東京都労働委員会(以下都労委)は、組合が申し立てていた、会社の不当労働行為(組合員へのロックアウト解雇予告に対する団体交渉拒否)に対して、今年8月28日組合の申立を認める命令を会社にくだしましたが、会社はこれを不服として中央労働委員会に再審査申立をしました。
しかし、労働組合法27条の15により、たとえ再審査申立をしても、都労委命令「このような行為を繰り返さないということの組合宛文書通知と、社内への掲示」は履行しなければならないことになっています。会社は、下記のとおり10月9日(水)までに中央労働委員会宛に報告義務があります。
都労委命令を履行せよ ! 中労委が社長に要請
地裁提訴と都労委申立を追加
減給撤回とロックアウト解雇で
ロックアウト解雇裁判でさらに4人が追加提訴したほか、賃金減額撤回で9人が東京地裁に提訴し、東京都労働委員会に対しても不当労働行為の救済申し立てを行うなど、組合は日本IBM相手の大反撃を開始しました。
9月26日、ロックアウト解雇裁判で、4人の組合員が日本アイビーエムに対し、社員としての地位確認と賃金支払いなどを求めて東京地裁に追加提訴しました。一連のロックアウト解雇裁判で、昨年10月に3人、今年6月に2人が東京地裁に、さらに8月に大阪地裁に1人提訴しており、今回の提訴を合わせて原告は10人になりました。
さらに同日、会社がおこなっている賃金減額は違法、無効であるとして、減額措置によって支払われなかった差額賃金の支払を求め、9人が東京地裁に提訴しました。これにより、退職強要・人権侵害裁判を入れると23人が会社を訴えたことになります。
加えて同日、東京都労働委員会に対しても、一連のロックアウト解雇及び賃金の減額措置は、組合の弱体化を狙った不当労働行為であるとして救済申し立てを行いました。
その後、厚労省記者クラブで記者会見を行いました。
ロックアウト解雇で4人追加提訴
会社に対して、4人の組合員の労働契約上の地位があることの確認を求めるとともに、同契約上の賃金(賞与・DC拠出金額相当分を含む)の支払いを求めました。
また、会社が解雇無効であることを知りながら違法な方法で行ったものであり、かつ労働組合員である4人を会社から排除する目的で行った不当労働行為であることを理由に、不法行為に基づく損害賠償(慰謝料)を請求するものです。
減給撤回裁判で9人も
日本アイビーエムは、違法な就業規則の変更を行ったうえ、9名に対し、当該変更後の規定を根拠に、減額率8.25%~12.8%にも及ぶ大幅な賃金減額を行いました。
会社が行った就業規則の変更は違法、無効であり、変更後の就業規則に基づいてなされた賃金減額も違法、無効であるから、当該減額措置によって支払われなかった差額賃金の支払を求めました。
また、この就業規則の変更及び賃金減額は、会社が労働者を退職に追い込むための退職強要の手段としてなされたものです。
不当労働行為救済命令申立
全日本金属情報機器労働組合(JMIU)とJMIU東京地本、および日本アイビーエム支部は、不当労働行為救済命令申立を東京都労働委員会に行いました。
8月28日には別件で「全部救済命令」を勝ちとっていますが、今回の申し立ては、一連のロックアウト解雇及び減額措置は、組合の弱体化あるいは壊滅を狙って行った不当労働行為で、労働組合法第7条1号及び3号に該当することが明らかであるとして救済命令を求めたものです。
そのなかで「現職に復帰させること」「解雇の日から復職までの間、組合員らが受けるはずであった賃金相当額に年6分相当額を加算して支払うこと」「陳謝文の掲示」などを請求しました。
組合は20人の弁護団の支援を受け、これらの事件の解決を進めます。
また不当な減給撤回を求める裁判にさらに多くの方が結集されるように呼びかけます。減給にあった方は組合にご相談ください。
都労委 不当労働行為認定
ロックアウト解雇の団交拒否で
ロックアウト解雇の際、組合との団体交渉を会社が拒否したとして、組合が東京都労働委員会に救済申し立てを行っていた事件で、同委員会は8月28日、昨年9月に組合員を解雇した際、不当労働行為があったと認定し、命令書を交付しました。
これは組合の主張を認めたものです。
理由なき団交拒否
東京都労働委員会は、解雇予告を受けた組合員の自主退職期限までに団体交渉を行う緊急の必要性があり、会社は可能な限り自主退職期限までの団体交渉に応ずべきであったところ、実際解雇予告の件を9月21日の団体交渉の議題とするよう調整することは十分可能であったにもかかわらず、合理的な理由もなく自主退職期限前の団体交渉に応じなかったことから、このような日本IBMの対応は正当な理由のない団体交渉拒否に当たると判断をしました。
