日本政府に勧告をおこなえ

日本政府に勧告をおこなえ

-組合ILOへ提訴-

” Complaint to the ILO Committee on Freedom of AssociationIn relation to the violation of ILO Convention No.87 and No.98 “

 会社が労働組合との団体交渉を拒否してロックアウト解雇を行ったとして、JMIUと同日本IBM支部は3月26日、ILO(国際労働機関)に対し条約87号、98号違反にあたるとして日本政府に勧告をおこなうように「ILO結社の自由委員会」に提訴しました。
 組合は労働者の権利を守るため、裁判や労働委員会の他、国際機関へ訴えと各国のIBM労組と国際連帯を強化する方針を固めました。

不当労働行為確定も履行しない会社

 組合は、ロックアウト解雇が始まった2012年の団体交渉で解雇を議題とするよう求めましたが、会社はこれを拒否しました。これが正当な理由のない団交拒否(労働組合法7条2号)にあたるとして、都労委に救済命令を求めていました。都労委の命令は、会社側の弁解について「正当な理由とは認められない」などとして、「今後このような行為を繰り返さない」との文書を社内に掲示することを会社に命じました(全部救済命令)。会社の不当労働行為が確定していますが、会社は命令を履行していません。

ILOの目的に関する宣言

 組合の提訴先ILOはその目的及び加盟国の政策の基調をなすべき原則に関して宣言を行っています。その基礎となっている根本原則は特に次のことを再確認しています。
(a)労働は商品ではない。
(b)表現及び結社の自由は、不断の進歩のために欠くことができない。
(c)一部の貧困は全体の繁栄にとって危険である。
(d)欠乏に対する戦は各国内における不屈の勇気をもって、且つ、労働者及び使用者の代表者が、政府の代表者と同等の地位において、一般の福祉を増進するために自由な討議及び民主的な決定にともに参加する継続的且つ協調的な国際的努力によって、遂行することを要する。

ILO新宣言

 さらにILOは1998年の総会において、経済のグローバル化に対応する形で「労働における基本的原則及び権利に関するILO宣言」(新宣言)を採択し、8条約をILO加盟国が最低限遵守すべき「中核的労働基準」に指定しています。
 そのうちの87号条約と98号条約の二つが今回関係します。
◇ 87号条約(結社の自由及び団結権の保護に関する条約)
◇ 98号条約(団結権及び団体交渉権についての原則の適用に関する条約)

 これは日本も批准している基本原則の重要な権利となります。
 この条約を日本政府に準拠させるため、組合はILOに提訴をしました。

 87号条約で決められている主なことは次の通りです。
 労働者及び使用者は、事前の許可を受けないで、自ら選択する団体を設立し、加入することができる。労使団体(連合体も含む)は、規約を作り、完全な自由のもとにその代表者を選び、管理・活動を決めることができる。行政機関はこれらの権利を制限したり、その合法的な行使を妨げたり、また、労使団体を解散したり、活動を停止させたりしない。労使団体は以上の権利を行使するに際してはその国の法律を尊重しなくてはならない。他方、その国の法律は、この条約に規定する保障を害するようなものであってはならない。

 

 98号条約で決められている主なことは次の通りです。
 労働者は、労働組合に加入しない、または労働組合から脱退することを雇用条件としたり、組合員であるという理由や労働時間外、または使用者の同意を得て労働時間中に、組合活動に参加したという理由などで解雇されたり、その他の不利益な取り扱いをされたりするような差別待遇から十分な保護を受ける。
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