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相談窓口

GBS戦略室は追い出し部屋

 
GBS戦略室は追い出し部屋

  第3次ロックアウト解雇撤回裁判証人尋問

 2016年5月20日に東京地裁527号法廷で、第3次ロックアウト解雇裁判の四人目の原告Dさん関連の証人尋問が行われました。この中で2008年12月に設立されたGBSの戦略室と呼ばれる部門の実態が「追い出し部屋」だったことなど、驚くべき事実が次々と明らかになりました。

 尋問では当時Dさんのの所属長だった速水優担当、解雇前年に参加したプロジェクト関係者の安居淳一、解雇直前に参加したプロジェクトの長田圭史PM、そしてDさん本人が証言台に立ちました。

法廷で尋問を受ける速水担当

GBS戦略室(BPG)の恐るべき実態

 2008年は10月から11月にかけてわずか2ヶ月でおよそ1300人もの社員が大規模な組織的退職勧奨によって会社を去った年です。会社は目標の3倍の社員、つまりおおよそ4000人の社員に退職勧奨をしたことがわかっています。その年の12月にできたGBS戦略室(GBSビジネス推進:通称BPG)について、その実態が次々と明らかになりました。
 尋問の中で原告Dさんは、BPGが「仕事を捜すことが仕事」の部門だったと証言。これはいわゆる「追い出し部屋」の特徴です。
 速水担当が、BPGそのものがPIPみたいなものだと開き直ると、傍聴席からは驚きの声が上がりました。さらにBPGでは毎月の部門会議でおよそ50人の所属社員についてリストを投影し、毎月退職者が増えて行く状況を発表していたことを証言しました。そのことについて、原告Dさんは「早く辞めろというプレッシャーを感じていた」と証言、BPGの恐ろしい実態を明らかにしました。
 さらに、解散する2013年12月までに50名のうちおよそ半数の社員が退職して行ったことを明らかにしました。

プロジェクト・スタッフを非難するPM

 続いて尋問されたプロジェクト関係者の安居淳一、長田圭史PMらは、原告Dさんの働きに関し、メールでは感謝の言葉を送っておきながら、証言では非難を繰り返したり、言いがかり的な発言を繰り返すなど、傍聴席の失笑を買いました。そもそもプロジェクトをリードするPMがプロジェクトに参加して一所懸命に作業してくれたスタッフに対して言いがかり的な発言をするなど、その品位が疑われます。

解雇はやはり人事主導で決められた

 解雇については、速水担当は解雇予告通知の出る前の週に、「人事の長とGBSの長が決めた」と証言しました。つまり、これは業績不良うんぬんの話ではなく、人事が組織的にトップダウンで決めたことを意味し、本当の解雇理由は就業規則に基づくものでは無いことを意味します。
 今回で第3次ロックアウト解雇裁判の全ての証人尋問を終了しました。この後、9月27日に最終陳述が行われ結審となります。年内にも判決の見込みです。第1次第2次ロックアウト解雇裁判に続いて、組合は全てのロックアウト解雇裁判に勝利し、原告全員の職場復帰を目指して、最後まで闘っていきます。

  今後のスケジュール
日程 内容 場所
6/14(火)
14:30~15:30
東京都労働委員会 第16回調査期日 都庁南38階
6/28(火)
13:30~14:30
第2次賃金減額裁判 第2回期日 東京地裁619号法廷
9/27(火)
10:00~
ロックアウト解雇第3次裁判 結審 東京地裁611号法廷

 

集団訴訟に参加を

集団訴訟に参加を

第3次賃金減額裁判

 
 組合はこれまで会社と賃金減額に関する団体交渉を重ねてきましたが、会社は請求認諾をしたにもかかわらず賃金減額を撤回する考えを示しません。これを受け、組合は第2次賃金減額裁判を提訴しました。以下に第1回口頭弁論の弁護士意見陳述をお伝えします。

弁護士意見陳述(抜粋)

