「ディーセント・ワーク」とは?――家庭も大事にしながら女性の社会参加の機会を

ILO(International Labor Office:国際労働機関)が提案する「働き方」、「ディーセント・ワーク」について、組合員からの投稿にてご紹介します

私がこの言葉に初めて遭遇したのは99年に開催した「IBM支部組合結成40周年記念行事」でのことでした。フランスから送付されてきた「セレブレーション・メッセージ」の中にしたためられていました。当時はこの言葉をうまく理解することができず、あっという間に9年の月日が経過してしまいました。最近、新聞紙上や労働組合関係のポスターでも見かけるようになってきましたが、必ずしも分かりやすい言葉での説明を見出すことはできませんでした。

ILOの理念・活動目標

「ディーセント・ワーク」とは、ILOの現・事務局長ファン・ソマビア氏が1999年に就任した際にILOの理念・活動目標として示した言葉です。「ディーセント・ワーク」は日本では「人間らしい仕事」と訳されていますが日本にはない概念です。ILO条約には180いくつかの条約がありますが、それらが持っている価値を全部集約する形で「ディーセント・ワーク」と表明して、全世界に呼びかけていこうという取り組みを開始したわけです。

家族そろって教会に

産業革命時代の資本主義のイギリスでは「ディーセント・ライフ」として使われていました。1週間に1回、白いワイシャツにネクタイをして家族そろって教会にいけるような生活を「ディーセント・ライフ」と言っていました。そこから歴史的なことをふまえてILOがつくった言葉ではないだろうかということです。

家族が過ごせるようなレストラン

「ディーセント・レストラン」という言い方もあります。ぜいたくなレストランではないけれども、それから労働者が酒を飲むような場所でもなく、家族そろって月に1回とか、2回出かけていって、そこそこの値段で、しかしゆったりと気持ちのいい食事ができて、「ああ、きょうは楽しい食事ができたね」と家族が過ごせるようなレストランを「ディーセント・レストラン」といっていました。ですから、ディーセントという言葉にはそういう歴史的な経過を含めて家族という問題がどうしても含まれてきているわけです。

「ディーセントワーク」の五要素

ILOの「ディーセントワーキングタイム」は以下の5要素からなりたっています。

  1. 労働者の健康によい労働時間である
  2. 家族に友好的な、フレンドリーな、好意的な労働時間である
  3. 男女平等を進める労働時間である。
  4. それらのことを通じて生産的な労働時間である
  5. 労働者の選択と決定が認められる労働時間である。

オランダの目指すところ

「オランダは1.5社会を目指す」といっています。これはどういうことかというとアメリカは2.0社会を目指しています。2.0社会とは男性と女性が平等だという  名目のもとに女性も男性と競争して仕事をさせられている。その結果、家庭崩壊が起き、離婚が多くなってくる社会であります。オランダでは男性が1で女性が0.5という社会参加です。家庭も大事にしながら女性の社会参加の機会をつくっていこうと考えています。しかし、パート労働を重視しながら、出来るだけ早く男性0.8女性0.7にし、できたらお互いに0.75づつの1.5社会を作っていきたいと表明しています。

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