子は「日本IBMの経営者や管理職は人間的に立派な人達のはずだからこのような仕打ちを自分達にするわけはない」といい、直筆で彼らに手紙を書き労務へ手渡しましたが、その後、人事・労務は「事務的に処理した」「個人的なことは関係ない」といい、私の家族の思いに対し非情な対応をしました。
 私は自分の名誉よりも家族を養うために不本意ながら立ち上がらざるを得ませんでした。同様の事件は過去に私の先輩達にも起こっており、私はPC型社員の仲間に対して会社が同じような不名誉な事件を起こさないように、また、安心して業務に励むことができるよう、勇気を奮って闘っていく所存であります。

日本IBM退職強要裁判・東京地裁判決についての声明

(1) 東京地方裁判所(渡辺和義裁判官)は、2011年12月28日、日本IBM退職強要裁判において、原告らの請求を棄却する不当判決を下した。本件は、2008年10月から12月末にかけて日本IBMで行われた、わずか3ヶ月で1,500名もの社員を退職させるという大規模な退職勧奨プログラムの中で、上司による人格否定、威嚇行為、誹謗中傷などの人権侵害を伴う組織的な退職強要が実施されたため、2009年5月、全日本金属情報機器労働組合(JMIU)日本アイビーエム支部組合員4名が日本IBMを相手どり、人権侵害を伴う退職強要の差し止めと損害賠償を求めたものである。
(2) 判決は、「退職勧奨の対象となった社員がこれに消極的な意思を表明した場合であっても、それをもって、被告は、直ちに、退職勧奨のための説明ないし説得活動を終了しなければならないものではな」いとし、「たとえ、その過程においていわば会社の戦力外と告知された当該社員が衝撃を受けたり、不快感や苛立ち等を感じたりして精神的に平静でいられないことがあったとしても、それをもって、直ちに違法となるものではない」との基準を立てた。その上で、会社の主張及び会社側証人の証言を全面的に採用して、会社の行った面談等は社会通念上逸脱した態様で行われたものではないと判断した。一方で、面談において精神的苦痛を受けたとする原告らの証言については、信用性がないとか、誇張であるなどとして切り捨てた。その内容は、労働者と労働組合に対する偏見と敵意に満ちたものである。判決は、組織的に退職強要を行った会社のやり方を許容するものであって、到底容認できるものではなく、最悪の判決である。
(3) 日本IBMは,2008年12月決算において、前年度とほぼ同水準の約1000億円の純利益をあげていた優良企業であり、リストラを行う経済的必要性はまったくなかった。それにも関わらず、1500名の労働者を退職させるという目的のために、労働者に精神的苦痛を与え、退職に追い込む面談を繰り返していたものである。このような卑劣なリストラ手法は、整理解雇四要件を潜脱するものであって、絶対に許してはならない。
(4) わたしたちは、この裁判闘争で、日本IBMの行っている卑劣なリストラ手法を許さないという世論を広げてきた。2009年の東京地裁提訴から支援をしていただいた全国の労働者・労働組合の仲間のみなさんに心から御礼を申し上げると同時に、引き続き、労働者が安心して働き続けられる権利を守るために闘う決意をここに表明する。
2011年12月28日
日本IBM会社退職強要人権侵害原告団
同                弁護団
日本金属情報機器労働組合
同           日本IBM支部

人権侵害裁判地裁判決文_1of 2
人権侵害裁判地裁判決文_2 of 2

【告知】 「IBM退職強要・人権侵害裁判」の判決日のお知らせ

 裁判所側の都合で延期となっておりました「IBM退職強要・人権侵害裁判」の判決日について、裁判所より通知がありましたので下に、お知らせいたします。

      日時:12月28日(水)15:00 ~ 15:15
     場所:東京地裁・603号法廷

[従業員代表選挙] 本社、大和で2名当選

危惧される懲戒とリストラ
 11月末に就業規則の一部改定および諸協定の締結のための従業員代表選出(選挙)が実施され、即日開票されました。結果は下表のとおりです。 組合は、17ブロックで推薦候補を立て、本社事業所の第4ブロックで当選者(両者当選)。大和の第1ブロックでは再選挙の末当選(両者当選)となりました。幕張第2ブロックも再選挙となりましたが、当選にはいたりませんでした。
 残念ながら組合推薦候補は、事業所代表にはなれませんでしたが、管理職を含めた数の約1/4にあたる従業員に投票していただき力強い限りです。選挙結果の数字は当選の可否に限らず会社も注目しており、決して少なくない民意を無駄にしないよう今後とも組合は、従業員の立場に立って会社と交渉していきます。
 特に今回は、かいな2191号(11月21日発行)で紹介させていただいたように、給与規程第25条の「臨時昇給」が「臨時給与調整」に変更され、いつでも減給できるように改悪されたり、同第89条の懲戒の決定者が「所属長」または「取締役会」としていたものを「会社」に統一しました。これは「所属長」の負担を軽減すると共に責任の所在をあいまいにし、懲戒とリストラを結びつけて、人事主導の下に迅速に実行できるようにしたと考えられます。これは来年以降本格的におこなわれるであろうリストラの地ならしととれるため組合は危惧しています。

電子投票について(本社のケース)
Ⅰ.電子投票
 1.社員に投票用NotesMailを送付する
 2.社員は投票したい候補者のボタンをクリックする
 3.各ブロックごとのMailBoxにメールが送信される
Ⅱ.電子投票集計
 通常投票日2~3日前に、電子投票だけの集計作業をコーディネータと立会人の下に行った
 1.全てのメールを1つのMailBoxに集める
 2.Excelのマクロを利用して、結果を抽出する(このとき重複は排除され、最後の投票のみがダウンロードされる)
★問題 Excelにダウンロードした段階で、誰が誰に投票したかは、丸見え。匿名性は担保されません。事務局に問題を指摘しましたが、「選挙の公示に『電子投票は匿名性が担保されない』ことは明記してあり、投票者はそれを納得した上で投票している」と取り合いませんでした。
 ただし、開票作業のときは、組合推薦候補の立会人が抗議したことによって、一応、投票者の名前の列は隠して作業を行うことができました。
 組合では、今回も「電子投票は匿名性は担保されず公平な選挙ができないのでやめるよう」申入れを出していましたが、強行されました。電子投票を行う場合は、匿名性を担保できる仕組みに変えるべきです。
 選挙事務を担当される方は大変だと思いますが、公平で民主的な運営を行うことは手間と時間と場合によってはお金もがかかるものです。事務局の方にはぜひその意識を持っていただくと共に、会社は現場の方に負担を押し付けるのではなく、公平で、民主的な選挙のできる環境を提供すべきです。

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