同じ仕事のアサインは違法

 

同じ仕事のアサインは違法

シニア契約社員制度

 シニア契約社員制度について、制度の趣旨や問題点、対応方法などを以下にまとめました。現場ラインによる運用の問題点や、社員として身を守るにはどうしたらいいかを提言していますので、今後考えている皆さんは是非参考にしてください。

希望者全員を雇用

 シニア契約社員制度とは60歳の定年退職後、引き続き65歳まで再雇用される制度です。単年度契約ですが、希望すれば65歳まで更新し働き続けることができます。
 厚生年金の支給開始年齢が65歳まで段階的に引き上げられるため、生活困窮者が出ないよう改正高年齢者雇用安定法が2013年4月から施行されました。
 これを受けた制度がシニア契約社員制度です。希望により週3日~5日の勤務形態がとれます。会社は希望者全員を雇用しなければ改正高年齢者雇用安定法違反となります。

問題は安すぎる賃金

 シニア契約社員制度の問題点はなんといってもその賃金の安さです。週5日間フルに働いても月給17万円という安さです。法令対応とはいえ、会社のやり方はあまりにも露骨です。しかも、週5日の勤務を希望しても、会社都合で5日よりも少ない勤務形態を押し付けられる例もあり、この場合はさらに賃金が下がります。
 一般に定年退職後の夫婦2人の家庭で健康で文化的な生活をするには少なくとも月収31万円程度が必要だとされています。会社はイヤなら他で働けという態度ですが、このような態度はそもそも改正高年齢者雇用安定法の趣旨にも反しており、大企業としての社会的責任が問われます。

同じ仕事のアサインは労働契約法違反

 賃金が安いこともあり、シニア契約社員の業務は現役時代とは違う内容が想定されています。制度規定には想定される業務として「これまで社外に委託していた仕事や部門で発生するサポート業務など」となっています。団体交渉の中でも、会社は「シニア契約社員に同じ仕事をアサインすることはあり得ない」と言っています。
 ところが、シニア契約社員になる希望を伝えた社員に対して、所属長が「仕事が無い」などの理由を持ち出して退職勧奨したり、あるいは「同じ仕事しか無い」などと伝える例が後を絶ちません。これらは明らかな法律違反です。実際、2016年5月13日に東京地裁で再雇用後も同じ仕事をさせて賃金ダウンするのは労働契約法違反だとする判決が出されています。

団体交渉で交渉を

 そもそも所属長が「仕事が無い」などという理由を持ち出すこと自体が法令違反ですが、個人ではなかなかラインと交渉することは難しいのが現実です。そこはやはり団体交渉で協議していくのが正攻法といえます。団体交渉で協議することできちんとした再雇用が保障され、まともな仕事のアサインも確保することができます。

団結して賃金交渉も

 シニア契約社員の皆さんが団結すれば、会社と賃金交渉することも可能になります。
 過去の歴史を見れば、労働者の団結こそが労働条件の向上につながることが明らかです。
 再雇用されてからでもあきらめる必要はありません。組合に加入し、ご一緒に労働条件の向上を目指していきましょう。

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