 被告(会社)の違法行為は、既に1次訴訟で断罪されました。
 それにもかかわらず、被告はその後も就業規則の改悪を改めようともしません。請求を認諾し、白旗を挙げていながら、違法と判決が判断したわけではないなどと、開き直りとしか思えない対応をしています。
 2次提訴にあたり、同じ審理を2回裁判所にお願いするのは我々も不本意です。しかし、原因はすでに述べた被告の背理行為にあります。
 2次訴訟の争点は被告が行った就業規則の改定、それに基づく賃金減額が違法かどうかです。個々の労働者への評価等は争点にしていません。1次裁判との間で事実と結論は変わりようがないと考えます。
 裁判所におかれましては、速やかに審理、判決を頂けるようお願いいたします。

第3次提訴に参加を

 賃金減額された皆さん、組合はまだ多くの賃金減額被害者がおられると見ており、第3次集団提訴の募集も併せて行います。会社に請求して取り戻しましょう。減額は目先の毎月の給与減にとどまりません。そのままにしていると確定拠出年金(退職金)や厚生年金、残業代などすべてに影響を及ぼします。退職するまでの長い年月を考えると、生涯賃金の差はとんでもなく大きくなり、退職後の生活にも影響します。
 3ページのなんでも相談窓口に、お気軽にご連絡ください。

最強を誇るJMIU日本IBM支部争議弁護団
 
岡田 尚 (岡田尚法律事務所)
大熊 政一 (旬報法律事務所)
山内 一浩 (旬報法律事務所)
並木 陽介 (旬報法律事務所)
細永 貴子 (旬報法律事務所)
水口 洋介 (東京法律事務所)
今泉 義竜 (東京法律事務所)
本田 伊孝 (東京法律事務所)
穂積 剛 (みどり共同法律事務所)
河村 洋 (第一法律事務所)
橋本 佳代子 (ウェール法律事務所)
竹村 和也 (東京南部法律事務所)
穂積 匡史 (武蔵小杉合同法律事務所)
北川 沙織 (横浜法律事務所)
笠置 裕亮 (横浜法律事務所)
鈴木 啓示 (横浜合同法律事務所)
海渡 双葉 (横浜合同法律事務所)
馬奈木 幹 (馬車道法律事務所)
岩井 知大 (馬車道法律事務所)
石畑 晶彦 (馬車道法律事務所)
大村 俊介 (大さん橋通り法律事務所)
相曽 真知子 (横浜法律事務所)
西山 寛 (法律事務所たいとう)
山田 守彦 (日比谷ともに法律事務所)

賃金減額被害の実態

 

賃金減額被害の実態

-意見陳述より-

 4月19日の賃金減額撤回第二次訴訟第一回期日において、原告が行った意見陳述の内容を紹介します。同じような被害を受けた社員が多くおられると思います。我慢しないですぐに組合に加入しましょう。

1. 一気に1999年まで戻った給与水準

 私は(入社当初)、開発製造・情報システム部に所属し、工場オフィスオートメーションから全社にわたるオフィスオートメーション化を推進して来ました。企画から運用までパソコンからメインフレームまで幅広く経験して来ました。2009年までPBC評価は2を下回ることがありませんでした。2010年にPBC 3を付けられて以降2011年、2013年と3回も低評価によって賃金を減額されました。
 (これまでの業務として)数百億円の契約を行なったこともありますが、2004年でも昇給額は1万円、1999年から2010年まで12年間の昇給額は約5万円でした。
 それが2011年には10%減額、マイナス5万円、一気に1999年の給与に戻ってしまいました。現在の給与はあたかも降格になってしまった給与と同等です。会社は利益があるにも関わらず、就業規則を書き換え、何ら下げ幅の根拠説明もないままPBC3はマイナス10%、PBC 4はマイナス15%、PBC 3を連続するとマイナス15%の給与の減額を押し付けました。はじめ私は、他社でも行なっている1年のペナルティかと思っていましたが復活することなく減額は続いたのは驚嘆しました。懲罰でも期間があるのに、IBMの減額は期間が無く、懲罰より重い罰でした。これがハイパフォーマンスカルチャーの正体なのでしょうか。結果が公表されない相対評価はマネージャーの恣意でいかようにでもなります。