会社の主張を一蹴
また「会社が組合員に対して解雇予告を行う場合、可能な限り自主退職期限までに組合との団体交渉に応ずるように努めるのは当然のことといえる」としました。
さらに命令書の中で「議題としなかった正当な理由とは、到底認められない」「このような会社の対応は、正当な理由のない団体交渉拒否に当たるといわざるを得ない」「労働条件については、一切交渉されていないことが認められる」と会社の主張を一蹴しています。
第三者機関初の判断
この命令は、一連のロックアウト解雇に関する初の第三者機関の判断となります。
また「ちょっと」と呼び出して解雇通告を行いすぐに荷物をまとめさせ犯罪者のように追い出すロックアウト解雇に歯止めになるとともに現在、東京地裁、大阪地裁に提訴しているロックアウト解雇裁判に大きな影響を与えるものです。
参考:都労委命令書全文
8.22ロックアウト解雇裁判報告
新たに2人地裁提訴
新たに2人地裁提訴
8月22日、日本IBMロックアウト裁判の第5回口頭弁論が東京地裁で行われました。今回代理人の弁護士より意見陳述を行いましたので下記のとおり全文掲載します。原告2人の意見陳述も行いました。
今回から原告に鈴木すみれさんと酒本誠さんが加わり、この2人の第二次提訴が、第一次提訴の原告3人と併合されるかが今回のポイントでした。裁判長は「当面第二次提訴を第一次提訴と同一期日に行いながら、今後併合が適当か判断する」との方針を示しました。
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都労委・命令書全文
(ロックアウト解雇の団交拒否)
ぺージの都合上、以下、4分割にて命令書全文を記載します。
(*この文書を見るには Adobe Reader が必要です。)
都労委命令後の記者会見映像
8/28 都労委勝利命令についての記者会見の模様がYouTubeで見られます。どうぞご覧下さい。 日本IBMロックアウト解雇で不当労働行為。都労委から救済命令。 (1) はじめに / JMIU 三木書記長 (2) 解説 / 今泉弁護士 (3) 経緯 / JMIU日本IBM支部 大岡委員長 (4) 補足 / JMIU 三木書記長
ロックアウト解雇で大阪でもIBMを提訴
日本IBMの大阪事業所でロックアウト解雇を受けたA子さんが先月9日、解雇撤回を求めて大阪地裁に提訴しました。解雇無効のほか、賃金支払い、損害賠償を請求しています。
原告のA子さんは、JMIU(全日本金属情報機器労働組合)アイビーエム支部の組合員です。東京地裁でも同組合員の5人が提訴し係争中ですが、大阪では初めての提訴です。
◆ロックアウト解雇と提訴◆
A子さんは、6月、金曜日に呼び出され、翌週の火曜日までに自己都合退職か、一週間後の日付での解雇かを選ぶよう通告され、職場を追われました。解雇理由は「業績が低い」というだけで具体的説明がなく、A子さんは労働契約法16条の「客観的に合理的な理由」がない解雇であり、無効を訴えています。
◆ロックアウト解雇は不当労働行為◆
また、会社は昨年から組合員26人を狙い撃ちして解雇を通告しており、不当労働行為の一環だと告発しました。
さらにA子さんは、産前産後・育児休業を取得中後の復帰中に退職強要を受け、拒否すると「スペシャリスト」の職位から降格されたことがありました。その後もA子さんが、時短勤務を活用し、残業を抑制しながら、育児を続けたことを嫌悪した解雇だと訴えました。
A子さんの第1回裁判は9月20日午前11時30分から、大阪地裁609号法廷で開かれます。多くの方の傍聴をお願いします。
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都労委不当労働行為救済命令交付にあたっての声明
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参考:都労委命令文書「日本アイ・ビー・エム事件命令書交付について」
「許すな!日本IBMのロックアウト解雇 8・1 決起集会」開催される
「許すな!日本IBMのロックアウト解雇 8・1 決起集会」が8月1日夜、全労連会館で開かれました。解雇撤回裁判に立ち上がった原告団を励まそうと、会場に200人以上が詰めかけ、会場に入りきらないほどでした。
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*当日の内容は以下のリンク先動画でご覧になれます。
(6)経過報告 JMIU日本アイ・ビー・エム支部 大岡委員長