セーフティネットも廃止 
最低保障給を下回る給与制度

9月15日、組合が新体制となって2回目の中央団交を会社とおこないました。団交は、IBM組合(以下「組」)及び組合の上部組織(略称JMIU)以下「上」)並びに会社人事労務(以下「会」)との間で行いましたので概要を報告します。

お客様先常駐プロジェクトの安全衛生について

組合 安全衛生に関して先月のプロジェクト常駐先ホテルでの上谷組合員の死亡事故も起きており、会社としての管理はどう考えているのか。
会社 会社のビジネス形態も変化しており、安全衛生に対する懸念については会社も理解している。
 あるプロジェクトでは異常な労働環境であり、AEDの設置を要求したがIBMが管理するビル以外にAEDは設置できないと言われ設置できなかった。
 調べてみる。
 会社の障害者の雇用者数と雇用率を照会した処、開示の必要性なしと回答された。
 組合が必要な意図が分からない。
 組合は雇用環境全般について問題がないか関心を持っている。それだけで十分だ。しかるべきプロセスを通せば開示される情報を公開しないのは不誠実である。^
 持ち帰って検討する。

定年延長制について

 65才の定年延長を真剣に考えて欲しい。
上部 JMIUの産業別労働組合としての最重要課題であり、JMIU中央統一行動として厚労省に要請する。企業としても対応していただきたい。
 要求に対して後日回答する。

賃上げ交渉に関して

 現在の新入社員の給与は毎年1.5%ずつ昇給しても37才で最低保障給を下回る。今回の昇給率が1.1%であり、15年後は多くの社員が影響を受ける。最低保障給の撤廃は納得できない。
 世の中の賃金水準動向についていこうという給与制度であるから問題ないと考える。
 賃金水準を維持できるのは一部の人だけだ。PBC2でも昇給せず賃金格差がある。PBC2以下の人も会社に貢献しており救済されるべきである。
 将来的にMBAを全く行わないという事ではない。処遇は業界水準を見ながら考慮している。年齢により左右されるべきではない。
 年齢(年齢別昇給)と最低保障給とは話が異なり、混同している。
セーフティネットとしての最低保障給のない企業は社会的責任を果たさず、社員を使い捨ての道具と考えている。
 一度廃止したから変えないのではなく制度として検討したい。

幕張の管理の新組織について

 組合員3人が異動対象となっている。管理部門の新組織について説明を求める。
 管理部門の諸業務を集中的に管理し効率化を図るためである。
 要員の人選は低評価を受けた人や休職等していた人ばかりであり、マネージャーも経理の知識・経験がない。会社の意図は、隔離・切り離しである。多くの部門で同様の組織(COE=Center Of Excellence )が作られている。
 新組織の情報はつかめないが、STH、GBSやGTSのオペレーションは、COEであると理解する。
 COEを別会社として切り離す意図はないか。
 HOURS、IGASの例があり全くないとはいえない。
 後日文書で質問する。

分会団交(組合と事業所長との交渉)について

 2008年リストラ以降、会社は分会団交であつかう議題をできるだけ狭めようとしているが40年もの間おこなって
きたことを一方的に反故にするのは問題だ。
 分会との場を持つことは継続するつもりだ。施設など事業所のことはあつかう。
 事業所長は労働安全衛生について法的に責任がある。にもかかわらず事業所長に対する安全衛生にかかわる組合の申入れについても労務から回答が来るのはおかしい。まず事業所長の職掌について明示することを要求する。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 今回の団交は比較的静かに終わりましたが見えてくるものがありました。
 社員が過労死するまで管理せずに働かせる利益一辺倒の姿勢、労働に対して賃上げで報いることなく社員の生活の維持など全く顧慮しない会社の態度、特に普通に働いても最低保障給を下回る給与制度を見れば会社は長期的な視点で経営を考えているとは思えません。
 短期的に社員から絞るだけ絞って、報いることをしない姿勢は、中国やインドから高利益を得られるので、もう日本の役割は終わったから日本での企業経営を縮小・撤退しようというコーポレーションの意図を感じます。
 ただIBMとして企業経営の縮小は世界的なことであり、短視眼的に会社の株価上昇のみを志向する経営は、ストックオプションがらみで引退も間近な会長の私利私欲の追及と連動しているものと思われます。

%d人のブロガーが「いいね」をつけました。