2. 情け容赦の無い減額

 減額は3回ありましたので、2010年時点から27%減額されて月収で15万円、年収は20ヶ月相当なので300万円の減額になっていました。あいだに1回の昇給がありましたが5千円です。これが意味することは、1回でも低評価をうけると浮かび上がれないことを示し、社員は大変な不利益を被ることです。私が元の水準になるのは昇給が続いても30年以上かかるのです。このような一方的に不利益を被ることは許せないことです。
 このような中、昨年8月、呼び出され、このままいてもあなたはまた低成績になるので(1)残りたいなら改善しろ、(2)他の部門を探して異動しろ、(3)他社へ自分を売込め、と圧迫面談され、このまま残りたい希望を告げても退職勧奨は数回続きこのままではロックアウト解雇になりますとも言われ、精神的に参ってしまいました。
 一度ターゲットになると生活基盤が崩れることは明らかです。崩した上でさらに重圧を加える方法がまかり通っています。私は、このような被害を体験して賃金減額は退職勧奨の始まり、その先はロックアウト解雇に続く一里塚と強く感じています。

3. 殺伐となった職場

 相対評価による賃金減額は職場環境に大変な不安を与えています。マイナスポイントがつかないよう絶えず周りを見る、上司への顔色をうかがい逆らわないようにする、言われたことを行なう、決めない、責任が及ばないようにはじめから断るなど殺伐とした状況になっています。昼でも黙々と仕事、笑い声の無い疲弊しきった職場が広がっています。
 言いだしっペが調整に走り回ります。しかし周りも助けるだけの余裕も無いため孤立し、辞める人もいます。会社全体がコストカットですので人の補充も無いため残った人で分担、それが負荷になってまた辞めるきっかけを作っていく連鎖は止まりません。今月も友人が仕事の負荷増大と退職割り増し金で辞めるそうです。優秀な人です。
 私は安心して活躍ができる職場環境が必要と切に思います。何の悪いこともしていない人が、突然、評価に伴う賃金減額により生活が破壊されるお手盛り制度は大きな誤りであり、被害を受けた人を早急に回復することが会社と労働者の信頼関係を回復する手段であるにもかかわらず、会社は依然として賃金減額を続けようとしています。私はこのような会社を許すことができず、第二次原告団に加わりました。裁判所におかれましては、会社に鉄槌を下していただきますよう、よろしくお願いします。

 

組合に加入しくらしと雇用を守ろう

組合に加入しくらしと雇用を守ろう

-裁判勝利で、乱暴な解雇や一方的な賃金減額をストップ-

 

JMITU中央執行委員長 生熊茂実

JMITU 中央執行委員長 生熊茂実

 IBMで働く仲間のみなさん、私は2012年の最初の「ロックアウト解雇」以来、不当解雇を絶対に撤回させるという思いで、日本IBMの仲間とともに全力でとりくんできました。

 現在の日本IBMの労働争議の状況を説明し、不当な解雇や賃金減額を許さず、くらしと雇用をまもるために力を合わせることを心から訴えます。

ロックアウト解雇無効
賃金減額裁判も会社降参

 すでにご存じのように3月28日、乱暴なロックアウト解雇を「違法・無効」として争った裁判で、東京地方裁判所は5人の原告組合員全員の解雇を無効とし、日本IBMの従業員としての地位を認め、賃金支払いを命じる判決を言い渡しました。今回の判決の意義はきわめて大きいものがあります。
 また昨年11月末には「業績不良」を口実とした10%~15%の「賃金減額」を違法として訴えていた組合員の裁判で日本IBMは、訴えの請求をすべて認める「請求認諾」をおこない、判決を避け裁判を終了させました。
 これまで日本IBMで「ロックアウト解雇」や「賃金減額」が強行されたなかで、多くのみなさんは「次は誰の番なのか」「私は大丈夫だろうか」という恐ろしさや心配に胸を痛めてきたのではないでしょうか。
 みなさん、私たちが裁判をおこなってかちとった判決や「請求認諾」によって、日本IBMでも簡単に「解雇」や「賃金減額」ができなくなったといえるのではないでしょうか。事実、3月末までに大量の退職者をつくりだそうとして、退職金の割増などを公然とおこなってきましたが、「ロックアウト解雇」はもちろんのこと「パワハラ退職強要」もできなくなりました。

