キャリア・エンハンスメント・プログラム

 

キャリア・エンハンスメント・プログラム

---会社説明と実態の矛盾に迫る---

 

 社内ではCEP(CareerEnhancement Program)が始まっています。会社はこのプログラムを拡大したい意向を示していますが、説明と実態の矛盾が明らかになっています。

対象者に通達メール

 8月下旬に突然「CEPの参加者としてノミネートされました」と、対象者50人弱に対しメール送信がされています。
 「このプログラムの参加者は、各組織のExecutiveによって選出された方」とし、「このプログラムを最大限活用することにより、参加者自身のスキルや能力の最適化を図り、IBMの中でベストなポジション、業務配置を実現して行くことが期待される効果であり目的となります」としています。

派遣会社が研修を担当

 しかし、これを担当するのが、なぜか外部のアデコ株式会社リー・ヘクト・ハリソン(RHH)事業部なのです。RHHのホームページには、「企業と個人のパフォーマンスを最大限に引き出し、成功に導くために、人財マネジメントソリューションを提供しています」としています。そして最初に、「再就職支援」があり、「リーダーシップ開発」「従業員のエンゲージメント」「チェンジマネジメント」のサービスを提供していきますと書かれています。
 専門性の高いスキルをつけるなら社内の教育システムがあります。なぜ外部の研修を受けさせる必要があるのか疑問です。そもそも現場では、社内での研修費用や稼働率が問題となり、さらにそれが個人評価に直結するため教育を受けられない環境があること自体が問題なのです。そこを会社として改善をすることが望まれているのです。外部の派遣会社に頼る必要性はどこにもありません。

再就職支援サービスの利用メールが届く

 団交において会社は、社内での異動を実現するための研修と強調しています。しかし研修は「職務経歴書」を作成させるなど社外を視野に入れているとしか思えない内容となっています。
 さらに、まだ研修も始まっていないのに、「Career Resource Network(CRN)へようこそ!」と題したメールが対象者に送られ、そこには、「CRNは、あなたの再就職活動をサポートする様々なツールや求人案件、研修プログラムなどを提供する、リー・ヘクト・ハリソンの再就職支援サービス利用者のための専用サイトです。このサイトは、あなたへの再就職支援サービスの一部で、無料でご利用いただけます」と書かれているのです。後日、会社は研修利用の促進が趣旨だと言い訳しましたが、再就職目的の疑いは晴れません。

過去にも派遣会社とタッグを組む

 2004年に会社は派遣会社とタッグを組んだことがあります。これは部門売却時に転籍に応じなかった社員に対し、突然身の回り品を段ボール数箱にまとめさせ、「3月から派遣会社で研修を受けよ」と出張命令を出し、そこには勤務事業所から400キロ離れた派遣会社の寮に入ることも含まれていました。6畳ほどの部屋に二段ベッドとロッカー、机と椅子が置いてあるだけで、テレビはなく、トイレと風呂は共用でした。そこで若手から50歳代までの社員に共同生活をさせたのです。
 さらに研修といっても、お辞儀の仕方や感じのよい笑顔のつくり方といったことや履歴書と業務経歴書を記入させるなど、およそ不要と思われる研修を受けさせ続けたのです。
 その結果、精神的ストレスで髪の毛が抜けてしまい療養に入った社員まで出ました。
 その後会社は「派遣同意書」「機密保持に関する誓約書」「業務経歴書利用承諾書」に署名・捺印し、提出せよ、と命令まで出し、4月から派遣会社に出向させました。派遣先は全国に渡り、派遣先企業が進出している中国や台湾、韓国も含まれていたのです。そこでは、IBM社員を名乗ることは禁止されていました。派遣先が見つからないと寮で待機させられ、一カ月六万円の寮費の自己負担すら強要しました。
 この時、対象社員と会社が全面衝突し、組合に加入した者だけが、この出張・出向命令が取り消され雇用を守りました。

 この問題は、法律で禁止されている二重派遣の疑いがあるとしてマスコにも大きく取り上げられました。

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