パワハラPIPが猛威

研修で正当化する会社

 4月と5月にパワハラPIP(業績改善プログラム)の相談が相次いで組合に寄せられています。今回のPIPの特徴を以下にお知らせします。

今回のPIPの特徴

 今回のPIPでは、チェックポイント目標面談をやると言われ面談を受けると「業績改善プログラム(PIP)について」という一枚の紙を渡されます。
 その紙には、改善目標が未達成であった場合には、「職務の変更」「所属変更」「降格とそれに伴う減給」「減額給与調整」のいずれか、もしくは複数を実施することがあると記されています。
 さらにその下には、再三にわたり改善の機会が与えられても改善がみられない場合は「会社が就業規則に基づく対応を行う可能性を排除するものではありません」と、解雇を示唆する文言が書かれています。
 なぜ改善が必要なのか具体的な説明が無く、また、改善目標や実施内容について話し合ってもいないのに、その紙には一方的に所属長の署名が記されています。

研修で正当化

 PIPが始まるのと同時に「ハラスメント研修」が開始されましたが、その中に驚くべきクイズがあることが判明しました。左上図のようなポップアップにある問題文を左記に転記します。
 この研修では、「いいえ。正当な場合にPIPの対象とすることを含め、マネジャーはその職務を果たしているから」というのが正解とされています。
 これは、社員が逆らわないようにするための罠と言わなければなりません。

裁判所の判断に基づく本当の正解

 以下がこれまでの裁判所の判断に基づく正解です。
 「はい。これはパワハラです。日本の労働法では簡単に解雇することは許されません。退職という結果(つまり解雇)を示し、脅迫することは明確なパワハラです。マネジャーはあなたにわだかまりを持っており、決して到達することのできないマイルストーンを設定し、不合格になるように仕向け、あなたを退職に追い込むからです。」

パワハラPIPの問題

 会社の制度という形を取り、所属長という優越的な地位を背景にして強引に押し進めるこのプログラムは業務型と労務管理型を組み合わせたパワハラです。
 このような形で進められる「改善」は所属長と本人の人間的な信頼関係を損ねるばかりか、信頼関係の無い下での「指導」は本人の成長には一切役立ちません。場合によってはメンタル疾患の引き金となります。

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