賃金減額は直ちに撤回を

 「賃金減額」裁判の争点は、業績不良であるかどうかの「評価」の是非ではなく、賃金制度そのものが違法かどうかでした。それはPBC評価という「完全相対評価」による「下位成績者」に対して「大幅な賃金減額」を連続できる賃金制度であり、労働組合との協議もせず一方的に決定した賃金制度でした。
 その違法性が明らかになるなかで、日本IBMは判決を避けて「請求認諾」したのです。とすれば、違法な賃金制度にもとづいた「賃金減額」を撤回して賃金を元に戻すこと、賃金制度そのものを労働組合と協議して改善することが当然ではありませんか。
 ところが、日本IBMは性懲りもなく前回の裁判で請求したもの以外はおこなわないという頑なな姿勢を変えなかったため、やむをえず「賃金減額」第2次裁判をおこさざるを得なくなりました。
 あまりにも異常な会社の対応ではないでしょうか。結果は見えています。裁判所からは「請求認諾をしておいて、どうやって同じ理由の裁判を争うのですか?」と問われることは明らかです。無駄な抵抗はやめて即刻「賃金減額」を撤回すべきです。

会社の病気を治す医者=労働組合に加入しよう

 日本IBMの「ロックアウト解雇」は、①「経営者が勝手な都合で解雇できる」アメリカ型の解雇を持ち込もうとした、日本の解雇規制、日本の労働法規に対する挑戦でした。②また日本IBMでの退職強要に対抗し、多くの仲間の雇用を守ってきたIBMの労働組合を弱めようとした卑劣な攻撃でした。しかしこのもくろみは崩れ去りました。裁判所も、「解雇には社会通念上の重大な理由がなければならない」として、アメリカ型の解雇は許さないという姿勢を示しました。
 日本IBM支部は、JMITUはじめ全国の労働組合の支援を得て元気に活動して、組合員も増やしています。日本IBMでは、解雇や「賃金減額」という脅しの人事施策がおこなわれました。職場は暗くなっていませんか、生き生きと働けていますか。こんな状態を続けていて、みんながいい仕事ができて会社が発展するでしょうか。
 労働組合は会社の病気を治す医者です。労働組合を強く大きくすることが、みんなが安心して元気に働ける職場にすること、乱暴な解雇や「賃金減額」を再びおこさせない力です。
 多くのみなさんが労働組合に加入して、ともに力を合わせることを心から訴えます。

祝いの言葉で勝訴実感

 

祝いの言葉で勝訴実感

ロックアウト解雇裁判原告の声

 

地裁前で勝利の旗出し

地裁前で勝利の旗出し

 3月28日、13時10分、緊張が高まる中で開廷し、裁判長が第一次3人と第二次2人の判決骨子を順番に淡々と読み上げていきました。「原告が被告に対し、労働契約上の権利を有する地位にあることを確認する」。一瞬、判決の意味が理解できませんでした。しかし頭の中で反芻すると勝訴したんだということが理解できました。他の4人についても同じ文面だったので、全員勝訴ということがわかりました。
 閉廷と同時に、支援者の方々からお祝いの言葉をかけていただき、握手を求められ、実感が湧いてきました。

米国流解雇
日本はダメ

 提訴から3年間の苦労が報われた瞬間で、会社の権利濫用が認められたことは非常にうれしいです。また、後続の三次~五次提訴の裁判にも好影響を及ぼす判決で、日本では米国流の解雇は通用しないことを示した点でも大きな意味があると思います。もしも今回の解雇が適法と認定されていたなら、この手法が日本中に広がり、労働者は安心して働けなくなります。ただ、原告の主張が完全に認定されなかった点は非常に残念です。
 裁判所前には、関西から傍聴に来られた人もいて、うれしくなりました。判決後の記者会見では多くのメディアが取材のために出席し、提訴時よりも大きく取り上げられたことは、この裁判に対する社会的関心が高いことを示していると思います。

