15%もの減額発表
   社員無視の会社施策

 5月15日に「パーソナル・リーダーシップを通じた、さらなる変革の推進について」という一見、前向きな素晴らしい名前のレターが社長名で発信されました。日本IBMの成長を促す、新規施策の発表かと思い読んでみると、実は社員の労働条件を切下げる酷い改悪の発表でした。

◆PBC低評価は全員減給◆

 2012年PBCが4の社員は7月1日付けでReference Salaryの15%、3の社員は10%を減額調整する。ただし2011年のPBCが3または4の場合は2012年のPBCが3でも15%減額調整するというものでした。
 昨年までの減額調整は、「PIPの目標を達成した場合は、減額調整しないこともある」という救済措置がありましたが、それもなくなりました。
 また昨年までは「給与がマーケット水準より高い社員」のみが対象でしたが、今年は全員が対象となります。会社のいう「マーケットと比較した給与水準」を自ら否定することとなりました。
 減給方法も巧妙です。減給割合を給与と賞与で6対4としています。これは15%の減給対象者でも「給与」からは9%減給されることを示しています。減給についての判例では、「10%を越える大幅な減給は不当」とされることが多く、それを意識したものと考えられます。
 IBMの評価制度は相対評価です。社員がどんなに頑張っても一定の割合で低評価の社員が出てきます。そして低評価をつけられた社員を無条件で減給するなど、日本の労働法・労働慣習で許されるものではありません。

◆借上げ社宅制度廃止◆

 「制度が古い」という不可解な理由で、借上げ社宅制度の廃止が通知されました。住宅費補助制度に基づく支給額を本給に組み込むとのことですが、多くの社員で月額数万円単位の負担増になります。それだけではありません。借上げ社宅の会社負担分は、多くの社員で非課税だったはずです。それが本給に組み込まれることで、課税対象になるほか、社会保険料の計算対象になります。
 制度廃止の8月以降は、「社員が自分で対応せよ」とのことですが、大家や不動産会社が契約を認めず、立退きを迫られる社員も出てくると思われます。家族を持ち、特に小中の公立学校に通うお子さんのいる社員には大きな負担になります。しかしそのための補助は、一律10万円の補助と、100万円を2年間無利子で貸し出すというわずかなものです。また契約を認めて、同じ家に住み続けられたとしても、契約時に値上げを迫られる可能性があります。4月入社の新入社員の場合、わずか4ヶ月での制度変更であり、入社早々、生活設計に大きな狂いが生じることになります。
 普通の日本の会社なら、8月以降の新規受付の停止、現在の契約更新を認めない」という形で徐々になくしていくところです。それが2ヶ月半前にいきなり廃止の発表です。いったい社員の生活を何だと思っているのでしょうか。
 また、住宅費補助の金額の本給への組入れは一見小さな内容ですが、これは減給された場合、その影響が住宅費補助分にも反映されることを示しており、見過ごせない不利益変更です。

◆会社業績はたった19?◆

 夏期ボーナスの会社業績スコアはたった19であることが発表されました。日本IBMは経常利益率が10%を越え、財務諸表上は超優良企業です。税引前利益は2011年度の2倍近いにもかかわらず、昨年の半分以下です。

 組合は法廷闘争、ストを含むあらゆる方法で闘っていきます。社員の皆さんも組合に加入して、会社の横暴と闘っていきましょう。

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