支援の皆さんに感謝

 今回の一審判決に対して、原告・被告共に控訴したため、裁判は法廷を高裁に移して続きますが、引き続き、みなさんのご支援をお願いします。
 最後に、この場をお借りして、組合や弁護団、支援者のみなさんにお礼を申し上げます。本当にありがとうございました。(酒)


ロックアウト解雇裁判 会社資産差押え報告

 絵画4千万円相当差押え

 ロックアウト解雇第1次2次裁判の判決が3月28日に東京地裁から出され、原告の会社への復帰とともに、解雇時から判決確定日までの賃金支払が命令されました。そして賃金支払いの原資を確保するため、組合は会社資産の差し押さえを行いました。

 当日16時半に東京地裁の執行官らが箱崎本社に立入り、絵画4点・評価総額3905万円を差し押さえました。この間、箱崎本社前で20人の組合員と支援者が、通行する人にチラシ配布とスピーカーによる宣伝をする中で、「執行官、頑張れ!」と声援を送りました。声援の甲斐もあって、高価な絵画を見つけることができ、差し押さえは成功裡に終了しました。
 高額な絵画を差し押さえることができて良かったと思う一方、不愉快な気持ちが起こりました。評価額は購入額の八掛けのため、差し押さえた絵画の購入額は4800万円を超えます。しかも、差し押えた4点のうち3点は倉庫で差し押さえられました。つまり役員フロアには平均購入額1200万円以上の絵画が飾られており、定期的に架け替えるための絵画が倉庫に眠っていることになります。
 売上げや利益につながらないものを容赦なく切り捨てている会社が、役員のためには、絵画に、多額の費用をかけるという身勝手なことをしています。そんな余裕があるなら、頑張って働いている従業員に給与や賞与の増額で報いるべきです。会社はお金の使い方を間違えています。

日本IBMロックアウト解雇裁判勝利判決にあたっての組合声明

1次・2次裁判5人全員勝訴

ロックアウト解雇断罪

裁判所前で勝訴の垂れ幕を掲げるIBMロックアウト解雇事件弁護団の皆さん

裁判所前で勝訴の垂れ幕を掲げるIBMロックアウト解雇事件弁護団の皆さん


 会社が行ったロックアウト解雇の撤回を求める裁判で2016年3月28日、東京地裁は第1次第2次訴訟の原告5人全員の解雇を無効とし、解雇時点に遡って賃金を支払うよう会社に命じました。以下、組合声明を掲載します。

組合声明
 東京地裁民事第36部(吉田徹裁判長)は、本日、ロックアウト解雇事件1次・2次訴訟に関して、日本IBM(会社)のなしたロックアウト解雇を違法無効として、原告全員5名につき地位確認及び賃金の支払いを命ずる原告ら全面勝訴の判決を言い渡した。東京地裁は、解雇規制法理を無視した日本IBMの乱暴な解雇を断罪したものである。

 会社は、2012年7月以降、本件ロックアウト解雇を突然に開始した。これ以前は、会社は、2008年末以降、執拗な退職勧奨によって1300人もの労働者を退職させていたが、業績不良を理由とする解雇を一切していなかった。ところが、2012年に米国本社から派遣された外国人社長が就任した直後から本件ロックアウト解雇が連発されたのである。
 これまで分かっているだけでも50名の社員に対してロックアウト解雇通告がなされた。
 本件1次・2次訴訟の原告は2012年及び2013年に解雇された社員であるが、他にも6名の原告が地位確認訴訟を提起し、現在東京地裁に係属している(3次~5次訴訟)。

 本件解雇の特徴は、先ず、会社が原告らに交付した解雇理由書には「業績が低い状態にあり、改善の見込みがない」という抽象的な理由が同一文言で記載されていた点がある。しかも、10年、20年以上勤務してきた原告らを突然呼び出して解雇を通告し、その直後に同僚に挨拶をする間も与えずに社外に追い出す(ロックアウト)という乱暴なものであった。
 原告らは長年にわたり会社に勤続してきた労働者であり、会社が主張するような業績不良や改善見込みがないなどという事実は一切なかった。ところが、会社は、人員削減と労働者の「新陳代謝」を図るために、業績不良という口実をでっちあげて解雇したものにほかならない。まさに、本件ロックアウト解雇は、米国流の「解雇自由」に基づくIBMによる日本の解雇規制法理に対する挑戦であった。

 東京地裁は、解雇の有効性については、原告らに一部、業績不良があるとしたが、「業務を担当させられないほどのものとは認められず、相対評価による低評価が続いたからといって解雇すべきほどのものとも認められないこと、原告らは被告に入社後配置転換もされてきたこと、原告らに職種や勤務地の限定があったとは認められないことなどの事情もある」として、本件「解雇は、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であるとは認められないから、権利濫用として無効というべきである」とした。まさに、IBMによる日本の解雇規制法理への攻撃を退けた点について高く評価できる。

 現在、東京地裁で6名の組合員の解雇訴訟が係属している。また、本件ロックアウト解雇等について労組が東京都労働委員会に救済申立をして現在も審理中である。しかし、本日の判決で、本件ロックアウト解雇の違法性は明らかになった。
 われわれは、会社に対して、1次・2次訴訟の控訴を断念すること、そして、3次~5次訴訟原告を含めた原告全員の解雇を撤回し、直ちに復職を受け入れるよう強く要求するものである。

(週刊現代にも掲載)

新入社員の皆さん 入社おめでとうございます

新入社員の皆さん

入社おめでとうございます

労働者の権利を守る組合に加入を

JMIU日本IBM支部 中央執行委員長 大岡義久

JMIU日本IBM支部 中央執行委員長 大岡義久

 

 日本アイ・ビー・エムグループに入社された皆さん、おめでとうございます。組合を代表して一言ご挨拶いたします。

 多くの会社の中から、日本アイ・ビー・エムを選ばれた理由は、人それぞれだと思いますが、夢と希望に胸を膨らませていることでしょう。
 みなさんは、労働組合に対して「よくわからない、興味がない」というのが実情ではないでしょうか。実は、労働組合があるからこそ、労働者の権利が守られ、労働条件が向上します。そして安心して働ける職場を目指すのが労働組合の役割です。

問題解決と未然防止へ

 行き過ぎた成果主義の職場は、過重労働やハラスメント、サービス残業などの労働問題が発生しやすい環境になります。このような問題が起こったとき、私たちは、その正確な情報を集めて、労働者の立場で解決策を見つけ出していきます。もちろん、問題がおこらないように未然に防ぐための活動も行います。

企業の健全性を保つ役割も

 それにとどまらず、企業が社会の中で活動していくためには、法令遵守はもとより社会的責任を果たすことが求められています。目先の利益や保身のために、法令や社会ルールに反した行動をしたとき、早い段階でそれをやめさせなければ企業の存在そのものを危険にさらすことになります。労働組合は企業の健全性を保つ役割も担っています。

労働三権用いて使用者と交渉

 これは労働組合だからできることです。大企業に対し、それもグローバル企業に対し一人ひとりの力は弱いものです。だからこそ、憲法第28条で、団結権、団体交渉権、団体行動権という労働三権が保障されています。団結権は、労働者が使用者と対等の立場に立って、労働条件などについて交渉するために労働組合をつくる権利、また労働組合に加入する権利を指します。団体交渉権は、使用者と交渉し、協約をむすぶ権利です。団体行動権は、団体交渉において使用者に要求を認めさせるため、団結して就労を放棄する、つまりストライキをおこなう権利のことです。これら労働三権を具体的に保障するため、労働組合法、労働基準法、労働関係調整法のいわゆる労働三法が制定されているのです。

労働組合へ加入を

 労働組合は法律でしっかりと守られています。みなさんの権利を守るため、さらに労働者の権利を守るために労働組合に加入しましょう。

3月10日怒りのストライキ決行

3月10日怒りのストライキ決行

  • 組合との協議前に全社発表
  • 4月給与調整やめ9月に変更12月なし
  • GDP半減で業績達成度93 帳消し
  • 一方的評価制度変更
  • 一方的就業規則変更で賃金減額再開

3月10日ストライキ決行

 組合が提出した春闘要求に対する会社回答が3月9日にありました。会社回答は歴史に残る最悪の回答のオンパレードでした。組合はこれを不服として3月10日にストライキを決行しました。以下に会社回答内容の意味をお伝えします。

春闘協議前の全社発表は労働基準法無視

 労働基準法は第2条にて「労働条件は、労働者と使用者が、対等の立場において決定すべきものである」と定めています。会社が一方的に決定し、社員に発表すればいいというものでは決してありません。しかもこの16春闘シーズンにおいて、組合が春闘要求を会社に提出し、回答指定日の3月9日を待っている、その間に様々な労働条件を、組合と協議するよりも先に、次々と全社発表するなどあってはならないことです。このような会社の態度は労働基準法に挑戦するものです。

JMITU東京の4月昇給回答平均約6千5百円(2・3%)

 JMITU東京に所属する支部の平均回答額は現時点で約2・3%となっています。この中には中小企業も含まれますが、それぞれの会社にはなんとか社員に報いようという姿勢が見られます。
 ある支部では、全社員には平均2万円の賃上回答、またパート従業員についても、時給百数十円の賃上回答がありました。その支部は、それでもまだ不十分だとして交渉を続けています。
 しかし日本IBMはどうでしょうか。4月の給与調整を一方的にやめ、12月の給与調整と統合して9月に変更するなど、まるで4月の春闘を逃げるような全社発表です。

ボーナスは昨年より減

 本来であれば4月の昇給により賞与基準額も上がり、それに従って6月のボーナスは昨年より上がるはずでした。それが9月になってしまうと6月のボーナスは昨年と同じ賞与基準額のままです。
 さらに、GDPは昨年の約半額です。すでに発表された会社業績達成度93をもとに計算しても同じPBC評価であれば昨年よりもボーナス額は減ってしまいます。

会社と対等な交渉がグローバルスタンダード

 会社が進めるグローバル化は、経営のグローバル化と従業員の交渉力のグローバル化が両輪で進んでこそバランスが取れます。多くの従業員が組合に加入してこそ対等な交渉が可能となります。

新評価制度Checkpointで不透明感増

 

16春闘回答

新評価制度Checkpointで不透明感増
「PIP実施」「稼働率で評価」「退職勧奨継続」「データ開示拒否」

●新評価制度Checkpointについて
 新評価制度の問題点が浮き彫りになっています。社員の期待とは裏腹に、さらに不透明感が強い評価制度になっています。

1.不透明感が増す評価者制度
 どのように評価されるのか不明で、最終的には所属長の恣意的な判断で評価される制度です。組合は評価者向けガイドの公開を求めましたが、会社は拒否しています。これではますます不透明感が増してしまいます。

2.労働条件に反映する
 会社はHigh Performance Culture、Pay for Performanceを継続するとしています。組合は行き過ぎた成果主義に歯止めをかけ、生活を土台にした賃金制度にするべきと考えています。不透明感の増す評価とあいまってさらにひどくなることが予想されます。

3.稼働率目標での評価を継続
 会社は、稼働率は貢献度合いを図る指標であり、それを使った評価を継続すると回答しました。組合は、稼働率目標が高すぎるため有給休暇を取得できない、さらに長時間労働の温床になっているため改善を求めていますが、不透明感の増す中でさらなる労働強化が図られる恐れがあります。

●退職勧奨を継続
 会社は、「社内のみならず社外でのキャリア選択の機会を提供する制度であり、外部のキャリアで活躍できるよう、会社が対象者に提案する」としました。毎年繰り返される退職勧奨に社員は業務に集中できなくなるばかりか、上司と部下の信頼関係がなくなり、職場崩壊まで招いています。
●PIP実施(日本、アメリカ、インドのみ)
 「業績改善プログラムは、通常のCheckpointに加え、短期の目標を設定し実施する」「会社の業績向上の源泉である」とし今後も継続するとしています。しかしPIPに問題が多いことは明らかです。例えば「部門のコストダウン10%の方策を出せ」「(上司)俺を満足させたら合格」体調が悪いと申し出ている部下に「突発休暇、遅刻0件」など、目標設定の段階ですら大きな問題になっています。しかも実施されるのは日本、アメリカ、インドのみです。
●データ開示を拒否

Checkpoint を透明性のある制度にするために、また成果主義だからこそデータ開示は必須のことです。

1.賃金データ開示拒否
 他企業では公開が当たり前のデータである初任給、平均年齢、平均勤続年数、平均本給昇給額、平均一時金回答額など、の公開を拒否しました。これらのデータを公開すると、成果主義賃金の矛盾点が明らかになることを懸念していると組合は考えます。

2.評価分布の開示拒否
 会社は、評価の対象範囲(分母)、評価分布を公開しないが、十分透明性があり、公平性があると偏った主張をしています。これでは社員の納得性は得られないと組合は考えています。

3.従業員数の開示拒否
 会社は、重要な経営情報のため開示しないとしていますが、リストラの実態が明らかになることを懸念しているに過ぎないと組合は考えています。なお会社は、2009年から開示を拒否しています。

●賃金減額について
 会社は賃金減額裁判において請求認諾を行ったにもかかわらず「就業規則の変更を戻す考えはない」と自浄能力を失った回答をしています。
 東京都労働委員会からの2件の要望書と勧告書、中央労働委員会から不当労働行為に対する救済命令、中央労働基準監督署から労災認定、賃金減額裁判における会社の「請求認諾」。以上のようにあらゆる局面において、組合の主張が正しいことが認められています。
 これでも会社の姿勢が変わらないのであれば、労働者の権利を守るため、組合はさらに行動を強化していきます。

 

賃金減額事件 -第2次裁判提訴-

賃金減額事件

-第2次裁判提訴-

原告21人、請求総額約4,500万円

第2次提訴の会見をする組合と弁護士=2月18日厚労省内

第2次提訴の会見をする組合と弁護士=2月18日厚労省内

 賃金減額裁判で会社が「認諾」したことを受け、組合はこれまで全面解決を目指して交渉してきましたが、会社が一向に解決しようとしないため、やむを得ず2016年2月18日に東京地裁にて第2次賃金減額裁判を提訴しましたので、以下にお知らせします。
 まだまだ多数いらっしゃる賃金減額被害者の皆さん、すぐに組合に相談してください。

提訴を「甘受します」と会社

 これまで組合はすべての組合員の不利益回復や、2013分年以外の賃金減額についても団体交渉で解決を求めてきました。
 そもそも裁判は賃金制度そのものの違法性を訴えたもので、それを会社が認諾したということは、この賃金制度によって減額された不利益分を2013年分にかかわらず、すべて回復するのが筋というものです。
 賃金減額については、会社は2015年12月7日に「減額調整については当面保留します」という発表をしたのみで、フリーハンドで減額できる賃金制度そのものを変更する姿勢を見せていません。このような制度は修正し元に戻すべきですが、会社は一切応じないばかりか、あろうことか、2次裁判を起こすことについて「甘受します」と回答しました。
 第2次原告は2013年分の不利益回復が不十分な人と2014年分の賃金減額の回復を求める人で、第1次の倍以上となる21人にもなります。請求総額はなんと約4500万円です。

都労委の実効確保措置勧告も追加申立

 組合は東京都労働委員会に、賃金減額を強行しないことを求めて2014年3月13日に実効確保の措置勧告申立てを行っていました。
 これを受けて都労委はこれ以上紛争を拡大しないよう求める1回目の「要望書」を同年4月11日に出しました。しかし会社が要望書に従わずに賃金減額を強行したため、2014年6月27日に2回目の「要望書」が出されていました。
 それでも会社は労使紛争になる行為を止めなかったことから、ついに2015年3月18日に都労委から格段の配慮を払うよう「勧告書」が出されていました。
 今回の会社の態度はこの勧告書にも反するため、組合は「賃金減額問題の全面解決について、誠実に協議をしなければならない」として追加の実効確保措置勧告を2016年2月19日に都労委に申し立てました。

すぐに組合に相談を

 賃金減額された皆さん、減額されたのはあなたの責任ではありません。すぐに組合に相談し、不利益を回復してください。

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